山田風太郎のレビュー一覧
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ネタバレ時代を超えてもその新しさは色褪せない。
甲賀も伊賀の精鋭たちが10対10で殺し合うという、少年漫画でよくみる設定だが、抜群におもしろい。古い本なのに、読むのが全く苦じゃない。時代物なんじゃないのと敬遠してる人はぜひ読んでみてほしい。
20人もの忍者が出てくるが、それぞれ独自の忍法があり個性も風貌も豊か。
この忍法はあの忍法には不利だけど、ほかの忍法に対しては強い、など相性があり、戦う組み合わせが考えられてる。
朧と弦之介の最期の終わり方も切なくて良い。
天膳はチートすぎ笑 好きじゃないが彼がいることで物語が格段におもしろくなってる。
個人的に好きなのは伊賀の小四郎かなあ。 -
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忍法帖ばりに異形の半端者たちが正義のために暴れまくるエログロ山田風太郎の真骨頂、そこに信仰と神の奇跡を絡めた勧善懲悪痛快アクションエログロキリスト教伝奇小説。十手使いの元与力、原胤昭は石川島牢獄の看守を辞めて子供の頃から知る美人姉妹と絵草紙屋を営なむ。彼を慕ってやって来る出所した者たちの相談に乗りながら十手片手に極悪な官憲に立ち向かう。しかし原は嵌められて獄中へ。更に恋するお夕さんは追い詰められて自死。命を狙われる原。原とお夕にかつて助けられた異形の悪党どもが命を賭けて敵を倒していく。彼らはお夕の最期に神を見たのだ。ラストの奇跡は神の御技か超常現象か。抜群に面白い!
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購入済み
面白い以外の感想出てこない
50年以上前にこんな設定、ストーリーが誕生してたかと思うと山田風太郎先生はすごいなぁ…って思う。
小説ではわかりにくい描写が絵になってわかりやすいと言うか絵の表現力がすごい!
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「かくて日本に不機嫌と不親切と不平とイヤミ充満す。」
「最低生活の確保」
これぞ国難を救う根本の問題だ。
怒りは湧いても何を信じてどうしろと言うのか…
自分の力ではままならないことに巻き込まれ、それでも生きていく日々を描く。今の世界、日本の状況と重なるという評価もあちこちで見受けたが、そうだと思う。
山田風太郎先生を存じ上げなかったが、飄々とユーモアや皮肉を交えながら訥々と語る様子がむしろどんなに辛くともそれが日常であるということを嫌というほど感じさせてくれる。日常から覗く戦争は、勉強してきたこととはまた違う表情を見せる。勝田さんの描く人々はとても魅力的で、少ない線で表情がありありと -
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深い洞察力で見つめた昭和20年の1年間。後に作家となる医学生の日記は貴重な一次資料。
歴史は後世により書き変えられていくことがある。学校で習いドラマなんかに出てくる戦前、戦中の日本。まるで8月15日を革命が起きたかのような歴史観は全く違ったことが本書から良く分かる。
日本国民は政府や軍閥に騙されていたわけでもなく、自らの意思で戦争に協力している。日本の勝利を狂信的に信じるところはあるが、ことのほか情報も伝えられている。原子爆弾、ジェット戦闘機などウワサではあっても一般人に伝わっていることが分かる。
昭和20年という一年間。作品化を前提としていない、装飾のない記録だけに貴重であろう。
現 -
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戦後から見た戦前の暗い抑圧された時代とは異なる現代と大きくは変わらない日常。戦争に巻き込まれる庶民、現代にもあり得ることを教えてくれる、戦中の貴重な一次資料。
昭和17年11月25日から昭和19年12月31日まで。筆者20歳から22歳の日記。
家を飛び出した天涯孤独の青年。軍需工場で働きながら大学医科を目指す。
物資が不足して高騰し長距離切符も手に入らないが、さほど庶民感情というか生活は変わらない。戦時中ではあっても熱狂はなく淡々と暮らす。少しづつ戦局は悪化していきついにB 29により東京が空襲される。だがまだ終戦前昭和20年に起こる悲劇を誰も知らない。
もともと出版を考えることのない、作 -
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ネタバレ山田風太郎の送る忍法活劇帖。家康の跡目争いに巻き込まれた伊賀と甲賀。一癖も二癖もある忍者たちが、己が才能を賭けてぶつかり合う! 秀逸なのはやはり戦闘描写だろう。能力こそ、今の時代から見れば目新しいものはないが、それも当然で、これがほぼ元祖のようなものだからである。まさに奇想といって差し支えない能力であり、その異形異様さと相まって頁を繰る手が止まらなくなる。白眉なのは戦闘のリアリズムであり、不意打ち騙しうち上等で、能力の相性に運否天賦が掛け合わさり、勝負はほぼ一瞬で決まる。そこには引き伸ばしのようなダラダラした戦闘はなく、またお互いの能力の品評会のような闘いでもない。そこにあるのはまさに命のやり
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10年ぶりくらいに再読。北海道の樺戸監獄の初代典獄で月形潔の話を聞く機会があり、なんかひっかかるなあと思ったら、樺戸監獄がこの作品の「地の果ての獄」の舞台だった。ちょうど月形潔が辞めた翌年から話が始まるんだな。山田風太郎の明治物には珍しく、救いがあるラスト。「大奇跡」って、章のタイトルがすばらしいよね。そもそも、明治時代の北海道の監獄という舞台が救いがないからかもしれない。収監者への苛烈な扱いの描写は、暗澹たる気持ちになる。しかし、「愛の典獄」と呼ばれた有馬四郎助が実在の人物なのはおどろいたな。この人物のことを知って欲しくて、山田風太郎はこの作品を書いたんだろうね。
あと、ストーリーの鍵のひと