山田風太郎のレビュー一覧

  • 十 ~忍法魔界転生~(1)

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    山田風太郎さんの『魔界転生』のコミカライズ版。

    『バジリスク』から『柳生忍法帳』、そして『山風短』を経て、
    満を持しての、せがわまさきさんの手による、です。

    第一巻となるこちらは、天草、田宮、武蔵、荒木、そして胤舜。
    冒頭の天草の転変ぶりからしてたまりませんでした。

    久々に原作も読み返してみよう、、うん。

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    2013年03月13日
  • 妖説太閤記(下)

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    山田風太郎 著「妖説太閤記(下)」を読みました。

     秀吉は、信長を葬り去り、お市の方を引き取った勝家を倒し、ついに天下をとる。お市の方の忘れ形見ちゃちゃ姫と交わるべく、男女の秘技を見せつける。そして、肉欲・殺戮・侵略などあらん限りの欲望をさらけ出すのだった。日本人の憧れの存在の裏の姿を作者独自の歴史観で描いた作品。

     上巻では、竹中半兵衛、黒田官兵衛の二人の軍師の力を借り、さまざまな知恵を振り絞って、目覚ましい出世を成し遂げていくなど、秀吉の明るく魅力的な部分がかなり描かれていたのに対し、下巻は、ついに天下を手に入れながらも欲望にとらわれてしまう悲しい運命の秀吉像が描かれています。

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    2013年01月27日
  • 風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11)

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    山田風太郎 著 「風来忍法帖」を読みました。

     豊臣の大軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い、北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。その麻也姫を守って、敵の忍者と命を賭けて戦う7人の香具師(やし)たち。

     この7人の香具師たちは、一癖も二癖もある一筋縄ではいかない荒くれどもで、はじめは麻也姫を襲うおうと姫に近づくのに、いつの間にか、命を賭けて姫を守るはめになってしまいます。

     ここら辺の展開がなんともうまく、さすが山田風太郎ここにありといった感じです。

     姫を守るため、敵の無敵の忍者にも、悪知恵を使いながら、命を落としてまで、立ち向かっていく様は、男の生き方として、憧れを感じて

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    2013年01月24日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    おもしろ~い!なのに最後のこのせつない余韻は何だろう。儚く散るしかなかった伊賀と甲賀両十人衆各々の思いか、 権力の道具として弄ばれる忍者の悲しみか。それぞれの忍法を駆使する討ち討たれの隙のない展開に溜め息。忍法帖の原点だなぁ。
    主役の朧と弦之介の影が薄いように感じたが、宿命に耐え忍ぶ二人の姿こそ忍者なのかも。

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    2022年07月15日
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    最後の武蔵の話が「おおぉ」と思いました.単に他の剣士と同じ流れで対決するのかと思いきや,そうきたかーという感じ.
    とにかくはちゃめちゃで面白いと思いました.

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    2012年12月16日
  • 太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    昭和30年代東京。
    苦学生ながらも容姿淡麗、頭脳明晰、可愛らしい恋人もいる鏑木明は、ひょんなことから富裕層の集まるパーティーに参加。そこから彼の人生の歯車が狂いだします。

    それまで平穏に過ごしていた明が、富裕層との格差に打ちのめされて野心を抱き、自分を失っていく様が滑稽でもあり恐ろしい。

    高度成長期を迎えようとしている日本で、しかし将来に希望を見いだせない戦後を生きる若者の苦悩を背景にした、恋愛小説でもあります。

    出来ればなんの前知識もなくいきなり作品世界に浸ってほしい小説です。
    山田風太郎という作家自身を知るのにも、彼の書く小説がどういうものなのか知るのにも良い1冊だと思います。
    読め

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    2014年04月30日
  • 叛旗兵

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    直江はあまり出てこないけど、これは直江の「叛」の話だと思う。

    秀吉側から家康方へ走った武将達は主変えの「叛」。慶次達上杉客将や真田幸村ら大阪方は反骨の「叛」。でも、直江は主の為に自分に背いた意味での「叛」。

    直江があまり出てこなかったのは、直江の「叛」を浮き上がらせるためではなかろうか。

    慶次達は直江を骨が抜けたと罵ったけれど、直江は主に叛かない為に自分に叛くことを決断したのであって、腑抜けた訳ではないと思った。

    でも、直江の決断は慶次達には受け入れられない。

    『くのいち紅騎兵』から繋げて見てしまっていたから、両者の対立が辛かった。

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    2012年11月29日
  • 魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    映画は映画で面白かったけど,原作はもっともっと面白いです.

    魔界転生とは忍法だったか~.やっと意味がわかったよ.

    この先もどうなるのか楽しみです.
    下巻も一気に読んでしまいそうです.

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    2012年11月23日
  • 明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    政治の安定しない混迷の明治期。
    日本がどのようにどこへ向かうのか手さぐり状態の「空白の時代」が舞台です。
    役人の不正などを取り締まる為に復古された警察機構「弾正台」に所属する香月経四郎と川路利良を中心とした連作ミステリとなっています。

    このコンビが奇怪な事件を次々と解決していくわけですが、その方法がおもしろい。香月を慕って来日したフランス人美女エスメラルダは、なんと修行の成果により死者を呼び出すことが出来、事件の度に被害者を呼び寄せては「自分は誰々にこんな風に殺された」と教えてくれるのです。推理もへったくれもありません。
    しかし各話のトリックは凝っています。歴史上の人物達がちらほらと登場した

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    2012年11月22日
  • バジリスク~甲賀忍法帖~(5)

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    原作は未読だけど面白い。全編通して退廃的な雰囲気がよかった。既に存在理由のない人たちが、その中でどう終息させていくのか。

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    2012年11月18日
  • 外道忍法帖

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    三つ巴ともいえよう作品。
    出てくる忍者の数は一番多いです。
    ちなみにそのうちのひとつは流派としては
    初めて聞いたかな。

    作品はまさに壮絶な鈴の争奪戦。
    だけれどもその中でやけに浮いている人が
    ひとりいませんか?
    その一人がすべての鍵なので
    その人を中心に物語を追いかけてくださいね。

    終盤にかけてのエログロはかなりきついです。
    でもそこで出てくる事実は分かる人には
    途中で分かってくるのでしょう。
    そう、違和感を覚えるはずだから。

    ある事実には驚くと思います。
    だからそういう意味なのね、とね。
    こじつけといかいわない。

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    2012年10月31日
  • 人間臨終図巻 1

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    死から逃れることは何人もできない
    突然の死、惨めな死、惜しまれての死。
    様々な最期が記されている。
    最期を知ることで、その人の人生を読んでいるような気持ちになる。

    この作品に出てこないが、私は次の言葉のような人生をおくりたいといつも思う。
    「あなたが生まれたとき周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。
    だから、あなたが死ぬときには、あなたが笑って周りの人が泣くような人生をおくりなさい。」

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    2012年10月28日
  • 幻燈辻馬車 上 山田風太郎ベストコレクション

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    明治ものも面白い!ちょんまげ姿の武士と、軍服をきた軍人が入り乱れる明治維新の頃は、考えてみれば、確かに混沌としてて、魑魅魍魎の世界かも。

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    2012年10月25日
  • 忍びの卍 山田風太郎ベストコレクション

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    徳川家光の治世。
    御公儀隠密として徳川家に仕える甲賀、伊賀、根来の三派を、最も優れた一派のみにまとめるという大老・土井大炊頭の命から、遠大なる物語が幕を開けます。

    大炊頭のとんでもない命令によって三派による忍法合戦、全面戦争が始まるかと思いましたが、三派それぞれを代表する三人の忍者が、査察人の前で忍術を披露するという事務的な幕開けでした。
    正直、査察の場面で披露された三人の忍術にはふ~んとしか思わなかったのですが、後に実戦や姦計で使われるとこれらの忍術の恐ろしさがどんどん分かっていき、同じ忍術が状況によってバリエーションを増やしていくのがおもしろいです。ただびっくりするような忍術というだけで

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    2015年07月21日
  • 信玄忍法帖

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    お、割とエログロ控えめな本。
    それが第一印象でしたね。
    確かに犯される、等の表現は出てはきますものの
    ほかの作品よりはきつさは控えめに思いました。

    おそらく純粋に忍者が関わらない
    場面もあるからそう映るのかもしれませんね。
    そして、そんな強敵たちを
    冷静に討ち取る真田の忍者…
    恐ろしいものです。

    この作品の最後はエログロとは
    比べ物にならないぐらい
    しんみりときました。

    おとなしいけれども読みやすいはずです。

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    2012年09月27日
  • 妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    中国四大奇書のひとつ「金瓶梅」を基にした連作短編ミステリー。
    怠惰で醜悪で妖艶な欲望渦巻く魅惑の世界で、ユニークなトリックが披露される良質な一冊です。

    探偵役が決まっているだけでなく、本作では犯人役も毎回同じ人物に決まっているのがおもしろい。
    同じ人物が事件のきっかけを作り、同じ立場の人間が被害者となり、同じ犯人が罪を犯し、同じ探偵役が真相を見抜くという展開の繰り返しですが、毎回凝ったトリックとエロティックな展開がおもしろく飽きやマンネリはありませんでした。

    最後は作者にまんまとしてやられて脱帽。

    【赤い靴】どろどろとした女たちの愛憎劇も楽しいですが、両足を切断された二人の死体、足フェチ

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    2012年08月30日
  • 柳生忍法帖 上 山田風太郎忍法帖(9)

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    ネタバレ

    山岡荘八の「柳生宗矩」という正真正銘正統派の後なので、破天荒な柳生が読みたくて山田風太郎を選択。

    忍法とあるけれど、印を結んでドロンは登場せず、せいぜい敵首領の銅伯が修法を使い、体を鉛のように変化させる程度。風船になって空を飛んだり、他人に化けるというような現実離れした忍法は登場しない。敵の7人はそれぞれ武器を手に真っ当に勝負を挑んでくる。
    対するは我らが十兵衛。
    ではなく、7人の女性。武家の妻や娘たちとは言え、武芸にはほど遠い彼女たちが、十兵衛の指南を受けて武術を体得し、復讐を遂げていく。

    十兵衛が手出しをしない、というルールを作ったのが秀逸。これで立ち会いはスポーツ化し、勝ち抜き戦の様

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    2012年08月26日
  • 江戸忍法帖

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    彼の著書にしては
    割とエログロのほうは控えめでしょう。
    それに今回は忍者が敵という構図です。
    主人公はその終われる側の家綱の落とし胤なのですから…

    とにかく相手となる甲賀七忍者は
    とてつもない技を繰り出します。
    そのために悠太郎の周辺人物は
    ほとんどやられてしまうのです。
    その腕の恐ろしさは言わずもがな。

    だけれどもその落とし胤もまた
    なかなかの手腕を持っています。
    ただし相手は不足なしの相手。
    何度も彼の片腕のお縫を危機に見舞わせることに
    なってしまいます…

    あまり派手な忍術は出てこないです。

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    2012年08月26日
  • 戦中派焼け跡日記

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    ほぼ同い年の時に、なんて厳しくてタフな次元で悩んでいるんだろう。
    「真に勝利者を信ずべきか否か。」
    「どちらがほんとうなのか?どちらもほんとうである。いや、ほんとうなのはこの「変化」そのものである。」
    「吾々が「だまされていた」ことを確認するなら、まだ問題は簡単である。しかし「だまされていた」ことさえも信じられないものを!」

    昭和21年の青年の深い困惑と懐疑を感じる。しかし、上の世代への怨みは感じない。プラカード事件への感想には、感じ入るばかり。

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    2012年08月02日
  • 妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

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    全部は読んでいないものの山田風太郎作品が好きで手に取った本。忍法シリーズが基準だったので文体が「普通」。でも、読み応えはありました。
    金瓶梅といえば中国の古典らしいですが、金蓮が悪女な一方、真っ当。むしろイッちゃってるのは西門慶。
    そして応伯爵が悲しい!!

    ざくざく人は死にますが、忍法ではなく、「嫉妬」というのが話としては好感が持てました。

    また、この本を知る大分前には【異説金瓶梅】という舞台を観まして、登場人物が役者さんたちのイメージで読めたのも、この本にのめり込んでしまった理由かと思います。

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    2012年07月21日