山田風太郎のレビュー一覧
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ネタバレ山風の明治モノ、大好き。もっと読みたいと思っていたので、前評判の高いこれらを読むことにした。
上巻…どうにも話が細切れで読みづらいときもあるが、幻想的な物語の枠に惹かれて読み続ける。
舞台は明治15年。
会津の武士であり、同心も経験したことのある、中年の馬車引き、干潟。
孫娘のお雛をのせてメイジ・トウキョウを今日も行く。
お雛には2人の幽霊がついており?、それはお雛の父親であり干潟の息子である蔵太郎と、その母であり干潟の妻でもあるお宵の2人。
彼らはお雛が呼べばそれなりにこの世にくるが、不死の身である以外は特殊なことはできず、全知全能でもない(笑)。
このあたりのやりとり、かなりシュールで -
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ネタバレ泣いた…久しぶりの忍法帖。おもしろかった!!
女性をモノにし売り歩く…下衆野郎なのに、なぜだか憎めない7人の香具師たちの物語。彼らはひょんなことから、北条方の麻也姫を守ることとなる。
姫を男たちが守る、というストーリーは、【忍法八犬伝】に似ているが、香具師たちの、姫に対する復讐心から恋慕うに至る心の動きが新鮮だ。
忍法帖の中でも、分かりやすい恋愛ものでありながら、登場人物たち全員にその認識はない。
悪源太も、最後まで自分の想いを認めず死んでゆく。彼らのそんな未熟さが、彼らにとって姫との出会いがいかに人生における光であったかを物語る。
ラスト、悪源太が仲間たちの元へ戻るのも泣ける。そして -
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鎌倉末期から室町時代までを生きた、佐々木道誉(ささき どうよ)を描く。
1319年〜1367年を扱う「太平記」は、まさにこの時代、リアルタイムで書き続けられており、この作品は山田風太郎世界が全開の「魔界太平記」とも言えようか。
将軍方(北朝)対、天皇方(南朝)の南北朝が60年にも渡る争いを繰り返し、戦国の世に匹敵する、あるいはそれ以上に天下は乱れて、民衆を苦しめた。
登場人物全てがあちらこちらと手を組み、寝返り、入り乱れること、作者自身も「筆舌に尽くしがたい」と描写するくらいややこしい。
全ての事件に道誉が何らかの形で関わっており、彼が時代を動かしているような錯覚さえ抱く。
しかし、道誉は派 -
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山田風太郎は、短編にも多くの傑作があった!
『Y十M~柳生忍法帖~』以降、お待たせしました。せがわまさきの待望の新連載は、風太郎の短編!
第一幕は『くノ一紅騎兵』。天下分け目の「関ヶ原の戦い」の前年、不穏な空気に満ちた京の遊郭に、ひとりの美少女がいた。名は、陽炎(かげろう)。この美しき者が、天下の形勢を、大きく動かしていく!
美しき者には、人智を超えた忍法があった!
快楽極まる、超絶の秘術を見よ!
天下分け目の「関ヶ原の戦い」の前年、不穏な空気に満ちた京の遊郭にいた、ひとりの美しき者。名は、陽炎(かげろう)。この者が、天下の形勢を、大きく動かしていく!山田風太郎には、短編にも多くの傑作あり。せ -
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後に監獄の改良に努めた薩摩出身の若き有馬四郎助の物語。北海道月形の樺戸集治監の看守に着任した四郎助と、虐待異常者たちともいえる看守長たち、そして1000人を超える囚人たち。耶蘇教教誨師の原胤昭や医師の休庵先生。そして売られてきた酒場の女たちが時に絡む。
囚人たちの話を聞く四郎助は、監獄で起こる様々な事件をきっかけに囚人や看守たちの人生を誰かれの口から聞いていく。その人生や事件がそれぞれ強烈で破格なのだ。
しかし犯罪者たちの人生だ。殺人や強姦、裏切りが酷い。更に血飛沫が飛ぶ。それでも人情噺や男女の話を交えて、時にほろりとさせる。
のちに愛の典獄と呼ばれ、キリスト教徒となつた有馬四郎助は、上