山田風太郎のレビュー一覧
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昭和30年代後半、苦学生の鏑木はバイトで訪れた屋敷で社長令嬢と出会う。鏑木は特権階級への反抗の意思から、彼女に近づくのだが……
他の本や映画のalwaysではこの時代は貧しくても希望があった時代だとか、頑張ればそれが給料に反映された時代だとか、どこか希望的な側面で語られやすいのですが、この小説に出てくる登場人物たちは、将来への希望をなくしていたり、時代に疑問を持っていたりしています。
敗戦からおよそ10数年、復興や高度経済成長のイメージが強い時代ですが、その時代の暗部というか、語られにくいところを見事に描き切った作品だと思います。
中でも印象的だったのが鏑木が将来への希望を持てな -
Posted by ブクログ
うーん、すげえ。いややっぱすげえ。「何も言わなくても絵だけで凄い」漫画。『バジリスク』は徹底的にナレーションを廃してたけど、これはナレーションをも効果的に演出している感が。
ここにきて「わかりやすすぎる転生衆のビジュアル」が効果的になっている気がする。正直、転生衆と言っても生前最盛期の力+α程で、人間の物理的限界を超えるようなケレン味溢れる超能力を持っているわけではない。しかしあの「霧の中の魔軍」の迫力!正直、ケレン味が溢れすぎる物語にどっぷり使っている現代人には、(真面目な時代劇でも良いんですが)やはり絵的に派手なほうがいいと思うんですよ。原作だって、当時にしてみたらそれなりに無茶苦茶な話だ -
Posted by ブクログ
甲賀と伊賀に、互いに憎しみを抱く忍者の里在り。孫の竹千代と国千代のどちらを三代将軍の座につけるのか、迷いあぐねた徳川家康は、それぞれの一族から選ばせた十人づつを闘わせ、どちらが生き残るかによって後継者を決めようとする。折りしも甲賀と伊賀の棟梁の孫である弦之介と朧は、愛し合い、因縁を断ち切ろうとしていた。しかし運命に押し流されるように、血で血を洗う死闘が始まる。
次々と繰り広げられる奇想天外の忍法。なんじゃこりゃ、と思う間もなく、ストーリーに絡め取られて夢中になって読んでしまう。一種のSFだと思えば良いのかも知れない。読み物としてはかなり楽しめた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読む、忍法帖シリーズ以外の山風作品。
絶世の美女だけど恐ろしいほど嫉妬深く、あの手この手でライバルたちを葬っていく主人公・潘金蓮。
ただの毒婦かと思いきや、主への愛情は誰よりも深いし、度胸も愛嬌もあって、読むほどに魅力的になっていく。
読み終えた頃にはすっかり虜になって、殺されてもいいからこんな女に会ってみたい!と思ってしまった。
潘金蓮以外の女性もそれぞれが他人には負けないチャームポイントを一つずつ持ってて、色とりどりの愛憎劇が楽しめた。
その上、奇想天外なミステリー小説としても読めて、山風の懐の広さに脱帽。
是非他のミステリー作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ここまでに読んだ他の山風作品と較べると悲壮さ・卑猥さが減ってストレートな活劇ものになってる。
山風の本たちは作品上の関連性は描かれてないけど、
「甲賀忍法帖」で次期将軍に選ばれた家光と忍法勝負を提案した天海僧正はこの「柳生忍法帖」にも登場するし、
かたや跡目争いに敗れた忠長の顛末は「忍びの卍」で語られ、
更にこの本で堀一族の女たちの復讐を助けた十兵衛はその数年後に「魔界転生」で今度は自らの刀を振るうことになる、
そして彼の祖父が石舟斎の号を得た経緯は「伊賀忍法帖」で描かれる。
それらの繋がりを追っていくと一つの長大なサーガの一端を読んでる気分になって、増々山風ワールドに引き込まれていく。 -
Posted by ブクログ
かなりエロくて、悶々としながら読んだ。
これまでに読んだ「甲賀忍法帖」「魔界転生」に較べると登場人物はぐっと減ったけど、その分濃密なバトルと心理戦が読めて充実の一冊でした。
伊賀、甲賀、根来それぞれの忍者が使う術はどれも女の体を道具にした奇想天外で卑猥なもの。
その忍法合戦も面白かったけど、その裏に張り巡らされた権謀術数も読み応え充分。
本当の敵は一体誰なのか。
それぞれの忍者の行動に隠されていた真意が明かされるラストにはやられた。
どんなに超人的な技を身に着けても所詮は権力の道具として使い捨てられる、それでもそこにアイデンティティーを求めるしかない忍者たちの哀しい宿命が肌に感じられた。