呉勝浩のレビュー一覧

  • 法廷占拠 爆弾2

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    ネタバレ

    「爆弾」の続編、スズキタゴサク氏の法廷で立て籠もり事件が起きるというストーリー。それにしても「スズキタゴサク」は本名なのか?法廷でもこの名前(カタカナ表記)で通っていましたが…。

    前作では爆弾を仕掛けておいてヘラヘラしてるタゴサク氏に苛立ちを感じていたものですが、今回出てきてキター!と思ってしまいました。立て籠もり犯をいいように手玉に取る感じ。流石ですね。

    そして警察の方々。前作の脇キャラの方々たちもしっかり活躍してて嬉しかったです。ちゃんと皆んな自分にできることをしっかりとやり続けているところがよいです。前作ちょっと嫌なやつだと思ってた伊勢さんが男をあげましたね。

    次もありそうな話の展

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    2025年12月15日
  • 爆弾【電子限定特典付き】

    sun

    購入済み

    ノンストップの緊張感を堪能

    爆弾魔スズキタゴサクと警視庁特殊犯係の類家警部補の対峙は一室に凝縮され、まるで生の舞台さながら。
    言葉の応酬が爆弾のカウントダウンと連動し、息を潜めてページをめくってしまうほど。
    犯人・タゴサクは、まるで佐藤二朗に当て書きされたかのようなキャラ付け。冴えない風貌の裏に、毒舌と哲学的な悪意を湛えた男。
    映画では、コミカルさと不気味さを併せ持つ演技が脳裏に浮かぶ。ネット拡散の現代社会を風刺し、善悪の境界を問う深みもある。ノンストップの緊張感を堪能した。



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    2025年09月15日
  • ライオン・ブルー

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    ネタバレ

    パイセン本。

    呉勝弘著『ライオン・ブルー』は、地方の片隅に潜む人間の矜持と業を、静謐かつ緊張感に満ちた筆致で炙り出した一作である。過疎化の進む獅子追町を舞台に、交番勤務の警官が小さな出来事をきっかけに町の奥深い闇へと足を踏み入れていく物語は、単なる警察小説の枠を超え、人と土地が抱える宿命を克明に描き出している。地方社会に息づく利権や沈黙、過去の罪が積み重なって生まれる濁流のような空気は、読む者の心を静かに圧し、正義と責任の意味を問い直させる。
    とりわけ、主人公・澤登耀司の苦悩は、誰もが持つ過去への後悔や、守るべきものへの覚悟を映し出す鏡であり、決して派手ではない行動の一つひとつが深い余韻を残

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    2025年09月14日
  • ライオン・ブルー

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    警官が銃を持ったまま行方不明となり、その行方を捜すためあえて異動志願した同僚の男。その土地にある田舎独特の仲間意識や人間関係、そして怪しげな先輩や同僚などに振り回されつつも奮闘する話。前半はいかにもな感じの嫌な人間ばかりの中で手がかりを探すために奮闘している感じが普通のミステリー小説っぽい感じではあったものの、後半であることが判明してからは怒涛の展開に。全体的に「正義とはなにか」みたいな哲学がテーマっぽい感じで繰り広げられていたような印象。あと、本編が終わった後に、途中に出てきた刑事のスピンオフが載っていたけど、そこまで印象深い刑事とは思わなかったけど、作者が気に入ったキャラなのかな?

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    2025年08月17日
  • スワン

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    序盤は無差別大量殺人の様子がグロくて気持ち悪くなったが、ただの殺人物語に終わらず、巻き込まれた人々のそれぞれの状況やその後が描かれたよく練られたストーリーであると思う。中盤から事件の裏に何があったんだろうかと続きが気になり最後までスラスラ読めた。事件の被害者が抱える言葉にならない思いと罪の意識は読んでいる側にも白黒つかない思いを抱かせた。面白い作品だった。呉先生の作品は爆弾に続いて2作目だったが、どちらも面白く一気に読める徹夜本。

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    2025年08月17日
  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    パイセン本。

    警察小説でありながらも、事件解決のスリルと人間模様の温かさが巧みに融合した一冊だった。五つの短編が独立して物語を紡ぎながら、終盤にかけて静かに糸を結び、最後に全体像が立ち現れる構成は見事で、読後に心地よい余韻を残す。特に、新人刑事・船越と先輩刑事・番場の掛け合いには、硬派な現場の空気の中にも柔らかなユーモアが漂い、人物像が生き生きと浮かび上がる。事件の緊張感と、登場人物たちの人情味あるやり取りとのバランスが絶妙で、物語の奥行きを感じさせた。警察小説としての新鮮さを保ちつつ、読者の心に小さな温もりを残す、滋味豊かな作品である。

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    2025年08月15日
  • 道徳の時間

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    過去の事件がセンセーショナルであり謎たっぷりに描かれていて最初から引きこまれた。それに現代のもう一つの事件がどう結びついてくるのかワクワクしながら読めた。最後、2つの事件がもっとまとまってくるのかと思っていたので残念だったが、2つの事件の真相はそれぞれでひねりがあって面白かった。

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    2025年08月02日
  • 道徳の時間

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    近所で有名な陶芸家が亡くなりその現場には不可解なメッセージが残されていた場面から物語は始まる。そんな中、ビデオジャーナリストの伏見に13年前に起きた殺人事件の映画撮影の仕事が転がり込む。撮影を進める中で、より深まる謎、絡まり合う様々な出来事。後半にかけてスピード感が上がり、ページを捲る手も止まりませんでした。登場人物が多く、わかりにくい部分もありましたが、最後には救いもあり読後感は良かったです。

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    2025年07月30日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    多分夕木春央さんの本を探してたどり着いた本。「これが最後の仕事になる」という一文から始まるショートショートのアンソロジー。これがシリーズ3作目のようだ。こういうのがあったとは知らなんだ。大好きな米澤穂信や真梨幸子のも入ってた。他にも今をときめく作家さんが多いけど、知らなかった初読みの人も。まぁこれだけの規模だからな。そしてショートショートは読みやすいけど、やっぱ印象に残らないんだよなー。インパクトにかけるというか。あと全然意味不明というか、面白くないのもちらほら。まぁ好みだからな。

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    2025年07月27日
  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    捜査一課の優秀な刑事が殺人事件の謎を解いていく正統派警察小説の短編集、と見せかけた「刑事とは?」「正義とは?」みたいな哲学を新人刑事の描写を通してふんわり投げかけてくる。ただ、時折挿入される二周り年下の身重の妻とのやり取りが徐々に不穏になっていったあたりは何らかの伏線だと思っていたのに、何故かまるで解決されずに話が終わったので消化不良。最後の短編で伏線が回収されるのかと思えばむしろ過去の事件を描いてただけで拍子抜け。 読解力が足りないだけなのかも?困った。

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    2025年07月26日
  • これが最後の仕事になる

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    1遍6ページなので、隙間時間にぴったりでした。
    五十嵐律人さん、秋吉理香子さん、呉勝浩さん、桃野雑派さん、白井智之さん、夕木春央さん、一穂ミチさん、米澤穂信さんなどなど。
    読んだことがある作家さんの作品がいっぱいで、とても楽しめました。

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    2025年07月24日
  • これが最後の仕事になる

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    同じ書き出しで始める短編集。ストーリーそのものがおもしろいというよりは、作家の個性を楽しんだり、「同じ書き出しでもこれほどバリエーションがあるなんて」とアイディアそのものもを楽しんだりできる1冊だと思った。

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    2025年07月13日
  • 蜃気楼の犬

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    ネタバレ

    ルーキーの正義を「若い」と笑う番場
    そんな番場の正義は可愛い年下の嫁とお腹の子

    事件の合間では、県警捜査一課のエースも家に帰れば年下の嫁の尻に敷かれるほのぼのした夫婦関係が描かれているが、後半になるにつれて徐々に不穏な空気…

    最終話はこれまでの事件関係者が絡み合い番場たちの過去も描かれ、臨場感とスリルが溢れる作品でした。

    本書は短編形式ながら、ラストで一気に事件が繋がる爽快さが魅力です。

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    2025年07月04日
  • スワン

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    ネタバレ

    爆弾シリーズからこの作者に興味を持ったため拝読しました。

    理不尽によって引き起こされた悲劇、それに対しての各々の選択。その選択の結果しか周囲は知らず、当事者は悲劇の責任を求められる。
    現代社会においてもよくある事象ですが、この物語は本来断罪されるべき犯人たちが退場してしまっていることが悲劇をより深めています。
    遺族は怒りの矛先をどこにぶつければいいのか、責任を誰かに求めざるを得ない。特に終盤の転換点となるとある登場人物の心情は読んでいて心苦しかったです。
    この作者さんは人の悪意をどストレートに端的に書きますよね。あまりにも刺激的かつ痛烈であるがゆえに、どうしてもページを捲る手が止められません

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    2025年05月25日
  • スワン

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    冒頭の事件がメインと思いきや、事件後の関係者たちの物語。
    展開がどこに向かっているのかわからず、先が気になりページが進みます。

    人には二面性がありどちらか一方ではない。頭では理解していても、一方だけをみてしまいがち。
    えてして世間は一面性で人を判断する。

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    2025年05月21日
  • おれたちの歌をうたえ

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    ネタバレ

    パイセン本。『おれたちの歌をうたえ』とは、そういう事か。過去の出来事に囚われた男たちが、時を超えて再び向き合う姿を描き出す。登場人物たちが成長していく過程や、彼らが抱える葛藤に共感を覚えるとともに、青春の後悔や再生のテーマが心に響く。特に、主人公・河辺の人間らしさに目覚める瞬間は、読者に希望を与える。作中の文学的要素や暗号の謎解きも、物語に深みを加えており、単なる小説にとどまらず、知的好奇心も満たしてくれる。過去と現在をつなげる複雑な構成の中で、登場人物たちが自らの過去と向き合う様子は、人生の意味を考えさせられるものがある。ちょっと長くて時間が掛かったため、読後の達成感が半端ない。

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    2025年05月08日
  • 爆弾【電子限定特典付き】

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    私の中にも怪物がいる

    命の天秤、守りたい生活や人間の仲間意識
    何があっても構わないと掃き捨ててしまうような
    蚊帳の外にいる同じ人間に対する気持ち
    衝動的な快感

    才能を発揮できる環境や人間関係って大切だし
    間違ったコミュニティで形成される欲望も恐ろしい
    文章は少し読みにくかったかな。
    読み進めるのに時間がかかった、、

    個人的には類家さん推し。
    タゴサクに食われながらも必死に活路を見出す推理シーン、臨場感すごかったです!

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    2025年12月10日
  • スワン

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    ネタバレ

    無差別銃撃事件ということで、最初は読むのが辛い描写が多かった…

    あっという間にたくさんの人が亡くなり、犯人も自殺。この残酷な事件がこれ以上どう広がるのか?(もう謎も何もないし明らかやん)と疑問に思いながら読み進めました。

    中盤以降、お茶会で徐々に新たな事実が見えてきて、謎が謎を呼び、一気にミステリーの展開!
    ここからが面白かった。

    こんな緊急事態下では、
    人の言動は予測できないくらい複雑で、後になってその時の気持ちも状況も説明できないのは当然。
    でも、いろんな思いを自分の心の中に落とし込んで、前に進もうとするいずみの逞しさは、すごすぎる。

    無差別銃撃事件の謎ではなく、その緊急事態下で起

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    2025年04月27日
  • 道徳の時間

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    芸術家の自殺に関する謎、講演中に起きた殺人事件に関するドキュメント映画の制作、町で連続する悪質な悪戯などが同時進行し、やがて集約されていくまでの話。 正直、ミステリーだと思って読みすすめてたはずが、いや、大枠でミステリーなんだろうけど、自殺や悪戯などは特に目新しくもない感じで片付けられていったのが意外、ただし重厚な人間ドラマとして仕上がっていた。 正直個人的に合わない内容だったけど作者の力量でなんとか読ませていただいた感じ。 この作者の作品は網羅した方が良い

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    2025年04月03日
  • ロスト

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    ネタバレ

    誘拐事件が発生し、そこから犯人の意味不明な要求に振り回される警察と芸能プロの社長、コールセンター責任者etc.の物語。序盤で内容が把握できてないうちから登場人物によって場面が代わる代わる展開されていったので人間関係を整理するので精一杯になったけど、理解してからはほぼ一気読み。終盤であらゆる謎が解けてスッキリ。さらに「えっそんなオチ?」といった感想に対する返答のように最後にどんでん返しがあってなおスッキリ。良い読書が出来た。

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    2025年04月02日