長野まゆみのレビュー一覧

  • 猫道楽

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    猫ってそっちの猫かーい!というツッコミは他の方のレビューを事前に読んでいたので出なかった。しかしこれまで読んできた長野さんの小説の中ではとりわけ耽美でしっとりしていた気がする。大変好きです。はい。
    〈猫飼亭〉という立派な屋敷に住まう美しい兄弟たち。そしてその屋敷に誘われた青年たちに起こる不可思議な出来事を蠱惑的に描いた作品集。それぞれの話は独立しているが、共通して猫飼亭の兄弟たちとの関わりを持っている。長野さんの小説にありがちな、透明な細い糸で登場人物たちが実は繋がりを持っているという構造になっている。

    最初と最後のお話では大学生の梓一朗が主人公となっている。一朗は女友達との旅行費を稼ぐため

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    2020年03月21日
  • いい部屋あります。

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    長野まゆみさんの文章をまた味わいたくて比較的最近出たらしい本を購入。また例によって青年が主人公の作品で、読んでいる最中「好きだ~~!」と心の中で叫びをあげていた。
    題名からして部屋探しストーリーなのかな?なんて思うがそんな単純な話では全くない。プロローグから、夢かうつつかわからないような遠い思い出話が始まる。あれ?これは部屋探しの話ではないのか?なんて思っていると次の章からは17歳の鳥貝くんの上京に伴う部屋探しが始まる。入学手続きを終えてから部屋探しを本格的に始めた彼は完全に乗り遅れてしまい、どこも契約済みであると諦め気味に大学の食堂で資料を広げて昼食をとっている。するとそこに、いい部屋がある

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    2020年03月07日
  • テレヴィジョン・シティ

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    ネタバレ

    『千年王子』のほうを先に読んだことがあるけれど、似てるなぁというのが一番。上か下かも、ブルゥかレッドかも不確かな閉じられた世界での幻想。これが本当にわたしたちの未来になるのかなぁと感じさせてくれるような話。記憶を失ってダメなやつになってるアナナスを苛立ちながらも優しく見守ってくれるイーイーが好きです。

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    2020年02月20日
  • 夏至南風

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    面白かったです。
    黒長野…長野まゆみさんはこの系統が好きです。淫靡で湿度のある、でも涼やかな少年たち。
    じめじめしていて、空気に腐臭が漂ってても、醜く腐敗していてもよいです。すぐ服の前を開けてしまうところも。
    碧夏が良いです。完全な少年だ。。
    残酷で、でも美しい作品でした。

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    2020年02月11日
  • 鳩の栖

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    初読みの作家さん。結論から言うとドンピシャにタイプの文章。シンプルで静かだけど、その中にも美しさが垣間見えるような言葉遣い。国語の教科書に載ってそうな、読解問題向けの短編集だけど普通に趣味で読む分にも楽しいので、こういう物語に学生時代に出会えていたらよかったのになーという感じ。
    本作は表題の「鳩の栖」以外にも中学生の男の子が主人公の短編が4作ある。作者のあとがきにも書いてあるように、この本は「騒がしい思いに駆られがちな年齢の彼らの、静かな部分を描いて」いる。大人に比べればまだ不自由な身で、どこか不器用さが残る少年たちの心の奥を描いた、四季折々の物語。友や家族との死別、複雑な家族構成など、様々な

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    2020年01月18日
  • 宇宙百貨活劇 ペンシルロケット・オペラ

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    面白かったです。
    長野さんのお話の、ロビンみたいな少年が好きです。
    兄弟ではなく、双子(ツイン)というところも良いです。
    飲み物や食べ物、小物、街並みや空…長野ワールドが詰め込まれていました。
    キラキラしていました。
    「ことばのブリキ罐」も素敵でした。
    長野ワールドを構成する人やものの名前…綺麗。
    ことばの抜き書き、今からでもやってみたくなりました。
    山口マオさんの解説も素敵。「彼女の愛するピュアな世界はおそらく、ほのかな毒の味がするはずだ」

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    2019年10月18日
  • 新世界〈5th〉

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    少年が否応なしに社会システムに搾取される話し。千年王子や、テレビジョン・シティとほぼ同じ話しだが、同じであることで、より、世界観を強固なものにさせられた。

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    2019年10月07日
  • 野ばら

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    再読でも面白かったです。
    月彦はいつから夢の中にいて、どこからどこまでが夢の中なのか…なにもかもが夢の中です。
    銀色と黒蜜糖が猫なら、他の少年たちも猫なのかな。性格がちょっとキツイところも猫っぽいです。
    そして今回も植物の美しさにうっとりしました。
    バラ科の鉄や、回転式螺子の昼顔。紅玉石の柘榴も綺麗です。
    硬質な世界。堪能しました。

    持ってる本の装丁はこちらではありません。
    白と明るい緑の格子模様に、白い花の植物が描かれているのですが何の花だろう。

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    2019年06月23日
  • フランダースの帽子

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    ショートショートで通勤中でも、
    読みやすくて捗りました。

    短編それぞれが、
    最後に「歓迎したい嘘」で彩られています。

    「ポンペイのとなり」「シャンゼリゼで」が特にお気に入り。

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    2019年04月16日
  • 天然理科少年

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    ネタバレ

    すごくいいはなしだった。
    タイトルや表紙の球体関節人形から、初期の自動人形とかが出てくるファンタジーを想像して読んだら、全然違った。

    放浪癖のある父と共に色々なところを転々とする主人公。
    目立たないよう、疎まれないよう、周りを観察して、上手く立ち回る術が身についている。
    他人と深く関わることをしない岬が、あるとき訪れた山あいの町の古ぼけた学校で、気になるふたりの少年に出会う。
    他の作品だと、書き方がちょっと卑屈すぎたり、自意識過剰だったりで読みづらいときがあるんだけど、今回はさらりとしていて読みやすく、美しい文章だった。

    最後の、手紙からの流れがぐっとくる。手紙がはさんである本って最強アイ

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    2019年04月12日
  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

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    あぁついに読み切ってしまった。
    とても素敵で読み終わるのがイヤで随分時間をかけて読みました。
    単純にカムパネルラ視点の銀河鉄道の夜かと思いきや、物語の登場人物であるカムパネルラが著者である宮沢賢治を賢治先生と呼び、解説してるんです!
    また解説者は他にもいて、中原宙也と言うんです。これまた飄々とした雰囲気が素敵。
    宮沢賢治好きな長野まゆみだからこそ書ける作品だなぁと思いました。

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    2019年03月14日
  • いい部屋あります。

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    今日のお昼ご飯は炒めた野菜を敷き詰めたグラタン皿に豆乳を加えた卵液のふわふわオムレツ。アプリコットのタルトも食べたい!

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    2019年01月10日
  • 咲くや、この花 左近の桜

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    ネタバレ

    再読。『左近の桜』の続編。さらに妖しさが増して、桜蔵もいろんな受容力が高まっているような気がする。とにかく不思議な魅力が満ち満ちていて、手放せない一冊。

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    2018年12月16日
  • 左近の桜

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    ネタバレ

    再読。美しく不思議な世界を細やかな描写で紡いでいく。どの男も魅惑的で、危ういようでしたたかだ。つかみどころのない魅力がある一冊。

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    2018年12月16日
  • 野川

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    井上音和は両親が離婚したので住んでいたマンションから父親と一緒に安アパートに引っ越してきた。夏休みに引っ越したので新しい中学でも夏休みの宿題をしなくてもよかった。新しい担任の国語教師は「夏休みの出来事」を話す宿題はあるぞと言った。学校が始まり音和は新聞部に半ば強制的に参加させられた。国語教師に乗せられたのかもしれないが。その新聞部はなんと伝書鳩を飼っている。遠方から鳩に通信紙をくくり付けて話すのだ。学校が立っている河岸段丘。武蔵野を多摩川が流れていく。大昔の川に浸食された大地。野川の周りの自然の描写が美しい。

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    2018年10月20日
  • 猫道楽

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    再読。レビューが低いのは、『猫好きで手に取ってみたらとんでもなくBLだったぜ!!オーマイ!!』のパターンですかね(笑)

    綺麗な文体に隠語多用の耽美系長野作品です。
    少年との絡みもあるので苦手な方はそっと本棚に戻されるのがよろしいかと思います。
    隠語で濁してるけど察しがいいと(あるいは界隈に足突っ込んでいれば)、だいぶがっつりやっちゃってます。

    私は高校時代に出会ってどっぷり自分のBLの基盤にしちゃったので、綺麗な文章で紡がれるこのお耽美な世界がたまらなく好きです。長野作品にお決まりのお兄さんや少年も好き。ヘテロだったのに絡まれちゃう主人公って展開も好き。
    そんな方はぜひ。

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    2018年10月08日
  • 左近の桜

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    続編「さくらうるわし」から入った左近の桜シリーズ一作目。ようやく読めました。
    手軽に読める短編集で、相変わらずの妖しい雰囲気が長野まゆみさんらしくて素敵。どの作品通しても世界観や人物が端正で静謐で、物語に惹き込まれた後の余韻が凄い。

    だいたい主人公が人ならざるものに狙われて巻き込まれてあれこれされる短編集。
    設定から描写まで、しっかりBL要素が入っているので注意。

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    2018年09月20日
  • 天球儀文庫

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    登場人物であるアビ、宵里、という名前から、美しいガラス細工のように作られた工芸品のような繊細さを感じる。小物や街の描写も奇麗。清潔に博物館の中に陳列されているミニチュアを観るような、そんな世界観を想う。

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    2018年05月30日
  • 改造版 少年アリス

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    ネタバレ

    王道。幻想的。独特でとても綺麗な世界観なのに、どこか冷たくて怖い感じがする。登場人物はひとりひとり美しいけど人間味が無くて精巧な作り物みたい。線の細いお人形のような少年を思い浮かべてた。
    ファンタジーなんだけど“わくわくする”というよりは全体的に少し暗めで恐ろしい。怖くないのに怖い夢を見ている気分になる。

    あのクロツグミは結局、アリスではなかったのか。無関係のクロツグミを蜜蜂は人間にしてしまったのか。タマゴから出てきた種はなんだったのか。物語のその後が気になる良い終わり方だった。

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    2018年03月18日
  • よろづ春夏冬中

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    長野まゆみさんの作品の中でもかなり好きです。一つ一つのお話が面白い。長野まゆみさんの本を読んだことがない人にもおすすめしたい

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    2018年03月07日