あらすじ
一緒に暮らす恋人に、最近わたしはすぐに苛立つ。好きなのに、優しくしたいのに、彼を追い詰める言葉ばかりが溢れ出し――(「つまらぬもの」)。退屈な日常を変えて欲しくて、会社員の芹澤さんと付き合い始めた。でも、高校で援交の噂を立てられて……(「暮れていくだけ」)。甘やかな恋心は、いつしか胸をしぼる切なさに形を変える。恋の至福ととまどいをひたむきに描いた全9話。文庫オリジナル。
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Posted by ブクログ
短編集、それぞれの物語が微妙に繋がってはいるものの他人たちの恋の物語。現実世界のように、同じ街に暮らす人たちが少しだけ重なる瞬間が散りばめられていて心地よかった。ひとことで言うなら、余熱の伝線。さよならのときの、簡単には消えてくれない(消してしまいたくない)熱が読者にまで伝わってくるような小説だった。
『つまらぬもの』同棲中のカップルのお話、実生活にリンクする部分があったのでつい感情移入してしまった。
「わたしはこの広い世界の中で、彼に対してだけ、根拠のないヒステリックさをぶつけてしまう。」
わたしはそんなに人に強く当たるタイプではないはずなのに、主人公と同じように"彼"にだけ激しい感情が抑えられなくなることがあるけれど、大切な人にこそいつまでも優しくありたい。これからは全ての原因は甘えだと自分を律して、主人公とササのような結末を迎えぬよう日々をていねいに生きていきたい、というか生きていこうと思った。わたしの決意に繋がる作品をこのタイミングで読めたことはとても良かった。
『チョークを持つ手に』『電話をかける』先生に恋心を抱く女子高生と、彼氏のストーカーと化してしまう女の子のお話。遠い日のわたしのような描写があって、胸がギュッとなった。が、非通知での無言電話はさすがにしたことない。
加藤千恵さんの作品初めてだったけど、読みやすくて活字リハビリにぴったりな小説だった。
『おやすみを言って眠りにつく寸前や、あるいは目覚めて、おはようを言うときに、ササに優しくいよう、と思う気持ちはきっと嘘じゃない。けれど、実行されずに思っているだけなら、嘘みたいなものかもしれない。』
Posted by ブクログ
恋愛短編集
「タイミング」 もどかしくて胸糞悪かった。なんでそこでなんもいわないの!!!!
「電話をかける」 彼女の行為は常識的に考えたらきもちわるいんだけど、なんとなく分かるなぁと共感
心理描写とちょっとずつ登場人物同士が繋がってるのが面白かった