呉勝浩のレビュー一覧
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短編集。
『素敵な圧迫』 人の嗜好をどうこう言うつもりはないけど、なんかもう怖い。最終的にその圧迫がいいんだね。
『ミリオンダラー・レイン』 一攫千金をきっかけに今の生活から抜け出したいという気持ちは分かるんだけどね…。想像がつかないほどの大きなものに支配されている感じ。掌の上で踊らされてるね。これは。
『論リー・チャップリン』 父と息子のバトル。息子に勝つために"論破"する方法を学び、いざ勝負へ。微笑ましい。
『パノラマ・マシン』 路地裏で見つけた不思議な物のせいで狂っていく。もともと持っていた狂気が、不思議な物のせいで表面に出てきただけなのかな?なんか嫌な感じの話。
『ダニエル・ -
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殺人の衝動を抱えている少年と、無惨な事件を引き起こした男。理想と現実の間で揺れ動く心を抱えながら、彼らと対峙するスクールカウンセラー。
彼らが幾層にも重なり合い、それぞれの思いや痛みを超えて柔らかく形を変えていく。『絶対悪はあるのか』を掘り下げ、内包する人間と社会は向き合うべきかと問題提起をする作品。
異常犯罪者が刑期を終えて、自分の街で過ごしていると知って受け入れる事ができるか。私はきっと恐怖に震え、受け入れる事は難しいと思う。
では排除・隔離・包摂、どの手段が適切なのか。とても難しい問題で、『どこまで他人を許容出来るのか』の答えは無いのかも知れない。
最後の一行で驚きの事実が明らかにな -
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呉さん作品 8冊目は
表題作「素敵な圧迫」を含む6編の短編集
【素敵な圧迫】
「いい隙間を見つけると、胸がおどった」
押し入れの隅っこ、布団の隙間。電源を落とした一人暮らし用の冷蔵庫。抱擁に似た、素敵な圧迫。
体をピッタリと包み込む圧迫に取り憑かれた広美。
大人になった広美は自分の体に肌にピタッと合う男 遼と出会う。いつまでも抱きしめていてもらいたかったが、婚約者が出来た遼は別れ話を匂わせてきた_。
わかるぅ。押し入れ好きだった。中学の修学旅行で友達と「ドラえもんごっこ」とか言って朝まで押し入れで寝たら キツくて次の日体がミシミシ痛かった思い出 笑
こんなピターっとくる男性、そうそう手放 -
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表題作の『素敵な圧迫』と『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』が面白かった。
『素敵な圧迫』は狭い場所や圧迫感に幸福を感じる性癖を持つ女性が主人公。取引先の男性と肉体関係を持つようになりその男性の身体の重みや肌質などの圧迫感に虜になるが、彼には資産家令嬢の婚約者がいて───という話。設定も突飛なのだが、その後予想もしないような展開になるのが面白かった。なるほど、そっちか!
『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』は、ある一人の天才ボクサーの半生を描く自伝小説の形態を取る。普通に面白く読んでいると最後にミステリ的な仕掛けがあり、なるほどと唸った。こういう仕掛けがあ -
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呉さんの文章が好きだ。情景や心理や、とにかく様々なものをまざまざと思い描くことが出来る、描写の巧みさが好きだ。
短編集でありながら、読みごたえがある。
特にボクシングを題材にした「ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について」では、ボクサーの身のこなしがみごとに再現されて実際の試合を見ているよう。
うわ、嫌だなと思うような人間の描写もしかり。読み終えてドンヨリとしてしまうのは、とにかく引き込まれてしまうからなんだろうな。
短編でありながら重ための話がほとんどだが、「論リー・チャップリン」は楽しんで読んだ。
「ミリオンダラー・レイン」「Vに捧げる行進」の主人公にも好感が持てた。どち