呉勝浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
理解できない、したくない、そんな他人をそれでも信じたいと思ってしまう。その純粋な衝動に立ち向かっていく話。
人は異物を排除する。何か揚げ足を取れるものがあれば躊躇なく実行する。それは自己を安全に保ちたいという当然の欲求ながらも少しでも客観視できればその醜さには気づける程度の衝動だ。
しかしながら、その衝動に突き動かされ続けるのもまた人間ということをじんわりと教えてくれる。正直まったく共感をできるような話の展開ではない。それでも没頭できたのはそこに不可解以外の真の人がいたのかもしれない。
熱中して読めた。人間の心理をえぐるだけではないミステリー要素もまた読み進める手が取らない理由の1つだったと -
Posted by ブクログ
ネタバレとある傷害事件で捕まった冴えない男がある場所での爆弾の爆発を仄めかし、やがて連続爆破事件へと発展していく。鈴木田吾作と名乗るその男に警察は次々と翻弄され踊らされる。犯人はふいに昔、警察で不祥事を起こした男の名前を口にし、その家族にも捜査が及ぶ。結論としてはその家族も犯行に大きく関わっており、鈴木は途中からその事件の主犯を演じていただけだった、というストーリー。
取調官と、現場へ捜査に向かう警察官たち。事件を尻目に日常を過ごし、苛立ちや不安を自分以外の誰かに向ける人々。それぞれの心情が細かに描かれていく。
鈴木が取調室で披露するクイズと取調官の謎解きのレベルがコナンくん並みに飛躍していてAud