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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「兄さん、あの署名、――あれはどう云う意味。自分の名前を記せばいゝのに」。緑に深く埋もれた祖父の家で、ひとり療養する兄の夏織。気怠い夏の空気の中、弟の柊一は兄の隠れ処を探して川を遡っていく。
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Posted by ブクログ
長野さんの作品の中で一番好きな話。兄弟のすれ違ってる感じとか、でもきっと、同じ事考えてるんだろうなとか、いろんな事考えながら読んだ記憶が。あんな場所に行ってみたいと言うか住みたい。
今まで読んだ長野さんの作品の中で、雰囲気と場面設定は一番好きかもしれない。 この本のあらすじは?って言われても、言いようがない感じ。ストーリーというよりはこの世界観全部を感じて読むみたいな。 涼しくなるお話。相変わらずうつくしい。
よくわからなかったけど、この人の作品は内容より描写を楽しむものと思っている節がある私なのでこれもやはり好きです。 やっぱりこの空気感、澄んだ表現、たまらない。 「銀木犀」と似ているけれど、なにか関連があるのだろうか。
風景の描写がすごい。木々の息づかいが伝わってきそう。後半の現実と幻想の曖昧になってゆく感じがたまらない。
舞台は気怠い夏の深い緑と川・・・年に1度しか会えないから、後姿ならはっきりと思い出せるのに、いつも不鮮明で思い出せない兄の顔。そんな兄が毎日出かける「隠れ処」・・・突如現れた少年・・・宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出て来る少年の名前といえば、わかるかなぁ。霞みがかかったような景色の中での不思議で切ない...続きを読む数日間・・・
自分だけの秘密の場所を持ったことはありますか?そっけない兄が正午何処へ行っているのか。弟は兄を知る為に川を登り、ひっそりと生える銀木犀を見つける。そっけない兄と兄を追いかける弟のお話。真夏の森林浴のイメージ。
ほわほわと存在感のない人々が、ほわほわと同じ場所を行ったり来たり。ロケシーン少な過ぎの低予算映画かよ!って小説だけど。 まぁ存在感のなさで言うなら爺ちゃんは本当に存在したのか謎。死んでんじゃねーのか。爺さんを殺してその罪悪感に苛ませるままに幻覚に囚われて第二の人格お兄ちゃんを生み出して最終的には誰も...続きを読むいない一人きりで爺ちゃんを埋めたところに生えてきた銀木犀がすくすく育って犯罪がバレる、という話になってた。嘘だけど。 そんなこんなで実際にはほわほわだった。
カンパネルラと言う題名で選んだ本でしたが、長野まゆみさんの少年アリスを読んだ事があるので期待して読みました。子供の頃銀河鉄道が本当に走っている光景を信じていた幼い私。カンパネラはザネリを救うために川へ入りそのまま帰ってこなかった、夏織も又帰って来なかった、その存在すら曖昧になっていった。カンパネルラ...続きを読むは宮澤賢治ファンにとってむやみに使う事は許せないのですが、私の中ではOKでした。
こちらも夏の清涼剤でした。 夏織は初めから居なかったのでは…と思います。 柊一とのやりとりしか無いですし。柊一は夏織が療養していると思っているけど、既に他界しているのでは。。 こちらの長野さんはどんどん自分が不安定になっていく感覚があります。でも不快では全くなく、心細いけれどどこか陶酔してしまいます...続きを読む。
色鮮やかな風景描写が美しい。目を閉じたらその光景が浮かんできそうです。特に朝昼夜で顔を変える川の水面の描写が秀逸だと思った。柊一が透明な水の中を泳ぐシーンが印象的でした。読んでいるとこっちまで心地よくなってくる文章。植物描写が綺麗な小説にハズレなし。 年に一度しか会えない病弱な兄、香織。兄を慕いつつ...続きを読むもどうしても兄の顔が思い出せない柊一。いつも思い出せるのは兄の後姿、というのが切ない。 ラストの展開はちょっと謎だったけど、色々考察するよりも雰囲気を楽しむ小説だと思った。
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