長野まゆみのレビュー一覧

  • 少年アリス

    Posted by ブクログ

    1989年の作品で、2011年に購入して積読していた一冊。
    綺麗な漢字、日本語、
    不思議な世界観の本を読みたくて、
    手に取りました。

    当時の購入金額は380円(税別)!
    安いと思ってしまうのは、
    今の物価高の影響でしょうか。苦笑

    兄に借りた色鉛筆を取りに夜の学校に忍び込んだ、蜜蜂とアリス。
    そしてアリスの愛犬、耳丸。
    誰もいないはずの理科室から広がっていく別世界。

    言葉が綺麗で、
    時間の流れが独特で、
    お風呂の中で読んでいましたが、
    とても良い読書時間でした。

    0
    2024年03月08日
  • あのころのデパート

    Posted by ブクログ

    著者の長野まゆみさんより年下の世代ですが、70年代半ば生まれなので、デパートへ出かけるというのが一大イベントだった子供時代を懐かしく思いながら読んだ。
    ネットで自分が欲しいものに目星をつけて買うのが主流の時代、店員さんのアドバイスよりコスパの時代かもしれないけれど、やはり、買い物をするとき、あれこれ見比べながらアドバイスをもらいながら、ときに友人とふらふらしながらの買い物は楽しい。デパート、無くなってほしくないな。子どもの頃、大きくなったらデパートに住みたいと思ったことを懐かしく思い出した。

    0
    2024年03月03日
  • 猫道楽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・2月19日に読み始め、22日に読み終えました。

    ・たぶん10年?とかぶりの……再読でした! 長野まゆみで初めて読んだのがこれだったと思う。いや~~なんか、思ってたよりかなりド直球だったね……??

    ・以前三浦しをんの書く色っぽめシーンを読んだとき、長野まゆみの匂わせる感じに慣れてたから三浦しをんは直接的でビックリだ~みたいなこと書いた気がするんですけど、長野まゆみもこれ……作品によっちゃしっかりだわ。耽美な雰囲気に惑わされてたけどしっかりだわ。

    ・話の大枠だけ覚えてて内容はほとんど覚えてなかったんだけど、唯一3章だけ、当時読みながら想像してたデパートの提灯売り場ははっきり覚えてた。想像の

    0
    2024年02月23日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    文章と絵で綴られた「こどものころに見た夢」をテーマにした短編アンソロジー。夢の世界は辻褄が合わないような不思議な光景、場面展開が見られるけれど、現実とぜんぜん関連がないわけではないですよね?その夢と現実との繋げ方というか絡め方が12人の作家ごとに違うのが面白いです。これは夢の中?と読んでいて戸惑うものもあり。え!これ現実に起きたこと?というものも。ミステリーあり、サスペンスあり、ロマンスあり、回顧録あり、お笑いあり…一つ一つは短いけれど、なかなかに濃い内容でありました。歌人の穂村弘さんのお話が一番印象に残りました(爆笑でした)。

    0
    2023年12月26日
  • 時の旅人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初は「不思議な話だな」から始まるのだけれど、読み進めるうちに、どんどん迷宮の中に迷い込んでいって、自分がどこにいるのかわからなくなる感覚になる。だけど引き返す道も分からないような。

    主人公の心の声かと思っていたら、急に誰かのセリフになったり、登場人物はひょっとしたら声に出して会話をしていないのかも。「」がないのも面白い。

    0
    2023年12月21日
  • 野ばら

    Posted by ブクログ

    ずっと夢の中
    出てくる言葉一つ一つが美しい
    高円寺の読書喫茶的なところで読んだのも合わせて良かったな

    0
    2023年11月11日
  • 夜啼く鳥は夢を見た

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    紅於は初めて、その沼が途方もなく深いことに気付いた。


    この一文に息が止まりそうになる。
    どこが好きと聞かれたら雰囲気としか答えようがない。
    沼に惹き込まれて沈みたいと願う頬白鳥の気持ちがよく分かるくらい、その沼は魅力的だ。
    言葉のひとつひとつや単語が美しく綺麗であるのに、明確に輪郭を描くことのできない妖しさをまとっている。

    0
    2023年10月26日
  • 左近の桜

    Posted by ブクログ

    久しぶりの読書、そして長野ワールド(勝手に命名)に酔いしれているうちに、あっという間に読み終えてしまった一冊。『左近の桜』シリーズは長野さんの本を読み始めたころから知っていたが、あえて手を出していなかった。なぜなら絶対ハマると分かっていたからだ。結果としてどハマってしまったわけだけど後悔はない。今後はゆっくりと集めていこうと思う。

    長野ワールドでは必ずと言っていいほど青年が主人公にあてがわれるが、本作も桜蔵という青年がその位置にいる。男同士が逢瀬を重ねるための一軒宿である「左近」の長男である桜蔵はこの世のものではないあやかしに吸い寄せられてしまう体質を持っていて、この短編集では彼が巻き込まれ

    0
    2023年08月26日
  • 改造版 少年アリス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    初版を読んだ時は全体的に尖っているのに脆い印象でした。今回読んだ改造版は柔らかく滑らかな感じ。でも、どちらも透明感があって改めて初版を読みたくなりました。

    0
    2023年07月23日
  • ぼくはこうして大人になる

    Posted by ブクログ

    主人公は中3の少年。
    家でも学校でもよい子を演じているが、実は女子に興味がなく、男子に恋愛感情を抱く性癖があることを必死に周囲に隠している。

    10歳離れた双子の姉兄にいたぶるようにかわいがられて育った彼は、幼い頃自分を女だと思っていた。
    そう洗脳されたと思っている。
    だから、女の子として育ってしまったから男の子のことを好きになってしまうのだと思っている。

    20年以上前の作品だから、そういうことになっているのかな。
    性癖は育てられ方のせいではなく、持って生まれたものだと思うんだけど。
    と思っていたら、最後に衝撃の事実が明らかになる。

    本人にもわかってはいたのだ、姉兄のせいではないことを。

    0
    2023年06月23日
  • 白昼堂々(凜一シリーズ)

    Posted by ブクログ

    この本を手に取ったのは時代の流れもさることながら、自分の大好きな作品に志村貴子先生の「放浪息子」があることがきっかけになったんだと思う。凛一の声がちょいちょい似鳥くんで再生されてしまった。
    作中でひとつ違いの従姉と見分けがつかないくらいに似ている、と描写されている美少年、凛一の思考が可愛らしくて仕方がないと思いつつ、見る人が見れば気持ちが悪いという感想にも繋がるのかな。BLという一言で片付けるにはあまりにももったいない、性別というものに対する思春期の揺らめきが詰まった一冊でした。
    読み終えてからシリーズものと知ったので、残りの3冊も読んでみようかな。

    0
    2023年06月08日
  • 新学期

    Posted by ブクログ

    相手に対して「完璧に分かり合えなくてもいいのだ」と割り切っている椋がなお「好き」という感情を諦めないところが眩しくて、ラストシーンで彼のことがより一層好きになった。
    彼が骨董品を好きなのも、「限られた時間の中で意味をなしてきたモノ」の価値を人並み以上に感じているからかもしれない。
    すずしろや密と過ごした時間も、これからも。いずれ必ず来る「好きなもの」との別れが、少しでも悔いのないものであるように。まだ14歳の椋の、少年らしさの奥に秘めた寂しさが埋まってほしいと思う。

    0
    2023年03月31日
  • カンパネルラ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    約20年ぶりに再読。
    長野まゆみ作品を読むこと自体が約15年ぶりくらい。昔ファンでした。
    いやぁ耽美ですね!
    懐かしいというか、当時は登場人物達に萌えながら読んでいたのだけど、やっぱり久しぶりに読んでも、きょうだいのつれない感じに萌えますね(笑)。
    あと自然風景の描写がさすが緻密で美しいのだが、しばらくこの世界から離れていた私には情景を想像するのが難しかったです。当時の私は理解できていたのだろうか。

    簡単なあらすじ。
    夏、祖父の家で療養している兄・夏織を訪れた弟・柊一。冷たい態度の兄に焦がれる柊一は、お土産の硝子の小魚を渡そうにも渡せない。
    常に眠っているイメージの祖父に読み聞かせを兄と交替

    0
    2023年03月06日
  • ぼくはこうして大人になる

    Posted by ブクログ

    懐かしい青春を感じさせてくれました。先生特有の曖昧なえがかれ方もあり、想像するのも楽しいです!これからが気になります!

    0
    2023年03月05日
  • 冥途あり

    Posted by ブクログ

    む、むずかしかった〜。小気味がよくてすごく面白いんだけど、なかなかサクサクとは読め進められず。結局ゆっくり1ヶ月かけて読み終えた。
    てくてくと河岸を歩いて、あっちの時代、こっちの時代、汽車や車や船に乗り換えて、いろんな場所に連れて行ってくれる小説だった。
    終わり方はあっけなく面食らってしまったけど、あの双子のことだからこんな終わり方も悪くないかなと思った。
    ふと何年か後に思い出すようなエピソードや表現がたくさんあって、またすこし人生が豊かになった気分。
    祖母の指にはめられた紫水晶。
    菓子袋の音に騒ぐ母の小鳥。
    砂浜にきらきらと光の反射を落とす父の背中のガラス。

    0
    2023年01月29日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    怖い夢、儚い夢、おもらしの夢…? 角田光代、石田衣良、島本理生、市川拓司、長野まゆみといった豪華作家らが美しい絵と共に綴る「夢物語」。『小説現代』連載に書き下ろしを加えて書籍化。

    実際に読んだのは文庫本ではなく古いほう。

    石田衣良や穂村弘のお話が印象的でした。そんな私は永遠の肛門期…。

    0
    2023年01月13日
  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

    Posted by ブクログ

    作者は「本」も好きなのでしょうが、その本の作者にすごく興味があるのでしょうね。
    銀河鉄道の夜や宮沢賢治の研究をまとめた本という感じで、ストーリーとして楽しむのは少し難しいように感じましたが、興味深かったです。

    0
    2023年01月03日
  • 八月六日上々天氣

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。投下の瞬間を詳しく描かないことで、かえって大きな喪失が迫ってきます。
    史郎が原爆投下で喪われ、市岡先生も実は鹿屋「に」ではなく鹿屋「を」立つだったんじゃないかと思ったりします。どちらも、最期に珠紀に会いにきたのだと。
    出来るだけキラキラとした日常を送っていても、戦争の影はひたひたと迫ってきて、終戦近くにもなると空襲という牙を剥いてくる。
    どちらが先とかではなく、こうの史代さんの「この世界の片隅に」とも似ている物語世界だと思いました。空襲の描写、長野さんも色遣いが特徴的でしたし。
    珠紀はきっと広島市といっても海側の中心部からは離れた内陸部にいて、すずがいるのは呉。原爆投下は光と振動だけで、

    0
    2022年11月06日
  • いい部屋あります。

    Posted by ブクログ

    もう少し読んでいたかった、と余韻に浸る感じの物語の閉じ方。
    美味しそうな食事の場面もあって、胃袋を刺激された。読後、美味しいアプリコットタルトやクロワッサンが食べたくなった。
    不思議な寮でキャンパスライフが繰り広げられると思っていたら、全く想像しない方向に話しが進んで、穏やかな波にさらわれたような感覚。
    荒々しい波にさらわれたような感じではなく、するすると抵抗できないまま優しく連れ去られたように物語を読み終えた。
    みんなクセがあるのに、みんな優しい。
    少年愛というには大人になり始めすぎていて、大人のドロドロした性愛にはほど遠い、そんな成長の隙間のような話。
    現実にはこの物語にでてくるような人物

    0
    2022年10月07日
  • 夜啼く鳥は夢を見た

    Posted by ブクログ

    どことなくマンディアルグ風味な泥濘と水蓮と少年の舞台設定からして、惹かれないはずがないのです。長野まゆみさんらしい精緻で多彩な文章にぐいぐいと呑み込まれるようにしながら頰白鳥といっしょに沼をのぞきこむその瞬間の美しさ畏ろしさ。堪能しました。
    物語の全体を通してみれば平坦かもしれないその一瞬を、いやむしろその一瞬のために、築き上げられ飾られた文章一行一行を味わうように、大切に読んでいくことのできる作品こそ、私が偏愛したくなる作品なのです。

    「頰白鳥、駄目だよ。燥いているように見えても、水は沁み出してくるんだ。」
    「沈んでしまうの。」
    「あゝ、沼だからね。」

    0
    2022年09月13日