長野まゆみのレビュー一覧
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冷めやらぬ長野まゆみ熱のなか、またお気に入りの一冊に出会ってしまった。長野さんの描く青年たちは、その時期(中高生)特有の生々しさを含みながらも、どこか幻想的で理想をすべてかなえてくれているような特徴をはらんでいる。解説で宮本あや子さんが書いているが、決して「共感できた!」というようなエゴイスティックな感想は生まれず、いつまでも眺めていたい、鑑賞者でいたいと思うような一歩引いた楽しさがある。
主人公の印貝一はクラスの優等生を演じながらも、他人には言えない秘密を抱えている。彼はそれをうまく隠し通せていたはずだったが、転校生の七月が現れてから彼の立場が揺らぎ始める。例にもれず、今回の登場人物たちも -
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長野さんの作品だから覚悟はしていたけれど、やはり表題通り単純なかわいいお話ではない。確かに主人公の義兄に対する感情は甘酸っぱいが、それ以外の部分が思いのほかぶっ飛んでいる。最初はその衝撃が「おいおい…」という感じでドン引いてしまうが、長野さんの言葉選びや案外冷静な主人公にすらすらと物語が入ってくる。そのギャップが不思議で、どこか心地いい。
亡くなった姉の夫(作品内では義兄と呼ばれている)と暮らす弟は、彼に恋愛感情を抱いている。それは義兄に明かされることはないし、関係が発展することはない。しかし一つ屋根の下に暮らすその環境がなにも発展しない関係性と反比例してもどかしく、読者を悶々とさせる。そして -
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ネタバレ1〜5までの感想。
何十年ぶりかで再読。メモしながら読んで、なんとなーく理解した。かも。
以前読んだのは単行本だったので、文庫のあとがきに、植物の性別シフトの擬人化、と書いてあって少し納得…。ちょっと読み方が変わる…
人格も入れ替わり、記憶にも意味がなくて、なんのために生きているのかよくわからない。そんな中で、なぜかソレンセンを敬慕し続けるシュイがつらい。あれはもう、最初に出会ってしまったから…みたいなことなのか??
「生きていた何の形跡も遺さずに消滅したい」というシュイの希みは、昔読んだときには激しく同意したし甘美なものに思えた。今もできることならそうしたいと思う。
でも、テレビジョン・ -
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ネタバレ最近の長野まゆみ、作風が変わってきてるけどこれめちゃくちゃ面白いやないか。今までは何となくクセが強くてお勧めとかしたことなかったけど、これなら人にも勧められる気がする。
ストンとおちてたり、いろんな人が出てきたり、不思議なことがあったりっていうのは江戸川乱歩とか夢野久作ぽい感じがするようなせんような…モチーフが似とるんやろなあ。
おちてない話もあるし、ややこしくなっただけの話もあるし、おちるとこそこかい!て突っ込みたくなる話もあるけどどれも面白いよ。
双子とか、異性装とか、多重人格とか、そういうのが出てくるのよ。めっちゃ面白いやろ。
あとWCの冒頭はわろた。 -