加藤千恵のレビュー一覧
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もう何年も前に一度だけ読んだ本だったけど、たまたま目に止まったので、もう一度読んだ。かなり短いストーリーと最後に短歌、がずっと続くのだけど、毎ストーリーの最後の短歌でひとつひとつのストーリーの収まりが良くて読んでいて心地が良かった。短歌っていいなぁって。言葉を紡ぎ出して、かつ心地よく。。
物語の主人公たちは皆バラバラの世代であったり環境にあるので、読んでいて何かしらはその時々の自身の環境に近しいものがあるのではないかと思う。以前に読んだ時はまだ大学生だった私も大人になり…読んだ印象、自分と重ね合わす対象も変わった。今の私は「非・寿」の主人公に見事に当てはまる感情を持っている。「結婚…ねぇ。」 -
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Posted by ブクログ
再読。
コンビニスィーツの商品開発をするみのり。
自分の選んでいる人生に少しの不安を感じていた。
実家に帰り、地元の友人たちと過ごすときに、結婚も見えず働き続けている自分は間違っているのかもと思ってしまうみのり。
逆の立場で、働く人達の中に1人だけ紛れてしまった専業主婦の友人が居たら、やっぱりその人も自分の選択が間違っていたのかもと悩んでしまうと思います。
自分の選択を信じ、そこに自信を持つことは大事。
少しまどろっこしい展開でしたが、最後にみのりがそこに行き着いた様子でよかった。
大きな変化はなくとも、みのりの気持ちに寄り添うストーリーでした。 -
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街の物語、第3弾。
知らない作家さんの名前も増えてきたが、今回もまた一段と、箱庭世界が充実していった。
自分のコレクションが増えていくような気持ち。
自営業と後継ぎという定番の物語、古くなってしまった業種、逆に商店街にはそぐわないようなおしゃれな店舗のことなど、品ぞろえ多数。
その中、シリーズで一番最初のお話だったカフェ・スルスのその後の様子を知ることができてよかった。
また、店の内情は一つもうかがわせず、舞台として使われている「アイスバイン」は、ちょっと異色で、文学的にして官能的である。
『明日の湯』が一番好きかも。
そして、お店をやってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな明日町シリーズ、第三弾
一軒目「カフェ スルス~一年後~」大島真寿美
平均年齢60歳。老後の楽しみに開いたお店に咲く恋の花。
二軒目「ブティックかずさ」 越谷オサム
三十近いひきこもりがちのバンドマンの一人息子VS昭和の香りプンプンな「ブティックかずさ」を守り続けている父。
三軒目「エステ・イン・アズサ」青谷真未
お互いを思いやるお嫁さんと姑さん、なんて素敵なんだ。
四軒目「明日の湯」秋山浩司
銭湯の壁の絵にまつわるおばあちゃんの恋心に、心がぽかぽか♪。
がんばれ三太郎!
五軒目「ドイツ料理屋・アイスバイン」島本理生
ずっと好きでいたいからと、他の男性と結婚した主人公。
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ネタバレ「みのり」はわたしだった。
そして、誰かでもある。
そんなことを思わせてくれる、ひとりの女性の人生の一部を切り取った小説だった。
人生は選択の連続。
何かを選んだということは、何かを選ばなかったということ。
みのりはそれを「点つなぎ」になぞらえる。
選んで、選んで、選び続けたその先にしか見えない形、明らかになるかもわからないそれをイメージして。
選ばなかった先の景色は決して見られないし、どちらがよかったなんて絶対にわからない。
それはすでに、違う世界だからだ。
劇的なことが起こるわけじゃない。
行方不明の妹は行方不明のままだし、取引相手ともチームのようだし雰囲気も良いこともいくつかあったが