呉勝浩のレビュー一覧

  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    パイセン本。

    警察小説でありながらも、事件解決のスリルと人間模様の温かさが巧みに融合した一冊だった。五つの短編が独立して物語を紡ぎながら、終盤にかけて静かに糸を結び、最後に全体像が立ち現れる構成は見事で、読後に心地よい余韻を残す。特に、新人刑事・船越と先輩刑事・番場の掛け合いには、硬派な現場の空気の中にも柔らかなユーモアが漂い、人物像が生き生きと浮かび上がる。事件の緊張感と、登場人物たちの人情味あるやり取りとのバランスが絶妙で、物語の奥行きを感じさせた。警察小説としての新鮮さを保ちつつ、読者の心に小さな温もりを残す、滋味豊かな作品である。

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    2025年08月15日
  • 道徳の時間

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    過去の事件がセンセーショナルであり謎たっぷりに描かれていて最初から引きこまれた。それに現代のもう一つの事件がどう結びついてくるのかワクワクしながら読めた。最後、2つの事件がもっとまとまってくるのかと思っていたので残念だったが、2つの事件の真相はそれぞれでひねりがあって面白かった。

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    2025年08月02日
  • 道徳の時間

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    近所で有名な陶芸家が亡くなりその現場には不可解なメッセージが残されていた場面から物語は始まる。そんな中、ビデオジャーナリストの伏見に13年前に起きた殺人事件の映画撮影の仕事が転がり込む。撮影を進める中で、より深まる謎、絡まり合う様々な出来事。後半にかけてスピード感が上がり、ページを捲る手も止まりませんでした。登場人物が多く、わかりにくい部分もありましたが、最後には救いもあり読後感は良かったです。

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    2025年07月30日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    多分夕木春央さんの本を探してたどり着いた本。「これが最後の仕事になる」という一文から始まるショートショートのアンソロジー。これがシリーズ3作目のようだ。こういうのがあったとは知らなんだ。大好きな米澤穂信や真梨幸子のも入ってた。他にも今をときめく作家さんが多いけど、知らなかった初読みの人も。まぁこれだけの規模だからな。そしてショートショートは読みやすいけど、やっぱ印象に残らないんだよなー。インパクトにかけるというか。あと全然意味不明というか、面白くないのもちらほら。まぁ好みだからな。

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    2025年07月27日
  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    捜査一課の優秀な刑事が殺人事件の謎を解いていく正統派警察小説の短編集、と見せかけた「刑事とは?」「正義とは?」みたいな哲学を新人刑事の描写を通してふんわり投げかけてくる。ただ、時折挿入される二周り年下の身重の妻とのやり取りが徐々に不穏になっていったあたりは何らかの伏線だと思っていたのに、何故かまるで解決されずに話が終わったので消化不良。最後の短編で伏線が回収されるのかと思えばむしろ過去の事件を描いてただけで拍子抜け。 読解力が足りないだけなのかも?困った。

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    2025年07月26日
  • これが最後の仕事になる

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    1遍6ページなので、隙間時間にぴったりでした。
    五十嵐律人さん、秋吉理香子さん、呉勝浩さん、桃野雑派さん、白井智之さん、夕木春央さん、一穂ミチさん、米澤穂信さんなどなど。
    読んだことがある作家さんの作品がいっぱいで、とても楽しめました。

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    2025年07月24日
  • これが最後の仕事になる

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    同じ書き出しで始める短編集。ストーリーそのものがおもしろいというよりは、作家の個性を楽しんだり、「同じ書き出しでもこれほどバリエーションがあるなんて」とアイディアそのものもを楽しんだりできる1冊だと思った。

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    2025年07月13日
  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    ルーキーの正義を「若い」と笑う番場
    そんな番場の正義は可愛い年下の嫁とお腹の子

    事件の合間では、県警捜査一課のエースも家に帰れば年下の嫁の尻に敷かれるほのぼのした夫婦関係が描かれているが、後半になるにつれて徐々に不穏な空気…

    最終話はこれまでの事件関係者が絡み合い番場たちの過去も描かれ、臨場感とスリルが溢れる作品でした。

    本書は短編形式ながら、ラストで一気に事件が繋がる爽快さが魅力です。

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    2025年07月04日
  • おれたちの歌をうたえ

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    ネタバレ

    パイセン本。『おれたちの歌をうたえ』とは、そういう事か。過去の出来事に囚われた男たちが、時を超えて再び向き合う姿を描き出す。登場人物たちが成長していく過程や、彼らが抱える葛藤に共感を覚えるとともに、青春の後悔や再生のテーマが心に響く。特に、主人公・河辺の人間らしさに目覚める瞬間は、読者に希望を与える。作中の文学的要素や暗号の謎解きも、物語に深みを加えており、単なる小説にとどまらず、知的好奇心も満たしてくれる。過去と現在をつなげる複雑な構成の中で、登場人物たちが自らの過去と向き合う様子は、人生の意味を考えさせられるものがある。ちょっと長くて時間が掛かったため、読後の達成感が半端ない。

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    2025年05月08日
  • 道徳の時間

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    芸術家の自殺に関する謎、講演中に起きた殺人事件に関するドキュメント映画の制作、町で連続する悪質な悪戯などが同時進行し、やがて集約されていくまでの話。 正直、ミステリーだと思って読みすすめてたはずが、いや、大枠でミステリーなんだろうけど、自殺や悪戯などは特に目新しくもない感じで片付けられていったのが意外、ただし重厚な人間ドラマとして仕上がっていた。 正直個人的に合わない内容だったけど作者の力量でなんとか読ませていただいた感じ。 この作者の作品は網羅した方が良い

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    2025年04月03日
  • ロスト

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    ネタバレ

    誘拐事件が発生し、そこから犯人の意味不明な要求に振り回される警察と芸能プロの社長、コールセンター責任者etc.の物語。序盤で内容が把握できてないうちから登場人物によって場面が代わる代わる展開されていったので人間関係を整理するので精一杯になったけど、理解してからはほぼ一気読み。終盤であらゆる謎が解けてスッキリ。さらに「えっそんなオチ?」といった感想に対する返答のように最後にどんでん返しがあってなおスッキリ。良い読書が出来た。

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    2025年04月02日
  • 雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

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    登場人物のメチャクチャなキャラクター、容赦のない暴力。
    何をとっても和む要素なんて一つもない本書ですが、冒頭から最後まで途切れることない疾走感と気付けば依子や葵、リツカに感情移入させられてて、まんまとしてやられたなあと言うのが一番の感想。残酷な結末なのに、何故か最後の一行を読み終えた時の頑張れ!と言う気持ちは、素直に清々しいものでした。
    現実離れしてるけど、実際に社会で虐待や洗脳されてる人は少なからずいるはずで、そう考えると、ある意味では社会派ミステリと呼べるかもしれないとか思いました。

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    2025年03月22日
  • ロスト

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    コールセンター勤務の下荒地直孝、芸能プロ社長の安住正彦、生活安全課の鍋島道夫巡査部長、大阪府警捜査一課の麻生警部の4名の視点で物語が進む。村瀬梓が誘拐され犯人からの指示で身代金一億円を100人が100万円ずつそれぞれの指定された場所に持って行く。600頁の長編であるため途中まではなかなか進まず少々苦戦したけど、梓の安否が確認されて以降は怒涛の展開でほとんど一気読みでした。特に人物の描写が秀逸で一冊の中にたくさんの人生が詰まっていて読み応えは抜群。「この後も人生は続いていく」というセリフがグッときました。

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    2025年03月21日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    一生本を読んで暮らせるなら、
    人生と引き換えでもよいか?

    そこで得た報酬を娘たちに残し
    サラッと宇宙へ旅立てる?

    ふとそんなことを考えた。

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    2025年02月14日
  • 道徳の時間

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    パイセン本。「道徳の時間を始めます。殺したのは誰?」陶芸家の死亡現場で謎の落書きが見つかる。同じ頃、仕事に失敗し燻っていたビデオジャーナリストの伏見の元に、かつてある小学校で発生した殺人事件のドキュメント映画のオファーが舞い込む。道徳とは何か?「みんな」とは誰の事?今は子供を叱ると「心理的虐待」で通報される片側で、女性の尊厳を無視した性接待を強要し、その経緯や顛末も明かさないメディアもある昨今、一体何が正しいのか?という基準が人によって変わってしまう事の危機感。なんかタイムリーな内容で、読めてよかった。

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    2025年02月06日
  • 警官の道

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    どれも実力派の作家で、ハズレはありませんでした。中でも初読みの長浦氏は迫力を感じました。近い内に他の作品を読んでみようと思います。

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    2025年01月27日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    見たことのある名前の作家さんがたくさんの、ぜいたくな1冊。
    私は呉勝浩さんのお話が1番印象的だった。他の本にもあたりたいと思う。
    多崎礼さん、岸田奈美さん、米澤穂信さんは何作か読んだことがあり、短編でも“っぽさ”が出るなと感じる。様々な「これが最後の仕事になる」が読めて良かった。

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    2025年01月21日
  • ライオン・ブルー

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    ハードボイルドの警察小説とでも言うか、謎解きよりも動機に焦点が当てられた一冊。
    登場人物はなかなか魅力的。主人公は耀司のはずなのに、最後には晃光の方が印象に残る不思議な感覚。それから、文庫版に一緒に掲載されてた短編も本編ときっちり繋がってて、読み応えあり。
    呉さんは、守備範囲広いなあ。

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    2024年11月29日
  • 蜃気楼の犬

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     「正義とか治安とか、そんなのは守りたい誰かがいて初めて成り立つんだ」

     元警察官は、かつての仲間がみてもひと目でわからないほど風貌が変わっていた。

     現場の番場と呼ばれる50歳の刑事は、二回り年下の嫁の妊娠で喜んでいたが、その嫁の精神不安定にだんだんと自分も不安定になっていく。
     その番場についている若手の船越とのコンビで事件を追う。

     バラバラ殺人に混ざった他人の指、
     交差点の真ん中に残った墜落死体、
     駅の階段から落ちて死んだ介護士、
     幼稚園の立てこもり犯、
     交差点を中心にして3人の犠牲者を出した連続狙撃殺人、
     ビリヤードに興じる4人の毒殺事件

     警察小説短編集。

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    2024年11月03日
  • 素敵な圧迫

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    ネタバレ

    短~中編6篇。特に何縛りとかはない。業が深くて濃ゆい話が多い。

    <面白かった編>
    ・「素敵な圧迫」
    表題作。
    隙間なくピッタリくる圧迫、の快感は分かる気がする。
    でもまさかそっちが本命になるとか思わなかったよ~。
    冷静で賢い広美はきっと存分に圧迫を楽しめると思う。そんでいつか来る終わりの日にも、止められない楽しみが終わってしまうことに歯嚙みはしても、自分の選択を後悔することはないんじゃないかなー。

    ・「論リー・チャップリン」
    「賢さはタダだから!」の一文に膝を打つと同時に、「それは『賢さ』じゃねぇ!!」と反論したくなる。まぁそれが本物かどうかなんて関係なくて、老若男女手に入れやすくて周りが

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    2024年09月22日