あらすじ
秀吉は、信長を葬り去り、お市の方を引きとった勝家を倒し、天下をとる。お市の方の忘れ形見・ちゃちゃ姫と交わるべく、男女の秘戯を見せつける。老醜の権カ者は、肉欲・殺戮・大増税・遠征などあらんかぎりの欲望をさらけだした――英雄の嘘と虚構性をあばき、正史の裏側から秀吉を描いた渾身の傑作長編!
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Posted by ブクログ
山田風太郎 著「妖説太閤記(下)」を読みました。
秀吉は、信長を葬り去り、お市の方を引き取った勝家を倒し、ついに天下をとる。お市の方の忘れ形見ちゃちゃ姫と交わるべく、男女の秘技を見せつける。そして、肉欲・殺戮・侵略などあらん限りの欲望をさらけ出すのだった。日本人の憧れの存在の裏の姿を作者独自の歴史観で描いた作品。
上巻では、竹中半兵衛、黒田官兵衛の二人の軍師の力を借り、さまざまな知恵を振り絞って、目覚ましい出世を成し遂げていくなど、秀吉の明るく魅力的な部分がかなり描かれていたのに対し、下巻は、ついに天下を手に入れながらも欲望にとらわれてしまう悲しい運命の秀吉像が描かれています。
しかし、その下巻の方が、秀吉に対する作者の思いが強く表れているように感じました。
欲望にとらわれてしまう真の秀吉像を見ようとせず、秀吉の魅力的な部分だけに憧れを感じる日本人の姿と、太平洋戦争への愚かな道を信じて突き進んでいった日本人の姿を重ね合わせているような描写がこの下巻から特に読み取ることができました。
一人の人間の生き方を通して、人の持つ力の可能性と同時に人の欲望の愚かさを考えさせてくれる作品でした。
Posted by ブクログ
市が欲しいがためにここまでやる秀吉に狂気を感じます。
しかしそれ以上にねねが怖いです。
終わり方はまさに人の一生が終わるがごとく終わります。
最後の茶々の叫びに救われた気がしました。