あらすじ
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ケンタウリ・プロキシマ。"星の名前"を教えてくれた宵里という名の少年は、いつもアビを魅了してやまない。ソォダ水のはじける音、天使の枕、流星群の観測…秋の新学期から、翌年の夏期休暇まで、二人が過ごした一年足らずの日々を描く。幻の初期作品四冊が、今一冊になって甦る。
感情タグBEST3
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毎晩の読み聞かせで最近のお気に入り。
秋の新学期から翌年の夏季休暇まで、アビと宵里(しょうり)、2人の少年が過ごした一年の日々を描く。
私の高校もインターナショナルだったので、9月生を迎える秋の季節を懐かしく思い出した。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜に出てくるジョバンニとカンパネルラにも似た2人の少年の幻想的な世界観が美しい。
息子もちょっと大人びて天才気質の雰囲気の友人と深く付き合うことが多いので、2人の少年の日常という場面設定がしっくりくるようで、毎晩のように天球儀文庫読んで、とリクエストしてくる。
毎晩のイメージトリップが楽しくなる一冊。
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登場人物であるアビ、宵里、という名前から、美しいガラス細工のように作られた工芸品のような繊細さを感じる。小物や街の描写も奇麗。清潔に博物館の中に陳列されているミニチュアを観るような、そんな世界観を想う。
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アビと宵里、少年二人を中心に進むちょっと不思議な物語。
ドロップ水塔での別れにはちょっと泣いてしまった。
いつかまた二人が再会すると信じて。
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再読。
アビと宵里(しょうり)、少年たちの戻らない日々。
架空のキリスト教の国。
英国とフランスとイタリアが混ざった感じ。
秋、冬、春、夏、季節ごとの章立て。
単語がキラキラしてます。
筆記帳(ノオト)
腸詰肉(ソオセエジ)
シトロンソォダ
人工天体(サテライト)…
これは世に言うBLかしらと悩む。
うーん…否。
解説にも書かれていますが、物語性の強さからきっとこれは非BL。
自己と他者を同一視するんじゃなくて、区別して自立する展開は爽やかな余韻を残してくれます。
あーーでも、表紙は全然好きじゃない。
以前読んだ各章が一冊の本になってるやつはすてきだったのにな。残念。
Posted by ブクログ
作品社出版の芸術的な『天球儀文庫』シリーズの単行本もあるのだが、文庫本の表紙絵をどうしても手にしたくなり、改めて迎えたわけである。
・収録作品・
『天球儀文庫』
「月の輪船」「夜のプロキオン」「銀星ロケット」「ドロップ水塔」
長野まゆみ 天球儀通信/文庫版に際してのあとがき
中村えつこ・解説 少年はなぜいつもふたりなのか
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久々に、この時代の長野さんの本が読みたいな~と思っていたところ、本屋さんで発見。
持っていなかったので買ってしまいました。
4つのお話で構成されていますが、前半2話はファンタジーな感じ、後半2つは現実的な話で、前半と後半では書かれた時期が違うのかな?と思ってしまいました。(実際は半年くらい間があるよう。)
ストーリーはこの時代の長野さんらしく2人の少年のお話なのですが、やり取りというか関係性が何だか読んでいて恥ずかしく感じてしまいました。
わたしが年を取ったのか(わー)、最近の長野さんの作風に慣れてしまったからなのかはわかりません。
でも「幻想のゆくえ」と題されたあとがきを読んで、その恥ずかしさの意味が少しわかったような気がしました。
結末がちょっと、というかかなりの衝撃でした。
たとえば天体議会では銅貨と水連が喧嘩をしてしまい、関係を修復できず、友だちでなくなってしまうことをとても恐れているように、長野さんが主人公にする少年たちは、物理的にも心理的にも離ればなれになる(友だちじゃなくなる)のを一番の恐怖に思っているんじゃないかと考えていたので、この終わり方は全く予想できませんでした。
読んでいて切なくなってしまいました。
けれど「すっかり忘れてしまって、またいつかはじめて出逢えばいゝぢゃないか、知らない同士のような顔をして。」というセリフがいいなあと思いました。
こんなこと言ってるけど、お互いを信頼しているというか、友だちとして認めていなかったら、この言葉は出てこないですね(笑)
「いつかはじめて逢う日のために、新しい日常を過ごして行く。」
こういう考え方が高校生の時にできたら、もっと楽に生きられてたかもしれないなあ、と自分を振り返って思います。
今は近い考え方ができるようになったから、読んですごく納得しました。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
ケンタウリ・プロキシマ。
“星の名前”を教えてくれた宵里という名の少年は、
いつもアビを魅了してやまない。
ソォダ水のはじける音、天使の枕、流星群の観測…
秋の新学期から、翌年の夏期休暇まで、
二人が過ごした一年足らずの日々を描く。
幻の初期作品四冊が、今一冊になって甦る。
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初期の4冊も持っていますがこの話は大好きなので購入しました。
この頃の長野まゆみが好きです。
Posted by ブクログ
ケンタウリ・プロキシマ。
“星の名前”を教えてくれた宵里という名の少年は、
いつもアビを魅了してやまない。
ソォダ水のはじける音、天使の枕、流星群の観測…
秋の新学期から、翌年の夏期休暇まで、
二人が過ごした一年足らずの日々を描く。
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月の輪船、夜のプロキオン、銀星ロケット、ドロップ水塔の4作を収録。
どこか外国を思わせる建築物や行事。
不思議な出来事と、当たり前の日常と
小さなエピソードの連続だけど全ては貴重なこと。
季節の表現や小物遣いや言葉の選び方が絶妙。
言わなくていいこと。今言わなければいけないこと。
思わず口にしてしまったこと。
言いたくても言えないこと。
わかってるのに。わかってるけど・・・
そういうジレンマというか心のヒダの表現が巧みです。
少年の心の描写は、長野さんが一番だと思う。
最後はアビが宵里の背中を押します。
「すっかり忘れてしまって、またいつか
はじめて出遭えばいいぢゃないか」
いいなぁ〜甘えてない男の友情。
女の子には無理だろうなぁ。
Posted by ブクログ
個人的に好きな感情であふれていたと思う。焦燥感と好感がいりまじって
不安が生じるような。あと、嫉妬とかね。あの独特の「におい」もほのかにただよってるような
気もしたけど、私は別段意識せずに読めた。
Posted by ブクログ
耳をすませばのしずくが書く小説の中の世界みたいな、不思議な世界観。品の良いお洒落な風景と少年たちの幻のような時間が、清涼な読後感を誘います。私が呼んだのは文庫版ではなく4篇それぞれが一冊の本になっているもので、中の装丁もとても美しい。レコードのノイズをソーダの音と表現してみたり、雪雲を天使の枕と言ってみたり、表現の一つ一つが上質なファンタジーで、久々に夢中になって読んでしまいました。
Posted by ブクログ
別れても、また何度でも巡り合って、そしてその度、惹かれ合う。友情ってこういうことじゃない?という長野先生の気持ちがストレートに描かれている。この意見に対して、率直に素敵だなと思った。過ごした時間分増えていくような甘さや馴れ合いではなくて、お互い良いと思えるような点を持ち続けている友情が。
長野先生の作品の中でもかなりわかりやすい部類のものかと思う。
Posted by ブクログ
初期作品の4冊が1冊になったもの。
相変わらず二人の少年の友情を描いたものだが、珍しいことに友情とはこんなものだとラストに描かれている。
その言葉はとても重く、少し悲しい。
でもそうなのかもしれない。
大人っぽい考えの少年と、子供っぽい少年のコンビが面白い。
Posted by ブクログ
懐かしさに思わず手にとってしまった一冊。
20代のはじめぐらいまでは彼女の本が好きですごくよく読んでいたので・・・。
やっぱり初期の世界観が私は一番ぐっと来ます。
Posted by ブクログ
アビと宵里の二人の少年の短編集。爽やかな友情。最後の別れが寂しいけど、前向きな気持ちにさせてくれる。
「すっかり忘れてしまって、またいつかはじめて出逢えばいゝぢゃないか。」
Posted by ブクログ
二人少年ものの中で好きな作品の一つ。再読。
離れて別の道を歩み、違う経験をしても、必ずまたどこかで、もう一度初めて出逢って、知らん顔でまた友達になる、って云う宵里の考え方。アビも云うようにわたしも凄くすきです。
個人的には夜のプロキオンと銀星ロケットがすき。特に後者は、喧嘩したときの気まずい感じとか、なんとなく仲直りするあの感じとかがあったっかくって良かった。
Posted by ブクログ
長野まゆみ作品は、90年代のものが好きです。最近のは少年が出てこなくて寂しい;
アビが可愛いですよ・・・!構ってもらえなくて拗ねるとか・・最高☆
Posted by ブクログ
◼️ 長野まゆみ「天球儀文庫」
少年たちの1年。交歓と喪失。長野まゆみの風味満載。
この本のあとがきに著者も書いているように、最近の長野まゆみは作風が変わって、かなり日本的で文調も味のある、現実的な社会を取り入れて感の強いものもある。今作は初期作品のテイストで、西洋っぽい世界で、たぶん美しい少年2人の、危うさと感情の起伏を含んだ友情を描いている。もちろん凝った言葉と小道具、微妙な想い満載のメルヘンチックな物語。
アビは、かつてケンタウルス座のケンタウリ・プロキシマという星の名前を教えてくれた宵里(しょうり)といつもつるんでいる。宵里はガラスペンと水溶きのインクを愛用し、大人びてドライ。アビはやや子供っぽい感情の持ち主。授業では碧睛(へきがん)の教師が、鳥の翼の構造を教えている。9月の昼休み、2人は売店で三日月パンと腸詰肉(ソオセエジ)、シトロンソォダのランチをする。中庭では校舎に幕を張って、恒例の野外映画会が行われる。2人は、仮の映写室となる音楽室へと行き、そこで、おととし聴こえてきた歌と、澄明な睛(ひとみ)の少年を思い出すー。
この話の「月の輪船」と「夜のプロキオン」「銀星ロケット」「ドロップ水塔」の4篇が収録されている。2話めはクリスマス頃の話、3話めは春、季節がひとめぐりし、関係性に変化がもたらされる。
おそらく美少年と思われる主演たち、古代天球儀のレプリカが取り付けられ、粋な企画をする学舎では専門的で不思議な授業が行われる。文具、食べ物飲み物、言葉は斜め上を行っている感じ。最初からしても橄欖(オリイヴ)、呉藍(くれない)、濃紺(プルシアン)、洋墨(インク)、翠色などなどなど。
学校がある島ではロケットの打ち上げがあったり、流星群を見るのに船が出たり。私はけっこうこの舞台立てや美少年2人の動き、少女マンガの美少年同士のような心の動きは、「パタリロ!」を思い出す。この異世界感を好んで、楽しんでいる。
「少年アリス」「野ばら」あたりが定番だが、「天体議会」、またちょっとテイストは違うが「カンパネルラ」は名作かと思った。
降りに触れ、筆致が変わる前の作品を読もうかなと。古本屋にあったら誘い込まれる感じがする。言葉遊び、小粋な小道具と意外な展開。うん、フェイバリットだ。
Posted by ブクログ
二人の少年が登場して物語が展開しますが、本作はそれぞれの兄や親族が「意図的に」登場します。
長野さんの小説は、時間の止まった箱庭のような雰囲気がありますが、本作は時間軸を意識させられ、少年たちが成長して大人になっていくことを想像させます。
Posted by ブクログ
彼らが彼らでいられる時間が短いから、こんなに燦めいて見えるのかなと思います。
言葉遣いも行動も丁寧じゃないのに、上品さは全く失われなくて長野作品の少年は良いです。
Posted by ブクログ
今や幻想のかたちが変わった、か。文庫化からさらに数年を経た現在に住まう僕らにとって、幻想のリアル(変な言葉だけど)とはなんだろう。
長野まゆみのあとがきはと書きたかったけど、そういえばあとがきを読んだ覚えがない。数冊めくってみたらばやはりそう、あとがき自体書かれていなかった。いいあとがきに出会うと作品の印象が固定化されてしまうからあまり好きではないけれど、いいものはいいんだからしょうがない。
Posted by ブクログ
奇麗な本だなっと思いました
少年少女時代にしか見えないような
キラキラとした豊かな表現がものすごく素敵!
この本のおかげで鉱石に興味が湧きました
長野まゆみさん作品ではこの二人の主人公が特段好きだ。
Posted by ブクログ
アビと宵里の二人の少年の日常のやり取りという、作者が得意なパターン。
夜の映画会の雰囲気が素敵。
女とは違って、男の友情は表面はサバサバしていても実は熱いもの、というのを期待してしまうところがある。