呉勝浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
澤登耀司は同期の現職警察官失踪事件の真相を探るため獅子追交番に赴任してきた。
過疎化した田舎町はある権力者一族に牛耳られており、同期失踪の真相を探る中で耀司は街を二分する開発計画に巻き込まれていく。
そして、失踪した同期の拳銃で開発反対派のヤクザが射殺されるという事件が起きる。
・感想
ううう…呉先生の作品ってどれもおもしろくってすごい。
読んでる時ずっとヒリヒリしてた。
爆弾は常識や倫理という線の上をたまに踏み外しながらも踏ん張りつつ「己の正義」を生きる刑事たちがいたけど、今作の耀司君は「己の役割」を果たすためだけにこれからも生きていくんだろう。
毒を食らわば皿まで。しがらみや保身を捨て、外側へ一歩踏み込んで獣の道を歩むことにした耀司と彼が己に向ける銃口を必要とする晃光の関係も良い!
こういうのすごく好きーーー。
晃光は裏主人公なんだろうな。
自分勝手で利己的な復讐心と執念を持つ晃光と守りたいもの、守らなければならないもののために晃光と手を組んだ長原。
どっちも自分の中できちんと譲れない芯があった二人。
でも耀司は人殺しでさえ「長原がそうしたかったから」という理由だけで実行できてしまう空虚な人間。
過去や家族から逃げて自分の立つべき場所を失ってた耀司だからこそ長原や晃光に惹かれたんだろうなとも思う。
故郷に対する複雑な気持ち、捨てきれない執着とか少し気持ちがわかるわーー。
耀司のこれからは明るくはないだろうけど、ただ一つずっとすれ違ってたお兄ちゃんと和解出来そうな終わりだったのは一つの救いかもしれない。
お兄ちゃんも辛い…ずっと今まで一人で背負ってきてたんだもん。
呉先生の作品はこれで5作読んだけど、どれも面白過ぎる!!!
どの作品も勧善懲悪でなく清濁併せ持つ強さをもつ人間臭さが魅力。 -
Posted by ブクログ
心理学用語の独特な言い回しがあるので飲み込むまで時間のかかるページも多かった。
『人を殺したいもの』対『人を虐げたもの』だと思っていたら、そんな単純な話ではなかった。
誰の中にも存在する『悪』をどう扱い、向き合い、消化するか。
人は知らず知らずに行っているのにその衝動を止められないものがいるわけですね。
では、止められなくて犯罪をおかし、刑に服したものは『止められない』のだろうか。
そして加害者側の人権。
加害者自身ではないものが、加害者側というだけで『被害者』にはならない。
言われなくても分かっているが、それをまざまざと見せつけてくるようなストーリーでした。
少しずつ紐解かれ、繋がっていく飽きさせない作りは他の作品も期待させます
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Posted by ブクログ
どう感想を書くか…とても悩む。
新人というか研究者ベースの追求心がある、初期のカウンセラーに近いカウンセラーにベテランカウンセラーの対比。それは理想と現実の対比だと思う。
『異端』を理解できないのは、人として当然だろう。なぜならみな『異端』を持っていて、飼い慣らそうと必死だからだ。『異端』が無ければ、虐待も虐めも起きないのではないか、と個人的に思う。『異端』というか自分の中の『悪』に気づき、対話し続けている人がその『悪』をコントロールできている。それには『愛情を受けれる存在である』という実感も必要だと思う。だからこそ包摂は必要でありしかし難しい。そして『悪』のコントロールに困っている人は『自分は理解されない』と殻に閉じこもり、余計に『悪』を助長させる。自分だけの哲学を追求する。
困っている人に手を差し伸べるのはカウンセラーだけの仕事ではない。そして簡単なことではないが、必要なことだ。
自分の考えを押し付けてはいけないのは当たり前だが、大人はやりがちだ。かといって全てを受け入れることは本人の成長には繋がらないし、無責任だ。大人だからといって完璧じゃない。親はスーパーマンじゃない。だから、大人も自分の哲学だけですべてを決めつけないよう、誰かを頼れるといい。
本書はカウンセラーとしての本質について考えさせてくれる話だと思うと同時に、『向き合うこととは何か』を考えさせるものと思った。
『悪』側にはおそらくもっと背景があると思うが、私がそう思いたいだけなのかもしれない。
個人的に、カウンセラーが報道関係者をパートナーに選ぶのはしんどいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同著者の「爆弾」を読む前に、積ん読していたこちらをまず片付けようと思って読み始めました。
最初は時系列がぶつ切りにされていて流れが悪いような気がしたのですが、話が見えて来た途中からは加速がついて、思っていたより早く読み終えてしまいました。
これは正にセックス・アンド・バイオレンスの世界ですね。
ちょっと前に「冷たい熱帯魚」を観ていたせいか、これは映画化するなら園子温氏が適任であるように思います(諸事情で無理でしょうが)。
そういえば、園子温氏は、「愛のむきだし」という宗教団体映画も作っており、この本で色川という登場人物が作るカルト的サークルの描写とも親和性は高そうです。 -
購入済み
前作に引き続き、面白かったです。
たくさん人が出てきますが、それぞれ見せ所があり、キャラが濃くて覚えやすく読みやすい。
前回登場していたメンバーの活躍もうれしかったですが、等々力さんや鶴久さんなんかはどうしてるのかなあとも思ったり。
清宮さんもまたしっかり出てきてほしい!
続きがありそうなので、期待したいと思います。 -
購入済み
イッキ読み
爆弾読まれた方には堪らない書
おもしろ過ぎて、わかってましたが
イッキ読み。
全く落とし所がわからず、身を委ねるしか
ない快感。
タゴサクは何処に爆弾3はあり得るのか?
何で期待をしながらレビュー完。 -
Posted by ブクログ
呉勝浩さんのデビュー2作品目の作品。
このアプリ内でも他で検索してみてもあまり評価が高くない作品なのだが、自分の感想としてはかなり面白い作品だった。
後書きでもあったが普通の誘拐事件小説とは大きく違うスタイルのこの作品。
異端で突飛な発想力とそれをまとめあげる構成力が素晴らしいと感じた。
そして人間の持つ影の部分も物語に散りばめられており、どの登場人物にも共感と反感を同時に見いだせる不思議な描写力と展開力。
大きな騒動の割には小さくまとまった事件なのだが、そこに至る最中に関わってくる登場人物達の抱く心理に熱を感じる。
約600頁、夢中になって読んだ。
作品はほぼ2部構成。
前半は犯人による誘拐事件がメイン
後半はその後の真相究明になる。
前半と後半とでは面白さのポイントが異様に異なる。その両方が読中でも読後でも総合すると一貫性を帯びてくる融合さがあり、そこがこの作品の魅力かと思う。
「ロスト」というタイトルも秀逸。
何を失うのか?誰を失うのか?
何を失おうとしているのか?
何の為に?誰の為に?
物語は事件の事に触れながらの展開でも、個人個人の抱く核心の部分の「ロスト」に迫っていく、最高に面白い。
呉さんの作品はやはり生々しさが面白い。圧倒的な筆力で深層に潜んでいる部分を刺激してくる。
次は「マトリョーシカ•ブラッド」を読んでみる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恩田陸さんのQ &A、ドミノ…
あと思いつかないけど笑
これって舞台と登場人物、行動と時間、そういうの頭に叩き込みつつ読まなければ真の面白さ(笑)はわからなくて…でも正直、途中で叩き込めなくなってそのまま読み進めることになっちゃうんだけれど笑
これは大体把握しながら読めたぞ!笑
いずみの周辺の物語、菊乃さんの真相(なんでそんなところで?ってすぐ思ったぞ!ドヤァ)、少しずつ解けて埋まっていくのがとても面白かった。
いずみも何か隠してるだろうとはずっと思った。後ろめたいことをしたのか? 銃弾は全部使い切ったという一文を見てヒヤリとし、ただ生き残った小梢といずみのことを思った。どっちだ?
いやー、でも閉ざされた空間で命の危険が迫っている時の「お決まりの」人間の醜さというか…初っ端から、あまりに簡単に命を奪われ続けて辛かったけれど、彼らに関しては「まぁ…」って気持ちになったな…100%犯人が悪いことに変わりないものの。巻き込まれただけではあるものの。ああはなりたくないなーって感じ。
人がたくさん殺され、目を背けたい部分もいっぱいあった、でも決して救いようのない話ではなくて…むしろ捨てたもんじゃない、これこそが人間なんだよな(大袈裟)って思った。
あんなに疎ましがられていたのに、彼女を救おうと外へ出たこと。
どうしても恋人の様子を見に行って助けたかったこと。
嫌なことされたのに、命を救おうとしたこと。
その秘密を墓まで持っていくつもりだったこと。
依頼人の目的が、罰を与えるためではなかったこともよかった。彼女の振る舞いが誰かの命を奪ったわけではないと、ただそれだけを信じたかった。
極限状態で、判断を誤ることもある、でも打開しようと努力したり、後で罪悪感に苛まれたり…
そんで、また戻ってくる。
犯人、ほんとになんでこんなことしてしまったん?って。