因果応報の連鎖を断ち切るものは何か。
まずは、子孫を残さないこと。しかしそれは失敗する。
すべてを受け入れる愛を持つこと。これは半分あっている。そして、この愛を持つ者の名が夜叉王であるのは、何という皮肉だろう。
それから、夜叉王の息子、真朱(まさお)。
結局、人間は見た目に惑わされる。それならば、初めから目が見えなければ良い。
そして物語の最後で、人々は美しい水を求め、また因果が繰り返されるだろうことが示唆される。
乳王丸が嘆くように、愚かさはもはや人間の性であり、そこから抜け出す者は、もう人間ではないのかもしれない。