あらすじ
一緒に暮らす恋人に、最近わたしはすぐに苛立つ。好きなのに、優しくしたいのに、彼を追い詰める言葉ばかりが溢れ出し――(「つまらぬもの」)。退屈な日常を変えて欲しくて、会社員の芹澤さんと付き合い始めた。でも、高校で援交の噂を立てられて……(「暮れていくだけ」)。甘やかな恋心は、いつしか胸をしぼる切なさに形を変える。恋の至福ととまどいをひたむきに描いた全9話。文庫オリジナル。
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好きなのに、わざと攻撃的なことを言ってしまったり、そんな気がなかったのに、つい、相手を傷つけてしまったり…。恋愛中に起こる葛藤や衝突を丁寧に綴った短編集。加藤千恵の小説はいつも、わかる!わかる!って気持ちがぎっしり!
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表紙からは想像もできないほど大人の恋愛小説だった。すっごく面白かった!
最後の解説にもあったけどとにかく普通、日常。
だからこそすごく共感できるし、今自分の身に起きてなくても過去に起きてきたこと、これから起きうるだろうことにどこか繋がってる気がして学びが多かったな。
久しぶりの連作短編だったけど、やっぱりいいところは それぞれの人生があるって考えさせられること。
誰かが泣いている横で誰かが笑ってて、誰かが失恋したときに違う誰かは恋が実ってたり。
一見繋がりのない人でもどこかの何かで繋がっているし、それが人間関係として繋がることもあれば繋がらないこともある。
人生の色んなことは順番でいつか自分のところに巡ってくる。だから何事も焦らず、自分の身に振りかかったことを受け入れて生きていきたい。
なんて、思った。
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「私が寝てたら何時に帰って来ようといいの?12時半が朝の5時になろうと関係ないの?」「なんでそんな極端なの?」って掛け合い、両方に対してそれなだった。書き写すの嫌になるぐらい、1.つまらぬもの、は自分のことだった。まとめると、切ないフェードアウトにとても惹かれる。共感しすぎて書き写すのも迷った。
2022.9.15
何も響かなくなってたけど、何にも共感できなかったけど、でもすごく面白かった。
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加藤さんの作品は毎回心理描写にリアリティがあると思う。
些細なすれ違いや別れの予感
新しい恋が始まる瞬間。
とても繊細。
設定も普通というか友達や友達の友達の話を聞いているかのような、身近さがある。
でもすごく、心を揺さぶられます。
感情移入がしやすいのかな。
きゅんと切なくなったり
ほっこり嬉しくなったり。
登場人物たちが幸せになれたらいいのにと
願ってしまわずにはいられない。
彼女たちのその後が気になります。
短編なんだけれど、少しずつ繋がりがあって
それも気づくとワクワクします。
やっぱり加藤さん好きです!
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いくつかお話が入っているんですけど、全部がどこかでつながってるんですよね。
友達だって、その辺の道ですれ違う人だって、みんなそれぞれ一生懸命いろんな形の恋愛をしているんだってことだと思いました。
恋愛っていいことばかりじゃないけど、絶対無駄なことなんてない!
と、信じています(笑)
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半身浴のおともに最適な恋愛連作短編集。
最初の「つまらぬもの」は、わかるわかるという気持ちでいっぱい。
恋の終わりとか始まりとか、大きな目で見ればそのへんにいくらでも転がっている。
大きく見れば、特別じゃない。
だけど、その人からみたら特別。それが恋愛ですよね。
追体験できるような日常の恋愛を書いてくれる人は多くない。
まして、今回は連作短編集。
先生を好きな生徒の話があれば、彼女の浮気に気づいたその先生の話があり、かと思えば、その彼女の純愛浮気話があり・・・
繋がる物語に、次は誰が主人公かとわくわくしながら読みました。
それぞれの短編が思わぬところでリンクしている。連作短編集は好きだなあと改めて思いました。
普通かもしれないけれど、非凡な著者が書いた物語に出会えて幸せです。
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表紙が気になって手に取ってみたけれど、自分としては当たりだった。登場する女性たちの雰囲気がとても好き。自分と似ていると思う女性ばかりが出てきた気がして感情移入しやすかったんだと思う。文章の雰囲気も好みだった。
「電話をかける」だけが苦手だったけど、あとはどれも好き。(でもこのはなしの妹の部分はなんだか痛いほどわかって、やっぱり嫌いになれない)また、物語がちょっとずつ繋がっているのもさっきの話のどこと繋がっているんだろう?とわくわくした。ただ彼氏さんと電話〜の繋がりだけ見つからなくて…見落としただけかな?
Posted by ブクログ
短編が9つ?入ってるお話!
相変わらずこの作者さんのお話は心情が読み取りやすくなっていて、読みやすくてサラサラと読んでしまった。
短編だけど少しずつ登場人物が繋がっていて、何かしらみんな抱えてたりするお話。
最後のお話、バンド解散と恋人とのあれこれなんだけど、すごく好きだなっと思いましたね…、
人と仲良くなる時ってこんな感じだよなあってリアルな感じ。
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加藤千恵さんの小説はいいなぁ。どこにでもある日常。ひょっとしたら自分にも似たような恋をしたことがあるかもしれない。そんなひとこまを抜き取って書くのがうまい。不思議な標識だったり、登場人物だったりがほんの少しリンクしたとある一風景を切り取ったお話。西加奈子さんの解説がまたよい。2012/376
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ハニービターハニーがよかったので同じ作者のを買ってみた。
また短編だが登場人物が繋がっていた。最初のほうは。
別れ系だなあまたしても。
お好み焼き屋に行きたくなったね。
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加藤さんの小説は止まらない。甘くて切なくて、ずっと読んでいたくなる。
確かにあるけど説明できない感情を描いていて、読んでて苦しいものじゃないけど切なくて、でも甘い。絶妙。
今回の短編は、糸みたいに繋がっていて、凄く良かった。みんなが何か思っている。日常の人ってこんなにたくさんの想いがあるのかと気付かされる。自分が見る世界が少し変わりそう。
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甘くて切なくて苦くて痛くて寒くて気怠くて、、、。
この雰囲気、嫌いじゃない。
てか好き(〃∇〃)
☆つまらぬもの
☆特別な部屋で
☆バンドエイド
☆タイミング
☆チョークを持つ手に
☆暮れていくだけ
☆彼氏さん
☆電話をかける
☆解散の雨
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ハニー ビター ハニーと同傾向の恋愛短編集。続編ではありません。色んなさよならの場面を描いた作品です。前作と同様にやっぱり加藤知恵さんの言い回しはとても綺麗で素敵だなぁ、なんて思いながら読ませていただきました。
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加藤千恵さんの本は二冊目やけど、本当に言葉が綺麗。
そして人間の、特に女の心の闇?暗さ?みたいなんが表現されててゾクっとする。
どこかで共感してしまうし、共感できてしまう自分に少し悲しくなったりもする。客観的にみると嫌なやつだとも思う。でもそこがこの人の話の面白さだろう。
特別な部屋で、タイミング、電話をかけるは特にゾクっとした。
バンドエイドは唯一暖かいお話。
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私にとって2冊目の加藤千恵さん。
前回のように甘いだけでなくちょっと寂しげな内容が多い短編集
『彼氏さん』、がすきでした
相手の子にがつんと言ってやりたいね
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初めての加藤千恵さんでした。
一つ一つの短編に漂う恋の儚さ、切なさ、ままならさ。
物語の登場人物と似たような体験をしたわけではなくても、ふとした言葉や感情がいつかの自分に重なり、その頃の甘く切ない気持ちが甦ってきてしまう。
心地よい切なさ。
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それぞれ独立した話でありながらうっすらどこかで繋がっていて、知らないだけでいろんな場所で毎日いろんなことが起きているんだなと思わされる。不倫や浮気や心変わりの話が多くてちょっとしんどくなってしまう。劇的な解決編があるわけではなく、どうしていいかわからない、と途方に暮れる感じが切なかったです。
Posted by ブクログ
短編集、それぞれの物語が微妙に繋がってはいるものの他人たちの恋の物語。現実世界のように、同じ街に暮らす人たちが少しだけ重なる瞬間が散りばめられていて心地よかった。ひとことで言うなら、余熱の伝線。さよならのときの、簡単には消えてくれない(消してしまいたくない)熱が読者にまで伝わってくるような小説だった。
『つまらぬもの』同棲中のカップルのお話、実生活にリンクする部分があったのでつい感情移入してしまった。
「わたしはこの広い世界の中で、彼に対してだけ、根拠のないヒステリックさをぶつけてしまう。」
わたしはそんなに人に強く当たるタイプではないはずなのに、主人公と同じように"彼"にだけ激しい感情が抑えられなくなることがあるけれど、大切な人にこそいつまでも優しくありたい。これからは全ての原因は甘えだと自分を律して、主人公とササのような結末を迎えぬよう日々をていねいに生きていきたい、というか生きていこうと思った。わたしの決意に繋がる作品をこのタイミングで読めたことはとても良かった。
『チョークを持つ手に』『電話をかける』先生に恋心を抱く女子高生と、彼氏のストーカーと化してしまう女の子のお話。遠い日のわたしのような描写があって、胸がギュッとなった。が、非通知での無言電話はさすがにしたことない。
加藤千恵さんの作品初めてだったけど、読みやすくて活字リハビリにぴったりな小説だった。
『おやすみを言って眠りにつく寸前や、あるいは目覚めて、おはようを言うときに、ササに優しくいよう、と思う気持ちはきっと嘘じゃない。けれど、実行されずに思っているだけなら、嘘みたいなものかもしれない。』
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後書きが西加奈子だったんだけども、おふたりはお友達だそうで、わたしはこちらの著者はお初だったので、えーそうなんだー!!!なんて少し喜んでしまいました。
そんなこちらの恋愛小説。
ホント、後書きでもあるよーに、とにかく普通なんだよね。短編に短く幾つもの恋愛を描いているんだけども、なぜかそれなんかわたしも経験したなぁ。と、おもうような甘辛い思いが一気に蘇るような一作一作で、どれも経験したような、体験したような、友達から聞いたような、いやいや、やっぱりわたしのできごとだ!って思うような、そんな恋愛小説で。
この歳になって今更振り返ることもできないようなささやかな気持ちが蘇る、そんな不思議な体験ができる恋愛小説でした!!!!!
40歳であの頃、17とか18歳の気持ちやら、二十歳以降のあのあたりやら。笑笑
そんな振り返りと共に読めて、わたしの話じゃないけど日記を読んでるような、こんなふうに物語描けたら、誰の人生も本になるよなぁ。
と、作者の巧みさに圧倒です。
きっと、誰でも自分のことだと思える本だと思う、笑笑
本の中にある、
まさかという坂はある。
という一文。
まさにそうだわ。こんな恋愛してきて、まさかの今の旦那と結婚して子ども産んでるなんて、まさに、あの頃のわたしからみて、まさかという坂だったな。と、実感してます。
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友人から借りる。
ハニービターハニーより、本作の方が好き。
身近に感じられるようになった。
登場人物とそこそこ歳は離れてるけど…
当時読んだら、もっと感情移入して楽しめただろうな。
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「さよならの余熱」の題名を見れば単純に別れの話なのかと考えますが、別れを題材にしてどんなに読者を揺さぶる物語なのだろうという気持ちを良い意味で裏切ってくれました。とても普通の話ですが、一つ一つがとても繊細で心を揺さぶられます。どこにでもあるありふれた恋愛でも、その人にとっては特別な恋愛。物語のどれか一つには、自分と重ね合わせて共感出来る主人公もいるのではないでしょうか。
読み終えて本を閉じた時に感じるのは、「余熱」の意味。料理で言えば、冷めずに残っている熱であり、焦げ付かずにじんわり火を通すことが出来る熱。
大抵の別れはある日突然訪れるものではないことが、この本のどの物語からもわかります。
少しずつ積み重なったものがじんわり別れに向かっていく。この本の「余熱」は別れた後の気持ちの熱ではなく、どこで火が消えてしまったのかは分からないけれど、火が消えた後も別れを完成させるために進み続ける余熱なのだと感じました。
別れが怖いということは、どこかで別れを分かっているということ。そんな気持ちを経験したことのある人にオススメの一冊です。
Posted by ブクログ
恋愛短編集。明確にならない気持ちも思い通りにならない感情を抱えていても、それでも相手がいることだから少しずつ関係性は変化していく。バンドエイドのお話が一番好きだった。別れの話じゃないからというよりは、誰かが誰かを大切に思う気持ちに気づいた瞬間の描かれ方がよかった。
Posted by ブクログ
加藤千恵の細やかな描写が好きだ。
終わり方も余韻があっていいと思う。
さよならの余熱、っていうタイトルだから、さよならから時間経ってるのかと思ったらあまりそんな事はなかった。
現在進行形の恋が終わってく感じ。
タイミングの雅代視点の話を読んでみたい。
この二人がこの後どうなったのか気になった。
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初めての加藤千恵さんの作品でした。
恋愛における別れの少し前の場面を切り取った短編作で、ちょっと短すぎるかなと思いましたが、この短さだからこそ伝わる余韻が素敵でした。
個人的には雅代さん視点のお話を読んでみたかったです。
Posted by ブクログ
恋愛短編集
「タイミング」 もどかしくて胸糞悪かった。なんでそこでなんもいわないの!!!!
「電話をかける」 彼女の行為は常識的に考えたらきもちわるいんだけど、なんとなく分かるなぁと共感
心理描写とちょっとずつ登場人物同士が繋がってるのが面白かった
Posted by ブクログ
【本の内容】
一緒に暮らす恋人に、最近わたしはすぐに苛立つ。
好きなのに、優しくしたいのに、彼を追い詰める言葉ばかりが溢れ出し―(「つまらぬもの」)。
退屈な日常を変えて欲しくて、会社員の芹澤さんと付き合い始めた。
でも、高校で援交の噂を立てられて…(「暮れていくだけ」)。
甘やかな恋心は、いつしか胸をしぼる切なさに形を変える。
恋の至福ととまどいをひたむきに描いた全9話、文庫オリジナル。
好評『ハニービターハニー』に続く第2弾。
[ 目次 ]
[ POP ]
好きなのに、好きだからこそ、苦しい恋心。
たとえば、少し尋常じゃない行動をとってしまったり。
あるいは、うまくいっていない恋人同士の微妙な距離感。
そして、幸せでもなければ、不幸せでもない・・・。
そんなどこにでもありそうな恋物語の短編集です。
恋の至福と、とまどいのひたむきさに、思わず切ない気持ちになります。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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一つ一つの物語が、かすかなつながりを持って登場人物のさまざまな恋愛模様を紡いでゆく。どの物語にも、恋愛に苦悩する彼ら彼女らの心情がリアルに描き出されていて、その心の隙間に違う誰かの存在、友人の結婚話、年配のおじさん、過去の人など、色々なものが埋め込まれてゆく。それぞれの物語には「余熱」感が残る結び方となっているため、物語の続きを想像するもよし、「余熱」を感じながらページを繰る手を止めても楽しめる。