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時は天正18年。豊臣秀吉麾下2万余の軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。姫を陰に陽に護るのは、忍びの者として天下に鳴る風摩組。中に割って入る戦場荒らしの7人の香具師(やし)は、麻也姫の貞操を狙う。香具師vs.風摩忍法、武州の地で機智と詐術を巡らす縦横の戦い!
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Posted by ブクログ
関白秀吉の時代に小田原で暗躍する7人の香具師が風魔小太郎のもとで忍法修行を受ける。彼らに与えられた任務は「秀吉の千成瓢箪を盗む」こと。7人はこの難題に挑む。忍術に伝奇的要素を絡ませた奇抜なストーリーは面白いこと間違いなし!山田風太郎の真骨頂、文句なしの傑作長編。
極悪非道な香具師たちの心境の変化と、非戦闘員である彼らが強大な敵(風摩忍者)に立ち向かう絶望感と、誰もが魅了されずにはいられない麻也姫が、本作の魅力。 そこそこボリュームがありながらも、香具師たちの陽気な騒々しさが全篇にみなぎり、停滞や失速なく一気に読ませる疾走感がすごい。 後半は思わず涙ぐんでしま...続きを読むうこともしばしば。 間違いなく忍法帖シリーズベスト5に入る傑作だと思う。
山田風太郎 著 「風来忍法帖」を読みました。 豊臣の大軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い、北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。その麻也姫を守って、敵の忍者と命を賭けて戦う7人の香具師(やし)たち。 この7人の香具師たちは、一癖も二癖もある一筋縄ではいかない荒くれどもで、はじめは麻也姫...続きを読むを襲うおうと姫に近づくのに、いつの間にか、命を賭けて姫を守るはめになってしまいます。 ここら辺の展開がなんともうまく、さすが山田風太郎ここにありといった感じです。 姫を守るため、敵の無敵の忍者にも、悪知恵を使いながら、命を落としてまで、立ち向かっていく様は、男の生き方として、憧れを感じてしまうほどです。 特に、ラストのシーンは、あまりにせつなく、人を思う心の清らかさに胸が打たれます。 やっぱり、風太郎忍法帖はやめまれません。
人を騙し、女を売り歩き、戦場を荒らし、やることなすこと常識外れのとんでもない7人の香具師が主人公。行いを見れば到底ヒーローにはなりえない悪者達ですが、その大胆不敵、自由奔放な生き様はどこか憎めません。 冒頭からの彼らの非道な行いに呆れたころに、絶世の美女、麻也姫が彼らを一刀両断するのがなんとも気持...続きを読むち良く、風のように捕らえどころがなく、女を物のようにしか見ていなかった彼らが、強烈な一発を食らわせた麻也姫に執着することとなるこの場面が見事です。 悪者の顔を踏んづけて決め台詞を吐く麻也姫に、7人の香具師同様読んでいる私もぐっと心を捕まれました。 7人の香具師が恥をかかされた復讐の為だ!とかなんとか言いながら、麻也姫に近づきたいが為に、厳しい忍者修行に耐え、あの手この手で頑張る姿は微笑ましい。とくに悪源太は好きな女の子をいじめてしまう悪ガキのようです。 しかし、口では薄汚いことを言いながらも麻也姫へは純粋な敬愛を持っているのとは反対に、麻也姫以外の女達には相変わらず冷淡で、特に女忍者達の扱いには胸が痛みました。 麻也姫という絶対的なヒロインがいる限り女忍者達の末路は決まっているようなもので、それ故あのラストはなるべくして、という感じがします。 政治的な謀略によって敵味方の構図が変化していくのもおもしろく、忍城での攻防、忍術合戦も迫力満点。 旗を立てるシーンなど名場面が多いです。 それにしても麻也姫がかわいい。 近づきがたい気高さと親しみやすさが同居した魅力的なヒロインで、悪行三昧だった香具師が彼女に命を懸けてしまうのもうなずけます。 香具師たちの声が哀しく響くラストは、彼らの生き様、麻也姫への想いを包括した、もうこれ以外にないという素晴らしい結末だったと思います。
大傑作!敵も味方もキャラ立ちまくり。まず香具師の奮闘振りが痛快。彼等の特性がことごとく最後に生かされ(特に馬左衛門、すごい...)、伏線として機能している。ラストもめちゃくちゃ泣ける。
忍城攻防戦を舞台に、風魔忍者軍団vs.造反くノ一+意味不明能力満載の香具師達+可憐な麻也姫(人妻だけど処女…)のバトル。 麻也姫かわいいよ麻也姫かわいいよ。
7人の香具師の物語。 時に無茶苦茶でワル(特に性道徳の皆無)、時に正義漢、間抜けなところもある7人が愉快にストーリーを進めていきます。 読んでいて痛快。
忍法帖の中で一番好き。 かなりのコメディだと思います。 でも、泣きます。 御巫燐馬が大好きです。
初めて読んだ思い出深い忍法帖です。ストーリーが本格的に動くまでがかなり長いですが、動いてしまえば、あとは一気に読まざるをえないと思います。ピカレスク小説としては最上級の傑作ではないでしょうか?
忍法帖も11まで来た。ずいぶん厚い。上下巻にわかれてもいいのではないか、という厚さ。一日で読めなかった。 今回の登場キャラクターは、7人の香具師、7人の女忍者、3人の魔人(強い忍者)。例によって多対多の戦い、と言いたいところだけれど趣がずいぶん違う。香具師のなかでもキャラの描写具合にずいぶん差があ...続きを読むるし、女忍者などはもう誰が誰やら。 圧倒的にキャラ立ちしているのは、アイドル麻也姫である。言ってみれば天然、であるが、故にまわりをブンブン振り回し、いろんな人の運命が彼女を軸にかわっていく。げに恐ろしきは天然女である。 「胡乱」「凄艶」といった、普段使わない言葉が頻発する。胴切りになって死ぬ人は、果たして何人いただろう。香具師の、人を人とも思わないような導入部分からしばらくは、ずいぶん非道い話なのであるが、終わってみればなんと爽やかであることか。これを読んで香具師になりたいと思った人は多いはず。ぼ、僕は違うんだからね!
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