長野まゆみのレビュー一覧
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4部作の完結編。
凛一は大学2年生になり、同じく京都の大学へ進学した、
ひとつ下の従弟、正午と暮らしている。
嬉しかったのは、有沢さんが再び登場したこと。
なんでこんなに、魅力的なんだろうこの人!狡いよ!
3作目の「彼等」で千迅さんが凛一に言ってたけど、
「なにがどういいのか。ただの男だろう、どうしてそう惚れるんだ」
って、ほんとだよ・・・。氷川さんも確かに素敵だけどさ・・・。
有沢さんのどこが不足なんだ、凛一~
でもたぶんそういうことじゃないんだろうな。
凛一はもともと無意識のうちに、自分を傷つける、酷い扱いをする人に寄っていくし、
避けようと思えば避けられたのに結果的に自分が傷つく -
Posted by ブクログ
「原爆」がテーマの本作。けれど、その瞬間も以後の世界も描かれていません。そこにいたるまでの日常が描かれた、緩やかで温かな青春小説です。だからこそ、以後を知る私たちには言いようのない虚無感と怒りがわいてくるのです。
ところで、文庫版は、東日本大震災のすぐ後に出されました。あるボランティア団体は、3月10日、つまり震災前日に鎮魂の花火を打ち上げています。「3月11日は、どうしたって忘れない。そうじゃなくて、最後の日常だった3月10日を、その日常を忘れないために、花火を打ち上げようと思う」そんな趣旨だったと記憶しています。
この本もきっと、そんな鎮魂の儀式の一つです。原爆を忘れないために、原爆以前 -
Posted by ブクログ
ネタバレ臨時の理科教師をしている紺野先生の赴任先でのエピソードが書かれています。
それぞれのお話にはナンバーがふられており、18のお話がおさめられています。
長野さんのお話って海か山のどちらかを舞台にした話が多いイメージなのですが、このお話は海に近い学校にも山の中にある学校にも紺野先生が赴任します。
鳥や植物などは実在のものも出てきますが、狐火虫とか氷河星とか不思議なものも出てきて、あまり詳しくない私なんかはつい信じ込んでしまいそうです。
5番目のお話に出てくる揚げ菓子は風船のようにふくらんだ、という表現がカフェ・ドゥ・モンドで食べられるベニエを想像させます。こちらは揚げたあとに砂糖やシナモンをか