あらすじ
※本書は、昭和五十二年七月十日初版の角川文庫『銀河忍法帖』(電子版発売日:2014年06月17日)を改版したものです。重複購入にご注意ください。多くの鉱山を開拓し、家康さえも一目置いた稀代の傑物・大久保石見守長安。彼に立ち向かい護衛の伊賀忍者たちと激戦を繰り広げる不敵な無頼者「六文銭の鉄」の活躍を描く、爽快感溢れる忍法帖!
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Posted by ブクログ
帯に「この男、しびれるほどにかっこいい!!」とあり、読み始めはどの人のこと??と思いながら読んでましたが、最終的にほんとにしびれるほどにかっこいいです。八犬伝の映画化でしばらく本屋さんに山田風太郎作品がたくさん並んでたので選び放題で楽しかったのですが、映画終了とともにまた消えてしまい残念です。
それにしても女人酒が全くもって飲む気のしないレシピなのもすごい。
Posted by ブクログ
破天荒な男、六文銭は、惚れた女のために大久保長安を狙うのだが。一途な愛と激闘の忍法帖。
風太郎忍法帖を復刊という形で読めることにまず幸せを感じます。
そして、本編の主人公の絶妙な魅力に惹かれながら一気に忍法世界に浸ることになりました。
この作品の魅力は、主人公のキャラクター性、大久保長安の壮大な野望、忍法合戦、科学兵器、謎の女の秘密、といった様々の要素が絡み合い、物語が紡がれているところだと思います。
その中の忍法対科学兵器の闘いも読みごたえがあり、これまでのとは一味違う忍法合戦を堪能しました。
最後の六文銭の姿もこの男らしい行動だったと感じ入りました。
Posted by ブクログ
復讐を決意した謎の女、朱鷺に惚れ、ひょんなことから協力を申し出た風来坊、通称・六文銭の鉄。そんな二人に大久保長安率いる科学忍法を使うくノ一集団と、伊賀の手練れが襲いかかってくる中、前代未聞の逃避行と暗殺舞台劇の幕が上がる──。
まず主人公である六文銭の鉄がカッコいい。野生児のルパン三世のような3枚目キャラであり、動物的な反射神経と雄臭い絶倫の下半身で物事を片付けていく様は爽快感がある。とりあえず見つけたら敵の妾を犯しまくるインモラルな作風ではあるものの、敵のくノ一も色香を武器に挑んでくるわけで、山田風太郎世界観においては当たり前のように性技や交合すらも立派な戦いであり生存戦略の一つなのだ。
敵はモーニングスターや伸縮ロッドのはがね摩羅、7連発拳銃のリボルバーといった武器に始まり、果ては火炎放射器に硫酸といった科学忍法を使う異形異様の集団ながら、主人公の六文銭は基本的に素手かつ単独で戦うというバランス感覚が見事である。身体ポテンシャルの高さもさることながら、鹵獲した敵の武器を使って窮地を打開するなど、ありものと肉体で解決する様は非常に男らしく、加えて風体もふんどし一丁、時には全裸で戦うという裸一貫の男ぶりが魅力である。
そしてそんなくノーや忍者たちとの死闘は、変に長引くこともなく、武器や能力の相性、地形、出会い頭のシチュエーションによってあっさりと決着がつくことも多く、そこに実力差は関係がない。生き残りをかけた真剣勝負の世界では運不運の要素も大きく、たとえ強くても無様な死に様をする無情さこそが山田風太郎の美学であるとも思う。そして一見コミカルな冒険活劇ながら、主人公の謎が明らかになる後半でこそその余韻は尾を引いて残り、結末は一抹の寂寥感がある。冒険であり、異能力バトルであり、そして真っ当なロマンスだった。
Posted by ブクログ
「女精酒」や「はがね麻羅」「淫霧」といった官能的造語、男と交じ合う妖艶な女たち、戦いで咲く凄惨な血の華…忍法帖定番のエログロをしっかり盛り込みながら、相反するせつない純愛で最後グッと胸を締め付ける筆の名人芸にため息。
伊賀の精鋭忍者たちをバタバタと倒し、敵の妾たちの科学兵器を物ともせず抱きまくる豪放磊落な強さを発揮する反面、惚れた女には滅法弱く従順になってしまう六文銭の鉄の快男子ぶりが一番の魅力だったなぁ。
正体を明かした後の展開と覚悟が更にカッコよくて、男と女の一途な宿命の決着の儚く美しい余韻にシビレる。
Posted by ブクログ
山田風太郎さんの「忍法帖シリーズ」は、いつも5人X5人の対抗戦になるけど、忍者X側室というのは、意表を突いていて、面白かった。いつもながら、凄い‼️