長野まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ始まりは奇妙な男から始まる。登場人物は、橘河、仲村、さゆり、橘河の嫁や鳩彦。主人公は市村だった。文春文庫とあって文章は読みやすいうえに文学的で、機械的な描写だけではなくイロを持たせるのがとても素敵だった。同性愛表現もあることで有名な長野まゆみさんだが、『あめふらし』は隠語や遠まわしな表現、それから直接的ではない言い回しをしているから、村上春樹の「ノルウェイの森」のような衝撃はなかったものの、まるで浮世絵や花魁の華やかな世界のようにあでやかだった。幻想的で妖怪をベースにしていることからエンターテインメントとして十分と私としては楽しめたし、何よりわかりやすい文章と穏やかな語り口でとても穏やかに読む