織守きょうやのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有栖川有栖、デビュー35周年記念トリビュート。
まず、こんなトリビュートが出来てしまうということ自体、驚き。すごい作家さんなのだと再認識した。
江戸川乱歩トリビュート、とかだったら分かるけれど、まだ生きている人で、現役活動中です。
トリビュートが成立するのはやはり、キャラクター的に完成された、そして知名度の高い、お馴染みの登場人物たちがいるからなのでしょう。
火村英生やアリスの、あんな、そんな、こんな、の性癖が再現され過ぎである。
【縄、綱、ロープ】 青崎有吾(あおさき ゆうご)
成り済まし度が半端ない。火村とアリスのいつもの会話から船曳警部の腹の出具合まで。
何より、オチの一言が素晴らしい。
縄、綱、ロープ・・・四番目に。
【クローズド・クローズ】 一穂ミチ(いちほ みち)
アリスと火村の会話に出てきた「朝井さん」って、朝井リョウ氏?
なるほど、作家アリスは、こういう女子高生の心理的あれこれは書かないかもしれない。
【火村英生に捧げる怪談】 織守きょうや(おりがみ きょうや)
ホラーを中心に活動しているという認識のあった作家さん。
確かに、火村にかかっては「怪奇現象」も必ず答えのある謎解き。しかし、ついに「私はお役に立てそうにありません」という答えを引っ張り出す。
【ブラックミラー】 白井智之(しらい ともゆき)
小説家志望のサラリーマンが、まんまと「真顔で的外れな浅知恵を披露してくる相棒がいないとものを考えられない」体質の、火村の推理の相棒に使われる。
【有栖川有栖嫌いの謎】 夕木春央(ゆうき はるお)
新人ミステリ作家の「私」が編集者とともに取材に行った岡山近辺の町が舞台。
有栖川有栖の本が、こんな使われ方をするなんて!!!
私も、「学生アリスの長編五作目」は待ち望んでいます。
【山伏地蔵坊の狼狽】 阿津川辰海(あつかわ たつみ)
地蔵坊のシリーズは読んでいないです、すみません。読まなくては!
【型取られた死体は語る】 今村昌弘(いまむら まさひろ)
江神二郎シリーズから貴重な一本!
推理研の五人のやり取りが楽しいが、先輩三人の卒業を目の前に控えていることを思うと、楽しいことはいつかは終わる、みたいな寂しさも感じる。
・・・と、気付かされた謎解きでもあった。
さすがはトリを飾る作品、こちらも成り済まし度が高し。 -
Posted by ブクログ
百合、とかそんな言葉で括れない。
でもそんな括りの言葉で興味を惹かれて手に取る人が増えるといいなと思った。
人を好きになる。
誰かに恋をする、それってこんなことだ。
そんな恋の一番始まりのキラキラした大切なところを思い出させてくれる小説だ。
理窟でもなく理念でもなく、ただ「明日もいっしょに帰りたい」と思うこと。
学校の帰り道、二人で並んで、こぶし一個分くらいの絶妙に微妙な距離で歩く、ただそれだけが嬉しかったあの頃の気持ち。
「一緒に帰ろう」が、いつの間にか、
「一緒のところに帰ろう」に育っていって、伴侶になる。
性別が優先順位の上位でなければ承服できない人もいるだろうけど、
そうではない関係で繋がる伴侶も、自然の成り行きだなと感じさせてくれた。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
読むのを楽しみにしてた。好きな書き手の人が私が好きな料理をつくることをテーマにアンソロジーって…!
いやー、どれもおもしろかった。ほんとに。さすがでございます…
西條奈加さんの『向日葵の少女』は舞台設定で上品が雰囲気が漂いながらもミステリーっぽい話の進み具合で、大きなテーマを複数かけあわせてまとまったひとつの話にできるのすごすぎるし結末には心があたたかくなった
千早茜さんの『白い食卓』は主人公がいけ好かないやつすぎるのだけど話が進んでいくごとに料理の恐ろしさというか、食事を他者に委ねることってそういうことだよなあ…生きるための手段のひとつを他者へ委ねるというのは尊いとされたり愛情の証左とされたりもするけれど、それは反転させるとどういうことなんだろうね?と冷たいナイフみたいな展開だった。世にも奇妙な物語で見たい
深緑野分さんのはNetflixとかで短編ドラマにしてほしい感じ。ちょっとファンタジーな設定と描写が海外ドラマぽかったしデイジーなすごいかわいくて胸がきゅんとした。その後とかないんですか?続きを読みたいんですが…?
秋永真琴さんの『冷蔵庫で待ってる』は北海道の大学生の女の子の話なんだけど、大学生のときの恋愛ってこういうところがあるよなあ、拙くてでも熱量だけはすごくあって、相手に求められたいということは実は何より相手を求めていて、恋愛感情と承認欲求もごちゃごちゃになりがちで…。自分の楽しみのために料理をするというのは自分が食べたいもの、シグナルをちゃんとキャッチしなければいけないわけである種の自己分析とも通じるところもあって、主人公が自己理解を深めてささやかながらも主体的な選択をしたところがすごいよかったし、ビールと料理の描写がよすぎて出てきたビール会社は何かしら広報のお礼をする必要があるんでは?ぐらいだったな。ちなみにこの話を読んだあとチヂミを作りました
織守きょうやさんのこの曇天っぽい空気が満ちた小説ってほんといいよな…。マジで…。話が進むにつれてある秘密が明らかになるのだけど、ほんとに誰にも苦しさを言えないときってああいう選択肢になっちゃうし、料理を作ることに愛情を込めたとしても伝わらないとかやるせないことになったりもして
どうにもならない苦しみをとりあえず持ち帰ってどうにかしていこうというささやかな希望もあるのが最終的にやさしくていいなと思った
越谷オサムさんの『夏のキッチン』越谷さんの文章ってほんとにリズミカルで登場人物が愛くるしくていい。とあることをきっかけに不登校になった来年中学生になる男の子の振る舞いを書くのがうますぎるし、出不精な自分はコンビニに行くか悩むところでめちゃめちゃ共感した。越谷オサムさん『ひだまりの彼女』もそうだけどあったかくて笑えて一匙の切なさと寂しさを加えた話が抜群にうまい…ほんとすごい…
うう、どのお話もすっごいおもしろかったし同一テーマでこれだけ全然違う話が集まるんだから作家ってのはすごい…
自分だったら料理をテーマに何を書くかなあと思ったけど、コンビニや外食で店員さんとちょっとした会話すらしたくない消極的料理の話になるかな…