長野まゆみのレビュー一覧
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ネタバレふらっと寄った古本市で150円で買った。
「盂蘭盆」この季節に出会えて良かったと思う。
冒頭から本当に幽霊であるのか、誰が真実なのか、考えをめぐらせながら読み進めていった。
透明度の高い清涼感、薄暗さ、田舎の家にいて見知らぬ場所・見慣れないものたちに囲まれ
落ち着かないようなわくわくする気持ち
汗がにじむ暑さ、幻想的な描写、現実味のない曖昧な四日間
兄を池に落とした弟
現れた死んだはずの兄
弟に、促したのはピアノ教師なのか
弥彦と市郎は夏宿と供にいってしまったのだろうか
池を埋めてしまうのであれば
死んだ人が死んだ場所に現れるのであればどうなるのだろう
市郎が池であった夏宿と、家にい -
Posted by ブクログ
ものすごく久しぶりに長野まゆみを読んだ。高校以来だ。昔はあのきらきらした言葉に魅了され、ほのかな雰囲気に酔わされたがあのころと作風が変わっていると感じるのは読み手としての自分の変化だけではないように思った。事実、解説にもかつての長野まゆみと現在の長野まゆみには意識的な解離があることが記されていた。そしてこの変化は好ましかった。私も中高生のころは古いことばや漢字を多用した文章を好んで書いたが徐々にだれもが読みやすいやわらかなことばを意識的に選ぶようになった。私ごときを長野まゆみと比べては失敬にもほどがあるが親近感をいだいたことはたしかだ。
そしてこの物語は決して直截には描かれないが明らかで艶かし -
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長野さん、
「紺極まる」に続き二作目。
前回の主人公が少年なら、
今回の主人公は青年だそうで。
男が男を、
なんて書くとゲロゲロしたくなるけど、
長野さんの文章は
日本語が綺麗なので現代版の古典みたいです。
浮世離れというか
実際物語のなかの主人公・桜蔵は
源氏のような男たちの逢瀬や情事に使われている
隠れ宿「左近」の息子。
桜蔵の意思とは関係なく、男を惹きつけてしまう。
この世に想いを残している
あやかしという男たちをひろってしまう。
結末や伏線などではなく、
曖昧で強引な終わり方も素敵です。
交わるって感じです。
それが嫌味ではなくて、
ふ -
Posted by ブクログ
「私は自分の目で見なくても心に残る風景が、この世にあるんだということを知った」
「その風景は、きみ自身が目にしたのも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。(中略)このさき、何度でも思い出すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以上のあざやかさで目に浮かぶはずだ」
そう言って語ってくれる教師の物語はもちろん、地の文を眺めても、いくつもの風景が鮮やかに目の裏に浮かぶ。
登場人物も非常に魅力的。大人びた主人公の少年に、人懐こく魅力ある吉岡、風変わりな教師河合、事業に失敗した父。
彼らの適度な距離感と、テンポよい会話。特に、主人公と教師のやりとりには