長野まゆみのレビュー一覧
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む、むずかしかった〜。小気味がよくてすごく面白いんだけど、なかなかサクサクとは読め進められず。結局ゆっくり1ヶ月かけて読み終えた。
てくてくと河岸を歩いて、あっちの時代、こっちの時代、汽車や車や船に乗り換えて、いろんな場所に連れて行ってくれる小説だった。
終わり方はあっけなく面食らってしまったけど、あの双子のことだからこんな終わり方も悪くないかなと思った。
ふと何年か後に思い出すようなエピソードや表現がたくさんあって、またすこし人生が豊かになった気分。
祖母の指にはめられた紫水晶。
菓子袋の音に騒ぐ母の小鳥。
砂浜にきらきらと光の反射を落とす父の背中のガラス。 -
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ネタバレ再読。投下の瞬間を詳しく描かないことで、かえって大きな喪失が迫ってきます。
史郎が原爆投下で喪われ、市岡先生も実は鹿屋「に」ではなく鹿屋「を」立つだったんじゃないかと思ったりします。どちらも、最期に珠紀に会いにきたのだと。
出来るだけキラキラとした日常を送っていても、戦争の影はひたひたと迫ってきて、終戦近くにもなると空襲という牙を剥いてくる。
どちらが先とかではなく、こうの史代さんの「この世界の片隅に」とも似ている物語世界だと思いました。空襲の描写、長野さんも色遣いが特徴的でしたし。
珠紀はきっと広島市といっても海側の中心部からは離れた内陸部にいて、すずがいるのは呉。原爆投下は光と振動だけで、 -
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もう少し読んでいたかった、と余韻に浸る感じの物語の閉じ方。
美味しそうな食事の場面もあって、胃袋を刺激された。読後、美味しいアプリコットタルトやクロワッサンが食べたくなった。
不思議な寮でキャンパスライフが繰り広げられると思っていたら、全く想像しない方向に話しが進んで、穏やかな波にさらわれたような感覚。
荒々しい波にさらわれたような感じではなく、するすると抵抗できないまま優しく連れ去られたように物語を読み終えた。
みんなクセがあるのに、みんな優しい。
少年愛というには大人になり始めすぎていて、大人のドロドロした性愛にはほど遠い、そんな成長の隙間のような話。
現実にはこの物語にでてくるような人物 -
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どことなくマンディアルグ風味な泥濘と水蓮と少年の舞台設定からして、惹かれないはずがないのです。長野まゆみさんらしい精緻で多彩な文章にぐいぐいと呑み込まれるようにしながら頰白鳥といっしょに沼をのぞきこむその瞬間の美しさ畏ろしさ。堪能しました。
物語の全体を通してみれば平坦かもしれないその一瞬を、いやむしろその一瞬のために、築き上げられ飾られた文章一行一行を味わうように、大切に読んでいくことのできる作品こそ、私が偏愛したくなる作品なのです。
「頰白鳥、駄目だよ。燥いているように見えても、水は沁み出してくるんだ。」
「沈んでしまうの。」
「あゝ、沼だからね。」 -
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高山宏さんの解説が正鵠を射ているのでもはや私の劣文は必要ない気もしますが、とにかく、『少年アリス』はさまざまなものから「解放」されている作品として群青天鵞絨に輝く屈指の幻想譚だと言うことができるのです。
澁澤龍彦さんや短歌の好きな私は、前者には博物誌的な面白さを、後者には音とリズムに凝縮した言葉の感覚の面白さを見出します。ペダンティックな充足を得ることの面白さというより、普段私たちが使う言葉とは違った場所に居る言葉を採集することの面白さを求めて、手を伸ばしているのです。これが私の読書傾向かつ好みです。
そして私の好む作家さんの中に、まちがいなく長野さんも含まれています。解説で高山さんは長野さん