【感想・ネタバレ】カンパネルラのレビュー

あらすじ

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「兄さん、あの署名、――あれはどう云う意味。自分の名前を記せばいゝのに」。緑に深く埋もれた祖父の家で、ひとり療養する兄の夏織。気怠い夏の空気の中、弟の柊一は兄の隠れ処を探して川を遡っていく。

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ネタバレ

再………読。この時期にぴったりの一冊です。しかし久し振りに読んでみて【カンパネルラ】は仲間を探して死に引き摺り込む、幽霊としか見られなくなっていました。がっくり。これを読むと、銀木犀も読みたくなるね!

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2014年10月11日

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ネタバレ

硝子の小魚の役割がよく分からなかった。銀木犀が夏織を鳥かごのように抱いていたシーンが頭に残った。柊一が手を伸ばしても、夏織の青白い手のみが残ったのが不思議。何故、手だけが残った?柊一が来るずっと前から、少しずつ少しずつ、夏織はカンパネルラ(=銀木犀?)に取り込まれていってしまっていたような気がした。一体化とは少し違うかな?麻薬に依存するような、一方的な感じ。神隠しのような、幻想的で怖いところがあった。

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2013年01月22日

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長野さんの作品の中で一番好きな話。兄弟のすれ違ってる感じとか、でもきっと、同じ事考えてるんだろうなとか、いろんな事考えながら読んだ記憶が。あんな場所に行ってみたいと言うか住みたい。

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2009年10月04日

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ネタバレ

約20年ぶりに再読。
長野まゆみ作品を読むこと自体が約15年ぶりくらい。昔ファンでした。
いやぁ耽美ですね!
懐かしいというか、当時は登場人物達に萌えながら読んでいたのだけど、やっぱり久しぶりに読んでも、きょうだいのつれない感じに萌えますね(笑)。
あと自然風景の描写がさすが緻密で美しいのだが、しばらくこの世界から離れていた私には情景を想像するのが難しかったです。当時の私は理解できていたのだろうか。

簡単なあらすじ。
夏、祖父の家で療養している兄・夏織を訪れた弟・柊一。冷たい態度の兄に焦がれる柊一は、お土産の硝子の小魚を渡そうにも渡せない。
常に眠っているイメージの祖父に読み聞かせを兄と交替ですることになった柊一は、本にはさまれた兄が描いた絵を見つける。署名にはなぜか「カンパネルラ」。
兄が午後から川をボートで漕いでどこかへ行くのを気にした柊一は、兄の秘密の隠れ処であろう場所を見つける。
と同時に、兄の描いた絵が変化していく……。

なぜ、カンパネルラと署名したのか?絵にはどんな秘密が隠されているのか? と謎を追いつつ読み進められたのが楽しかった反面、明確に謎が解明されないまま終わりました。

だいたい耽美、幻想的な作風というのは、ストーリーではなく世界観に耽溺するものなので、何がどうなったとハッキリ解明するのも野暮なんですが。
たぶん、夏織は、みんな大好きカンパネルラ(銀河鉄道の夜)その人だったか、もしくは、カンパネルラに惹かれて連れ去られた結果カンパネルラ的存在になったか。つまり、柊一が祖父の家を訪れた時点であの世の人だった、もしくは死後まもない状態だったか。
要するに、兄が天上へ旅立とうとする時の柊一の心情をファンタジックに描いたのがこの作品なのかな。祖父も生きてんだかよくわからない存在だし、河畔の風景も柊一の心の中の風景なのか……、
とか解説しちゃうとなんか、やはり野暮ったくなってしまいましたね。
幻想は幻想のままが良いのですね。

最後は柊一も兄の後を追っちゃうのかな? カンパネルラに呼ばれて、三途の川を渡るのか渡らないのか。

またいろいろと再読したいな〜と思うけど作品数が多いので読破するにはかなりかかりそう。

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2023年03月06日

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ネタバレ

夏なので夏っぽい長野まゆみ作品を再読しようキャンペーンそのさん。これも10年ぶり。
これの後に『銀木犀』なんかを読むとごっちゃになる。

緑と透き通った水と、そこに溶けてしまいそうな兄と、(もうすでに溶けてるかもしれない祖父と)謎の少年がいる話。色合いが澄んでてきれいで涼しくなるよ。
柊一が誰かとコミュニケーション取ってる感じがしないのよねこの話。『銀木犀』もそんな印象があったけど(読んだのは10年くらい前やけど)たったひとりで動いてる感じがする。もちろん兄とやりとりしてる描写あるんやけど、顔も見てない憶えてられないていうのはものすごい夢の中感。

カンパネルラは、後書きによると「誰にとっても自由であり、特定されることを拒む少年の名を、描くことのできない少年の代名詞として拝借した」んだそうだ。
そういう存在と、兄との境界が分からんようになったのね。しかも、それがこれまで冷たい、でも心を通わせたい兄に向けて欲しいと思っていた顔と重なっている。

匂いに誘われて植物にくわれる話、萩尾望都にもあったよね。

ところで、後書きの改訂前銀河鉄道の夜の構成がごそっと変わってるという話結構衝撃やぞ。

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2016年07月21日

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ネタバレ

耽美だなぁ。とひたすらに思う。それは文章がそうさせるだけでなくて文字列の並びや空白、踊る反復記号やフォントにもそう見せられている気がする。

或る夏の兄弟の物語だけれども、そこにはただの普通の兄弟でない緊張感と期待と異世界の空気が漂う。

最初の場面で既に読者も柊一もこの現世から離れて違う場所へ取り込まれる。そうしてから柊一はひたすらに兄・夏織を捉えようと自分の世界に見出そうとする。

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2013年01月16日

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今まで読んだ長野さんの作品の中で、雰囲気と場面設定は一番好きかもしれない。
この本のあらすじは?って言われても、言いようがない感じ。ストーリーというよりはこの世界観全部を感じて読むみたいな。
涼しくなるお話。相変わらずうつくしい。

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2011年07月15日

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よくわからなかったけど、この人の作品は内容より描写を楽しむものと思っている節がある私なのでこれもやはり好きです。
やっぱりこの空気感、澄んだ表現、たまらない。
「銀木犀」と似ているけれど、なにか関連があるのだろうか。

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2011年02月17日

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風景の描写がすごい。木々の息づかいが伝わってきそう。後半の現実と幻想の曖昧になってゆく感じがたまらない。

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2009年10月21日

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舞台は気怠い夏の深い緑と川・・・年に1度しか会えないから、後姿ならはっきりと思い出せるのに、いつも不鮮明で思い出せない兄の顔。そんな兄が毎日出かける「隠れ処」・・・突如現れた少年・・・宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出て来る少年の名前といえば、わかるかなぁ。霞みがかかったような景色の中での不思議で切ない数日間・・・

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2009年10月07日

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自分だけの秘密の場所を持ったことはありますか?そっけない兄が正午何処へ行っているのか。弟は兄を知る為に川を登り、ひっそりと生える銀木犀を見つける。そっけない兄と兄を追いかける弟のお話。真夏の森林浴のイメージ。

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2009年10月04日

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この辺りのものの方が長野まゆみ感強い
あとがきにあったスーパーファミコンのイーハトーヴォ物語やってみたくなった。
ゲームやってたんだ!って驚き

柊一と兄の夏織、祖父、不思議な少年カンパネルラ

祖父の家、敷地が広すぎる
ボートで進めるだけの水路があって、銀木犀の生える島があって、銀木犀の中に人が隠れられるくらい

夏織は最初から死んでるのかも

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2025年10月16日

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ネタバレ

・12月8日に読みはじめ、10日に読み終えました。


・長野まゆみのつめたくつれない少年、妖しい少年、翻弄される少年…… うれしい。柊一と一緒に夏織を探している気分になった。

・硝子の魚を夏織に渡せていたら、夏織のことを繋ぎ止められていたのかなとかなんとなく思う。夏織の真意は語られないままだったので、全然わかんないけど。夏織も柊一もカンパネルラに手を引かれたのか翻弄されたのか……

・最後に追っていた背中が「兄さん」から「少年」に変わったところ、よかったな。顔も曖昧で存在も危うくなっていた夏織が、ついにほどけてしまった、そんな感覚。

・「文藝」2001年夏号のインタビューを読んでみたら、「木のうろ」ではなく、「木が密になっているところにちょうど人ひとり入れるというもの」とあった。『カンパネルラ』のことではなく『銀木犀』のことっぽいんだけど、どちらも双子のような作品と言っているので同じように思っても良いのかな? 宿り木や冬虫夏草のようなイメージ、とあって、宿り木の少年なんて耽美すぎる…… と思う。木に取り込まれてしまったとか、そういう雰囲気でなんとなく把握していたものが「宿り木」とかしっかりしたことばで言われると、なんかインモラルな感触を覚えてしまうな……


・初期の長野まゆみは耽美に振り切ってるなと思った。書式も相まって…… でも生と死の境目にいるような少年はずっと出てきてるよな~…… 続きなのか、似たような感じのやつなのか、『銀木犀』という作品があることを知ったので、なんとか手に入れたい。新刊書店じゃあまり売ってないんだよなこのへんのは……

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2022年12月11日

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ほわほわと存在感のない人々が、ほわほわと同じ場所を行ったり来たり。ロケシーン少な過ぎの低予算映画かよ!って小説だけど。
まぁ存在感のなさで言うなら爺ちゃんは本当に存在したのか謎。死んでんじゃねーのか。爺さんを殺してその罪悪感に苛ませるままに幻覚に囚われて第二の人格お兄ちゃんを生み出して最終的には誰もいない一人きりで爺ちゃんを埋めたところに生えてきた銀木犀がすくすく育って犯罪がバレる、という話になってた。嘘だけど。
そんなこんなで実際にはほわほわだった。

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2021年02月13日

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カンパネルラと言う題名で選んだ本でしたが、長野まゆみさんの少年アリスを読んだ事があるので期待して読みました。子供の頃銀河鉄道が本当に走っている光景を信じていた幼い私。カンパネラはザネリを救うために川へ入りそのまま帰ってこなかった、夏織も又帰って来なかった、その存在すら曖昧になっていった。カンパネルラは宮澤賢治ファンにとってむやみに使う事は許せないのですが、私の中ではOKでした。

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2020年02月23日

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こちらも夏の清涼剤でした。
夏織は初めから居なかったのでは…と思います。
柊一とのやりとりしか無いですし。柊一は夏織が療養していると思っているけど、既に他界しているのでは。。
こちらの長野さんはどんどん自分が不安定になっていく感覚があります。でも不快では全くなく、心細いけれどどこか陶酔してしまいます

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2019年08月25日

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色鮮やかな風景描写が美しい。目を閉じたらその光景が浮かんできそうです。特に朝昼夜で顔を変える川の水面の描写が秀逸だと思った。柊一が透明な水の中を泳ぐシーンが印象的でした。読んでいるとこっちまで心地よくなってくる文章。植物描写が綺麗な小説にハズレなし。
年に一度しか会えない病弱な兄、香織。兄を慕いつつもどうしても兄の顔が思い出せない柊一。いつも思い出せるのは兄の後姿、というのが切ない。
ラストの展開はちょっと謎だったけど、色々考察するよりも雰囲気を楽しむ小説だと思った。

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2012年04月24日

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ネタバレ

内容(「MARC」データベースより)
美しい鉱石の光、すがすがしい草の香りのするような独特の文体で、
淡く切ない少年の姿を描く作家・長野まゆみの単行本化されなかった
幻の作品「カンパネルラ」と「銀木犀」の2編と詩篇を収める。

*☆*――*☆*――*☆*

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2012年02月28日

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長野まゆみのわかりやすく美しい幻想はとても良いのだけど、強度に欠ける。現実のすべりこむ隙間がある。もっと徹底した、絶対的な幻想がほしい。

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2012年02月01日

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賢治先生→カンパネルラときたので、次は銀木犀を勿論読むでしょう。偶然だけど素晴らしい順番で読めて幸せ。

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2010年05月11日

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装画:長瀬典子
装丁:泉沢光雄

“<「兄さん、あの署名、……あれはどう云う意味。自分の名前を記せばいゝのに。」>”(裏表紙解説より)
何故長野さんの描く少年たちは皆密やかに死に向かうのでしょうか。
或いは、それが一つの少年性なのかも知れませんが。
(文庫版)

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2009年10月04日

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あとがきで長野まゆみが宮沢賢治のカムパネルラについて語っているので買った。
本編は長野まゆみワールド全開。兄と親しくしたいのに、兄は何かに気を取られて構ってくれない。しっとりした雰囲気でゆっくり読みたい作品。

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2009年10月04日

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