長野まゆみのレビュー一覧

  • レモンタルト

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    主人公が読んでいるこっちが心配になるくらいずっと不憫だった。これが母性なのか。主人公を取り巻く人々は同じような気持ちを味わっていたのかもしれない。

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    2026年08月17日
  • 左近の桜

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    ネタバレ

    「コノ盃ヲ受ケテクレ。ドウゾナミナミ酌ガシテオクレ。」
    この言葉をキーワードに、この世とあの世、現と幻を行き来する。

    桜蔵は無自覚に、この世ならざる者、淡いを生きる者たちをひろってくるけれど、あまり気に病まずに受け流す。すべては長い時の流れの一瞬でしかない、とでも言うように。ただの高校生としては、出来れば関わりたくない、と溜め息をつきながら。
    分別のある言動ながらも、桜蔵には隙が多く、そこに付け込まれる。しかし、あえて(無意識に)隙を作っているという見方もできる。

    桜蔵が何者なのかは、まだほのめかされるのみ。

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    2026年08月16日
  • いい部屋あります。

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    ネタバレ

    鳥貝には可哀そうだけれども、百合子の鬱屈に心が向く。
    夏目と本当の兄弟のように育って、本当の兄として慕ってしたけれど、夏目には血の繋がった本当の弟がいた。自分には助けられないけれども、本当の弟だったら夏目を助けられるかもしれない。それなのに夏目は、何も知らず幸せな生活を送っている弟のことを思って、彼が成人するまでは心を乱させたくない、とほとんど会ったことがないはずの弟のことを思いやる。だからどんな奴か確かめてやろう、くらいの気持ちで遠巻きに観察してみたら、……ミイラ取りがミイラになった。
    鳥貝が東京に来た時点ではすでに好きだったのにそれを悟らせたくなくて、自分は悲しくてあんなに泣いたのに実の兄

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    2026年08月11日
  • 三日月少年の秘密

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    時を行き交う三日月少年。

    赤い切手の招待状。
    少年電氣曲馬団。
    東京タワァ。
    十二階。
    月光舎。
    ノスタルジックな世界観を縦横無尽に三日月少年の影が行き交い、少年を誘う。

    三日月少年漂流記や三日月少年が出てくる既刊分を読み返したくなった。

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    2026年07月11日
  • 長野まゆみ復刻作品集 お菓子な猫と、旅する少年

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    ネタバレ

    とても懐かしい4作品
    好きな言葉や美しい響き、心地よい言葉の並びで紡がれる物語
    幻想感と少し現実から浮いた世界は、まるで色のついた空気を読んでるような時間だった
    作品の重心が変わったときには離れたこともあったけど、またこうして手に取ると、あの静かな時間に戻るようで、なんだか変な感じ

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    2026年07月03日
  • 銀木犀

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    冬虫夏草かな?食虫植物かな?
    銀木犀の木ってそんなにうねうねしてないのによくこんな話を思いついたなぁ。
    雨の日に木のうろで寝るのが好きな主人公。
    風邪引くよッ!家に帰りな。と思うけど、人間ではないのだろうか?
    油紙とか石膏とか、美大出身ならではの表現も面白かった。

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    2026年06月06日
  • レモンタルト

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    ネタバレ

    読んだと思ってたらよんでなかった。
    帯の「若くして逝った姉。遺された義兄と私。一軒家での二人暮らし。会社での秘められた仕事。不可思議な事件の数々。」ままの内容だた。私とは男である。長野まゆみなので、義兄に対して明らさまな恋情は描かれず色気と不可思議はそここにある。面白かった。

    主人公めちゃ怪我したり、仕事が仕事なだけに不憫やったりで、せめて大好きな男へのおもいを全うできたらええなと思う。
    あと左近の桜では「夜船」て店名で出てきた名前を持つ人物出てきたので繋がりがあったら面白いな。

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    2026年05月18日
  • その花の名を知らず 左近の桜

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    左近の桜シリーズ既刊分4冊目、今のところ最新刊(つって5年前)
    桜蔵のルーツというか御家のルーツだた。自分でも家系図を書いてみたくなったくらいには出てくる人物が多い。
    かと言って読みにくいことは無く、世界観に没入してあっという間に読めてしまう。

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    2026年05月18日
  • 猫道楽

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    3.7くらい
    耽美な文章に惹かれて購入

    "少年はとっくに一郎の耳へ口をつけていた。ほら、と笑って舌を見せる。その先に花びらがあった。"

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    2026年05月15日
  • 鳩の栖

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    何年も前にこの作家さんの本は読んだ気がするがそれ以来。
    「鳩の栖」
    静けさのある物語に最初から引き込まれた。
    樺島君の家の中の雰囲気を思い浮かべていた。
    心に突き刺さる物語。

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    2026年04月19日
  • メルカトル

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    ネタバレ

    地図に導かれて、あるいはエルヴィラ・モンドに導かれて、リュスの出自が明らかになっていく。

    リュスは何も期待せずに、ひっそりと生きる青年。
    謎めいた地図にも、不思議なめぐりあわせにも、心を躍らせたりしない。
    目立たないように生きることが、彼の処世術なのだ。
    そんな彼が本当の家族に出会うまで。
    とても良く出来たシンデレラストーリーだ。
    珍しく伏線回収もしっかりされている。
    でも、その物語自体は小さくまとまっていて、冒険活劇でもなければ、感涙必至でもない。

    この物語の魅力は、ストーリーではなく、随所に散りばめられた小道具にある。
    イタリアを思わせる異国の街。
    日記としての地図。
    つつましいプディ

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    2026年04月04日
  • となりの姉妹

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    ネタバレ

    日常の中の不思議も、意味を知ってしまえば不思議でなくなることがある。
    でも、それは時に本当の異界に繋がっているかもしれない。

    立彦と熊谷さんは、似たような存在なのだろうか。
    子供の頃の立彦は神経質だったのではなく、何かを感じ取っていたのだろう。
    初島さんと熊谷さんと立彦、そして逸子も、あちら側に繋がりを持っていて、佐保や佐保の母は鈍感に日常を生きている。その対比が奥行きを持たせる。

    本筋に関係がなさそうなのによく登場する髪は神に通じ、逸子の髪は針刺しを作るために売られ、こちらとあちらを繋いでいる。ようにも見える。
    蝶は、死者の符号というところか。
    でも肝心の蛇が何を指しているのかは分からな

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    2026年03月21日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    面白い!

    中盤から推察しながら読む事を放棄し、謎を謎のまま身を委ねるように読んだ。不穏な空気も纏いつつ、それも各章の最後の一文でひっくり返され「なんだと(笑)」と肩透かしをくらう。これがいい。
    謎を解き明かしてやろうと意気込んで読めば難解で振り回さるあれやこれやに疲弊しそうだが、力を抜いて素直に読み進めればその振り回しは返って愉しい。
    そしてそのひっくり返しは最後まで続く。
    不穏な空気を残して。

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    2026年01月15日
  • 水迷宮 瀧の巻

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    ネタバレ

    因果応報の連鎖を断ち切るものは何か。
    まずは、子孫を残さないこと。しかしそれは失敗する。
    すべてを受け入れる愛を持つこと。これは半分あっている。そして、この愛を持つ者の名が夜叉王であるのは、何という皮肉だろう。
    それから、夜叉王の息子、真朱(まさお)。
    結局、人間は見た目に惑わされる。それならば、初めから目が見えなければ良い。
    そして物語の最後で、人々は美しい水を求め、また因果が繰り返されるだろうことが示唆される。
    乳王丸が嘆くように、愚かさはもはや人間の性であり、そこから抜け出す者は、もう人間ではないのかもしれない。

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    2025年12月05日
  • 水迷宮 汪の巻

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    人間の傲慢さ。千潮姫の恨み。
    美醜によって人は惑わされ、あやまちを犯す。
    何世代にもわたって、それが変わることはなく、何度も何度も同じことが繰り返される。
    浦島太郎と人魚姫を合わせたような物語の中で、人間の愚かさが描かれる。

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    2025年12月05日
  • 天然理科少年

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    ハードカバーのイラストの表紙よりこの人形の方が好き 
    セリフの「」内の言葉が、で終わりがちな頃

    岬が父と引っ越した先の中学は父が通っている学校だった

    さまよえる湖
    静岡に七年ごとに山間の杉林の中に現れ、十日ほどで消える幻の池がある

    読み返して、理解できるところもあって解決してる方だと思う

    口笛か指笛、互いを呼び出すひとつの檸檬水の空き瓶から作った笛、車の警笛、濃霧を告げる笛、一度だけ澄んだ笛の音
    墓前に小さな硝子を埋めた

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    2025年10月18日
  • 三日月少年漂流記

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    表題の文字を黒枠で囲むのはセンスないと思う
    初期?って挿絵を自身で描いてたりされてたけど、挿絵とか表紙とかに対しての考えとか気になった。

    少年二人で冒険って楽しそう

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    2025年10月16日
  • 魚たちの離宮

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    盂蘭盆(うらぼん)の奇妙で静かな四日間を描いた不思議なお話。
    フランスの古い物語を読んでいるような、静かで仄暗い世界を美しい文章で心ゆくまで味わえる一冊です。物語がふんわりとしているので読後あれこれと思いを巡らせる事が出来るのも楽しみのひとつ。

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    2025年09月10日
  • ゴッホの犬と耳とひまわり

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    雨である。という出だしでやられた。
    ある書き込みを翻訳してほしいという依頼から、家族の過去に起きたことに繋がる展開にゾクゾクした。無数に散らばる蘊蓄に知識欲が刺激されるのだが、台詞の文章量に圧倒されつつニヤニヤが止まらない。しかも登場人物たちの人間関係が複雑でそれもまた魅力的だ。
    あの有名なゴッホの直筆かもしれない、歴史に触れている感じは登場人物たちを通じて読者も体感する。そして、とにかく犬が可愛い。

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    2025年05月25日
  • テレヴィジョン・シティ

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    テレヴィジョン・シティ。
    この頃の長野まゆみ作品がとても好き。
    新装版ときいて手に取ってしまいましたが、ふんわりと煌めく異世界観と言葉選びの美しさが宝箱のようで眩しい。

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    2025年05月12日