山田風太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書録「人間臨終図巻1」4
著者 山田風太郎
出版 徳間書店
p66より引用
“ 病状もいちどは回復に向い、一時は病院
の廊下や屋上を散歩することもあったが、
トクダネ写真をとろうとして白衣を着て医者
に化けたカメラマンが潜入してくるに及んで、
病室の中にとじこめられ、彼女についてどん
なことが報道されるかわからないのでテレビ
も雑誌も禁じられた。”
目次より抜粋引用
“八百屋お七
豊臣秀頼
エミリー・ブロンテ
アレキサンダー大王
山下清”
戦後の日本において、娯楽小説を多数著し
た著者による、歴史に名を残す日本内外の
偉人・有名人の死に際についてまとめた一冊。
同社刊行作再編集版。
紀元前の人物から昭和の後半の人物まで、
資料と証言に基づいた記録に著者の意見を添
えて記されています。
上記の引用は、夏目雅子氏について書かれ
項での一節。
今も昔も、ろくでなしの取る行動はあまり変
わらないもののようです。
しんどがっている人には、助けを求められて
いないのなら、そっとしておいた方がいいん
じゃないでしょうか。
「それが仕事だ」と言われればそうなのかも
しれませんが、人の不幸を追いかけ回す事が
仕事として成立してしまうというのも、何と
も言えない気持ちです。
平均寿命が短い時代が大半であったとは言
え、この作品に記されている人たちは、随分
と若くして亡くなられておられます。
いつ何時、何がどうなってしまうのか。
誰にもわからないものなのでしょう。
今を懸命に過ごそうと、改めて思い直します。
いつか必ず自分にも訪れることなので、ど
なたであっても何か思うところが残る一冊で
はないでしょうか。
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Posted by ブクログ
時代は幕末。尊王攘夷を掲げた水戸藩は、幕府派の田沼や市川といった有力者に家族を幽閉され、何人も殺害されるという憂き目に有っていた。そこで、水戸藩にいた武田の末裔たち天狗党約1000人は、京都にいる徳川(一橋)慶喜および天皇に惨状を訴えるべく水戸から京都への行軍を開始する。行軍に先立ち、まだ10代の少年だった武田金次郎、源五郎たちは、ある男にそそのかされ、敵の市川の娘をかどわかし、連れて行くこととするが…。
サラッと読めるかなと読みかけたものの、武田源五郎の講談調の語り文と、水戸藩に誰がいて誰が敵でくらいわかっとるよな?という書き口で進むので、序盤は文字の上っ面をなんとかなぞっていくのが精一杯で進まず、半ばをすぎると今度は酸鼻な切ったり処刑だったりが続くため、これまた進まなくなる。
もともと歴史小説が苦手なのもあり、個人的には超大作として読んだのだが、慣れている人にはいつもの山田風太郎だな、位の文章だったのかもしれぬ。
話は戻って、幕末の天狗党事件という数百人数千人単位で獄死、処刑、家族郎党斬殺と、これ以上ないレベルの史実にある惨殺事件を描いたものであり、脚色されたものではないことを断っておく。読む前にWikipediaで調べておくべきであったな。
歴史者が苦手とはいえ、さすがに誰をどう見ればよいのかがわかってくる中盤以降は理解が早くなる。また、この手の話では男同士のぶつかり合いという部分は多くなるものの、市川の娘の登勢と、謎多き大人の女おゆんが男たちの足並みを乱したり、島崎藤村などがさらっと登場したりと、歴史と関係なく注意をひく話も含まれる。
また、作者自身が取材のために行軍ルートを進んでみた体験談が挟まれたり、普通に「チャンス」などのことばがいちびり無しで使われているのに気がつくと、ちょっとした親近感を覚える。
終盤ラストは気持ちの良い終わり方は全くしないし、人が人でなくなる様子を描いているというストーリーなので、読後感には期待しないこと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまた、やっちまった。
本書は、2024年5月16日付で講談社ノベルス1994年版で既読済みでした~。
今回、装丁違い(ノベルスではなく講談社文庫1998年版)だったのもあるが、わずか2年前に読んだものが、50ページ近くまで既読感はあれど確信が持てなかった状況に愕然。
とはいえ、文庫版では浅田次郎氏の巻末エッセイと「忍法帖ギャラリー」として歴代の表紙(1959年光文社、1963年&1967年&1972年&1994年講談社、1974年角川書店、1993年富士見書房)変遷が付録としてあったので、まぁいいか。
それにしても、講談社の力の入れようは尋常ではない。本書1998年版も2005年22刷と売れ行き好調のようです。
巻末【おことわり】には「せむし」「盲」「いざり」など現在差別用語に認定され使用禁止となっている言葉が頻出する点の説明(釈明)がありました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻に続いて読ませて頂きました。
魔界転生衆との戦いがほとんどを占めており、読んでいてとても楽しかったです。
ただ、私自身の理解能力や想像力の問題だとは思われますが、戦いが激しくなるにつれ、今どういう姿勢なのか、とかがイメージが追いつかないところなどがあり、ん?ってなりながら何度か読み直しつつ読んでおりました。
また、主人公の柳生十兵衛が強すぎて最後の最後までほとんど無傷に近く生還しているというのは少々出来すぎ感はあるかなとは思いました。
相打ち覚悟だとしてもほとんど怪我しているような描写すらないように思えたので流石に強すぎるとまとめて良いものかとも思ったので星4にしました。
ただ、言葉選びがとても綺麗でナレーションの部分に当たる部分などはわかりやすい言葉だったり綺麗な言い回しでとても惹かれました。
本をこれからも読んで色々慣れてきた頃にまた見返したりしてみようかと思います。 -
Posted by ブクログ
復讐を決意した謎の女、朱鷺に惚れ、ひょんなことから協力を申し出た風来坊、通称・六文銭の鉄。そんな二人に大久保長安率いる科学忍法を使うくノ一集団と、伊賀の手練れが襲いかかってくる中、前代未聞の逃避行と暗殺舞台劇の幕が上がる──。
まず主人公である六文銭の鉄がカッコいい。野生児のルパン三世のような3枚目キャラであり、動物的な反射神経と雄臭い絶倫の下半身で物事を片付けていく様は爽快感がある。とりあえず見つけたら敵の妾を犯しまくるインモラルな作風ではあるものの、敵のくノ一も色香を武器に挑んでくるわけで、山田風太郎世界観においては当たり前のように性技や交合すらも立派な戦いであり生存戦略の一つなのだ。
敵はモーニングスターや伸縮ロッドのはがね摩羅、7連発拳銃のリボルバーといった武器に始まり、果ては火炎放射器に硫酸といった科学忍法を使う異形異様の集団ながら、主人公の六文銭は基本的に素手かつ単独で戦うというバランス感覚が見事である。身体ポテンシャルの高さもさることながら、鹵獲した敵の武器を使って窮地を打開するなど、ありものと肉体で解決する様は非常に男らしく、加えて風体もふんどし一丁、時には全裸で戦うという裸一貫の男ぶりが魅力である。
そしてそんなくノーや忍者たちとの死闘は、変に長引くこともなく、武器や能力の相性、地形、出会い頭のシチュエーションによってあっさりと決着がつくことも多く、そこに実力差は関係がない。生き残りをかけた真剣勝負の世界では運不運の要素も大きく、たとえ強くても無様な死に様をする無情さこそが山田風太郎の美学であるとも思う。そして一見コミカルな冒険活劇ながら、主人公の謎が明らかになる後半でこそその余韻は尾を引いて残り、結末は一抹の寂寥感がある。冒険であり、異能力バトルであり、そして真っ当なロマンスだった。