呉勝浩のレビュー一覧
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ネタバレ「たまたま運よく、すべてを投げ捨てたくなる憎しみに出会ってこなかっただけなのだ。その幸運にあぐらをかいて、偉そうに犯罪者を捕まえてきた。まるで正義の顔をして。」
正義感を失いながらも大切な家族の安全のために刑事で居続ける男の話
何作目かの呉勝弘作品
この人の作品は世間の人の悪意が蔓延るものであるものであるという前提で描かれることが多く、そんな中で主人公がどう生きるかという葛藤が見える。
その中で明確な正しさに進むことはあまりないけれど、自分の中の決意や哲学のようなものに準じて生きていくことを決めるシーンに力強さを感じる。
この刑事も一貫して妻や身籠る子供に悪意ある事件が降りかからない -
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けっこう文字数が多い作品ですが、テンポも良くスリルがあって一気に読み進めることができました。場所が変わってもやることは変わらないというのは不思議だった(笑)
テーマはAIを用いた教育と洗脳なのかなと私は感じました。今やChatGPTなどAIの意見に従う人も多く、人間はこういう未来に向かうのかなと非常に興味深かったです。その中では支配する者とされる者に分かれるのか⋯。与太郎はまさに自分で思考することを放棄し、支配される楽な生活に慣れた結果を見ているようでした。与太郎がマサルから離れて少しずつ「おかしい」と自分の意思を持っていく姿も良かったです。
人類みんながロボットのようにただ『正しい』とされる -
Posted by ブクログ
ネタバレ疾走感――それが本作を読み終えたとき、最も強く胸に残る感触だった。ページをめくる手が止まらない、という表現は使い古されているが、本作においてはそれが決して誇張ではない。物語は躊躇なく加速し、登場人物たちの選択と衝突が連鎖的に展開していく。そのテンポの良さは単なる読みやすさにとどまらず、作品全体の緊張感そのものを支える骨格となっている。
特筆すべきは、そのスピードが決して軽薄さに流れていない点だ。むしろ、余分な説明や逡巡を削ぎ落とすことで、登場人物たちの“今この瞬間”の切迫した感情がむき出しのまま読者に突きつけられる。彼らは立ち止まって内省する余裕などなく、流れに抗い、あるいは飲み込まれながら -
Posted by ブクログ
好奇心、わかりたい、という悪意。
それは自分が納得できる「わかりやすさ」を求めているだけ。
人間の感情は1か2か0か100かなどわかりやすい割り切れるものではない。
同じ状況になったとしても、同じ判断をするかもしれないし、違う判断をするかもしれない。
一瞬一瞬で変わり続ける。
さっきまでそう思っていたけど、今、この時には違うことを考えているかもしれない。
この「かもしれない」というものは非常に厄介だ。
「可能性」という言葉に置き換えてもいい。
「可能性」は自分や他者に期待すると共に、そのまま失望に替わる。
あの時ああしていれば、こうしていれば、できたかもしれない、できなかったかもしれない