【感想・ネタバレ】天体議会 プラネット・ブルーのレビュー

あらすじ

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水蓮との友情。兄との確執。自動人形と噂される謎の少年との不思議な出会い。そして少年たちをのせた船は、南へと出航したのか。兄を想う少年・銅貨をめぐって、星の少年たちの孤独を描いた、長野まゆみの"星の王子さま"。

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Posted by ブクログ

再読。

✦黄石英(シトリン)
✦白磁(ビスク)
✦水先案内(カノープス)
✦万華鏡(カレイド・スコープ)
…言葉の一つ一つがきらきらと輝いていて鉱石倶楽部のお菓子や鉱石は、その原石の輝きや香りまでもが伝わってくるような気さえしました。

些細な事で喧嘩をしてしまった銅貨と水蓮が仲直りをする場面と、銅貨が兄の藍生と展望室へ昇る場面がとても印象的。

度々2人の前に現れる謎の美少年…“自動人形”と噂されていたけれど、“自動人形”と疑っていた水蓮も目の中に石が入っていたり、何日も食事をしなくても平気だったり…案外、水蓮も自動人形だったりして…
……そう思わせる程浮世離れした存在というのも彼の魅力の一つですね。

ライカという名前の煙草。
調べてみると、実際に存在していたらしく、パッケージの画像を見て私も一目惚れしてしまいました…。もう手に入らない代物なのが惜しいです。

作中で、銅貨と水蓮が天体議会の招集でロケットや星座の観測をしているのをみて、私も今冬は地元のプラネタリウムに友だちを誘って、一緒に星を観ようと思いました!

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2015年12月07日

Posted by ブクログ

あまりにも少年たちの関係が危うげで、途中何度も頁をめくる手を止めてしまった。

銅貨は気づいていないが、恐らく誰よりも愛されているのが銅貨本人である。
水蓮と藍生の間に漂う親密さも、元はといえば銅貨という存在に根ざしているのではないか。

銅貨と水蓮の仲直りのシーンは、長野作品の中でも指折りの名場面だ。
この先きっと、これを超える『仲直り』と出逢うことはないだろう。
続く少年たちの糖菓の交換は、思わず見ているこちらが照れてしまう。

今回は再読で、初読は中学生の頃だった。
あのときは終わり方に寂しさを感じたものだったが、今はそうは思わない。
……それにしても藍生さんの不器用さと捻くれ具合には苦笑いをしてしまう。
藍生さんもまだまだ子供ということだろう。

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2012年07月21日

Posted by ブクログ

今頃文庫版を購入しました。そして単行本と見比べて、違いを楽しむ読み方してましたorzこんな読み方したの初めて。でも大好きな話なので、全然OKな感じです。両方好きですが、表現手法的に単行本の方が好きかも。

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2012年03月22日

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群青天幕に光る星、鉱石、少年、キンとするような冷たさ、スチィムのような熱さ、

長野まゆみさんのキラキラした世界が
詰まっている作品だと思います。

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2012年02月28日

Posted by ブクログ

長野まゆみの本で一番大好き!!
いつもカバンに入れて持ち歩いてます。
星や鉱石などキラキラしている話です!

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2012年02月21日

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鮮やかな文章とファンタジーな物語に心が煌めく。

独特な言葉の使い方と価値観を文章で描く物語に憔悴する。
この物語は星と鉱石、友情や家族などを描いているが背景にある近未来的な暖かい街並みや建物を文章内で感じられる。
女の子が大好きな心がときめく夢物語の世界観。
かと言って読んでいて子供向け限定の本とは言い難い。
子供から大人まで様々な視点でこの物語を楽しむことが出来る。

冒頭で述べたように星と鉱石をその物語に住む人達は憧れと宝物のような眼差しで大切にしている。
この鉱石たちの名前がまた可愛らしい。
そして現代のように収集するのがゲームソフトとかの俗世的なものではないことがまた良い。
珍しい鉱石を収集するのが自慢であり一種のステイタスなのがまたより物語の雰囲気を暖かい夢物語に仕上げている。
そして星を愛でることも。
著者の独特な価値観のもとで、このような可愛らしい物語が紡げるのだろう。

それ以外にもこの物語の魅力はたくさんある。
家族や友達への嫉妬や寂しさなども、この著者が描くと生々しくもない可愛らしい言動や行動として映る。
普段重くて暗い話を好む私にとって完全な異空間を体験する物語。
そして好きな物語。

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2011年12月05日

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水蓮と銅貨、藍生という名前を見た途端、恋に堕ちてしまいました(笑)。
鉱石倶楽部で出会った眼帯の少年とのやり取り、天体議会の罰ゲーム(?)や変わり玉を交換するシーン等々、どれを取っても何もかも好きなエピソードばかり!

…膝丈の制服に外套と襟巻で武装した少年たち、殺傷能力半端無しです。

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2011年05月12日

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未来的で、でも懐古的で、時代がいつなのかわからない世界観。
そんな素敵な世界を舞台に、透明感溢れる言葉の数々でつづられる少年達の日々のお話。
美しくて大好きです。

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2011年05月12日

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長野さんの魅力の集大成でした。この感じは久しぶりだけどやっぱり好きなんだな…。途中銅貨と水蓮のやりとりがかわいすぎてはずかしくなってしまいましたが、そこも含めて、雰囲気がとても好きでした。終わり方も。
きらきらした優しい夢を見ていたかのような余韻がすてき。想像力を掻き立てられました。

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2011年01月10日

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長野さんを読むようになったきっかけ。自動人形や鉱石にラジオ……懐古雰囲気を漂わせるそんな一冊です^^

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2010年01月24日

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再読。
本の中から自分の気に入った文章を書き出すのが好きなんだけど、長野まゆみさんの文章は全部が好きで選べない。
星や鉱石が煌めく耽美的な世界観がたまらなくて、何回読んでもやっぱり好き。
また長野まゆみさんの本を読み漁りたい。

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2022年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに長野さんの本。
発売間近だった次に読む本との間をもってもらおうと読み始めた。理由は暑くて、薄い本だったから。

休暇終わりの地下鉄の駅での朝から物語は語られ始める。
銅貨は友人の水連を待っていたが、なかなか彼は現れない。
やっとやって来た彼の片目には眼帯が付けられていた。
理由は分からないが、朝起きると腫れあがっていたという。
端正な水連の顔が見られないことを残念がりつつ、二人は混みあう学生群をのせた地下鉄から撤退して、さぼることにする。二人が向かったのは鉱石倶楽部という石やそれを愛でる道具を扱いつつ軽い食事ができる喫茶がいっしょになったお店だ。天体と鉱石に強い興味を持っている二人はこのお店の常連だった。
店で朝食を頂こうとした二人はいつもの店番の大学生ではない人影に訝しむ。店番をしていたのは二人と同じ制服を着た少年だったからだ。少年は水連の眼帯を見て
「石が入っている」
という。まさかそんなもの入っていたら大変じゃないか!と言う水連と、治せるという少年を面白がる銅貨。やらせてみればいいという銅貨の言葉に、しぶしぶ水連は頷く。少年は果たして、手のひらに美しい碧色の石を水連の瞼から取り去って見せた。
いったい少年は何者なのか、問い詰めようとすると少年は風のように去っていってしまう。
青いインクと製図ペンで書かれた天体観測の誘い状で行われる天体議会。海のそばの気象台での集まり。高速軌道(カプセル)の信号燈(シグナル)の青ばかりを壊される事件。銅貨の兄との距離、水連と兄との関係性への嫉妬。水連との関係性の濃淡に、自分の心持も揺れる。銅貨の兄藍生のなかの父への渇望と反抗心。そして弟への接し方をうまくできない苛立ち。少子化のために作られた家族の形が故に血の繋がりをもたない兄弟である銅貨と碧生のお互いを大切にしたいし、されたいという感情の幼さとやさしさ。水連の銅貨へのまるで憧れのような友情。銅貨のもつ劣等感さえ、水連は良しとしているように思う。銅貨というものがあるがまま好ましいような。二人の割れた花瓶を大切に繕い続ける関係。お祭りの夜の、変わり玉の交換。幾度も現れては消える少年。南にいる父と、その場所へ思いを馳せる。そして雪の早朝、兄との会話。万華鏡へこめた祈り。
少年たちの不思議な邂逅と別れの物語。

長野さんの描く少年しかいない世界は不思議とくっきりと存在する。そこに置かれている様々な印象的で美しいものたちに囲まれて、うつくしい少年たちは生きている。たくさんのルビをふられた文章なのにとても読みやすい。純文学にくくられるのか、幻想小説に分類されるのか、それなのに夢見心地ではないお話。起こる様々な行事たちは全く身近ではないのに、目にその光景は眩しく浮かび上がった。灯された灯りのやわらかなオレンジと、その奥の深い深い藍の空。飛び立つ衛星の放つ光。見上げる天体のはるか遠い光。それらが鮮烈に網膜に映った。ぐいぐい読ませるお話ではないのに、読んでいると心地よくてついつい読んでしまう、そういう本だった。
長野さんの書く少年たちの名前は、どこのいつという設定から解き放ってくれるし、少年と言い切られているのにどこか性別を失わせてしまう効果があるように感じた。

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2021年07月31日

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面白かったです。
水蓮と銅貨の関係性が好き。お互いをかけがえのない存在だと思っているけれど、べたべたし過ぎない。程よい距離感です。
おそらく、代理母なのであろうタミーやバービィが当たり前の世界はディストピア感があってよいです。そして男の子しかいない。。
少年(名前は最後まで出てこない)は本当にオートマータだったのかな。
鷹彦も良いです。歌声聴いてみたい。
当て字がすごく使われているけど、近未来のような、でもノスタルジックな世界観と、繰り広げられる微かな切なさが素敵な作品でした。

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2019年09月20日

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「白鳥が天河を翔ける九月の第1月曜日、うんざりするほど暑い地下鉄の大混雑で夏の休暇が明けた。」(本文より)銅貨と水蓮という2人の少年を中心とした物語。
長野まゆみさんの作風は独特ですが、こちらの小説は比較的マイルドで、長野さんファンでない方にも是非読んでみてもらいたいなと思います。銅貨の父親がいる「南」の描写が好きで、夏になるとふと読みたくなります。

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2017年11月12日

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再読。煌びやかで儚くノスタルジックな世界観は日常からの逃避行にうってつけ。水蓮と銅貨の住む街に一度は迷い込んでみたくなる。二人は永遠に少年で、時と場所と名前を変えて著者の様々な作品の主人公なのだろう。時々割れる花瓶の欠片を修復しながら友情は続く。

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2015年04月28日

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ネタバレ

言葉だけでいかにきれいな世界観を出せるかを教えてくれた本です。水蓮と銅貨という三日月少年にでてきた二人が登場するので手に取ってみた一冊。なんとドラマCDもあるそうな。近代未来都市っぽい雰囲気も出しつつどこか昔っぽいところもある不思議な感じです。友情や、家族との確執など、人間関係に重きをおいた作品に感じました。水蓮の銅貨との仲直り仕方に脱帽。

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2014年03月12日

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長野ワールド全開で独特のキラキラした世界観にうっとり。鮮やかな色彩の描写や透明感が心地よかった。長野まゆみ作品に出てくる「ソーダ水」の清涼感ってはんぱない。脳内で勝手に手塚治虫の「メトロポリス」のような近未来的な世界観で映像化して楽しみました。これアニメで見てみたいなー。
一旦その世界に入りこんでしまえばどっぷり浸れるのですが、一度意識を外へそらしてしまうと文章がすべるすべる。何度も同じ部分を読んでも頭に入ってこなくて、薄い割には結構読むのに時間がかかりました。でもその分じっくり読んで、じっくり浸れました。
この世界の女性はまさに「生む機械」ってわけか。

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2013年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず近未来的な世界がすばらしい。
代理母出産が当たり前になっていて、家族のあり方が現実の世の中とまったく異なる世界観に引き込まれた。
水蓮の性格が好きなのだけど、自分と銅貨が似ているからだろうか。
銅貨と水蓮の友情が少し友情以上の気もするが、13歳くらいのときはこんなものかなと思った。
嫌な感じはせず、すっきりしたきれいな感じがした。
少年たちがみんな不器用で、それぞれの思いがうまく伝わらないことにもどかしさを感じた。
相変わらず不思議な雰囲気を残して終わる文に、またかと思いつつも惹かれてしまう。

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2012年05月31日

Posted by ブクログ

独特の言葉遣いや言い回しが面白いんですよね。登場人物の名前も銅貨や水蓮といった具合で、ありそうでないのだけど作品世界にぴったりと合っているという、その感覚が楽しいです。まあ少しくどく感じる部分もありますが。
少年たちが鉱石のようにきらきらと硬質の輝きを放っています。しかも鉱石が持つ意外な儚さ、脆く剥離してしまう感覚をも持ち合わせているんですね。そういった雰囲気を楽しみました。

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2010年03月26日

Posted by ブクログ

新書のほうを持っていますが、これは文庫。
大人の女性が読む童話だと思います。
こういう文面・世界観。
本当に大好きで私の憧れです。

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2009年12月20日

Posted by ブクログ

自動人形(オートマータ)と噂される少年を乗せて、船は南へ出航したのか? ***三日月少年漂流記にも登場する睡蓮と銅貨のお話です。少年達が食べる不思議なお菓子や飲み物。色や物を表す漢字の使い方が感動物。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

90年代を彷彿とさせるジュブナイル小説
90年代の花とゆめのマンガに
どハマりした世代にささりそうな内容。

背表紙には
長野まゆみの星の王子さま
と紹介されていましたが
どちらかといえば
銀河鉄道の夜に近いような印象。
鉱物や天体観測に興味がある人にも
オススメかも。

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2022年05月04日

Posted by ブクログ

登場人物の名前がまた、長野ワールド全開って感じ。あと、銅貨とお兄さんのこととか、銅貨の家族のこととかももっと知りたいなあと思った。続編があるのかな?だとしたら読みたい。

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2013年12月07日

Posted by ブクログ

人口の減少により、実の親以外に代理母と生活する家族が普通に存在する世界が舞台。
銅貨、銅貨の兄の藍生、銅貨の友人の水蓮が主な登場人物。
主人公の銅貨も全員血の繋がらない家族の中で暮らす少年だ。
銅貨と藍生の確執、銅貨と水蓮の友情といった部分を独特の言葉で描きながら、少年が成長していく様子を綴っている

***

長野節炸裂というか、かなり特異な世界観な上に不思議な単語にルビ満載なので、合う人合わない人がはっきり分かれる作品だと思います。
私は綺麗な表現だな~と感じる方なので、長野さんの文章はとても好みなんですが。
『新世界』辺りの話に感じる毒気はほぼなく、ほんわかしたファンタジー色が強いように感じました。異世界の童話といった印象です。

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2013年02月08日

Posted by ブクログ

星とか、鉱石とか。宝石箱みたいなファンタジー。
イメージが湧かないと少々苦しい。わたしには眩しすぎたかな…
天体議会の召集方法がアナログでかわいらしい。飴の交換はこっちが照れてしまうようないじらしさ。
万華鏡のくだりがロマンチックでとても好きです。なにが見えるんだろう。

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2012年09月30日

Posted by ブクログ

少年ものファンタジー。自動人形とリンクしたシリーズみたいです。
どうしてだか、「銀河鉄道の夜」を思い出した。それも、アニメ版猫verの方です。

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2012年05月14日

Posted by ブクログ

初めて読んだ長野作品。
文章が結構かたくて、情景もイメージしにくかったけど、とにかく全体的に神聖で綺麗な感じがしたなあ。
ただ、主題がわからなかった…わたしには…もう一回読めばもう少し理解できるかな。

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2011年05月22日

Posted by ブクログ

きらきらしてて、近未来ぽいけど懐かしくて、食べ物が美味しそうで、ルビが良い。
長野まゆみの美学が余すとこなく発揮された素敵なメルヘン。いいなぁ、この世界。ずっと出たくないなぁと思いながら読みました。

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2010年06月24日

Posted by ブクログ

はるか昔に読んだ本。キラキラレトロ砂糖菓子みたいなイメージが残っている。この作者さんの世界観や文章は人を選ぶと思う。あの頃はピンとこなかったけど今読んだらどうだろう。

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2009年12月09日

Posted by ブクログ

そうしているうちに、少年は慣れたようすで桟に絡ませていた足を外し、強く蹴って宙に飛び出した。勢いで鉄塔も大きく揺れる。
「銅貨、」
水蓮が声をかけ、銅貨も彼のあとを追うように宙へ躍り出た。(P.147)

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2010年06月02日

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