長野まゆみのレビュー一覧

  • 新世界〈1st〉

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    長野さんのゴリゴリのSFで、ダークな世界観が好きです。
    粗野と品が同居するキャラや、記憶か人格を無くしたかでよく分かってないキャラがいるのもいつもの。
    P.U.S.を発症すると超肥満体になる、これまでで最も醜いかも。身体を切り売りしたり。
    黒長野、好きです。

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    2021年01月19日
  • 鉱石倶楽部

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    綺麗。鉱石の写真もお話も。
    鉱石を食べ物や他のものに例えてお話作られてるのも素敵。砂糖菓子屋のところもいい。

    「きょうこれからの、まだ誰も知らない一日のほうがきっと価値がある」

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    2020年09月21日
  • 冥途あり

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    うわーやっと読み終わった。4か月くらいかかった。次男が産まれたばっかりで眠たい毎日の中で読むのはしんどかった。冥途あり、ほんのり戦争ものやとは思わなんだ。8月9日に読み終わるべきものやったのかなーと思いながら10日に冥途ありを読み終わった。
    続きのまるせい湯は面白かったのでさっと読めた。不思議なことや怪異が身近にあった時代から、戦後の慌ただしさの中でそーいうものが遠のいていく境目な頃のお話で(双子のホラ話だとしても)面白かった。眠たくても読めたよ。
    地理的な描写は分かりにくいとこが多かった。

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    2020年08月16日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    今の私にはかなり興味深く読み進むことができましたが、タイトルから長野さんの昔の作風をイメージして読むと、当てが外れるかもしれません。

    以下9頁から引用
    「現実と虚構の区別もできない、あるいはしない、このような種族がそこらじゅうにいて、多くは病の自覚もないままに日常を過ごしている。」

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    2020年07月25日
  • サマー・キャンプ

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    好きです「黒長野」。
    BLですがそれだけではなくSFでもあり。
    性別があやふやで、でも男とか女とかは大事なことではなくてその人がその人であることの方が…というようなことを思いました。
    性染色体がYYか…という世界ですが(XXYの症候群は実在するのですね)、不燃ゴミの白い羽が舞う夢の島、素敵。

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    2020年05月27日
  • 夏帽子

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    再読。
    臨時の理科教師として各地を赴任していく紺野先生と生徒たちとの交流や不思議な体験が淡々と描かれる。
    印象的なのは、四季折々の美しい叙景。雨の初秋の山歩きや海辺の町の秋の夕暮れと星空、山間の村の冬の青空、寝台列車の春の宵、渓谷の斜面にそって建つ宿の夏…どれもその場に居合わせているかのような風光明媚な映像が鮮明に脳裏に広がって、清涼な気持ちでゆったりした時間にしばし身を委ねた。
    一期一会で忘れられない教えを受ける生徒たちも羨ましいが、様々な土地が見せる眩い情景を心にしまっていく紺野先生が羨ましくて仕方ない。

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    2020年05月09日
  • ぼくはこうして大人になる

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    冷めやらぬ長野まゆみ熱のなか、またお気に入りの一冊に出会ってしまった。長野さんの描く青年たちは、その時期(中高生)特有の生々しさを含みながらも、どこか幻想的で理想をすべてかなえてくれているような特徴をはらんでいる。解説で宮本あや子さんが書いているが、決して「共感できた!」というようなエゴイスティックな感想は生まれず、いつまでも眺めていたい、鑑賞者でいたいと思うような一歩引いた楽しさがある。

    主人公の印貝一はクラスの優等生を演じながらも、他人には言えない秘密を抱えている。彼はそれをうまく隠し通せていたはずだったが、転校生の七月が現れてから彼の立場が揺らぎ始める。例にもれず、今回の登場人物たちも

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    2020年03月25日
  • レモンタルト

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    長野さんの作品だから覚悟はしていたけれど、やはり表題通り単純なかわいいお話ではない。確かに主人公の義兄に対する感情は甘酸っぱいが、それ以外の部分が思いのほかぶっ飛んでいる。最初はその衝撃が「おいおい…」という感じでドン引いてしまうが、長野さんの言葉選びや案外冷静な主人公にすらすらと物語が入ってくる。そのギャップが不思議で、どこか心地いい。
    亡くなった姉の夫(作品内では義兄と呼ばれている)と暮らす弟は、彼に恋愛感情を抱いている。それは義兄に明かされることはないし、関係が発展することはない。しかし一つ屋根の下に暮らすその環境がなにも発展しない関係性と反比例してもどかしく、読者を悶々とさせる。そして

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    2020年03月14日
  • 新世界〈5th〉

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    ネタバレ

    1〜5までの感想。
    何十年ぶりかで再読。メモしながら読んで、なんとなーく理解した。かも。
    以前読んだのは単行本だったので、文庫のあとがきに、植物の性別シフトの擬人化、と書いてあって少し納得…。ちょっと読み方が変わる…

    人格も入れ替わり、記憶にも意味がなくて、なんのために生きているのかよくわからない。そんな中で、なぜかソレンセンを敬慕し続けるシュイがつらい。あれはもう、最初に出会ってしまったから…みたいなことなのか??

    「生きていた何の形跡も遺さずに消滅したい」というシュイの希みは、昔読んだときには激しく同意したし甘美なものに思えた。今もできることならそうしたいと思う。
    でも、テレビジョン・

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    2020年03月02日
  • 45° ここだけの話

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    ネタバレ

    最近の長野まゆみ、作風が変わってきてるけどこれめちゃくちゃ面白いやないか。今までは何となくクセが強くてお勧めとかしたことなかったけど、これなら人にも勧められる気がする。

    ストンとおちてたり、いろんな人が出てきたり、不思議なことがあったりっていうのは江戸川乱歩とか夢野久作ぽい感じがするようなせんような…モチーフが似とるんやろなあ。
    おちてない話もあるし、ややこしくなっただけの話もあるし、おちるとこそこかい!て突っ込みたくなる話もあるけどどれも面白いよ。
    双子とか、異性装とか、多重人格とか、そういうのが出てくるのよ。めっちゃ面白いやろ。
    あとWCの冒頭はわろた。

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    2020年02月12日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 上海少年

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    面白かったです。
    長野作品には珍しく、女の子が深く関わってくるお話たちでした。
    でもやっぱり、少年が冷たくて良いです。
    時代設定が明確にされているところも好きです。二・二六事件とか。それでも長野さんの世界なので素敵でした。
    「雪鹿子」「上海少年」「幕間」が特に好きでした。

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    2020年01月29日
  • 魚たちの離宮

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    市郎は、病気がちな友人・夏宿の見舞いに訪れる。夏宿に懐く彼の弟・弥彦や謎めいたピアノ教師。古びた屋敷を舞台に、少年たちはたった4日間を共に過ごす。

    謎は多く残るが、美しい描写に心奪われる作品。

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    2020年01月17日
  • 行ってみたいな、童話の国

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    面白かったです。黒長野。
    長野作品はこういう毒々しい世界も良いです、毒々しくて艶やかな童話でした。
    痛みと淫靡さと…こちらも浸りました。

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    2020年01月15日
  • 箪笥のなか

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    ネタバレ

    不思議なものたちが引き寄せられてくる古い箪笥を譲り受けたことから始まる連作短編集。‬

    ‪ぽつりぽつりと呟く日記を読んでいるようで心地よいリズムだった。‬
    ‪この世のものでない存在も面白かったけれど、昔からのものを大事にする穏やかさや、新しいものや分からないことを否定しない人間性がよかった。さまざまなものと共存していると気づかされる。こういうしなやかさを私も持ちたい。

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    2020年01月12日
  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

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    銀河鉄道のもう一つの物語とでもいうべきか。カムパネルラ視点の銀河鉄道。

    要所要所に出てくる中原もいい味を出している。

    ジョバンニが戻った後のことも、本当にそうならばいいなぁと。

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    2020年01月06日
  • テレヴィジョン・シティ

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    上下巻が1冊になった復刊も登録します。
    内容は変わらずなので解説のみ読みました。
    長野まゆみさんによると、「少年」とは「性別分化前の存在」だそうです。
    初期の少年はこの感じがします。好きです。

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    2019年12月28日
  • メルカトル

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    ネタバレ

    単行本が出たての頃に読んでたんだけど、主人公の名前くらいしか記憶になかったので文庫買って再読しました。

    長野まゆみでよくある控え目で慎ましく生きてるだけなのに周りに振り回されとる系のやつなんやけど、いい部屋ありますだっけ?と同じで、きちんと結末があってすっきり読み終われた。
    でも主人公以外の登場人物、なんでぜんぶぜんぶそっち方面に繋げようとするんやろ?これはされる側からしたらそーとーイライラするやつやで。まあ主人公も結局はムッツリっぽかったけど

    表紙は単行本のがおしゃれやなあと最初は思ったけど、これはこれで可愛い。

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    2019年12月20日
  • 遊覧旅行

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    面白かったです。
    旅に出たい…ここ数年、九州から出ていないので、京都・大阪・神戸、行きたくなりました。
    こんな不思議な旅は出来ないでしょうけど。羨ましいです。
    前半の「遊覧」は実際の都市を舞台にした不思議な世界でしたが、後半の「逍遙」は架空の世界が舞台で、こちらも良かったです。

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    2019年12月15日
  • 夏至祭

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    長野まゆみさんの中編ファンタジー小説の佳品です。主人公の青年・月彦と母と祖母、近く取り壊される予定の空き家に住む二人の美少年、甘い食べ物が大好物の黒蜜糖と厳格な性格の銀色。祖父の形見の羅針盤付きの何故か夏になると止まる時計、夏至祭、路面電車、ストーリーはごく単純で短くあっさりとした話ですが、細部の情景がイマジネーションを刺激して鮮やかに脳裏に浮かび、ラストの優しく心に沁みるような真相が読後永遠に記憶に刻まれそうな気がしましたね。棠梨(ずみ)、睛(め・ひとみ)、楊桃(やまもも)等々の漢字も風情がありますね。

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    2019年12月15日