加藤千恵のレビュー一覧
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街の物語、第2弾。
ファッションビルにテナントが入っている、とか、お菓子の箱にケーキのアソートが入ってる、とか、アンソロジーによってイメージはそれぞれだが、やはり、これはまぎれも無く商店街なアンソロジーだ。
家族や親戚のような、血の繋がりでもあるような不思議な統一感。
他のお店の話題が出たり、人物が出たり、ひとつの世界を作り上げている。
中でも伊藤米店のおにぎりの人気ときたら、スカイツリーもうらやむくらい?
幽霊が出たり、逃亡者が立ち寄ったり、商店街の人々に見守られて幕が下りたり、小さな事件を繰り返しながらも生活は続いていく。
どれも良かった -
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加藤千恵さんを知るきっかけになった、大好きで大切な一冊です。
高校時代からもう何度か読み返しているのですが、ひさしぶりに手に取ると忘れていた部分がちらほら。
「甘く響く」と「ねじれの位置」は今読んでもやっぱり胸がきゅううんとなります。
そうそう、恋をするってこういうことだと転げまわりたくなるような甘さ。
けれどそれとは対照的に、タイトル通りビターなほろ苦い恋模様もいくつも収録されています。
さらっと読めて、ずっと心に余韻を残す素晴らしい短編集です。
どうして加藤千恵さんの書く小説が好きなんだろうと思ったとき、解説の島本理生さんの例えがぴったりでした。万華鏡。
見逃していた、矛盾していた感情を -
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2015/6/13
色事。ショートストーリー。
もう過去にしかないわたしの色事。
恋愛現役時代だったら泣いていたかもしれないなぁ。
各話、心当たりがありすぎて胸がキュッとなって本を閉じて深呼吸する時間が必要だった。
人生で恋愛できる期間ってすごく短いね。
いつもなら家に着くなり、メイクを落として服を着替えるのに、今日はそうしないのは、たった今彼から連絡が来ても、すぐに出かけられるようにしておきたいからだ。
食事に誘われるかもしれないから、まだごはんも食べていない。
携帯電話が圏外になっていないかばかりを確かめてしまう。ここにいて、誰かからのメールや着信が届かなかったことなんてないはずな -
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何だろう、このフンワリとした温かさ(*'ω'*)
切ないのに心がジワリと温かくなるのは、主人公達の前向きな心のおかげかな?
彼女たちは、これからもゆるいカーブを曲がりながらも前へ前へと進んで色んな景色を見つけていくんやろうなぁ(*ノωノ)
☆よく晴れた日に
☆まるわかり
☆二冊
☆酢豚
☆ただいま
☆一目惚れ
☆三年半ぶり
☆桜の季節
☆綺麗なだけ
☆からっぽの部屋
☆コーヒー
☆沈黙
☆距離感
☆非・寿
☆地下鉄に乗って
☆行ったことのないベトナム
☆恋よりも
☆テレビ
☆男友だち
☆二人の男
☆憧れ
☆電車の音
☆彼女からの電話
☆話さなかったこと
☆カシスオレンジ
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20色のショートストーリーと短歌。
「いろごと」とあるだけ恋愛のお話でした。
加藤千恵さんの小説も好きだけれど
元々短歌の大ファンだったため
20もかとちえさんの短歌が読めるのか!と
渋谷でサイン本を購入しました。
想像していたよりずっとカラフルで
装丁のイラストや本型も素敵。
文庫本も好きだけどハードカバーの方が
その本の個性が出ていて好きだと最近気づきました。
ショートストーリーも
本当に短いのに切なくて苦しくて
ちりりと胸が痛んで。何回も読んでしまう。
そして添えられている短歌が
どの「色」も本当に素敵で。
やっぱりこの人の詠む短歌が大好きだなと思いました。
この先も大切にした -
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ある小さな映画館の同じ上映時間に居合わせた女性たちの連作短編。
高校生、大学生、OL、主婦、フリーター、転職活動中、そして主演女優。
年齢も置かれている状況も違うけれど、
それぞれのストーリーに共感できる言葉や思いが
ちりばめられている。
登場人物たちは、人から見たら些細なことかもしれないようなことで悩んでいるんだけど、
それがすごくリアリティがあって、共感できる。
加藤さんは
日常の中にある誰もが抱えたことのあるような
思いをくみ取るのが、本当にうまいです。
あたしの日々だって、
映画じゃない。
劇的なことがおきなくても、大切に生きたいって
思えるような作品。 -
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半身浴のおともに最適な恋愛連作短編集。
最初の「つまらぬもの」は、わかるわかるという気持ちでいっぱい。
恋の終わりとか始まりとか、大きな目で見ればそのへんにいくらでも転がっている。
大きく見れば、特別じゃない。
だけど、その人からみたら特別。それが恋愛ですよね。
追体験できるような日常の恋愛を書いてくれる人は多くない。
まして、今回は連作短編集。
先生を好きな生徒の話があれば、彼女の浮気に気づいたその先生の話があり、かと思えば、その彼女の純愛浮気話があり・・・
繋がる物語に、次は誰が主人公かとわくわくしながら読みました。
それぞれの短編が思わぬところでリンクしている。連作短編集は好きだなあ