山田風太郎のレビュー一覧

  • 人間臨終図巻 1

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    読書録「人間臨終図巻1」4

    著者 山田風太郎
    出版 徳間書店

    p66より引用
    “ 病状もいちどは回復に向い、一時は病院
    の廊下や屋上を散歩することもあったが、
    トクダネ写真をとろうとして白衣を着て医者
    に化けたカメラマンが潜入してくるに及んで、
    病室の中にとじこめられ、彼女についてどん
    なことが報道されるかわからないのでテレビ
    も雑誌も禁じられた。”

    目次より抜粋引用
    “八百屋お七
     豊臣秀頼
     エミリー・ブロンテ
     アレキサンダー大王
     山下清”

     戦後の日本において、娯楽小説を多数著し
    た著者による、歴史に名を残す日本内外の
    偉人・有名人の死に際についてまとめた一冊。
    同社刊行作再編集版。
     紀元前の人物から昭和の後半の人物まで、
    資料と証言に基づいた記録に著者の意見を添
    えて記されています。

     上記の引用は、夏目雅子氏について書かれ
    項での一節。
    今も昔も、ろくでなしの取る行動はあまり変
    わらないもののようです。
    しんどがっている人には、助けを求められて
    いないのなら、そっとしておいた方がいいん
    じゃないでしょうか。
    「それが仕事だ」と言われればそうなのかも
    しれませんが、人の不幸を追いかけ回す事が
    仕事として成立してしまうというのも、何と
    も言えない気持ちです。
     平均寿命が短い時代が大半であったとは言
    え、この作品に記されている人たちは、随分
    と若くして亡くなられておられます。
    いつ何時、何がどうなってしまうのか。
    誰にもわからないものなのでしょう。
    今を懸命に過ごそうと、改めて思い直します。
     いつか必ず自分にも訪れることなので、ど
    なたであっても何か思うところが残る一冊で
    はないでしょうか。


    ーーーーー

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    2026年08月04日
  • 八犬伝 上

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    久しぶりによんだ八犬伝 思い出したよー 内容細かく
    四谷怪談と忠臣蔵の表裏一体は そーなんだと 勉強した

    それとは別に
    山田風太郎と言えば 忍者もの 活劇のイメージだったので
     心情こまやかに えぐるとこあって 実の世界と虚の世界

    時代小説のよさって こんなとこ 現代(実)の世界では 絵空事に聞こえることも 時代物(虚)の世界では 心伸びやかに 表せて それに 恥ずかしげなく 共感できるとこかなぁ 

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    2026年07月02日
  • 魔群の通過

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    時代は幕末。尊王攘夷を掲げた水戸藩は、幕府派の田沼や市川といった有力者に家族を幽閉され、何人も殺害されるという憂き目に有っていた。そこで、水戸藩にいた武田の末裔たち天狗党約1000人は、京都にいる徳川(一橋)慶喜および天皇に惨状を訴えるべく水戸から京都への行軍を開始する。行軍に先立ち、まだ10代の少年だった武田金次郎、源五郎たちは、ある男にそそのかされ、敵の市川の娘をかどわかし、連れて行くこととするが…。

    サラッと読めるかなと読みかけたものの、武田源五郎の講談調の語り文と、水戸藩に誰がいて誰が敵でくらいわかっとるよな?という書き口で進むので、序盤は文字の上っ面をなんとかなぞっていくのが精一杯で進まず、半ばをすぎると今度は酸鼻な切ったり処刑だったりが続くため、これまた進まなくなる。

    もともと歴史小説が苦手なのもあり、個人的には超大作として読んだのだが、慣れている人にはいつもの山田風太郎だな、位の文章だったのかもしれぬ。

    話は戻って、幕末の天狗党事件という数百人数千人単位で獄死、処刑、家族郎党斬殺と、これ以上ないレベルの史実にある惨殺事件を描いたものであり、脚色されたものではないことを断っておく。読む前にWikipediaで調べておくべきであったな。

    歴史者が苦手とはいえ、さすがに誰をどう見ればよいのかがわかってくる中盤以降は理解が早くなる。また、この手の話では男同士のぶつかり合いという部分は多くなるものの、市川の娘の登勢と、謎多き大人の女おゆんが男たちの足並みを乱したり、島崎藤村などがさらっと登場したりと、歴史と関係なく注意をひく話も含まれる。

    また、作者自身が取材のために行軍ルートを進んでみた体験談が挟まれたり、普通に「チャンス」などのことばがいちびり無しで使われているのに気がつくと、ちょっとした親近感を覚える。

    終盤ラストは気持ちの良い終わり方は全くしないし、人が人でなくなる様子を描いているというストーリーなので、読後感には期待しないこと。

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    2026年07月01日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    ネタバレ

    また、やっちまった。
    本書は、2024年5月16日付で講談社ノベルス1994年版で既読済みでした~。
    今回、装丁違い(ノベルスではなく講談社文庫1998年版)だったのもあるが、わずか2年前に読んだものが、50ページ近くまで既読感はあれど確信が持てなかった状況に愕然。
    とはいえ、文庫版では浅田次郎氏の巻末エッセイと「忍法帖ギャラリー」として歴代の表紙(1959年光文社、1963年&1967年&1972年&1994年講談社、1974年角川書店、1993年富士見書房)変遷が付録としてあったので、まぁいいか。
    それにしても、講談社の力の入れようは尋常ではない。本書1998年版も2005年22刷と売れ行き好調のようです。
    巻末【おことわり】には「せむし」「盲」「いざり」など現在差別用語に認定され使用禁止となっている言葉が頻出する点の説明(釈明)がありました。

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    2026年06月25日
  • 妖説太閤記 上 山田風太郎ベストコレクション

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    大河ドラマの主人公みたいに英雄的でない人間らしい秀吉を描いていて面白い。
    英雄的な完璧超人よりも、やっぱり人間的な人物の方が読んでいて胸躍るところがある。
    とはいえ、ヒーロー超人的な半兵衛もやっぱりかっこいいなと思う。
    いろんな魅力的なキャラクターが出てくるので読んでいて本当に楽しい。
    こんなに魅力的な人物たちを創り出せる山田風太郎の手腕に脱帽。

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    2026年05月16日
  • 魔界転生 上 山田風太郎忍法帖(6)

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    古い映画で見たことがあるのですが、原作はストーリーがかなり違いました。
    島原の乱から始まるところ、一度死んだ人が魔術によって甦るところは同じですが、原作は由井正雪と紀州大納言が引き起こす幕府転覆の企ての他に、有名な柳生家の江戸と尾張の確執も絡めていて、映画よりはるかに充実しています。
    まだ半分なので、下巻が楽しみです。

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    2026年05月02日
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    上巻に続いて読ませて頂きました。

    魔界転生衆との戦いがほとんどを占めており、読んでいてとても楽しかったです。
    ただ、私自身の理解能力や想像力の問題だとは思われますが、戦いが激しくなるにつれ、今どういう姿勢なのか、とかがイメージが追いつかないところなどがあり、ん?ってなりながら何度か読み直しつつ読んでおりました。

    また、主人公の柳生十兵衛が強すぎて最後の最後までほとんど無傷に近く生還しているというのは少々出来すぎ感はあるかなとは思いました。
    相打ち覚悟だとしてもほとんど怪我しているような描写すらないように思えたので流石に強すぎるとまとめて良いものかとも思ったので星4にしました。

    ただ、言葉選びがとても綺麗でナレーションの部分に当たる部分などはわかりやすい言葉だったり綺麗な言い回しでとても惹かれました。

    本をこれからも読んで色々慣れてきた頃にまた見返したりしてみようかと思います。

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    2026年03月10日
  • 魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

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    こちらも、知人におすすめして頂いた1作。

    本を読むことに対してあまり慣れていない私にとっては、序盤の「どのようにして転生しているのか」「なぜ転生しているのか」が描かれているシーンは言い回しなどが難しく感じておりました。
    しかし本の半分を超えたあたりから少しだけ慣れたのか読みやすくなっており、特に十兵衛が出てきてからは何とか読めました。
    もっと本に慣れてからまた読みたいと思います。

    上巻がいいところで切れてしまったので、下巻も楽しみに読ませて頂きます。

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    2026年03月02日
  • 明治断頭台 ――山田風太郎明治小説全集(7)

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    聞き慣れない単語を辞書で調べつつ読み進めたが、苦労の甲斐ある衝撃の結末。ミステリとしての整合性以上に、物語全体を貫く巨大な仕掛けと構成美に圧倒された。

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    2026年03月15日
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

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    面白い。
    魔界転生とか、こんなハラハラさせて読む手が止まらない展開思いつくなと感心させられる。
    いいため息が出る。

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    2026年01月30日
  • 警視庁草紙(下) ――山田風太郎明治小説全集(2)

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    大事に読んでいたのに読み終わってしまった。上巻から間があいたため、ちょっと忘れているところもあったけど、この人のまじめにふざけているところは覚えていたし、健在でなにより!いろいろな歴史上の人物が出てくるので、その人は果たしてどんな人だったのか、とか調べるのも面白い。今回は森鴎外が出てきて、調べちゃいました。絶対再読するなこれは。

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    2026年01月30日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    甲賀忍法帖は非日常であった。
    忍者の世界に没入してしまいました。
    結末は想像通り、ほとんどの人が結末が分かるのに没入すると思います。

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    2026年01月26日
  • 太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

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    まずはタイトルに惹かれる。山田風太郎先生の構成はいつも面白いけど本書では死刑執行のタイムリミット形式になっていて先を読みたくなる。貧しい青年が金持ち相手に何かしでかすピカレスクロマンなのか幸少ない恋人の哀切なる青春小説なのかとやや期待はずれの感があったが…
    あまり書くと興を削ぐので興味のある方は読まれたし。

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    2026年01月22日
  • 明治バベルの塔 ――山田風太郎明治小説全集(12)

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     歴史上の人物が次々と登場する短篇集。一番よく出てくるのは幸徳秋水。他に登場するのは黒岩涙香とか福地桜痴とか。風太郎にとって明治とはアナキズムとジャーナリズムの時代だったのだろう。一番傑作なのは、今も東京博善が経営している町屋斎場の社長であった木村荘平を主人公に立てて、最初の「客」を奪い取ろうと死者やこれから死に行く人々に七人のセールスマンをひたすら派遣し続ける「いろは大王の火葬場」(pp131-211)。

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    2026年04月04日
  • 魔天忍法帖<新版>

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    山田風太郎という人は、いったい、どういう脳ミソを持っているんだろう?と、つくづく思う。いつも、あり得ないような、荒唐無稽な話を造り出す。この作品も、あれよあれよ、という間に、訳の解らない展開に強引に引っ張り込まれてしまった。それなのに、あまりにも面白すぎて、止められない。一種の麻薬みたいなもんだ。解説が、北森鴻だったのも、嬉しかった。

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    2025年12月25日
  • 誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション

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    「誰にも出来る殺人」
    夢野久作みを感じた。
    各話ごとのオチはいまいち…ただ住人たちの素性や秘密が徐々に明らかになる構成には非常にわくわくさせられる。
    例のあの人にいったいどんな思惑があるのか楽しみにしていたのに、わりと大したことなくて肩透かし。
    最後よくわからなかったのだが◯下ろししたったってことでいいんですかね…
    ずっとドアの押し合いやってるの想像するとシュール。

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    2025年12月06日
  • 明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション

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    本格ミステリ作品としてマニアの評価は高いけど、ミステリとしての魅力を挙げれば、真の主役は誰かというレッドヘリングにあると思う。

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    2025年12月06日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    山田風太郎は本書から入る
    今ではテンプレートになっている多人数VS多人数のバトルもの
    奇想天外なたたかい
    昭和三十年代にこの設定は天才
    魁男塾は山田作品の模倣かしら

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    2025年12月06日
  • 明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション

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    ラストが名作とよく聞くので読みました。なるほどこれはと感嘆。
    日本史を専攻していたので歴史小説としても楽しめる内容。これだけ教養があったら歴史上の人物や出来事で創作できるのかと尊敬。

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    2025年12月01日
  • 銀河忍法帖

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    復讐を決意した謎の女、朱鷺に惚れ、ひょんなことから協力を申し出た風来坊、通称・六文銭の鉄。そんな二人に大久保長安率いる科学忍法を使うくノ一集団と、伊賀の手練れが襲いかかってくる中、前代未聞の逃避行と暗殺舞台劇の幕が上がる──。

    まず主人公である六文銭の鉄がカッコいい。野生児のルパン三世のような3枚目キャラであり、動物的な反射神経と雄臭い絶倫の下半身で物事を片付けていく様は爽快感がある。とりあえず見つけたら敵の妾を犯しまくるインモラルな作風ではあるものの、敵のくノ一も色香を武器に挑んでくるわけで、山田風太郎世界観においては当たり前のように性技や交合すらも立派な戦いであり生存戦略の一つなのだ。

    敵はモーニングスターや伸縮ロッドのはがね摩羅、7連発拳銃のリボルバーといった武器に始まり、果ては火炎放射器に硫酸といった科学忍法を使う異形異様の集団ながら、主人公の六文銭は基本的に素手かつ単独で戦うというバランス感覚が見事である。身体ポテンシャルの高さもさることながら、鹵獲した敵の武器を使って窮地を打開するなど、ありものと肉体で解決する様は非常に男らしく、加えて風体もふんどし一丁、時には全裸で戦うという裸一貫の男ぶりが魅力である。

    そしてそんなくノーや忍者たちとの死闘は、変に長引くこともなく、武器や能力の相性、地形、出会い頭のシチュエーションによってあっさりと決着がつくことも多く、そこに実力差は関係がない。生き残りをかけた真剣勝負の世界では運不運の要素も大きく、たとえ強くても無様な死に様をする無情さこそが山田風太郎の美学であるとも思う。そして一見コミカルな冒険活劇ながら、主人公の謎が明らかになる後半でこそその余韻は尾を引いて残り、結末は一抹の寂寥感がある。冒険であり、異能力バトルであり、そして真っ当なロマンスだった。


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    2025年11月05日