長野まゆみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本作は『よろづ春夏冬中』の「雨師(うし)」とリンクしている。
よろづ・・・は短編集であって、BLをニオワセル作品も
あるにはあったけど、不思議な話も含まれていて
中でも「雨師」はお気に入りだった。
祖父の残した古屋に住む市村兄弟。
奇妙な兄弟ではあるが、弟君の方がすっとぼけている。
梨木香歩さんの「家守綺譚」の主人公のような感じ。
不可思議な状況を「まぁ~いいか」と受け入れてしまう。
そこで雨漏り診断士と名乗る知らない男と出会うのだが
この男こそ、本作の主人公?というより黒幕のあめふらし。
あめふらしとは、タマシイを捕らえる事を
生業とするモノのことである。
この男、橘河はウヅマキ商會の社長であり
表向きの仕事は何でも屋である。
舞い込む仕事は実に奇妙なものばかり。
蛇を捕まえに行ったら、死んだ娘と結婚する羽目になったり
傘を届けて欲しいと依頼され、40年前の世界に向かったり
時として危険な目に遭う。
橘河が助けてはくれるが、厄介な同業もいる。
8つの章に分かれているが、別の話しのようでいて、
実は繋がっていて、少しずつ色んな事がわかっていく。
ファンタジーではなく、和風の幻想奇譚という表現が合う。
ふいに紛れ込む現実とあの世の狭間のような世界。
この作品にはやたらと蛇をにおわせるモノが出てくる。
それと同時に水も多くでてくる。
作品全体が、水を含んでるような感じなのだ。
二つの世を分けるのは水なんだと思わずにはいられない。
奇妙な世界に大満足でした。 -
Posted by ブクログ
南国の、イメージとしてはベトナムか。熱い南風が、果物や野菜ばかりか肉体までも腐敗させていく。完璧な美をもつビーシアの、なんという結末。人を人とも思わずむごい目に合わせて楽しそうに哂っていたビーシア。「君なんか誰も愛さないよ。そして、君も誰をも愛しはしない。」そう言い放ったクーラン。自分を嫌悪し、美しい人をも嫌悪する。しかし、その人が変わり果てて目の前に現れたとき…。
ごみごみとしたスラム、不衛生極まりない港町、そこでレイプされる少年たち。しかし、それは日常茶飯事。ビーシアは、ほぼ間違いなく情性欠如のサイコパスだと思う。ただ、この作品全体を流れる雰囲気…生きるのが容易ではないのに生きることにどこか真摯ではないという気配のなかで、ビーシアはこれ以外の人格ではありえない、と思う。
今まで読んだ長野作品の中では、好きな作品です。 -
Posted by ブクログ
家族の愛というよりは、性別のお話。
生殖器、性表現、ややこしい。なので染色体でそれを判り易く。。。
あんまりなってねえ。
面白いのだけれど、「面白い」のであって、悲しみや孤独、それらを鬼気迫るものに感じれない。
そこでとてもそれを体現できる痛みの只中にいるのがルビではないかと思われる。
だけど、そこまで深くは描かれない。
主人公は傲慢すぎ、云ったことが裏目に出ては後悔しやりこめられてばかり。
「なに・・・・すン・・・だよ」て、何回云うんすかww
でも、そんな彼が思い返せば自ら「なにすんだよ」的なことを行い、自ら思うようにやりこめたのは少年版ルビだけだった。
そんなことを思い返させ、ほっこりさせられるラストシーン。
結局はヒワ子のもとで暮らした日々が「サマーキャンプ」であり、辰の家にもどるのか。
辰にとっては温はかけがえのない存在で、温は少年ルビに惚れる。
ん〜。ここでは性別が重要なのに、「女」の描かれ方があまりにひどい気がする。
ABITAS-C1(アビタスシィワン)
この語呂すきww