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川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだった──と信じていた。亡くなってから父の意外な横顔に触れた娘の家族のルーツを巡る旅が始まる。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。第43回泉鏡花賞、第68回野間文芸賞受賞作。
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Posted by ブクログ
む、むずかしかった〜。小気味がよくてすごく面白いんだけど、なかなかサクサクとは読め進められず。結局ゆっくり1ヶ月かけて読み終えた。 てくてくと河岸を歩いて、あっちの時代、こっちの時代、汽車や車や船に乗り換えて、いろんな場所に連れて行ってくれる小説だった。 終わり方はあっけなく面食らってしまったけど、...続きを読むあの双子のことだからこんな終わり方も悪くないかなと思った。 ふと何年か後に思い出すようなエピソードや表現がたくさんあって、またすこし人生が豊かになった気分。 祖母の指にはめられた紫水晶。 菓子袋の音に騒ぐ母の小鳥。 砂浜にきらきらと光の反射を落とす父の背中のガラス。
うわーやっと読み終わった。4か月くらいかかった。次男が産まれたばっかりで眠たい毎日の中で読むのはしんどかった。冥途あり、ほんのり戦争ものやとは思わなんだ。8月9日に読み終わるべきものやったのかなーと思いながら10日に冥途ありを読み終わった。 続きのまるせい湯は面白かったのでさっと読めた。不思議なこと...続きを読むや怪異が身近にあった時代から、戦後の慌ただしさの中でそーいうものが遠のいていく境目な頃のお話で(双子のホラ話だとしても)面白かった。眠たくても読めたよ。 地理的な描写は分かりにくいとこが多かった。
「わたし」が知らない情報さえも取り込んで、自在な現在形のわたし語りとして綴られていく(解説より抜粋)。この効果により、過去と現在の境目がなくなってどこにいるのかわからなくなった。不思議な読後感を与えてくれる作品。
散文調が心地よい。現実、幻が混ざり合い、私小説のようなフィクションのような歴史小説のような。戦争、そして広島の話が出てきて驚き、親近感を覚える。
父親の生涯を親族との会話などから探し、追って、隠していた事実を知る家族の話。 エッセイ風に進むので、てっきりエッセイかと思ったら物語だったようです。 著者の実体験も参考にした物語です。
長野まゆみさんの作品、初期よりも後期のほうがすっかり好みになってしまいました。 こちらもしみじみよかった。 戦中戦後の家族の記憶は現実と幻想が入り交じって、長野ワールドのきらめきや爽やかさと、戦争の仄暗さが同居してました。 風景描写、生きている時代も居住区域からも知らない風景の筈なのに目に浮かぶよ...続きを読むうな鮮やかさです。 あまりの「思い出話」ぽさに何度も、私小説かな?と思い、いや長野さんのご兄弟はお兄さんでなく妹さんだったはず…と我に返りました。 「八月六日上々天氣」もだったけど、淡々としているほうが胸に迫るものがあります。かといって深刻じゃないからすごい
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