【感想・ネタバレ】素敵な圧迫のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月16日

呉勝浩3冊目、短編集は初めてだが、さすがに上手い。
タイトルを見て「ちょっとヤラレ系のM系小説だったら苦手かもな」と警戒したんだが、そういう風味はありつつもちっとも苦手じゃない話で良かった。ミステリー的なオチもしっかりついてたし。

他全部で6編の短編を収録しているが、どれも面白い。クセというかちょ...続きを読むっとだけ捻りが加わっているのが、癖になるんやねぇ。ストレートすぎると飽きるし、捻りすぎると選り好みが分かれやすい。その合間を絶妙に縫っている感じ。

でも、やっぱり、呉勝浩は長編。長編を読みたい。早く爆弾回ってこんかなぁ

0

Posted by ブクログ 2024年01月10日

普段短編集はあんまり読まないのでこの作品も気にはなりつつスルーしてたけど、懇親会で呉さんとお話しして、自分でも理由はよくわからないけどこの方の書くものは絶対に面白いと確信した。
やっぱり、呉さんの作品は会話とかロジックとかがめちゃくちゃ面白い!
社会の隅っこでくすぶってる仄暗い欲望?怒り?
そういう...続きを読むものが噴出する瞬間が、誰にでもきっとあると思わせられる。

『Q』が行き詰まって書くのがしんどすぎて、息抜きにこの『素敵な圧迫』を書いておられたらしく、こっちは書くのがめちゃくちゃ楽しかったと仰っていた。

0

Posted by ブクログ 2023年10月17日

やっぱり当たりだ!呉さんは、すんごく面白い!6つの短編集です。私はこれで、呉さん、9作目。本屋さんで迷ったけど、買って良かった!やっぱり、短編も秀逸だと思うわ。
特に面白かったのが、表題作の『素敵な圧迫』もう、題名が「なんだそりゃ?」って思うでしょ⁈これがもう、題名通りの言葉通りで、変わってておっか...続きを読むしくって。もう、この1遍で、掴まれましたねえ〜〜〜!
『論リー・チャップリン』は、良い意味でも毛色が違い爽やかで、これも好き!
『パノラマ・マシン』や
『Vに捧げる行進』は、若い頃夢中で読んだ、筒井康隆さんの初期の短編集を思い出しました。

そう、あくまでも現代の日本の話なんだけど(あ、ちょっと昔のもあるけどコロナの話も出てくる)ある意味、SFだし、毒があるけどユーモアもある、ミステリーでもあるし、読み出したら止まりませんでした。

お好みは分かれるかもしれないけど…帯通り
「超弩級のミステリ短編集」
「物語に翻弄される快感。胸を貫くカタルシス。文学性を併せ持つ、珠玉のミステリ短編集」(帯裏側)ですね。私は好きだな〜〜!
あ〜〜面白かった!!

0

Posted by ブクログ 2024年04月24日

「素敵な圧迫」はフェチに突き進み逆らう事が出来ない人間の本能的な情熱に突き動かされる思いが描かれていた

0

Posted by ブクログ 2024年04月14日

ちょっと不思議な短編集。
一見、こんなこと現実ではありえないかなって思ってしまうけど、でもコロナ禍でそれまで無意識に信じていたことや普通だと思っていたことがあっけなく覆ってしまって、そんな経験をした今、何が起こってもおかしくないという気がしていて、だからこそすんなりと受け容れられた。

0

Posted by ブクログ 2024年04月12日

呉さん作品 8冊目は
表題作「素敵な圧迫」を含む6編の短編集

【素敵な圧迫】
「いい隙間を見つけると、胸がおどった」
押し入れの隅っこ、布団の隙間。電源を落とした一人暮らし用の冷蔵庫。抱擁に似た、素敵な圧迫。
体をピッタリと包み込む圧迫に取り憑かれた広美。
大人になった広美は自分の体に肌にピタッと...続きを読む合う男 遼と出会う。いつまでも抱きしめていてもらいたかったが、婚約者が出来た遼は別れ話を匂わせてきた_。

わかるぅ。押し入れ好きだった。中学の修学旅行で友達と「ドラえもんごっこ」とか言って朝まで押し入れで寝たら キツくて次の日体がミシミシ痛かった思い出 笑

こんなピターっとくる男性、そうそう手放したくないよねと思って読んでいたら 広美の性癖が想像の斜め上をいっていて怖かった。広美くらいになると精神的な圧迫に快楽を求めるのね。

【ミリオンダラー・レイン】
社会的地位の低い工場見習い従業員の青年二人が、搾取される側から する側へまわろうと 現金輸送車を襲う計画を立てる。世の中を震撼させた「三億円事件」。_虚しさしか残らないラストに青年と共に呆然。若さと社会への反発心で熱に浮かされていたのか。事件を起こさないでよかったのか、起こして欲しかったのか迷う。

【論リー・チャップリン】
「遊ぶ金が欲しいから10万円よこせ」と父親をゆする中学生の勝。「そんな大金あげられるわけないだろ」と勝の父の与太郎。勝VS与太郎の10万円を巡る口論の勝者はどっちだ?! 息子にも元妻にも論破されっぱなしの情けない与太郎。わたし与太郎好きだー笑 こんな平和な頭のパパ、議論する気も失せない?え、元妻はそんなところが嫌だったのかな笑 とにかく会話のセンスがツボ(*´`) 『決戦の金曜日』最後はホッコリ〜。愛情に論破はいらないだろ。

【パノラマ・マシン】
見た事もない不思議な箱を拾った男の話。
妖しさムンムン 狂気ムンムンな話だった。
箱から伸びたイヤホンのようなものを耳に差し込めば、現実世界と同じ景色の『あちらの世界』へ行けるというもの。あちらの世界では『何をしても』現実世界に影響は出ない。これを使う人間の欲望が…異常な男たちでゾワゾワ。

【ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について】
ボクシングの話 興味無いー
ダニーがどんだけ強かろうと、弟までもが天才的な強さだろうと 興味無いー
と思っていたけどまさかの終着点でビックリ!!
ダニーの武勇伝を語る人物の迎えた結末に…ゾーっ!

【Vに捧げる行進】
これは他の本で読んでた。

うむ。やっぱり呉作品は長編の方が好きかもしれん。次は何 読もうかな(‘v’*)

腰痛からの左足の痺れで病院行ったのに、骨に異常なしで痛み止めだけもらってきた。えー、座ってるのも立ってるのも辛いのに。




0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月10日

7 books to go!読友さんの感想を受けて、初の呉勝浩作品。どれも尖ったパーソナリティを持つ登場人物、さらに熱量を感じる作品ばかり。表題作、『素敵な圧迫』は「紫のスカートの女」を彷彿とさせる、やばい女性の性癖。密閉・圧迫が大好き。押入れの隙間に収まりたい願望。大学での1人暮らしで冷蔵庫の中で...続きを読むジッと圧迫を感じることが好き。不倫相手から抱かれる密閉感が大好き。その不倫相手から別れを言われ。。。彼女があれこれ別れまいと工作する。しかし相手から殺されそうになる!ゾゾゾーーー。ボクサーのお話しも最後に!!④

0

Posted by ブクログ 2024年04月06日

表題作の『素敵な圧迫』と『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』が面白かった。

『素敵な圧迫』は狭い場所や圧迫感に幸福を感じる性癖を持つ女性が主人公。取引先の男性と肉体関係を持つようになりその男性の身体の重みや肌質などの圧迫感に虜になるが、彼には資産家令嬢の婚約者がいて───という話...続きを読む。設定も突飛なのだが、その後予想もしないような展開になるのが面白かった。なるほど、そっちか!
『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』は、ある一人の天才ボクサーの半生を描く自伝小説の形態を取る。普通に面白く読んでいると最後にミステリ的な仕掛けがあり、なるほどと唸った。こういう仕掛けがあるミステリ大好き。

0

Posted by ブクログ 2024年03月10日

呉さんの文章が好きだ。情景や心理や、とにかく様々なものをまざまざと思い描くことが出来る、描写の巧みさが好きだ。

短編集でありながら、読みごたえがある。
特にボクシングを題材にした「ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について」では、ボクサーの身のこなしがみごとに再現されて実際の試合を見ている...続きを読むよう。

うわ、嫌だなと思うような人間の描写もしかり。読み終えてドンヨリとしてしまうのは、とにかく引き込まれてしまうからなんだろうな。

短編でありながら重ための話がほとんどだが、「論リー・チャップリン」は楽しんで読んだ。

「ミリオンダラー・レイン」「Vに捧げる行進」の主人公にも好感が持てた。どちらもピリッとした風刺が心に刺さる。
こうして思い出しながら書いててジワジワ来る感じ。
やっぱり呉さんは面白い。

0

Posted by ブクログ 2024年02月14日

世にも奇妙な物語を彷彿とさせるような不思議なお話をまとめた短編集。
「素敵な圧迫」「ミリオンダラー・レイン」
「論リー・チャップリン」「パノラマ・マシン」
が私は好きでした。
ちょっと間抜けで生きづらさを感じている、
そんな人間臭い登場人物がまたいい。
落ちもはっきりしていて、爽快感もある。
この方...続きを読むの長編も読んでみたい。

0

Posted by ブクログ 2023年11月05日

読者を陥れているのに嫌な気がしない中篇6作品収録。世間の目に囚われず、登場人物を通して狂気を爆発。何故かその狂気に深く考えさせられる稀有な作品が揃った。乱暴さもおまけとして。

0

Posted by ブクログ 2023年10月15日

個人的好みもあるが、質のバラツキがある。表題作の「素敵な圧迫」と「論リー・チャップリン」は間違いなく傑作で、この2編だけでも読む価値は十分ある。残り4編は好みの分かれるところ。最後の「Vに捧げる行進」はもう一工夫あれば面白い題材。

0

Posted by ブクログ 2023年10月09日

幼少期に隙間に嵌る愉しみを知った彼女が、成長して男性に抱擁されると… 呉先生の短編集 #素敵な圧迫

昨年『爆弾』で直木賞候補、このミス1位をとった呉勝弘先生の短編集。どれも絶妙な切り口の犯罪小説で、多くは語らずに様々な社会問題に示唆してくる。オチの切れ味も鋭いし、ミステリーとしても文芸としても素晴...続きを読むらしい作品集でした。

■素敵な圧迫 ★超オススメ
少女時代に押入れの隙間にぴったりはまった感じが、密かな愉しみになってしまう。大人に成長した彼女は、ぴったりとはまった男性からの抱擁を求めるが…

この変態的な性癖、ちょっと理解できる(いい大人が言うとキモいな)。しかしよくよく噛み締めると、生きる意味を教えてくれる哲学的な作品なんです。

■ミリオンダラー・レイン
昭和43年、日本信託銀行の支店を出発する現金輸送車。一方、社会からはみ出た若き青年たちが計画した犯罪とは…

短編ながら鬱屈とした若者たちを力強く描かれている。若気の至りが爽やかであるが滑稽でもある、そして破滅的な虚しさで包まれる。

■論リー・チャップリン ★オススメ
息子からたかられる、情けない父親の物語。

なんじゃこれっ!ただ文章が野獣のごとく迫ってくる快作。馬鹿馬鹿しくも合理的で温かみのない現代社会への批判が痛烈。

■パノラマ・マシン ★オススメ
怪しい箱を拾った青年と同僚、不思議な能力を手に入れた彼らは…

二人の駆け引きと下劣な考えや行動が読者を引き込む。ま、そうなるわな~。人間のイヤらしさとシタタカさを描いた作品。

■ダニエル《ハングマン》ジャービスの処刑について
鬼ツヨなボクサーの武勇伝、戦歴が語られる物語。

まるで洋画に出てくるような逞しいボクサーが登場、カッコイイ!終盤で明らかになる真相に顎が外れる。

■Vに捧げる行進
商店街のシャッターに落書がされてしまい、地元の警官が街の人に話を聞くが…

序盤はどんな話かよく分からないが、徐々に現代の混乱についてパワフルに語っていく。読み終わってタイトルを見て、これまでに社会や私がやってきた行動を振り返ったのでした。

呉先生は来月2023年11月には犯罪小説の大作が出るそうで、楽しみですね~ 絶対買う!

0

Posted by ブクログ 2023年09月28日

6編収録されている短編集。呉さんの作品は初めて読んだけれど収録作の全てのレベルが高くて驚いた。表題作の「素敵な圧迫」の徐々に増していく不穏さや、「論リー・チャップリン」の子供の屁理屈やどう答えればいいか悩むような質問に対しての向き合い方が面白い。とくにこの2編がお気に入りだけど他の作品もそれぞれの色...続きを読むがあって楽しめる。

0

Posted by ブクログ 2023年09月24日

うわ面白い。
今まで読んだことない部類の短篇ばかりでめちゃくちゃ新鮮。
どれも結末が予想できない。
中でも『論リー・チャップリン』は抜群の面白さで思わず笑ってしまう。
この作家さん、こんなコミカルな話も書くのか。
意外すぎる。
表題作も先が読めなさすぎて良かった。
ああでも『ダニエル~』の結末が一番...続きを読むかも。
真意が明かされた瞬間は興奮で震えそうだった。

0

Posted by ブクログ 2023年09月14日

コロナを皮肉ったものやくすっと笑えるものまで詰まった短編集。
「論リー・チャップリン」が最高だった。
中学生の息子に脅迫される父親のオロオロがなんだか笑えるタッチで書かれていて、今までの著者のイメージがいい意味で変わった。

0

Posted by ブクログ 2023年09月03日

「スワン」や「爆弾」が面白くて、最近気になっている、呉勝浩さんの短編集ということで購入し、すぐに拝読しましたが、エンターテイメント性と各物語を締めくくる多彩なオチに妙な爽快感がありました。

個人的には表題の「素敵な圧迫」が1番好きで、物語は30ページ程度しかないのですが、オチのインパクトが強烈だっ...続きを読むたのと、ウィットに富んだオチが刺さりました。

個人的にはシリアスだったり、イヤミスだったりする作品を期待してた部分も相まって、少し評価は控えめになった部分もありますが、中毒性のある作品だと思うので、ぜひ手に取ってもらいたい作品です。

0

Posted by ブクログ 2024年03月01日

「スワン」に心をつかまれたので「おれたちの歌をうたえ」「爆弾」と読んで、これが四冊目になる。
悪くはなかったが、この人は長編のほうが読ませるのではないかと思った。

0

Posted by ブクログ 2024年02月26日

表題作「素敵な圧迫」を含む全6話の短編集。

コンセントを抜いた、圧迫専用の小さくて四角い冷蔵庫の中。
想像するだけで窮屈さを感じるのだが、彼女にとっては素晴らしい圧迫なんだろう。
遂には肉体に限らず圧迫を感じるものに出会えたとき…。
この表題作にも驚異を感じるのだが、他もなんとも言いようのない破滅...続きを読むさを感じ、予想できない結末に衝撃なのである。


0

Posted by ブクログ 2024年01月21日

短編集。
まぁまぁ面白いけど、呉勝弘の作品もと考えたらもう少し面白みがあってもいいし、物足りなかった。
表題の素敵な圧迫が面白かったかな

0

Posted by ブクログ 2024年01月07日

この作者さんの話は短編よりも長編の方が好きかもしれない。三億円事件の、自分たちじゃなかった、が特に印象的だった。

0

Posted by ブクログ 2023年12月15日

どれも犯罪またはある種の狂気を扱っているのだけど、
テイストの違う作品がそろった短編集。
表題作やボクサーの話が面白かった。

0

Posted by ブクログ 2023年11月29日

最近出会った中では、自分的注目度が頭一つ抜けている作家。その手になる短編集に初トライ。自分の趣味の問題もあるけど、やっぱり長編が好き。たまたまだけど、同時に最新長編を読んでいた影響もあるかも。それにしても、同長編然り、本書における数作品然り、コロナ禍に対する異議申し立てが積み上がっているんだろうな、...続きを読むと思わされる描写が散見される。個人的にはボクシングの掌編が一番好きだったけど、その中にでコロナは登場したしね。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月25日

「素敵な圧迫」「論リー・チャップリン」「ダニエル・《ハングマン》・ジャビーズの処刑について」はおもしろかった。

全体的に、私はもう少し刺激的な話のほうが好みかも。


以下、短編のあらすじと感想。

【素敵な圧迫】
子どもの頃に押し入れに入り、圧迫されることに魅了された主人公の広美。大人になって一...続きを読む人暮らしをするようになると、わざわざ購入した小さな冷蔵庫に入り、ほどよい圧迫感を楽しんでいた。
そんな中、会社に訪れる営業マンである風間遼に惹かれ、大人の関係に。遼に抱かれることは、想像以上によかった。毎晩抱きしめられたいと願う広美だったが、遼には20歳のフィアンセがいた。お金持ちのお嬢様らしい。
それでも関係を続け、1年が経った頃、彼のフィアンセである花岡紗彩が広美を呼び出し、脅しをかける。そのことがきっかけで遼から別れを切り出されるが、広美は許さない。
遼が部屋に来ることになった日、広美は遼に睡眠薬を飲まされ、車のトランクの中に入れられる。どうやら自殺に見せかけ殺すつもりらしい。
遼に殺されそうになる直前、「冷蔵庫の中に貼ってあった花岡さんの写真は処分したの?」と聞き、驚く遼。どうやら広美は、花岡から脅しをかけられたときの圧迫感に身の毛がよだつ快感を覚えたらしい。精神的な圧迫も素晴らしいと気づいた広美は、遼と花岡の結婚式へ向かうシーンで終わり。この後修羅場かな?

→遼から広美へ心変わりしていたのは予想出来ず、おもしろかった。てっきり、愛する人に殺されそうになって幸せ!というオチかと思った。

【ミリオンダラー・レイン】
主人公の芳雄が友達の藤本と現金強奪の計画を練る。次の銀行の給料支給日に実行するはずだったが、別の誰かが銀行のボーナス日に全く同じ事件を起こしたとラジオのニュースで聞く。芳雄たちはボーナスがなにか分からなかったため、2週間遅れをとり、計画は実行されなかった。

→犯罪に手を染めなくてよかったね!人生を楽しもうと思えば、楽しめる。。はず。。。芳雄は彼女もいるんだしさ!

【論リー・チャップリン】
主人公の与太郎が一人息子の勝(13)に「10万円をよこせ、よこさなかったら強盗する、そしたらお前の人生も終わりだ 」と恐喝される。
同僚、部下、シンガポールにいる別れた妻、勝の担任、人気YouTuber。。色々な人に相談する。
終盤、キッチンカーを営んでいたメキシコ人と話したことがきっかけで勝の真の目的に気付く。結局、10万円は渡さなかったが、勝に夏休みはシンガポールに行くことを伝える。勝は、外国にいる母親に会いたくて与太郎を恐喝したのだった。

→ほっこり!与太郎の思考も他の人たちとの会話もおもしろかった!

【パノラマ・ボックス】
主人公のFは、真っ黒な穴のような箱を拾う。箱には突起があり、押すと紐状のものが飛び出る。紐の先端には小石のような塊がついている。耳の中に入れてみようかと考えている最中、同僚のDに声をかけられる。
Dもその箱を気に入り、ふたりの共有財産にする。この箱は、パノラマ・マシンと名付けられる。
パノラマ・マシンの紐の先端部を耳の中に入れると、双子世界へ渡れるらしい。双子世界とは、現実の世界と瓜二つなもので、現実と同じ感覚。紐の先端部を外せば、現実世界に帰ってこられる。渡るたびに双子世界は修復されるため、やりたい放題できる。
最後は、双子世界の行為では満足できなくなったFがDを殺して終わり。Fは双子世界でDを殺す予行練習を何百回も繰り返していたという。

→人生は1度きりでやり直しがきかないから何事にも真剣に取り組めて楽しめるのかなって思った。でも、パノラマ・マシン欲しい!

【ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について】
ボクシングでチャンピオンになったダニーは、弟のレニーこそボクシングの実力があると信じ、献身的にサポートした。
しかし、コロナで試合ができなくなり、レニーは酒に酔って一般人の男女を殴ってしまう。殴った女の親族はマフィアの幹部で、レニーに、次の試合で3Rまでいっさい攻撃を出すなと八百長試合をさせる。その八百長試合で、相手は金的を打つローブローでレニーを前のめりにさせ、加撃することによって反則負けとなる。レニーは勝利したが、脳の機能不全により寝たきりに。殴られた女が、対戦相手にレニーを殺すよう依頼したらしい。
その後、ダニーは、断るだろうと思われていた試合を受ける。条件は、レニーの最後の試合を再現すること。同じ会場、同じく日時、同じリング、同じスタッフ。ダニーは、ラウンド終了後のゴングが鳴っても相手にパンチを繰り出し続ける。レフェリーが止めに入ったところで、ダニーはレフェリーにショートアッパーを繰り出し、レフェリーは首を吊られたように崩れ落ちた。(ダニーはデビュー戦からハングマンと異名を持つ)
ダニーは、八百長試合をさせたマフィアの幹部も、弟を殺した女と対戦相手でさえも許していた。しかし、レフェリーだけは許せなかった。ボクサー以外に唯一聖域に立つことを許された神の代理人であるレフェリーがローブローを見逃すという不正行為だけは許せなかったのだ。
最後に明かされるが、語り手はレニーと同じく寝たきりになったレフェリーだった。

→おもしろかった!!!ボクシングは詳しくないので、読むのが辛かったけど、ラストで納得!最後まで読んでよかった!レフェリーは公平な審査しないとね!!!

【Vに捧げる行進】
新型コロナウイルスが猛威をふるう中、警察官であるモルオは、商店街のシャッターに「V」の落書きをされたと通報を受ける。
パン屋→美容室→リサイクルショップと落書きの被害に遭う。モルオは、落書き犯の共犯者と遭遇するが、まんまと出し抜かれてしまう。
そのうち、商店街の人々は「V」の落書きに自らペンキで手を加え始める。マスクもせずに密になって。
犯人は引きこもりの子ども。ただ1人養ってくれていた祖母が死んだため、絶望的していた。しかし、コロナ禍で街に人がいないことを知り、外に出ると初めて生きていると実感したのだと言う。
最後は犯人が時計台に「V」と描くシーンで終わり。

→おもしろく感じなかった。特に大きな事件が起こるわけでもないし。私がコロナ禍で外出できなくても全然苦じゃなかったからかな。誰にも共感できなかった。

0

Posted by ブクログ 2023年11月12日

時節柄コロナに関連した話が多かったけれどコロナ要素が薄い論リー・チャップリンがイイ話で良かった。
あとは一人語り調である意味がちゃんとあるハングマンが好みだった。
とはいえこの人の作品は長編を腰を据えて読む方が良いなとも思った。

0

Posted by ブクログ 2023年11月11日

表題の素敵な圧迫と論リ―チャップリンが
面白かったです。
論リ―チャップリンの父と息子の
絶妙なやり取りに思わず吹き出して笑ってしまいました。。

0

Posted by ブクログ 2023年11月03日

引き出しが多い。どの短編も全く違うテイストで面白かった。
昨年、圧倒的に印象に残ったのが著者の『爆弾』だった。
今後もこの著者から目が離せない
星は4に近い3

0

Posted by ブクログ 2023年10月11日

6つの短編集。
どれも著者らしいハードで切れ味鋭い。

ただ、「論リー・チャップリン」だけ、この中では異色のほっとするお話。

これがあるだけで、読後はヒリヒリしない。

0

Posted by ブクログ 2023年10月06日

短編集。

「論リー・チャップリン」が良かった。息子が金(10万円)をくれと迫ってきてからのあれやこれやが突拍子もなく、しかし、もしかしたら子育てをしてる人はそういう経験もあるのではないかと思わせる親子の攻防戦を見ることができた。
解決策が見事だった。
泣き落としも効かないし、怒っても無駄だし、じゃ...続きを読むあどうしたら良いのか…む…難しい。
10万円ぽっちあげればいいじゃないという意見は論外。そんなことしたら永遠に金を子どもからせびられる羽目になるだろう。
言っても分からない奴には、自分も訳分からん奴になって対処する。教訓になった笑

表題作は圧迫を求め続ける主人公が、最後に理想の圧迫を得る話だったが、誰が予想できただろうか。この主人公、怖いもの無しなんだろうな。むしろ怖いものを積極的に見ようとしてるものね。
隙間に埋まりたいという感覚は分からないでもない。

0

「小説」ランキング