呉勝浩のレビュー一覧

  • 雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

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    登場人物のメチャクチャなキャラクター、容赦のない暴力。
    何をとっても和む要素なんて一つもない本書ですが、冒頭から最後まで途切れることない疾走感と気付けば依子や葵、リツカに感情移入させられてて、まんまとしてやられたなあと言うのが一番の感想。残酷な結末なのに、何故か最後の一行を読み終えた時の頑張れ!と言う気持ちは、素直に清々しいものでした。
    現実離れしてるけど、実際に社会で虐待や洗脳されてる人は少なからずいるはずで、そう考えると、ある意味では社会派ミステリと呼べるかもしれないとか思いました。

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    2025年03月22日
  • ロスト

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    コールセンター勤務の下荒地直孝、芸能プロ社長の安住正彦、生活安全課の鍋島道夫巡査部長、大阪府警捜査一課の麻生警部の4名の視点で物語が進む。村瀬梓が誘拐され犯人からの指示で身代金一億円を100人が100万円ずつそれぞれの指定された場所に持って行く。600頁の長編であるため途中まではなかなか進まず少々苦戦したけど、梓の安否が確認されて以降は怒涛の展開でほとんど一気読みでした。特に人物の描写が秀逸で一冊の中にたくさんの人生が詰まっていて読み応えは抜群。「この後も人生は続いていく」というセリフがグッときました。

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    2025年03月21日
  • スワン

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    無差別殺人自体、テンポ良くすすむ。テンポが良過ぎて不思議なほど悲しんだり怖がっていられない。そのおかげで悲劇の波はあとからあとから押し寄せてくる。いつ自分が殺されてもおかしくない極限状態の中での正義とはなんなのか。悪とはなんなのか。不条理な世間の渦に飲み込まれながらも立ち上がり一歩進もうとする少女の強さに心揺さぶられました。

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    2025年03月20日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    一生本を読んで暮らせるなら、
    人生と引き換えでもよいか?

    そこで得た報酬を娘たちに残し
    サラッと宇宙へ旅立てる?

    ふとそんなことを考えた。

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    2025年02月14日
  • 道徳の時間

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    パイセン本。「道徳の時間を始めます。殺したのは誰?」陶芸家の死亡現場で謎の落書きが見つかる。同じ頃、仕事に失敗し燻っていたビデオジャーナリストの伏見の元に、かつてある小学校で発生した殺人事件のドキュメント映画のオファーが舞い込む。道徳とは何か?「みんな」とは誰の事?今は子供を叱ると「心理的虐待」で通報される片側で、女性の尊厳を無視した性接待を強要し、その経緯や顛末も明かさないメディアもある昨今、一体何が正しいのか?という基準が人によって変わってしまう事の危機感。なんかタイムリーな内容で、読めてよかった。

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    2025年02月06日
  • 法廷占拠 爆弾2

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    スズキタゴサク 第二弾ですが二番煎じではなく、スリリングに楽しませてもらいました。しかし、スズキタゴサクの存在感は健在でしたね。次回作が楽しみです。

    しかし、法廷を出てしまったこと、出方に少し醒めてしまいました。法廷で全てを完結して欲しかったです。さらに言うと共犯者を殺して欲しくなかったです。必要性を感じませんでした。

    でも、次回作に続く余韻には期待が膨らみました。

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    2025年12月03日
  • 警官の道

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    どれも実力派の作家で、ハズレはありませんでした。中でも初読みの長浦氏は迫力を感じました。近い内に他の作品を読んでみようと思います。

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    2025年01月27日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    見たことのある名前の作家さんがたくさんの、ぜいたくな1冊。
    私は呉勝浩さんのお話が1番印象的だった。他の本にもあたりたいと思う。
    多崎礼さん、岸田奈美さん、米澤穂信さんは何作か読んだことがあり、短編でも“っぽさ”が出るなと感じる。様々な「これが最後の仕事になる」が読めて良かった。

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    2025年01月21日
  • スワン

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    ネタバレ

    ショッピングモールの銃乱射事件の話。
    臨場感あって面白かった。
    なんで2発撃たれたのかみたいな謎があった。

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    2025年01月14日
  • スワン

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    ネタバレ

    とても面白かった。徐々に真実が明らかになる展開に、ページをめくる手が止まらなかった。無差別殺人の現場という極限状態では被害者にも不作為や誤った行動があるし、犯人以外誰も悪くはないけどみんな誰かのせいにしたくて恨みや妬みなどが生まれる。それを様々な視点で表現していた。
    ネタバレになるが、主人公のいずみは高校生だけど強い芯を持っていて憧れすら感じた。「許す正義」がそこにあるし、自分の経験と世間の認知が異なる現実は、確かにある。墓場まで持っていくものは自分にもあるなぁ、と思い出させてくれた。

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    2024年12月19日
  • スワン

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    ショッピングモールで起こった無差別銃撃事件。生き残った5人に招待されたお茶会の目的とは?
    展開が予想できないからこそ面白い。高校生いずみの覚悟はどれほどのものだろうか。

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    2024年12月08日
  • ライオン・ブルー

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    ハードボイルドの警察小説とでも言うか、謎解きよりも動機に焦点が当てられた一冊。
    登場人物はなかなか魅力的。主人公は耀司のはずなのに、最後には晃光の方が印象に残る不思議な感覚。それから、文庫版に一緒に掲載されてた短編も本編ときっちり繋がってて、読み応えあり。
    呉さんは、守備範囲広いなあ。

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    2024年11月29日
  • これが最後の仕事になる

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    最初の1行は全員同じ、人気作家さん達の短編集。様々なテイストの短編があり楽しい。また色々な作家さんを知ることも出来るので、今後の作品選びの参考にさせてもらっている。

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    2024年11月09日
  • これが最後の仕事になる

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    全員同じ言葉で始まる短編て面白い企画!
    と思ったらシリーズなんだそうで考えた人粋!

    わたしが特に面白いと思ったのは、いっぱいあったーー!
    どれも素晴らしくて心から楽しめました!!

    呉さんの話はびっくりした!よくあんなの書けるなーと。作家さんてすごい。

    あと岸田奈美さんは、わたしは作家さんとは知らなくて(エッセイの人かと思っていた)びっくりしたんだけど、奈美さんらしいユーモアもある素敵な物語でとっても良かったです。

    他のシリーズもどこかで読めたら読んでみたいなと思いました。

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    2024年11月06日
  • これが最後の仕事になる

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    シリーズ第3弾。これまでの中でも1番バラエティに富んでて、面白かった。お気に入りは「声」と「悪魔との契約」。この企画で不思議なのは、元々好きだった作家さんではなく、別の人の作品が気にいること。そして、次はその方の違う作品を読みたくなります。読書が止まらない〜

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    2024年11月04日
  • 蜃気楼の犬

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     「正義とか治安とか、そんなのは守りたい誰かがいて初めて成り立つんだ」

     元警察官は、かつての仲間がみてもひと目でわからないほど風貌が変わっていた。

     現場の番場と呼ばれる50歳の刑事は、二回り年下の嫁の妊娠で喜んでいたが、その嫁の精神不安定にだんだんと自分も不安定になっていく。
     その番場についている若手の船越とのコンビで事件を追う。

     バラバラ殺人に混ざった他人の指、
     交差点の真ん中に残った墜落死体、
     駅の階段から落ちて死んだ介護士、
     幼稚園の立てこもり犯、
     交差点を中心にして3人の犠牲者を出した連続狙撃殺人、
     ビリヤードに興じる4人の毒殺事件

     警察小説短編集。

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    2024年11月03日
  • スワン

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    行き場のない怒り、葛藤、苦しみを表現するのがうますぎて…物語に入り込んであっという間に読み終えました。
    自分だったら、、と色々考えてしまいます。
    個人的には爆弾よりもおもしろかった!

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    2024年10月21日
  • 素敵な圧迫

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    ネタバレ

    短~中編6篇。特に何縛りとかはない。業が深くて濃ゆい話が多い。

    <面白かった編>
    ・「素敵な圧迫」
    表題作。
    隙間なくピッタリくる圧迫、の快感は分かる気がする。
    でもまさかそっちが本命になるとか思わなかったよ~。
    冷静で賢い広美はきっと存分に圧迫を楽しめると思う。そんでいつか来る終わりの日にも、止められない楽しみが終わってしまうことに歯嚙みはしても、自分の選択を後悔することはないんじゃないかなー。

    ・「論リー・チャップリン」
    「賢さはタダだから!」の一文に膝を打つと同時に、「それは『賢さ』じゃねぇ!!」と反論したくなる。まぁそれが本物かどうかなんて関係なくて、老若男女手に入れやすくて周りが

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    2024年09月22日
  • 雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

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    まさにやけくそキャノンボールだった。
    理不尽で暴力的でイカレてたけど、読後感は最高。
    ライトでエッジの効きまくった文体が気持ちよくて、内容はずっと最低だけど一気に駆け抜けちゃった。
    いままで読んだ呉先生のなかで登場人物たちが一番トんでた。独特な言い回しをマシンガンみたいにしゃべり倒す葵ちゃんとテンション低めなのにワードチョイス面白い依子(本人はそんなつもりないんだろうけど)の会話ずーーーーっと読んでいたかった。終盤の葵ちゃんの「運が良かったな、ここがブロンクスじゃなくて病院で!」が大好きだったので病院で人をボコった時には是非使わせてもらおうとおもいました。(そんな時こないけど)
    あと、わたしは

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    2024年09月20日
  • バッドビート

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    ネタバレ

    「やられっぱなしはつまんねえよ」

    ヤクザの下働きをする幼馴染のワタルとタカト。兄貴分に振られた仕事は簡単な荷運び……だったはずが気がつけば見知らぬ三人の遺体が。

    呉勝浩先生だからこそ面白くなってるけど、話だけだとちょっとパンチ足りない気もした。でも、わたしは文体や台詞回しがとにかく好きなので一気読みしちゃいましたね。タカト視点の時とか最高だな……って思ってたらタカトも「いやぁ……サイコー。」つってて更に最高になりました。
    キャラクター全員濃いから視点コロコロ変わっても混乱しないし、テンポが超よくて、普段小説読まないけど青年漫画すき~みたいな人も愉しめるんじゃないかな。
    跳ねっ返りのクソ

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    2024年09月20日