呉勝浩のレビュー一覧
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「正義とか治安とか、そんなのは守りたい誰かがいて初めて成り立つんだ」
元警察官は、かつての仲間がみてもひと目でわからないほど風貌が変わっていた。
現場の番場と呼ばれる50歳の刑事は、二回り年下の嫁の妊娠で喜んでいたが、その嫁の精神不安定にだんだんと自分も不安定になっていく。
その番場についている若手の船越とのコンビで事件を追う。
バラバラ殺人に混ざった他人の指、
交差点の真ん中に残った墜落死体、
駅の階段から落ちて死んだ介護士、
幼稚園の立てこもり犯、
交差点を中心にして3人の犠牲者を出した連続狙撃殺人、
ビリヤードに興じる4人の毒殺事件
警察小説短編集。 -
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ネタバレ短~中編6篇。特に何縛りとかはない。業が深くて濃ゆい話が多い。
<面白かった編>
・「素敵な圧迫」
表題作。
隙間なくピッタリくる圧迫、の快感は分かる気がする。
でもまさかそっちが本命になるとか思わなかったよ~。
冷静で賢い広美はきっと存分に圧迫を楽しめると思う。そんでいつか来る終わりの日にも、止められない楽しみが終わってしまうことに歯嚙みはしても、自分の選択を後悔することはないんじゃないかなー。
・「論リー・チャップリン」
「賢さはタダだから!」の一文に膝を打つと同時に、「それは『賢さ』じゃねぇ!!」と反論したくなる。まぁそれが本物かどうかなんて関係なくて、老若男女手に入れやすくて周りが -
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まさにやけくそキャノンボールだった。
理不尽で暴力的でイカレてたけど、読後感は最高。
ライトでエッジの効きまくった文体が気持ちよくて、内容はずっと最低だけど一気に駆け抜けちゃった。
いままで読んだ呉先生のなかで登場人物たちが一番トんでた。独特な言い回しをマシンガンみたいにしゃべり倒す葵ちゃんとテンション低めなのにワードチョイス面白い依子(本人はそんなつもりないんだろうけど)の会話ずーーーーっと読んでいたかった。終盤の葵ちゃんの「運が良かったな、ここがブロンクスじゃなくて病院で!」が大好きだったので病院で人をボコった時には是非使わせてもらおうとおもいました。(そんな時こないけど)
あと、わたしは -
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ネタバレ「やられっぱなしはつまんねえよ」
ヤクザの下働きをする幼馴染のワタルとタカト。兄貴分に振られた仕事は簡単な荷運び……だったはずが気がつけば見知らぬ三人の遺体が。
呉勝浩先生だからこそ面白くなってるけど、話だけだとちょっとパンチ足りない気もした。でも、わたしは文体や台詞回しがとにかく好きなので一気読みしちゃいましたね。タカト視点の時とか最高だな……って思ってたらタカトも「いやぁ……サイコー。」つってて更に最高になりました。
キャラクター全員濃いから視点コロコロ変わっても混乱しないし、テンポが超よくて、普段小説読まないけど青年漫画すき~みたいな人も愉しめるんじゃないかな。
跳ねっ返りのクソ -
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ずっと読みたかった作品。
文庫化、続編発売をきっかけに。
傷害の容疑で連行されたスズキタゴサクと名乗る自称酔っ払いが取調べの最中、爆破を予言。
スズキタゴサク VS 警察。
警察は爆破を止めることができるのかー…?
話題だったスズキタゴサクにようやく会えた!!
自分を卑下しまくり、すごい長いセリフをペラペラ喋るタゴサクにびっくり。こんなに長いセリフが出てくる作品を読んだのは初めてなんじゃないだろうか?
警察官たちの中に無意識に潜んでいる悪意を容赦なく引きずり出すタゴサク。
自分の中にも同じような悪意が潜んでいるのではないかと、読みながらドキッとさせられた。
読後、自分はどっち側の人間だろう -
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短編集。
『素敵な圧迫』 人の嗜好をどうこう言うつもりはないけど、なんかもう怖い。最終的にその圧迫がいいんだね。
『ミリオンダラー・レイン』 一攫千金をきっかけに今の生活から抜け出したいという気持ちは分かるんだけどね…。想像がつかないほどの大きなものに支配されている感じ。掌の上で踊らされてるね。これは。
『論リー・チャップリン』 父と息子のバトル。息子に勝つために"論破"する方法を学び、いざ勝負へ。微笑ましい。
『パノラマ・マシン』 路地裏で見つけた不思議な物のせいで狂っていく。もともと持っていた狂気が、不思議な物のせいで表面に出てきただけなのかな?なんか嫌な感じの話。
『ダニエル・ -
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殺人の衝動を抱えている少年と、無惨な事件を引き起こした男。理想と現実の間で揺れ動く心を抱えながら、彼らと対峙するスクールカウンセラー。
彼らが幾層にも重なり合い、それぞれの思いや痛みを超えて柔らかく形を変えていく。『絶対悪はあるのか』を掘り下げ、内包する人間と社会は向き合うべきかと問題提起をする作品。
異常犯罪者が刑期を終えて、自分の街で過ごしていると知って受け入れる事ができるか。私はきっと恐怖に震え、受け入れる事は難しいと思う。
では排除・隔離・包摂、どの手段が適切なのか。とても難しい問題で、『どこまで他人を許容出来るのか』の答えは無いのかも知れない。
最後の一行で驚きの事実が明らかにな -
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呉さん作品 8冊目は
表題作「素敵な圧迫」を含む6編の短編集
【素敵な圧迫】
「いい隙間を見つけると、胸がおどった」
押し入れの隅っこ、布団の隙間。電源を落とした一人暮らし用の冷蔵庫。抱擁に似た、素敵な圧迫。
体をピッタリと包み込む圧迫に取り憑かれた広美。
大人になった広美は自分の体に肌にピタッと合う男 遼と出会う。いつまでも抱きしめていてもらいたかったが、婚約者が出来た遼は別れ話を匂わせてきた_。
わかるぅ。押し入れ好きだった。中学の修学旅行で友達と「ドラえもんごっこ」とか言って朝まで押し入れで寝たら キツくて次の日体がミシミシ痛かった思い出 笑
こんなピターっとくる男性、そうそう手放 -
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表題作の『素敵な圧迫』と『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』が面白かった。
『素敵な圧迫』は狭い場所や圧迫感に幸福を感じる性癖を持つ女性が主人公。取引先の男性と肉体関係を持つようになりその男性の身体の重みや肌質などの圧迫感に虜になるが、彼には資産家令嬢の婚約者がいて───という話。設定も突飛なのだが、その後予想もしないような展開になるのが面白かった。なるほど、そっちか!
『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』は、ある一人の天才ボクサーの半生を描く自伝小説の形態を取る。普通に面白く読んでいると最後にミステリ的な仕掛けがあり、なるほどと唸った。こういう仕掛けがあ -
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呉さんの文章が好きだ。情景や心理や、とにかく様々なものをまざまざと思い描くことが出来る、描写の巧みさが好きだ。
短編集でありながら、読みごたえがある。
特にボクシングを題材にした「ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について」では、ボクサーの身のこなしがみごとに再現されて実際の試合を見ているよう。
うわ、嫌だなと思うような人間の描写もしかり。読み終えてドンヨリとしてしまうのは、とにかく引き込まれてしまうからなんだろうな。
短編でありながら重ための話がほとんどだが、「論リー・チャップリン」は楽しんで読んだ。
「ミリオンダラー・レイン」「Vに捧げる行進」の主人公にも好感が持てた。どち