長野まゆみのレビュー一覧

  • 雨更紗

    雰囲気はすごく好きなのですが、結局よく解らないまま何も解決しないラストに雪崩れ込む。
    長野作品には割りとある、堂々回りな感じです。鬱々と重苦しいので注意。あと、こちらも長野作品によくある同性愛要素も含まれます。

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    2017年07月10日
  • 少年アリス

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    レトロなメルヘンだった。ワープロで打ち込んだようなフォントとレイアウトからして。言葉の一粒一粒が仄かに輝いてみえる。ゆっくり風景を想像して読む。

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    2017年06月29日
  • 夜啼く鳥は夢を見た

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    ネタバレ

    暑い夏、紅於と頬白鳥の兄弟は沼の淵に建つ祖母の家へと向かった。そこには従妹で美しい少年の草一も暮らしている。沼に咲く蓮の花、沼の底から聴こえてくるルリルリルリという鳴き声。沼に沈んでいく少年たちの話。


    弟の頬白鳥が沼へと焦がれる様、沼から聴こえる音や、泥の感触、色、すべてを美しく幻想的に伝えてくれます。
    そして気づかぬうちに、読み手の私でさえも沼の魅力に引きずりこまれました。
    いきなりぷっつりと終わってしまうラストをむかえるまで、家と沼しかない世界は本当に美しく、少年たちの不安定さと移ろいを感じさせてくれました。

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    2017年06月08日
  • チマチマ記

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    混雑する空港で飼い主さんにはぐれてしまった、仔猫の兄弟。
    小さな弟を守るしっかり者のお兄ちゃん「チマキ」と、無邪気で怖がり、何とも保護欲をかき立てる弟の「ノリマキ」
    偶然たどりついた「宝来家」での、彼らの四季。

    宝来家は複雑な家系図だけれど、皆いい関係だ。
    チマキ視点で、家族の日常と、「まかない係」のカガミくんのつくる料理などが語られる。
    長野版「吾輩は猫である」と言ったところ。

    カガミくんの料理は、とても体に良さそうで、ていねいにつくられている。
    「天然生活」という雑誌に載っているようなものを想像していただければ。

    そして、ちょっとの不思議とBLの隠し味も長野さんらしい。

    レシピ本、

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    2017年05月12日
  • 改造版 少年アリス

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    オリジナルを読んだのはずっと前なので、改造版がどの様に変わっているかはわかりませんでしたが、この世界も好きでした。夏の終わりの、不思議な一夜。冷たい光や空気を感じます。長野さんが描かれた各話のタイトルの装飾もとても素敵。少年アリス辞典も贅沢でした。

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    2017年04月26日
  • テレヴィジョン・シティ

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    ネタバレ

    新装合本版。読むのはかなり久しぶり。
    乾いた白く銀色の世界、機能が停止していく恐怖。碧い惑星への憧れ。ラストの寂寥感。あんなに晴れやかな夏の描写なのに、これまでの積み重ねにより虚無に思える。何度読んでもイーイーのちょっと捻くれた献身さが良い。理解出来ない部分もあるが、そこをあれこれ考えるのも楽しみのひとつ。長野先生の初期の到達点的作品と言える。

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    2017年03月27日
  • 三日月少年漂流記

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    久々の、長野まゆみ先生の初期作品。
    水蓮と銅貨の登場するお話の中では構成が平易で読みやすく、二人の家出少年が自動人形を追いかける様子に没頭できます。独特の幻想的な文体に支えられた世界観が美しい。

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    2017年03月16日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    最後の最後まで読み手を混乱させる作品でした。理解しかけていた物語が、ある一文でひっくり返されるの繰り返し。作品中に出てくる「目に見えるものはいつもほかのなにかを隠している」「書かれたことはいつもほかの謎を隠す」といった言葉は、まさにこの作品を表しているように感じました。結局、誰が本当に実在して、それぞれがどのような関係にあるのか理解できずに読み終えてしまいましたが、だからこそ物語に引き込まれました。混乱してばかりだったけれど、読みやすくて雰囲気も好きでした。

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    2017年02月04日
  • 左近の桜

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    ネタバレ

    友人から勧められて読んだものです。

    いわくありげな連れ込み宿の子である桜蔵(さくら)が、人ならざるものとの縁を結んでしまう(いろんな意味で)という短編集です。
    ほんのりとすべての物語がつながっていて、さくさく読めました。個人的には「骨箱」が好きです。オカルト系は苦手と思っていたのですが、これはそのいわゆる悠連さんたちがとても生身の人間のように書かれていたので、自然に読めました。

    全体的な描写がとってもしっとりとした雰囲気を感じさせていて、最初時代小説か?と思ってしまうほどでした。
    父親である(血のつながりはない)柾や、店の常連の浜尾などのおっちゃん(?)がいい味出しております。

    直接的な

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    2017年01月26日
  • お菓子手帖

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    帯によると、自伝風極上スイーツ小説らしいです。とても美味しそうなお菓子の数々にお腹が空きました。長野まゆみさんとは世代が違うのですが、お菓子や生活がノスタルジックで素敵です。今でもあるお店やお菓子なのかな…探したくなります。本編とは離れたところでは、「どんな場合でも、モノづくりをする」という言葉が心に残りました。わたしもそうありたいです。

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    2016年12月25日
  • 鳩の栖

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    儚き少年期の幻のように過ぎ去っていく淡い恋情。透明な色をした少年たちの未成熟な想いが未成のまま過ぎ去っていくところがなんとも静かでたおやかでした。

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    2016年12月25日
  • 時の旅人

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    面白かったです。時代を移動していくときにちょっと混乱しましたが、好きな空気でした。シロウヅやハク、不思議な人というか、人でないものかもしれませんが魅力的でした。長野さんの描かれる過去の世界が好きですが、未来も良いです。なんだかレトロで。引きこまれました。

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    2016年12月10日
  • 夜間飛行

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    2人の少年が檸檬色の潜水艇に乗り喋る鸚鵡、老紳士、セールスマンらと出会い様々な不思議体験をしていく。
    初期の長野まゆみ作品らしく幻想的な童話風な描写が読んでいて楽しい。また、その虚構の中で語られる友達についての意見なども読み取れるので良い。
    大切なものは目に見えない。

    あとがきを読んで、もう一度読んだらまた違う印象を受けること間違いなしだなと思った。再読しよ!

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    2016年12月04日
  • 螺子式少年

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    長野作品の中では比較的わかりやすいテーマだった。物語もわかりやすい。後半になるにつれこの主人公達はレプリカなのか、本物なのか、いよいよわからなくなっていくのだが、そんなこと関係ないんじゃないか。という気さえしてくる。大切なのは本物なのか偽物なのかどうかではなくて、自分がどう向き合うかという、信頼の問題なのだという。

    代わりに葡萄丸のレプリカが送られてきて、彼との生活が始まる、となった時、このようにどんどんレプリカは増えていくのだと思うと、少し怖くなった。ある意味ホラー?

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    2016年11月27日
  • 左近の桜

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    美しい日本語が並んでいて、死と生が交わるこの不思議な世界観に引き込まれてしまった。
    柾さん、すき…。

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    2016年10月25日
  • 少年アリス

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    ずーっと昔から名前だけは知ってた本。
    長野まゆみさんの作品は何作か読んでるけど、このデビュー作はなんとなく手を出さずにいた。
    読んで驚いたのは、このデビュー作から何作も書いてあるだろうに、私が読んだ少年アリス以降の作品に感じるものがここで既に完成されていたことだ。
    ほとんどの作家は書いていくうちに作家として成長(変化)していくにも関わらず、長野まゆみさんの作品からは作者自身の中に芯が太く変化しないものを感じる。非常に稀有な作家ではないだろうか。
    内容に関しては、このほかに改造版なるものがあるそうなのでそちらを読んでからにしたいと思う。

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    2016年10月02日
  • レモンタルト

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    ネタバレ

    読み返した。
    士の恋が報われてほしいという思いしかない。初めて読んだときもそう思った。でも士は一哉(義兄)のことを決して手に入らないものだと思ってるから。なんてったって“海”だもの。
    一哉の中ではなな子(士の亡姉)だけが妻で、彼にとって士は永遠に義弟のままだろうな。亡くなった人間に生きてる人間が勝つのは難しい。

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    2016年10月02日
  • よろづ春夏冬中

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    表題作があるのかと思ったのですが、そうではなくて全体の雰囲気からの総題名って感じでしょうか。この作者にしては珍しく、関連があるのか無いのかというか。
    生物研究部の教師とその唯一の部員である男子生徒の話が好きです。豪胆な美人が最高でした。

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    2016年09月23日
  • 魚たちの離宮

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    夏なので夏っぽい長野まゆみ作品再読しようキャンペーンそのろく。8月が終わるので今年はこれでおしまい。でもお盆の時期に合わせて読めばよかったなあ。
    以前読んだのは10年くらい前なんやけどこれは結構覚えとった。(その代わり、夜啼く鳥は~の話が全然思い出せん。)
    懐かしい雰囲気のファンタジーで、ほんのりホラーテイストで涼しい感じ。
    生死の境界も夢現の境界もあやふやよ。
    ピアノ教師がぜんぜん意味分からんけども。

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    2017年03月29日
  • となりの姉妹

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    この空気感は好きです。兄弟がいる女としてもこの母親の兄に対する考え方も覚えがある。不思議な謎解きも、いつの時代かわからないけどちょっと前の東京なんだろうなと思わせるノスタルジーさも読んでて不思議と落ち着く。

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    2016年09月13日