呉勝浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の家の隣に住む人が凶悪な殺人鬼だったら私たちは何を思いどうするのだろうか。
その殺人鬼はすでに服役し刑期を終えている。そいつを私たちは受け入れるべきか拒絶するべきか。
主人公の千早は前者の立場をとる。心理カウンセラーである彼女は、過去に凶悪な事件を犯した殺人鬼・入壱要を「受け入れるべきだ」と考える。すでに刑に服したのだから自分らと同じく対等に扱うべきだと。
要は何らの精神疾患を患っているわけではない。責任能力がある「健常者」である。しかし彼の中には常人には理解し難い欲求がある。つまり、「健常者」の中の「異常者」なのだ。
健常と異常を分つものが何であるかはわからない。その線引きは大変にグレー -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画の感想。
(後で移動予定)
最初に出てくる佐藤二朗が、犯人役と知らず、いつもの喋りで、お笑いキャラかな?と思いきや、思ったより、怖いキャラ演じるのね!って思う。
でも、理由が判明しそうになるにつれ、容疑者Xの献身を思い出し、かぶる部分あるなぁ〜。ってなる。そうなると、堤真一の演技のほうが、好きかも?!ってなる。
ってか、時系列が難しい。ジュースいつ入れたんだろ。死体、あんなに腐乱してるのに。って、そこから、これだけの構成を練り直すって、たごさく、天才だ。
なのに、なんで浮浪者やったん?ダメだー!もう一回、見なきゃー!
でも、リアルすぎて、見るの、痛いんだよなぁ。
この映画は、何 -
Posted by ブクログ
映画を見て面白かったから文庫本を購入。単行本で読んでいたのをすっかり忘れていたことに後で気づく。それほど前に読んだ時は響かなかったんだけど、映画を見た後だからか、今回再読した時は登場人物たちのキャラが立ってそれぞれの心情の描写に感情移入できた。
改めて映像の力を感じる。
命の重さは同じという綺麗事も、世の中捨てたものじゃないという欺瞞も信じちゃいないから類家とスズキのやり取りはとても刺激的で面白かった。
前回読んだ時にも感じた、被疑者に拳銃を向けた伊藤沙莉演じる倖田を馘にしない選択肢はないわ〜という思いだけは今回も同じ。
続編も読みます。 -
Posted by ブクログ
知人にオススメされて映画を見た。
括るのも失礼だが、和製ジョーカーという言葉が頭に浮かんだ一方、本家ジョーカーがある種のアメリカらしいサクセスストーリーなのに対して、
「爆弾」は破壊の先にあるのが、同じ思いを抱えながらも正反対に生きてきた他人との共感というのが、なんとも日本らしいという印象を受けていた。
ただ、原作を読んだことで印象が大きく変わる。
人は危うい。
基本的に怠惰で感情的。周囲に翻弄されながら、その癖すぐに周りを見下して、自分はまだマシだと思っている。
醜くて浅ましい本性を抱えながら、不格好な仮面を被って過ごす。
"普通"に生きようとするのでやっとなほど不安定 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。前回に引き続き、犯人の狙いが見えない。それがいい。考えながら読むけど全然先がわからない。さらに前回に引き続き、スズキタゴサクが今回の犯罪の主犯じゃないのに一作目同様話術でみんなをかきまわす。
今回も巻き込まれた人たちは本当に不運だったとしかいいようがない。犯人の社会への不満と対照的に職務を全うしようとする警察官たちの気持ちが繊細に書かれているのも感情移入してしまった。倖田さんがかなりピンチで精神的にも肉体的にも追い詰められていたからなおさら。
一作目を読んだ時も思ったけど、平和な社会を壊すのはとても簡単なことで、多くの人の善意や良識で社会はなんとかまわってる。脆いものだよな、って思