あらすじ
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夏のはじめから寝ついている友人の夏宿を、市郎は見舞いに訪れた。夏宿を愛する弟の弥彦。謎のピアノ教師・諒。盂蘭盆の四日間、幽霊が出ると噂される古い屋敷にさまよう魂と少年たちとの交感を描く。
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蛍を夏宿と見るシーンは、死に向き合うようで悲しくなって泣きそうになった…。
お盆っていうものを改めて考えさせられる作品。
死と再生を信じきっている弟の存在も切なく愛しい。
お盆になったら、また。
結末も本人たちにとっていいものなのか悪いものなのかわからない。
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再読。
美しく、それでいて切ない夏のお話。フライングしてしまったが、もう一度八月十二日から日付にそって読んでみたい。
「夜啼く鳥は夢を見た」とセットで読むのもおすすめです。
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大きな旧家に暮らす友人の夏宿(かおる)と
夏宿を愛してやまない弟の弥彦。
“退院”した夏宿を訪ねて自宅を訪れる市郎。
夏宿はとうに死んだと言うくせに、
夏宿が生きているように接する弥彦。
何かが壊れそうで夏宿に触れるとことができない市郎。
そんな市郎に時折向けられる弥彦の鋭い視線。
日本の古い風習を交えながら盂蘭盆の4日間を綴る
美しくて哀しいお話です。
「夜啼く鳥は夢を見る」と似たようなイメージを受けました。
どちらも夏の盛りに、水と匂いと闇と冷たい何かを感じさせます。
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家業が藍染を営む夏宿とその友人市郎。体調を崩した夏宿の家へ泊まりに行った市郎を迎えたのは夏宿の弟の弥彦だった。弥彦は言う「兄さんは疾うに死んだのに」と。
一夏を彩る、少年たちの少し怪奇で美しい、そして切ないストーリー。
夏の一夜、満月の夜に読むと一層入り込めるかと…
オススメの一冊です。
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盂蘭盆(うらぼん)の奇妙で静かな四日間を描いた不思議なお話。
フランスの古い物語を読んでいるような、静かで仄暗い世界を美しい文章で心ゆくまで味わえる一冊です。物語がふんわりとしているので読後あれこれと思いを巡らせる事が出来るのも楽しみのひとつ。
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再読。主人公・市郎が友人の夏宿の見舞いをする4日間の物語。静かで幻想的な盂蘭盆の風景に、夏宿やその弟の弥彦、謎のピアノ教師の思惑が交錯する感じがミステリアスで惹きつけられた。
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すごく輪郭が掴みにくいお話。私はとても好きでした。描写が本当に丁寧、衣擦れの音まで聞こえてきそうなくらい。また暫く経ってから読み直してみたいです。
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市郎は、病気がちな友人・夏宿の見舞いに訪れる。夏宿に懐く彼の弟・弥彦や謎めいたピアノ教師。古びた屋敷を舞台に、少年たちはたった4日間を共に過ごす。
謎は多く残るが、美しい描写に心奪われる作品。
Posted by ブクログ
面白かったです。
お盆の時期は過ぎてしまいましたが、この季節にぴったりで、冷たく澄んだ世界に浸りました。
夏宿は初めから幽霊だったのだろうし、市郎と弥彦も最後は池へ沈んだのでしょう。
市郎が終盤まで弥彦に翻弄されていて不憫になると共に、弥彦の不安定さと傲慢さも気になります。でも夏宿の儚さに惹かれます。
ピアノ教師が不気味でした。
ほととぎすを鏡暮鳥と書いてあるのは何か意味があるのだろうか…素敵です。
お盆がくるたび思い出す
それが、この本。
結局、原因はなんだったの?
やはり弟が?
謎展開なんですよね。あの先生も役どころが微妙と いうか。
もやっとするから余計に引っ掛かって思い出すのかしら?
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夏なので夏っぽい長野まゆみ作品再読しようキャンペーンそのろく。8月が終わるので今年はこれでおしまい。でもお盆の時期に合わせて読めばよかったなあ。
以前読んだのは10年くらい前なんやけどこれは結構覚えとった。(その代わり、夜啼く鳥は~の話が全然思い出せん。)
懐かしい雰囲気のファンタジーで、ほんのりホラーテイストで涼しい感じ。
生死の境界も夢現の境界もあやふやよ。
ピアノ教師がぜんぜん意味分からんけども。
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長野さんが気になり始めた今日この頃。
なんと私が生まれる以前の作品ですが、古臭さを感じませんでした。
文字も大きく、わずか100ページほどの詩集のような本ですが、長野さんの世界観が濃縮されていて、流れるような文章が素敵です。
幽霊がキーワードを握る作品ですが、妖しげな美しさがあり、夏宿の繊細な感じと溶け合って、作品に透明感が生まれていたと思います。
もっと長野さんの作品を読んでみたいなぁ。。。
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ふらっと寄った古本市で150円で買った。
「盂蘭盆」この季節に出会えて良かったと思う。
冒頭から本当に幽霊であるのか、誰が真実なのか、考えをめぐらせながら読み進めていった。
透明度の高い清涼感、薄暗さ、田舎の家にいて見知らぬ場所・見慣れないものたちに囲まれ
落ち着かないようなわくわくする気持ち
汗がにじむ暑さ、幻想的な描写、現実味のない曖昧な四日間
兄を池に落とした弟
現れた死んだはずの兄
弟に、促したのはピアノ教師なのか
弥彦と市郎は夏宿と供にいってしまったのだろうか
池を埋めてしまうのであれば
死んだ人が死んだ場所に現れるのであればどうなるのだろう
市郎が池であった夏宿と、家にいた夏宿はどうなのだろうか
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雨更紗を読んだ時の調子で、最初から、誰が正気で誰が狂ってるんだ?と疑いながら読んだ。
なんとも言えない後味。相変わらず。
ゆるやかに流れる時の中で常にすっと肝が冷える感じと胸がしめつけられる不安があったな。
夏宿の儚さとか鯉の艶めかしさとか。
切ないって言葉も追いつかない気がする。前々からわかっていたものをなくした感じ。
Posted by ブクログ
市朗と夏宿、弥彦の並びも妖しくて美しくて好きですが。
…何よりもピアノの先生が怪しい(笑)。
夏の"暑さ"よりも、木陰に入った時や泉に手を浸した時の"ひんやり"する感覚を味わえる作品だと思います。
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寂しい雰囲気が漂う。物語の最初から、兄は死んだものとされている。あの葬式の列はなんだったのか。鯉は生まれ変わりなのか。2人とも、連れて行かれてしまったのか…。
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幽霊と鯉の話。長野先生の少年と言うのに私の中で恐怖が微妙に浮かんできた作品。先に「夏至南風」を読んでいたにもかかわらず、薄ら寒さを感じたのはこの話の弥彦が最初でした。
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夏の初めから病床に臥す友人・夏宿(かおる)を見舞いにきた市郎が、彼の家で過ごす4日間を描いた物語。家には彼ら以外に、夏宿の弟である弥彦、そして弥彦のピアノ講師である諒(まこと)が登場する。
夏宿の屋敷のふもとにある池には鯉が住い、市郎は夜な夜なその池に降りるたびに夏宿の幽霊らしき白い姿と出会う。弟の弥彦は兄がすでに夏の初めに亡くなったと言い、ある鯉は彼の生まれ変わりだと教える。しかし日が昇れば夏宿は自室におり、床でいつものように本を広げている。
最後まで夏宿の生死がはっきりしない、彼岸にいるような曖昧な世界観だった。家の周りでは木々が鬱蒼としていて、その環境が余計に外界と断絶されたような幻想的な雰囲気を醸し出している。あと夏宿の家業が紺屋ということもあり、夏宿や弥彦が身に付けている着物の表現が毎回丁寧で美しい。濃厚な藍色から伸びる夏宿の白い肌とのコントラストを想像すると、本当に浮世離れしていてこの世とあの世の境目が分からなくなる。
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水辺と死の物語で、「カンパネルラ」「夜啼く鳥は夢を見た」と似た雰囲気だった。
詳細が明らかにならない結末なのでもやもやしたが、それが幻想的な雰囲気を高めているのかもしれない。
ピアノ教師は何だったのだろうか…
Posted by ブクログ
これだよ、これと何度も読める作品。
読む時期を間違えたけど、すべてを語らず、読者の想像力にゆだねた終わり方。なぜか長野作品初期だけは、モヤッと感が心地いいと思えてしまうので読み飽きない。
Posted by ブクログ
少年達は、その盆を過ごす。
少年3人、というのは何かキーワードなのか…。
綺麗すぎて、ぼうっとする感じ。夏に読みたいですね。
「夏宿くん、きみの鯉は元気ですか」
Posted by ブクログ
最後まで読まないと何がなんだか・・・・
妖艶で不思議
それで少し悲しい
「カンパネルラ」といいこういう話が増えてるけど登場人物が幸せになれない話苦手だ;
Posted by ブクログ
「市郎さんは、どうかしてるよ。兄さんは疾うに死んだのに。」
兄は死んだというのに生きているかのように接する弥彦がちょっと怖かった。
切ない怪談話です。