長野まゆみのレビュー一覧
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猫ってそっちの猫かーい!というツッコミは他の方のレビューを事前に読んでいたので出なかった。しかしこれまで読んできた長野さんの小説の中ではとりわけ耽美でしっとりしていた気がする。大変好きです。はい。
〈猫飼亭〉という立派な屋敷に住まう美しい兄弟たち。そしてその屋敷に誘われた青年たちに起こる不可思議な出来事を蠱惑的に描いた作品集。それぞれの話は独立しているが、共通して猫飼亭の兄弟たちとの関わりを持っている。長野さんの小説にありがちな、透明な細い糸で登場人物たちが実は繋がりを持っているという構造になっている。
最初と最後のお話では大学生の梓一朗が主人公となっている。一朗は女友達との旅行費を稼ぐため -
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長野まゆみさんの文章をまた味わいたくて比較的最近出たらしい本を購入。また例によって青年が主人公の作品で、読んでいる最中「好きだ~~!」と心の中で叫びをあげていた。
題名からして部屋探しストーリーなのかな?なんて思うがそんな単純な話では全くない。プロローグから、夢かうつつかわからないような遠い思い出話が始まる。あれ?これは部屋探しの話ではないのか?なんて思っていると次の章からは17歳の鳥貝くんの上京に伴う部屋探しが始まる。入学手続きを終えてから部屋探しを本格的に始めた彼は完全に乗り遅れてしまい、どこも契約済みであると諦め気味に大学の食堂で資料を広げて昼食をとっている。するとそこに、いい部屋がある -
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初読みの作家さん。結論から言うとドンピシャにタイプの文章。シンプルで静かだけど、その中にも美しさが垣間見えるような言葉遣い。国語の教科書に載ってそうな、読解問題向けの短編集だけど普通に趣味で読む分にも楽しいので、こういう物語に学生時代に出会えていたらよかったのになーという感じ。
本作は表題の「鳩の栖」以外にも中学生の男の子が主人公の短編が4作ある。作者のあとがきにも書いてあるように、この本は「騒がしい思いに駆られがちな年齢の彼らの、静かな部分を描いて」いる。大人に比べればまだ不自由な身で、どこか不器用さが残る少年たちの心の奥を描いた、四季折々の物語。友や家族との死別、複雑な家族構成など、様々な -
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ネタバレすごくいいはなしだった。
タイトルや表紙の球体関節人形から、初期の自動人形とかが出てくるファンタジーを想像して読んだら、全然違った。
放浪癖のある父と共に色々なところを転々とする主人公。
目立たないよう、疎まれないよう、周りを観察して、上手く立ち回る術が身についている。
他人と深く関わることをしない岬が、あるとき訪れた山あいの町の古ぼけた学校で、気になるふたりの少年に出会う。
他の作品だと、書き方がちょっと卑屈すぎたり、自意識過剰だったりで読みづらいときがあるんだけど、今回はさらりとしていて読みやすく、美しい文章だった。
最後の、手紙からの流れがぐっとくる。手紙がはさんである本って最強アイ -
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再読。レビューが低いのは、『猫好きで手に取ってみたらとんでもなくBLだったぜ!!オーマイ!!』のパターンですかね(笑)
綺麗な文体に隠語多用の耽美系長野作品です。
少年との絡みもあるので苦手な方はそっと本棚に戻されるのがよろしいかと思います。
隠語で濁してるけど察しがいいと(あるいは界隈に足突っ込んでいれば)、だいぶがっつりやっちゃってます。
私は高校時代に出会ってどっぷり自分のBLの基盤にしちゃったので、綺麗な文章で紡がれるこのお耽美な世界がたまらなく好きです。長野作品にお決まりのお兄さんや少年も好き。ヘテロだったのに絡まれちゃう主人公って展開も好き。
そんな方はぜひ。