長野まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鉱石を題材に、1つ1つ綴られたストーリー。
写真も掲載されていて、美しい美術カタログのよう。
ビジュアルも含め、長野まゆみの世界観たるや脱帽。
ほんの数行で、宇宙空間に放り出されたような美しさの渦に自分の思考が浸っていることに驚く。
宮沢賢治をこよなく愛す長野まゆみ。
まるで「銀河鉄道の夜」のような、不思議な世界観を繊細でガラス細工のような言葉で紡ぐ。
ストーリーの他、鉱石を薬草か何かのように食べられるものとしてレシピや効用なんかが書かれている所なんか、想像力の豊かさが幼い子供時代を思い出させてくれる。
暗に猫さん目線で語られている感じも宮沢賢治の影響力を感じさせてくれて楽しい。 -
Posted by ブクログ
この作品を読むにあたり、俗っぽく言うところの「BLっぽい」雰囲気は前提にあるとして読むことが求められているように思う。主人公(男)が男性に襲われかけたり、また他の男性と関係を持ったりするシーンが何度かある上、主人公もまた義兄に好意を寄せている。その他周りの人間にも「それらしき」描写が多く見受けられる。同性愛を描く作品でよく見かける「同性だから」という理由での葛藤も本作ではないと思われる。
そういう前提のもとで読み進めると、なんとも艶っぽい文章だったように思う。丁寧な地の文と少し荒っぽさのある実際の口調に差があるのもまた良かった。それに加えて、繰り広げられる情景もなかなかドキドキさせられるも -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに長野さんの本。
発売間近だった次に読む本との間をもってもらおうと読み始めた。理由は暑くて、薄い本だったから。
休暇終わりの地下鉄の駅での朝から物語は語られ始める。
銅貨は友人の水連を待っていたが、なかなか彼は現れない。
やっとやって来た彼の片目には眼帯が付けられていた。
理由は分からないが、朝起きると腫れあがっていたという。
端正な水連の顔が見られないことを残念がりつつ、二人は混みあう学生群をのせた地下鉄から撤退して、さぼることにする。二人が向かったのは鉱石倶楽部という石やそれを愛でる道具を扱いつつ軽い食事ができる喫茶がいっしょになったお店だ。天体と鉱石に強い興味を持っている二人は -
Posted by ブクログ
この世とあの世のあわいでまどろみのなかに見た夢のようなお話。長野まゆみさんの小説を読むのは久しぶり。どっぷり楽しみました。
本人自身その気がなくても、なぜか男を惹きつける
桜蔵(さくら)は「左近」という世間をはばかる逢瀬のための隠れ宿の長男である。父、母、弟がいるが
自分は血の繋がりがないような気がしている。それに兄弟は庶子、父には正妻がいる(「浮かれ猫」に登場するけどカッコいい)
桜蔵がひろってくる男というのがこの世ならざるあやかしのものたちばかり。成就のために男たちが引き寄せられてる感じで、そこには父の柾や父の友人、浜尾が仕向けた案件もあったり。
皆が桜蔵のことを「女」というのが、ちょ