呉勝浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
理解できない、したくない、そんな他人をそれでも信じたいと思ってしまう。その純粋な衝動に立ち向かっていく話。
人は異物を排除する。何か揚げ足を取れるものがあれば躊躇なく実行する。それは自己を安全に保ちたいという当然の欲求ながらも少しでも客観視できればその醜さには気づける程度の衝動だ。
しかしながら、その衝動に突き動かされ続けるのもまた人間ということをじんわりと教えてくれる。正直まったく共感をできるような話の展開ではない。それでも没頭できたのはそこに不可解以外の真の人がいたのかもしれない。
熱中して読めた。人間の心理をえぐるだけではないミステリー要素もまた読み進める手が取らない理由の1つだったと -
Posted by ブクログ
ネタバレ前代未聞の都内連続爆破事件から一年──。スズキタゴサクの裁判が急遽被害者遺族にハイジャックされる!警察や記者、被害者遺族を含む100人の人質を抱え、犯人は死刑囚の刑の執行を要る……。
法廷での立て籠もりとネゴシエーションという緊迫感溢れる状況の中、交渉と同時に犯人の目的やバックボーンを探っていくシチュエーションは前回と変わらず。この警察組織vs犯人の息もつかせぬ交渉劇こそがこのシリーズの一番の見どころであり、その楽しみは本作も変わらず継続のままである。
ただ、前作のスズキタゴサクの犯人像のインパクトがあまりにも強過ぎたせいか、犯人と警察とスズキタゴサクの三つ巴の状況がどうしても犯人同士の比