長野まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高山宏さんの解説が正鵠を射ているのでもはや私の劣文は必要ない気もしますが、とにかく、『少年アリス』はさまざまなものから「解放」されている作品として群青天鵞絨に輝く屈指の幻想譚だと言うことができるのです。
澁澤龍彦さんや短歌の好きな私は、前者には博物誌的な面白さを、後者には音とリズムに凝縮した言葉の感覚の面白さを見出します。ペダンティックな充足を得ることの面白さというより、普段私たちが使う言葉とは違った場所に居る言葉を採集することの面白さを求めて、手を伸ばしているのです。これが私の読書傾向かつ好みです。
そして私の好む作家さんの中に、まちがいなく長野さんも含まれています。解説で高山さんは長野さん -
Posted by ブクログ
オリジナル版より描写が具象的に、文章が平易になってる気がする。
使われてる語彙も意識して「長野まゆみ作品らしい」ものを盛り込んでるような印象で、綺麗な装丁や最後の言葉辞典も含めてセルフパロディ的な意図が強い一冊なのかなと思った。
大きく変更されたラストにはびっくりだけど、一度発表された物語にこうやって大胆なアレンジを加えるのはまさに「改造版」って感じの面白さだし、宮沢賢治の作品が改稿を積み重ねていったのと似たものも感じる。
だいぶ印象変わったとはいえ、物語の素晴らしさは健在。
この改造版から長野まゆみ作品に触れても充分楽しめる名作です。