長野まゆみのレビュー一覧

  • よろづ春夏冬中

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    希いを叶える貝殻細工の小箱から……置き薬屋が残した試供品の酔い止めから……朝顔市で買った夕顔の鉢植えから……和泉屋の苺のショートケーキから……骨董商で見つけた蓋つきの飯茶碗から……思いがけないことから、彼らの運命は動きはじめる。或るときは異界と交じり、或るときは時空を超え、妖しく煌く14の極上短篇集。

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    2012年07月28日
  • 賢治先生

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    『銀河鉄道の夜』から、きらきらしたもの、ほんのりせつない上澄みの部分を掬いあげたような作品。

    銀河鉄道の夜を読んでいるからこそ、カンパネッラの額にはりついた前髪に苦しい気持ちになるけれど……

    ただ純粋にこの作品だけを読んでみたかった。

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    2012年07月14日
  • 千年王子

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    夏になると読みたくなる長野まゆみの本。はじめて読んだのは中学生の頃だったか。

    舞台は近未来の衛星都市にある学園とオリエンタルな雰囲気漂う古代王朝。輪廻転生のようなお話で、長野さん独特の境界があやふやになったり、読者自身も翻弄されてしまう感じが好き。しかし、あくまでも長野さんなので(この本は特に露骨な感じなので)、読む際には注意が必要。

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    2012年07月14日
  • 魚たちの離宮

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    ネタバレ

    ふらっと寄った古本市で150円で買った。
    「盂蘭盆」この季節に出会えて良かったと思う。

    冒頭から本当に幽霊であるのか、誰が真実なのか、考えをめぐらせながら読み進めていった。

    透明度の高い清涼感、薄暗さ、田舎の家にいて見知らぬ場所・見慣れないものたちに囲まれ
    落ち着かないようなわくわくする気持ち
    汗がにじむ暑さ、幻想的な描写、現実味のない曖昧な四日間

    兄を池に落とした弟
    現れた死んだはずの兄
    弟に、促したのはピアノ教師なのか

    弥彦と市郎は夏宿と供にいってしまったのだろうか

    池を埋めてしまうのであれば
    死んだ人が死んだ場所に現れるのであればどうなるのだろう
    市郎が池であった夏宿と、家にい

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    2012年07月03日
  • 鳩の栖

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    ネタバレ

    短編+続編1本の、3時間あればぜんぶ読めるお話たちです。
    最初は、あらすじにあるお話。ほんのりとした恋心にも近い友愛と、忍び寄る静かな終わりの気配。逝ってしまう少年の、それでも明るい振る舞いが、ちょっと切なくなります。

    あと、それほどホモホモしていないのでちょっと安心します(笑)

    全体的には、淡い雰囲気漂う内容です。
    猫道楽と比べると結構薄過ぎるかもね。

    脱線しますが、長野まゆみさんの思う理想少年像って、手にとるようにわかりやすいですね。

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    2012年06月29日
  • 野川

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    課題図書だけあって、しっかりした文章だなーと思いました。
    それにしても、中学校であんな言葉で書いたり話したりできる子はいないです。あんな文章が書ける子に悪い成績をつける教師もいないと思うし、そこはちょっと現実離れしていると思いました。村上春樹くらいになると、登場人物は年齢を超越している気がして気にならないのですが。
    ところどころに、はっとするようなすてきな文章がありました。

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    2012年06月09日
  • 左近の桜

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    ものすごく久しぶりに長野まゆみを読んだ。高校以来だ。昔はあのきらきらした言葉に魅了され、ほのかな雰囲気に酔わされたがあのころと作風が変わっていると感じるのは読み手としての自分の変化だけではないように思った。事実、解説にもかつての長野まゆみと現在の長野まゆみには意識的な解離があることが記されていた。そしてこの変化は好ましかった。私も中高生のころは古いことばや漢字を多用した文章を好んで書いたが徐々にだれもが読みやすいやわらかなことばを意識的に選ぶようになった。私ごときを長野まゆみと比べては失敬にもほどがあるが親近感をいだいたことはたしかだ。
    そしてこの物語は決して直截には描かれないが明らかで艶かし

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    2012年06月03日
  • 少年アリス

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    夜の学校に忍び込んだ少年が、夜中の生徒と間違えられ、その不思議な授業に参加させられる話。日常ではありえない授業内容が面白く、それを通じて彼らの正体がわかっていく。
    アリスと蜂蜜がお互い離れてみて、やっと相手を客観的に知れたような、大人になっていくような感じ。

    しかし、教師が、アリスがいくら違うと訴えても無理矢理仲間に引き入れ、誤解が分った後も自分の都合で彼を消したことは、子どもから見た大人の理不尽さを強く訴えているように見えたのだが、そういうことなのだろうか?

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    2012年06月02日
  • 天球儀文庫

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    ネタバレ

    初期作品の4冊が1冊になったもの。

    相変わらず二人の少年の友情を描いたものだが、珍しいことに友情とはこんなものだとラストに描かれている。
    その言葉はとても重く、少し悲しい。
    でもそうなのかもしれない。
    大人っぽい考えの少年と、子供っぽい少年のコンビが面白い。

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    2012年05月27日
  • 天体議会 プラネット・ブルー

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    ネタバレ

    まず近未来的な世界がすばらしい。
    代理母出産が当たり前になっていて、家族のあり方が現実の世の中とまったく異なる世界観に引き込まれた。
    水蓮の性格が好きなのだけど、自分と銅貨が似ているからだろうか。
    銅貨と水蓮の友情が少し友情以上の気もするが、13歳くらいのときはこんなものかなと思った。
    嫌な感じはせず、すっきりしたきれいな感じがした。
    少年たちがみんな不器用で、それぞれの思いがうまく伝わらないことにもどかしさを感じた。
    相変わらず不思議な雰囲気を残して終わる文に、またかと思いつつも惹かれてしまう。

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    2012年05月31日
  • 鳩の栖

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    短編のどれも萌えるがやはり紺碧・紺一点の連作2編がたまらない。義兄弟義兄弟。そういえば兄弟ネタ多いねこの本。

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    2012年05月26日
  • 銀木犀

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    銀木犀の中で眠りに落ちる心地良さには、中毒的なものがあるんだろうなぁ。

    真っ白な枕に身体が溶けていって、眠りと覚醒の間を行ったり来たりする感覚…自分にとって心地良い条件の中で眠るのって何であんなに気持ち良いんだろう。

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    2012年12月20日
  • 若葉のころ(凜一シリーズ)

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    続きが読みたいような、読みたくないような。

    10代だからこその、危うさや脆さを、美しい情景と共に
    留めたからこその作品ともいえる。

    表層・像という言葉が多く登場するが、このシリーズ通して
    主人公たちの表層だけが浮き彫りになっていて、
    だからこそ、浮遊したような漂う空気感になっているのかもしれない。

    「満開の桜に感動しなくてもいい」と明言してしまう
    凛一は、このまま家元を継ぐことはできるのかな。

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    2012年05月21日
  • 左近の桜

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    長野さん、
    「紺極まる」に続き二作目。

    前回の主人公が少年なら、
    今回の主人公は青年だそうで。

    男が男を、
    なんて書くとゲロゲロしたくなるけど、
    長野さんの文章は
    日本語が綺麗なので現代版の古典みたいです。

    浮世離れというか
    実際物語のなかの主人公・桜蔵は
    源氏のような男たちの逢瀬や情事に使われている
    隠れ宿「左近」の息子。

    桜蔵の意思とは関係なく、男を惹きつけてしまう。
    この世に想いを残している
    あやかしという男たちをひろってしまう。

    結末や伏線などではなく、
    曖昧で強引な終わり方も素敵です。

    交わるって感じです。
    それが嫌味ではなくて、

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    2012年05月20日
  • 若葉のころ(凜一シリーズ)

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    割と時間かからずに全巻読めました。
    まあ、退屈ではないですけど・・・
    この人のお話は、目立った起伏が少ないような気もします。
    ちょっと物足りないような・・・
    漂ってる雰囲気はものすごく好きな場合が多いですが。

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    2012年05月05日
  • 白昼堂々(凜一シリーズ)

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    シリーズ物だから絶対時間かかる、と思ってなかなか手を出せなかったのですが、なぜか最近よく耳にするので試しに読んでみました。
    意外と時間もかからず、さくさくと読めました。
    ストーリー的には・・・うーん、悪くは無いんですが・・・
    またこういう系統かあ、とはおもってもみたり。
    でも、長野さんの文章は、すごく独特で綺麗な感じがして好きです。
    それぞれのキャラクターがしっかりとしている点が魅力的でした。
    特に千尋さんが好きです・・・
    この人の作品に出てくる人はいつも魅力的だと思います。現実離れしちゃったような人もいますが。

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    2012年04月27日
  • よろづ春夏冬中

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    耽美かと言われれば耽美だし、妖しいか言われれば妖しいが、これに続く「あめふらし」よりは些か瑞々しい印象。

    そしてこの本は、本編と同じかそれ以上にあとがきに多大な衝撃を受けた。長野まゆみを少なからずと理解するのに、読み飛ばしてはならない“章”だと思う。

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    2012年04月25日
  • 野川

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    「私は自分の目で見なくても心に残る風景が、この世にあるんだということを知った」
    「その風景は、きみ自身が目にしたのも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。(中略)このさき、何度でも思い出すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以上のあざやかさで目に浮かぶはずだ」
    そう言って語ってくれる教師の物語はもちろん、地の文を眺めても、いくつもの風景が鮮やかに目の裏に浮かぶ。
    登場人物も非常に魅力的。大人びた主人公の少年に、人懐こく魅力ある吉岡、風変わりな教師河合、事業に失敗した父。
    彼らの適度な距離感と、テンポよい会話。特に、主人公と教師のやりとりには

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    2012年04月15日
  • サマー・キャンプ

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    再・・・読。性染色体の異常は、いずれあってもおかしくはないようは錯覚(?)を持ってしまいます。性別の境界線の曖昧な世界に多少混乱しつつ、久しぶりに物語を堪能しました。この登場人物の中で、意外にもお母さんが好きなのですが、女性として現実的に憧れる部分を持っているから、安堵する存在なのかも。

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    2012年04月01日
  • 綺羅星波止場

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    独特世界観で繰り広げられる少年達の小さな冒険物語。
    これに出てくる三日月パンやジュレなどの食べ物もそそられます。

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    2012年03月02日