長野まゆみのレビュー一覧
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長野まゆみの初期作品、ということで読んでみた。世界観は耽美でほんのひと匙背中が冷やっとするような怖さがエッセンスとして滴らせられているといった感じだ。夢の中を巡りながら自ら(?)それに溺れる少年の世界が現と交互にループする構成になっていて、真夜中に読むのにうってつけな作品だ。夢の内容が、主人公月彦の精神世界と何か繋がりがあるのなら、そこまで書いて欲しかったような気がするが、そこは想像で愉しむべきなのかもしれない。解説も非常に面白かったので是非読んでほしい。
長野まゆみは児童文学っぽさを持った作家だと感じているが、これは大人でも楽しめる。玻璃のように繊細で儚げな少年少女の不安定な時期の心を懐かしむことが出来た。それと同時に幻想的な冷たい夢の世界も味わえた。 -
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『左近の桜』の続編。
濃密な香りが漂ってくるような十二の短編。
桜蔵の小学生の頃からの友人である久生(ひさお)が、長身で大柄な見た目とは裏腹に穏やかな性格なのがとても良い。彼女もいるようだけれど、弥(はるや)も久生のことを狙っているようで、この三人が今後どうなっていくのか見てみたい。
「最後に抱かせて、きみのからだを。鐘が鳴り終わるまえに。」
本作では『灰かぶり』がお気に入り。
桜蔵に無理矢理ドレスを着せて共に楽園を目指そうとするブロンドの髪に碧眼の美少年。桜蔵にとっては迷惑な話で、理不尽でしかないけれど…。
彼が処分されずに済んだみたいでよかったです。遠子さんはやっぱり侮れない人だなぁ。
最後の章『桜守』では、柾や桜蔵の母と関係の深い桜生(さくらお)のことについて少し触れられていて、桜蔵の祖母や柾は時々、桜蔵の姿に桜生を重ねて見ていたのかもしれないなぁ…なんて思いました。
最後の最後に思わぬ展開を見せた桜蔵と柾。
彼らのこれからの生活がどうなるのかとても気になります。
「左近」から離れて大学生となる桜蔵に穏やかな春が訪れるといいな。
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桜の咲く季節に再読。
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主に男同士の逢瀬に利用される隠れ宿「左近」で暮らす高校二年生の左近桜蔵。
駅頭で見知らぬ男を拾ったのをきっかけに、度々得体の知れない男を拾うことになる。
全部で十二の短編。どのお話も丁度良い長さで、文の締め括りもテンポが良く、とても読みやすい。短編どうしで所々話が繋がっているのもあったりで面白いです。
昔から桜蔵に御伽話を語り聞かせていた父親の柾。会話の口調からも感じられるんですが、とっても格好良い。医師でもあり、物腰の優しそうな、けれど隙のない感じがとってもすきです。言葉の端々や些細な動作からも色気が出ているようで、様々な人を惹きつけているのも納得…。
『秋草の譜』では桜蔵を助けたり、なんやかんやで優しい一面がある。『瓜食めば』で泥水に飲み込まれた桜蔵を抱きしめたのは、もしかして柾なのかも…なんて思ったりもしました。桜蔵が男を拾ってくるのを承知で頼みごとをしているあたり、柾は何かしらの事情を、ある程度知っているんだろうな。そんな柾の思惑にまんまと嵌められていながらも、彼に片想いしている桜蔵も健気で可愛いです。
毎回、事あるごとに男を拾っては、相手に一方的にされるがままになっている桜蔵は少し不憫に思える。…けれど、意識が途切れたり、朝起きたら裸だったなんて描写もあって、相手を思いっきり拒絶している感じもあんまりない。体は男だけど、タマシイは女…(?)タマシイの方が欲望に従いやすいのかも…。
そして、そんな描写も決して直接的に書かずに、ぼやかして、少し匂わせる程度に描かれていて長野まゆみさんの語彙力には圧巻。隠語や皮肉も艶っぽさが出ていて美しく感じる。まるで、曇りガラスを通してこの「左近」の世界を覗いているようで、ドキドキしながら読んでいました。
個人的に『海市』が一番のお気に入りです。まるで、浦島太郎になったような、蔵の中で賑やかな宴会に迷い込み、いつの間にか桜蔵も着物を着ている。盃から溢れる酒が桜の花びらとなって桜蔵を包み、埋もれていく。満開の桜の下で弥と交わした会話。めまぐるしく変化する場面描写や夢と現が曖昧で幻想的な世界。解説のお話でもありましたが、初期の頃の『少年アリス』や『天体議会』とはまた違った長野ワールドを存分に堪能することができました。
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この、『左近の桜』の続編にあたる『咲くや、この花』もまた読み返したい。 -
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再読。
✦黄石英(シトリン)
✦白磁(ビスク)
✦水先案内(カノープス)
✦万華鏡(カレイド・スコープ)
…言葉の一つ一つがきらきらと輝いていて鉱石倶楽部のお菓子や鉱石は、その原石の輝きや香りまでもが伝わってくるような気さえしました。
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些細な事で喧嘩をしてしまった銅貨と水蓮が仲直りをする場面と、銅貨が兄の藍生と展望室へ昇る場面がとても印象的。
度々2人の前に現れる謎の美少年…“自動人形”と噂されていたけれど、“自動人形”と疑っていた水蓮も目の中に石が入っていたり、何日も食事をしなくても平気だったり…案外、水蓮も自動人形だったりして…
……そう思わせる程浮世離れした存在というのも彼の魅力の一つですね。
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ライカという名前の煙草。
調べてみると、実際に存在していたらしく、パッケージの画像を見て私も一目惚れしてしまいました…。もう手に入らない代物なのが惜しいです。
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作中で、銅貨と水蓮が天体議会の招集でロケットや星座の観測をしているのをみて、私も今冬は地元のプラネタリウムに友だちを誘って、一緒に星を観ようと思いました!