呉勝浩のレビュー一覧
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序盤から取調べ室の光景から始まる。初めはただの酔っ払いが起こした面倒ごととして処理していたが、男の霊感なる突飛な発言から、爆破が発生し、ただの酔っ払いから爆弾魔へと見る目が変わる。その男の異常性は、ページを進めていくうちに徐々に明らかになっていく。
いわゆる「無敵の人」として無差別テロを行なっている異常犯に対し、警察は頭脳戦を制し爆弾の場所を突き止め被害を最小に抑えることが出来るのか、が本書の見どころと序盤で解釈する。
しかし、警察内部から取調べ室で対峙する内側の視点と、捜査員が現場で調べる外側の視点から次第に男の目的と事件の全貌が解き明かされ、序盤で抱く印象から大いに違った到達点へと導かれる -
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前作で私たちの価値観を根底から揺さぶった、あのスズキタゴサク。
彼が再び現れるというだけで期待せずにはいられなかった。
中盤までの展開は、前作のタゴサクによる独壇場とは対照的だ。描かれるのは、37歳という若さで驚くほど旧態依然とした刑事・高東と、法廷を占拠した柴崎との一進一退の攻防。この舞台を成立させるための緻密なやり取りが続く一方で、あの類家ですら高東の下で抑え込まれ、その才覚が組織の壁に阻まれている。タゴサクの爆発力を待ち望む身としては、この膠着状態が生み出す静かな熱に、彼の「出番」を渇望せずにはいられなかった。
タゴサクは、法廷にいる間は驚くほど静かに、まるで存在を消したかのように沈 -
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東京である男が器物損壊と傷害容疑で逮捕された。
スズキタゴサクと名乗るこの男は、名前以外の素性を明かそうとせず、担当取調官を嘲笑するような態度と自虐的なを発言を繰り返し、全く要領を得ない。
そのうちに…爆弾が爆発するという予告を仄めかすようになり、実際に爆弾による無差別テロが現実のものとなり、東京中を恐怖のどん底に陥れることとなる。
後手に回った警察は容疑者から発せられた謎解きを懸命に解き明かそうと躍起になって奔走する展開には手に汗を握らされ、本の頁が汚れました笑
容疑者と取調官による息詰まる心理ゲームと押し問答では本音と建前を倫理的な視点から質疑応答が繰り返され、その科白の応酬には読み応 -
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ネタバレ疾走感――それが本作を読み終えたとき、最も強く胸に残る感触だった。ページをめくる手が止まらない、という表現は使い古されているが、本作においてはそれが決して誇張ではない。物語は躊躇なく加速し、登場人物たちの選択と衝突が連鎖的に展開していく。そのテンポの良さは単なる読みやすさにとどまらず、作品全体の緊張感そのものを支える骨格となっている。
特筆すべきは、そのスピードが決して軽薄さに流れていない点だ。むしろ、余分な説明や逡巡を削ぎ落とすことで、登場人物たちの“今この瞬間”の切迫した感情がむき出しのまま読者に突きつけられる。彼らは立ち止まって内省する余裕などなく、流れに抗い、あるいは飲み込まれながら -
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ネトフリで爆弾を見てからです。
今回はヒリヒリするような掛け合いより、スズキタゴサク裁判が行われる裁判所を占拠した第三者と警察(類家と上司)、タゴサクとの応酬が見所ですね。
突然、裁判所を占拠した犯人の思惑が見えず後手後手に回る警察。それを、あのいつもの無邪気さで観察するタゴサク。背後にみえるのはスズキタゴサクを崇拝する集団と、相対する爆弾被害の遺族達。これらの思いが裁判所占拠により蠢き始めます。警察はどう動くけば解決出来るのか、スズキタゴサクはどうなるのか。エンタメ作品として面白く読めした。
それにしても映画の役者さん達は凄いですね。本書のキャラクターに当て嵌めても何の違和感無くイメージ出来 -
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ネタバレ思いもよらない犯人や経緯などはよかった。
愛憎が絡み合ってるのもよかった。
よく思うけど、性癖って生まれ持ってくるんだろうか。それとも幼少期の体験とか、後天的に育まれるもの?
「気づく」瞬間って人それぞれで、警察や消防とか、病院とか、普通の人が体験しないなにかのきっかけで目覚めることはあるのかもしれない。そういう確率が高い職場ってあるのかもしれない。私にも本当は何か眠っているのかもしれない。などと思ってしまった。
個人的には、スズキタゴサクがどんな人物で、何を体験してああいう人になってしまったのかをもうちょっと知りたかったな。
唯一優しくしてくれた人に利用されそうになってもういいや、にはし -
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個人的には、1作目よりも断然面白かった!
読んでよかった!
映画が良かったので2作目を読もうと思ったのだが、映画を見なければ、小説としての1作目はあまり好みではなかったので、2作目を読もうとは思わなかったと思う。
まさに法廷を占拠して、爆弾を仕掛けるテロのお話。タイトルそのまま。
佐藤二朗さんのスズキタゴサクは素晴らしかったが、小説上のタゴサクは、彼の人となりや思想が全然見えなくてあまり好きになれなかった。一方で、今回の主人公の柴咲はものすごく人間臭くて純粋で、これまでの登場人物の中だったら一番好きかもしれない。
ラストのシーン、柴咲の幼馴染への想いが切なくて泣けた。 -
Posted by ブクログ
東京都内に仕掛けられた爆弾事件を巡り、取調室で繰り広げられるスズキタゴサクと警視庁特殊班係の攻防。その手に汗握る心理戦から、張りつめた緊張感が痛いほど伝わってきた。
序盤はタゴサクの冗長で捉えどころのない台詞の応酬に、ずっとこんな感じで続くの?と不安になってなかなかページが進まなかった。だけど、一進一退の攻防が加速し、事態が大きく動きだした辺りから、スピード感も相まってグイグイと読み進められた。
本作における「爆弾」は、単なる兵器ではなく、鬱屈した人間が抱えた社会に対する破壊欲求の象徴に感じられた。歪んだ感情だけど、どんなにまともな人間でもキッカケさえあれば、その起動ボタンを押す側の人間に