呉勝浩のレビュー一覧
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心理学用語の独特な言い回しがあるので飲み込むまで時間のかかるページも多かった。
『人を殺したいもの』対『人を虐げたもの』だと思っていたら、そんな単純な話ではなかった。
誰の中にも存在する『悪』をどう扱い、向き合い、消化するか。
人は知らず知らずに行っているのにその衝動を止められないものがいるわけですね。
では、止められなくて犯罪をおかし、刑に服したものは『止められない』のだろうか。
そして加害者側の人権。
加害者自身ではないものが、加害者側というだけで『被害者』にはならない。
言われなくても分かっているが、それをまざまざと見せつけてくるようなストーリーでした。
少しずつ紐解かれ、繋がってい -
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どう感想を書くか…とても悩む。
新人というか研究者ベースの追求心がある、初期のカウンセラーに近いカウンセラーにベテランカウンセラーの対比。それは理想と現実の対比だと思う。
『異端』を理解できないのは、人として当然だろう。なぜならみな『異端』を持っていて、飼い慣らそうと必死だからだ。『異端』が無ければ、虐待も虐めも起きないのではないか、と個人的に思う。『異端』というか自分の中の『悪』に気づき、対話し続けている人がその『悪』をコントロールできている。それには『愛情を受けれる存在である』という実感も必要だと思う。だからこそ包摂は必要でありしかし難しい。そして『悪』のコントロールに困っている人は『自分 -
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ネタバレ同著者の「爆弾」を読む前に、積ん読していたこちらをまず片付けようと思って読み始めました。
最初は時系列がぶつ切りにされていて流れが悪いような気がしたのですが、話が見えて来た途中からは加速がついて、思っていたより早く読み終えてしまいました。
これは正にセックス・アンド・バイオレンスの世界ですね。
ちょっと前に「冷たい熱帯魚」を観ていたせいか、これは映画化するなら園子温氏が適任であるように思います(諸事情で無理でしょうが)。
そういえば、園子温氏は、「愛のむきだし」という宗教団体映画も作っており、この本で色川という登場人物が作るカルト的サークルの描写とも親和性は高そうです。 -
購入済み
前作に引き続き、面白かったです。
たくさん人が出てきますが、それぞれ見せ所があり、キャラが濃くて覚えやすく読みやすい。
前回登場していたメンバーの活躍もうれしかったですが、等々力さんや鶴久さんなんかはどうしてるのかなあとも思ったり。
清宮さんもまたしっかり出てきてほしい!
続きがありそうなので、期待したいと思います。 -
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購入済み
イッキ読み
爆弾読まれた方には堪らない書
おもしろ過ぎて、わかってましたが
イッキ読み。
全く落とし所がわからず、身を委ねるしか
ない快感。
タゴサクは何処に爆弾3はあり得るのか?
何で期待をしながらレビュー完。 -
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呉勝浩さんのデビュー2作品目の作品。
このアプリ内でも他で検索してみてもあまり評価が高くない作品なのだが、自分の感想としてはかなり面白い作品だった。
後書きでもあったが普通の誘拐事件小説とは大きく違うスタイルのこの作品。
異端で突飛な発想力とそれをまとめあげる構成力が素晴らしいと感じた。
そして人間の持つ影の部分も物語に散りばめられており、どの登場人物にも共感と反感を同時に見いだせる不思議な描写力と展開力。
大きな騒動の割には小さくまとまった事件なのだが、そこに至る最中に関わってくる登場人物達の抱く心理に熱を感じる。
約600頁、夢中になって読んだ。
作品はほぼ2部構成。
前半は犯人による -
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ネタバレショッピングモールで起きた無差別殺人事件。
思ってた以上にエグいし、グロかったりはしないんだけど描写が妙にリアルで怖かった。
怖かったんだけど、面白かった。
生き残った人たちが集められたお茶会。
誰が事実をいい、誰が嘘をついているのか。
物語は予想のつかない方向に進んでいき、面白くて一気に読んでしまった。
当事者だったら、何か最善でどの道が正しかったのかなんてわかるわけない。
恐怖に頭がしびれ、理性を失い、ただ必死に動いた結果を、周りの人たちはさも自分が正しいかのように糾弾してしまう。
何も知らないのにテレビやネットの報道だけで判断してしまうの怖いなぁ。
にしても鮎川がいちばんいやかも。
わか -
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やっぱり当たりだ!呉さんは、すんごく面白い!6つの短編集です。私はこれで、呉さん、9作目。本屋さんで迷ったけど、買って良かった!やっぱり、短編も秀逸だと思うわ。
特に面白かったのが、表題作の『素敵な圧迫』もう、題名が「なんだそりゃ?」って思うでしょ⁈これがもう、題名通りの言葉通りで、変わってておっかしくって。もう、この1遍で、掴まれましたねえ〜〜〜!
『論リー・チャップリン』は、良い意味でも毛色が違い爽やかで、これも好き!
『パノラマ・マシン』や
『Vに捧げる行進』は、若い頃夢中で読んだ、筒井康隆さんの初期の短編集を思い出しました。
そう、あくまでも現代の日本の話なんだけど(あ、ちょっと昔の -
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『爆弾』を拝読し、かなり好みでしたので呉さんが乱歩賞を受賞したこちらも拝読。
皆さんが仰るようにどの登場人物が今話しているのか分かり辛い事も多かったですが、ご本人もその指摘を受け止めていらっしゃるのか『爆弾』では見事に進化をされている事が分かり驚きました。
難点と言えばその位で、ドキュメンタリー映画を作って行く行程で謎が謎を呼び、叩き上げのジャーナリストであった主人公がそれを追って行く展開がどうなるのか予想も付かず、ミステリーを読んでいる!と満足感に満ち溢れました。
最後の方で明かされるある人物がとんでもない事をしでかしていた事実に『道徳の時間』と言うタイトルがずしんと響きました。
たっ -
購入済み
爆弾から
続いてレビューポイントの高い本作を続読
大変良く考えられた伏線が何重にも張られ
しっかり回収されて、
人生訓も散りばめられた良作で今回も一気読み。
最後まで解を明かさない、引っ張っりとか
それも伏線なの?って感心しました。
登場人物の相関と、誰のセリフなのかを
しっかり理解する必要がやっぱりありますね。