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Posted by ブクログ 2023年03月31日
著者の「よろづ春夏冬中」『雨師』の市村兄弟、橘河が作品の中心として登場する。
「よろず〜」を読んだ時には、こんな作品につながっているとは思わず、「あめふらし」では不思議な世界がさらに広がり、幽玄な雰囲気を楽しめた。
ウヅマキ商會という不思議ななんでも屋を舞台に一癖も二癖もある社長の橘河・部下の仲村に...続きを読む翻弄される市村。
物語は不可思議で、彼岸と此岸とその狭間を、行きつ戻りつするような感覚を覚える。
鮮明な映像を見ているつもりが、いつのまにか8ミリビデオの映像に変わっていて、不鮮明で不確かな世界になっており、足元をすくわれる。
読者はその都度、トラブルに巻き込まれる市村の困惑を疑似体験する。
この不思議な世界観は著者の醍醐味だなぁと感じさせられる作品。
各章において、どことなく湿度を感じる話で、「あめふらし」という表題は納得。
短編だけれども物語はきちんと繋がっています!
些細なところが重要なことへと繋がっていたりしているので最初から最後まできちんと読むべきです!!
直接的な表現も長野さんが表した言葉になると柔らかで妖しい印象になるのが不思議でどんどん物語に引き込まれます。
Posted by ブクログ 2012年05月19日
不思議で妖しい、ほんのり切ない和風幻想譚。
登場人物がほぼ同じ短編から成り立っていて、単に起こる出来事を淡々と描いていくだけかと思えば、終わりの方になってそうだったのか、と絡まった毛糸がほどけるようにつながりが分かり、静かな興奮を覚えた。
とはいえ時間軸もあやふやで、まるで時空の渦の中に放り込まれて...続きを読む左右が分からないような状態。もう一度読みたい。
大好きな一冊。
Posted by ブクログ 2014年02月24日
長野作品の中で最も好きな一冊。
妖しさが怪しさを呼ぶとでもいえばよいのか…。
日常から一枚隔てた幻想を描く、いわゆるロウ・ファンタジーとしては非常に読み応えあり。
自分にとっては珍しく手放しで「イイ」と思える1冊だった。
Posted by ブクログ 2012年03月30日
始まりは奇妙な男から始まる。登場人物は、橘河、仲村、さゆり、橘河の嫁や鳩彦。主人公は市村だった。文春文庫とあって文章は読みやすいうえに文学的で、機械的な描写だけではなくイロを持たせるのがとても素敵だった。同性愛表現もあることで有名な長野まゆみさんだが、『あめふらし』は隠語や遠まわしな表現、それから直...続きを読む接的ではない言い回しをしているから、村上春樹の「ノルウェイの森」のような衝撃はなかったものの、まるで浮世絵や花魁の華やかな世界のようにあでやかだった。幻想的で妖怪をベースにしていることからエンターテインメントとして十分と私としては楽しめたし、何よりわかりやすい文章と穏やかな語り口でとても穏やかに読むことができた。
Posted by ブクログ 2018年10月20日
梨木香歩が好きな人にはいいかも!千野帽子の解説もいい。奇妙で冷たくて湿っている。わけのわからなさとホラーとエロが同居。ストーリーよりも世界を感じたい。
Posted by ブクログ 2016年01月20日
最初から最後までもろBLだった。知らずに読んだので驚いた。BLはあまり得意ではないけど、面白かった。
わかったようなわからないような、文体も含め、夢うつつのまま流れるような。もっと知りたいなぁ、この世界観、と思っているうちに終わってしまったが、消化不良ではなく、勿体ないから、わからないまま取っておこ...続きを読むうと思えた。
Posted by ブクログ 2013年08月21日
先に『雪花草子』を読んでしまったので、衝撃度が薄まれましたけど、こちらも、じゅうぶん妖しい。
携帯電話が圏外、という文字が出てきて、あ、そうか現代なんだなと気付かされますが、読んでいるといつの間にか、昭和初期のノスタルジックな世界感に浸ってしまいました。
冒頭の「空蝉」が切ない。
最後の「雨宿」...続きを読むに胸キュン。
もやもや~っとした感じを引きずりながら、また、頁をめくってしまいます。
Posted by ブクログ 2010年12月06日
珍しく読みやすいお話でした
相変わらず美しい叙事表現と摩訶不思議なキャラクター構成
長野まゆみのプロットって大変興味あります
あの人の頭の中ではどういう風に接続されるの?
Posted by ブクログ 2010年03月26日
初期作品が硬質的で凛と冷えた感じがするならば、これは湿気を含んだ熱っぽさを感じます。しかし魂は同じという印象ですね。実に創り込んだ怪しく妖しい物語。外枠だけ描写して読み手の想像妄想を膨らませる文章が面白い。そこがまた初期より変わらぬ長野まゆみの魅力ですな。
Posted by ブクログ 2010年02月05日
本作は『よろづ春夏冬中』の「雨師(うし)」とリンクしている。
よろづ・・・は短編集であって、BLをニオワセル作品も
あるにはあったけど、不思議な話も含まれていて
中でも「雨師」はお気に入りだった。
祖父の残した古屋に住む市村兄弟。
奇妙な兄弟ではあるが、弟君の方がすっとぼけている。
梨...続きを読む木香歩さんの「家守綺譚」の主人公のような感じ。
不可思議な状況を「まぁ~いいか」と受け入れてしまう。
そこで雨漏り診断士と名乗る知らない男と出会うのだが
この男こそ、本作の主人公?というより黒幕のあめふらし。
あめふらしとは、タマシイを捕らえる事を
生業とするモノのことである。
この男、橘河はウヅマキ商會の社長であり
表向きの仕事は何でも屋である。
舞い込む仕事は実に奇妙なものばかり。
蛇を捕まえに行ったら、死んだ娘と結婚する羽目になったり
傘を届けて欲しいと依頼され、40年前の世界に向かったり
時として危険な目に遭う。
橘河が助けてはくれるが、厄介な同業もいる。
8つの章に分かれているが、別の話しのようでいて、
実は繋がっていて、少しずつ色んな事がわかっていく。
ファンタジーではなく、和風の幻想奇譚という表現が合う。
ふいに紛れ込む現実とあの世の狭間のような世界。
この作品にはやたらと蛇をにおわせるモノが出てくる。
それと同時に水も多くでてくる。
作品全体が、水を含んでるような感じなのだ。
二つの世を分けるのは水なんだと思わずにはいられない。
奇妙な世界に大満足でした。
Posted by ブクログ 2009年11月13日
書き方が一番目に付いたな。
前読んでから期間空いたからかもだけど。
変わったね。
かぎ括弧をあまり使ってなくて、会話も地の文に書いてしまうの。
それでもやっぱり掴めそうで掴めない文体は変わってなくて。
その微妙な感覚、好きだな。
あめふらし。
良いね。
ただ少し、市村さんが気がかり。
知らない事が多...続きを読むくて、多すぎて。
可愛そう。
…そうだね、敢えてこの字を使おう。
可愛そう。
ふふ、良いね、あめふらし。
Posted by ブクログ 2021年11月22日
再読でも世界を掴むのが難しかったです。でも決して嫌いではない世界。気を抜いたら魂を取られてしまいそうで生き抜くのが過酷そうだけれど。。
市村くんはあんなに訳わかってなくても生きていられるのが不思議…と思ったら亡くなってるっぽい。誰が生者で誰が死者なのか…揺蕩うお話でした。
Posted by ブクログ 2016年03月05日
数年ぶりの再読。タマシイをつかまえる"あめふらし"橘河。義理の息子の身体に移り棲んだ仲村。橘河にタマシイを拾われた市村。ナカヂマ商會で繰り広げられる不思議なタマシイにまつわる色々。読んでも謎が明らかになるわけではなく。義理の息子のタマシイはどこへ行ったのか、峠は何者なのか、彼が生...続きを読むみ出したタマシイ(岬)とは?謎な部分を想像するのも楽しい。
よくわからなくても、文章が素晴らしいので、深く考えずにこの妖しく美しい世界に揺蕩うだけでも心地よい。
Posted by ブクログ 2013年08月07日
相変わらずの長野ワールド。『よろづ春夏冬中』に出てきた橘河、市村兄弟が再出。そういうことか〜と納得のいく部分もあり、まだまだ理解できない部分もあり。それでも、タマシイとか異界とか、この妖しく不思議な世界観は好き。また時間をおいて読み返してみたい。
Posted by ブクログ 2013年06月19日
市村青年の鈍さというか天然さに襟首掴んで揺さぶりたくなる気持ちで読み終えてしまいました。彼と兄がどこへ行ったのか、改めて想像するために時間を置いてからまた読みたいです。
思わせぶりな会話と肝心な部分の描写を省いた、読者の想像を掻き立てる物語。長野さんの作品によくあるこの雰囲気をなんと表現するのが適...続きを読む当かわかりませんが、一言で表すなら妖しいです。
私は子供の頃に初期の長野さんの作品でファンになった層なので、こういった雰囲気の作品に抵抗を覚えないではないですが、文章そのものの美しさは流石。解説の言葉をお借りするのであれば、私にとって長野さんは「ひとり一ジャンルの小説家」です。表現するものが変わっても、長野さんは長野さんだな、と。これからも読み続ける作家さんのお一人だと思います。
Posted by ブクログ 2012年10月06日
プロローグとエピローグは謎でした。まさに、なにがなにやら、状態です。
本編だけでも十分に作品として成り立ちますし、スッキリとした印象を持てます。が、相変わらずの同性愛。
蛇の話はおもしろかったですが、同性愛。初期のような作品はもう書かれないのだろうか? だとすれば非常に残念ですね。
Posted by ブクログ 2012年05月07日
蛇!
予想以上に蛇の話。
印象としてクリムトの「水蛇」。
長野まゆみ版「水蛇」。
昭和30年代の怪しげな感じと合わさって、なんとも。
わたしにはプロローグとエピローグ必要ない・・・
あーでもーそしたらだめなのかなー作品として・・・うーん。
ライトノベル(定義はわかりませんが)ぽいのに違う。
語彙...続きを読むの多さとか、世界観の深さとか、それが長野さんの実力なんだと思う。
計算された、絶妙な軽さです。
個人的にはもう少し一般的なのがよかったけど。
Posted by ブクログ 2012年01月02日
相変わらず何がなんだかよくわからないまま終わったけどまあこんなもんだなと慣れてきた。
やっぱり雰囲気がすごく好き、ぬるぬるっと気味悪くて艶やかな感じ。市村の不憫さも好きです。
Posted by ブクログ 2011年12月15日
相変わらずの不思議な雰囲気。怪しいけど、いやらしさは感じられないのが長野さんの作風なのかな。
あめふらしの仕事振りは空間や時空を気にしないようなのでなんだかわからない部分が多かったけど、それはそれで作品の良さだと思う。
また読み返したい。
Posted by ブクログ 2011年12月04日
作者買いであり、タイトル買いであり、ジャケ買い
ただ、落ち着かない中で読んだからだろうか、あまり内容が頭に入ってこなかった……
こういうお話の雰囲気が好きです
ヒトとヒトで無いもの、現在と過去、現と夢……
境界があいまいで、ふわふわとたゆたっているような、優しくて切ない雰囲気でした...続きを読む
なんだか大切なことを言っているような気がするけど、橘川や仲村にはぐらかされる市村のように、全貌がつかめません
そしてBL要素が要るか要らないかと聞かれたら要ると答えるけれども(腐女子だからね)
少しくどいような気もする
Posted by ブクログ 2010年03月17日
読んでるうちに辺りが、じっとり蒸し暑くなるような、長野まゆみ作品は、情景描写が仔細。
文章にひきつけられるうちに読み終わっていました。この世界観に浸っていたいな~なんて思っているうちに幕引き、後切れも良かった。
なーんか、似た雰囲気のお話あったような、と思ったてたら、解説が。「よろづ春夏冬中」の雨師...続きを読むを元としてたんですね!そういえば~(←忘れていました)この流れで読み返すかなー。