長野まゆみのレビュー一覧
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冷めやらぬ長野まゆみ熱のなか、またお気に入りの一冊に出会ってしまった。長野さんの描く青年たちは、その時期(中高生)特有の生々しさを含みながらも、どこか幻想的で理想をすべてかなえてくれているような特徴をはらんでいる。解説で宮本あや子さんが書いているが、決して「共感できた!」というようなエゴイスティックな感想は生まれず、いつまでも眺めていたい、鑑賞者でいたいと思うような一歩引いた楽しさがある。
主人公の印貝一はクラスの優等生を演じながらも、他人には言えない秘密を抱えている。彼はそれをうまく隠し通せていたはずだったが、転校生の七月が現れてから彼の立場が揺らぎ始める。例にもれず、今回の登場人物たちも複雑な家庭事情を抱えており、自分の立場に葛藤しながらも居場所を探し得る。10も歳が離れた双子の姉弟である百(もも)と十(みつる)に振り回されながら、確かに愛情も受け取っている。
長野さんの作品の登場人物たちは、行動こそときにはぶっ飛んではいるが、根っこに優しさがあるという妙な安心感がある。だからこそ(宮本あや子さんが呼んでいたように)きれいなジャイアン的なポジションである健がいわゆるいじめっ子のような行動をしていても、どこか憎めないところがある。それにある時期まで一を女であると思い込ませていた勝手気ままな双子の姉弟にも、好感をおぼえてしまう。 -
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長野さんの作品だから覚悟はしていたけれど、やはり表題通り単純なかわいいお話ではない。確かに主人公の義兄に対する感情は甘酸っぱいが、それ以外の部分が思いのほかぶっ飛んでいる。最初はその衝撃が「おいおい…」という感じでドン引いてしまうが、長野さんの言葉選びや案外冷静な主人公にすらすらと物語が入ってくる。そのギャップが不思議で、どこか心地いい。
亡くなった姉の夫(作品内では義兄と呼ばれている)と暮らす弟は、彼に恋愛感情を抱いている。それは義兄に明かされることはないし、関係が発展することはない。しかし一つ屋根の下に暮らすその環境がなにも発展しない関係性と反比例してもどかしく、読者を悶々とさせる。そして各短編の中で弟は誰かしら男性との関係を描かれる。上司Yや同期Mなど、詳しい名前は途中になってからしか判明しないが、その人物像は詳細に描かれていて、解りやすいのが面白い。他の男に組み敷かれても、弟は冷静に振る舞い、むしろ義兄との関係を縮めることはできないことの方が心中を占めている。しかし義兄はいつまでも義兄で、姉の夫なのだ。そして義兄と姉の思い出のレモンタルトが、彼の甘酸っぱい感情と絶対に埋まらない距離を象徴していて切なさを一層濃縮させる。 -
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ネタバレ1〜5までの感想。
何十年ぶりかで再読。メモしながら読んで、なんとなーく理解した。かも。
以前読んだのは単行本だったので、文庫のあとがきに、植物の性別シフトの擬人化、と書いてあって少し納得…。ちょっと読み方が変わる…
人格も入れ替わり、記憶にも意味がなくて、なんのために生きているのかよくわからない。そんな中で、なぜかソレンセンを敬慕し続けるシュイがつらい。あれはもう、最初に出会ってしまったから…みたいなことなのか??
「生きていた何の形跡も遺さずに消滅したい」というシュイの希みは、昔読んだときには激しく同意したし甘美なものに思えた。今もできることならそうしたいと思う。
でも、テレビジョン・シティとはまた違ったラストで、これは救いなのか?シュイの希みは叶ったような?どうなんだろう…
今もむかしも好きなのはレト。けなげ…
そして今読むと、エヴァがなんだか愛しく思える。 -
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ネタバレ最近の長野まゆみ、作風が変わってきてるけどこれめちゃくちゃ面白いやないか。今までは何となくクセが強くてお勧めとかしたことなかったけど、これなら人にも勧められる気がする。
ストンとおちてたり、いろんな人が出てきたり、不思議なことがあったりっていうのは江戸川乱歩とか夢野久作ぽい感じがするようなせんような…モチーフが似とるんやろなあ。
おちてない話もあるし、ややこしくなっただけの話もあるし、おちるとこそこかい!て突っ込みたくなる話もあるけどどれも面白いよ。
双子とか、異性装とか、多重人格とか、そういうのが出てくるのよ。めっちゃ面白いやろ。
あとWCの冒頭はわろた。 -
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面白かったです。
少年たちの日々と世界が、学級日誌を通して描かれています。
学校ともだちとの生活のなかで悩みながらも成長していく少年たちが眩しい。
そして言葉の端々から浮かび上がってくる、破壊されつつある世界。紫外線の影響で夏期は外出規制があり、普段の外出もままならない。5年後には『選抜』という制度もある…。食料などにも問題があるようです。仄かなディストピア感、好きです。
担任のオヅ先生が素晴らしいです。厳しくも優しい、理想的な先生だなぁ。
「きょう解決できないことがあっても、あしたはうまくゆくかもしれません。そう考えるようにいたしましょう」 -
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面白かったです。短編集。
「綺羅星波止場」「レダの卵」「月夜の散歩」「銀色と黒蜜糖」が特に好きでした。
表題作は、三日月パン(パンの字が出せない…)が美味しそうなのと、熱くないほのをを立ち上らせる碧い石がなんなのか気になりました。素敵。
「レダの卵」は、大人の女性二人組が主役というのが珍しかったです。酒店とか的士、香港…?と思いました。
「月夜の散歩」は詩のようでした。
「銀色と黒蜜糖」はふたりがとても冷酷で良いです。影を壊した銀色が、月彦を柘榴石にしてその紅玉の粉末を飲んで元に戻るために、黒蜜糖と共に月彦を夢の中でつけ狙うのですが、月彦が彼らに囚われているのか、それとも銀色と黒蜜糖が月彦の夢に囚われているのか…翻弄されました。「野ばら」や「夏至祭」より原始的らしいです…初めはこんなお話だったのか。。