長野まゆみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
10年前からお気に入りの本。
この度Bookoffで美品を購入したので、改めて読み返しました。
長野女史独特の美しい云い回しとか、美少年とか、老舗の名家にまつわる因縁深き家系図とか、大好きな要素満載の本作ですが、今回読み返して知ったのは、物語の空気に何よりも惹かれているってこと。
吹雪の中をえんえんと走り続ける夜汽車や、東北の凍てついた空気、いとしい人を求めて彷徨う魂など、どこか孤独を感じさせる雰囲気に魅了されているのかもしれません。
いま読み返してみて分かったことも多く、いろいろとすっきりする部分もありました。
長野作品で一番好きな物語です。 -
Posted by ブクログ
「特別な」事件が起こるわけじゃない。
ただ、さざ波のように透明な湖面がささやかに揺れているような、そんな感覚で物語る、小学生~中学生のマボのまいにち。
初めて飼ったインコのピッピのこと。
おしゃれのこと。
おとこのこのこと。
女子の小悪魔な妄想のこと。
おでかけのこと。
ノスタルジック昭和の回顧録。
そんな陳腐なまとめはいらない。
コドモ時代の、「トクベツな」マボの日々は過ぎていく。
”こどもだって、いろいろある。”
私にもあったはずの、コドモノクニ。
キラキラ湖面のさざ波は、色あせることなく、扉のうちがわで息づいている。
ただ、忘れているだけのこと。 -
Posted by ブクログ
鮮やかな文章とファンタジーな物語に心が煌めく。
独特な言葉の使い方と価値観を文章で描く物語に憔悴する。
この物語は星と鉱石、友情や家族などを描いているが背景にある近未来的な暖かい街並みや建物を文章内で感じられる。
女の子が大好きな心がときめく夢物語の世界観。
かと言って読んでいて子供向け限定の本とは言い難い。
子供から大人まで様々な視点でこの物語を楽しむことが出来る。
冒頭で述べたように星と鉱石をその物語に住む人達は憧れと宝物のような眼差しで大切にしている。
この鉱石たちの名前がまた可愛らしい。
そして現代のように収集するのがゲームソフトとかの俗世的なものではないことがまた良い。
珍しい鉱 -
Posted by ブクログ
高等学校の読書感想文課題図書と背表紙に貼ってあるのを見て読み出す。野川は東京に住む我々には身近な河川。出てくる地名、関東平野のでき方などに引き込まれて読み出す。
主人公の中学生が両親の離婚で転校した中学で出会う教師、部活動の仲間、鳩(?)が皆、いい感じ。
心の中の世界と実際の世界、上手く折り合いをつけて理解したり受け入れたりして生きていくんだね。ふたつの世界の調和するところが優しくて味のあるポイントなんだね。
主人公と一緒に涙したくなった。
普段は、すっ飛ばして読みそうな自然描写自体が大切な要素の物語。
くどくならない程度に自然が語られている。
人間関係がサラっとしているようで熱い!
久