あらすじ
異様な熱狂が、世界を包み込む。
緊急事態宣言下で仕事を失った佐野勇志は、なけなしの金も寸尺詐欺にあい絶望の淵にあった。三枝美来は金を貸したきり連絡を絶ったライブ仲間・ルカに苛立ちを募らせる。コロナ禍で身動きもままならない彼らがネットで出会ったのが、〈Q〉のミュージックビデオだ。謎めいた魅力に心酔した人々は〈アンサーズ〉というグループを組織し始める。
キュウを〈Q〉と名付け売り出したのは、彼に惚れ込んだ百瀬だった。閉塞する世界を覚醒させるカリスマとすべくロクや健幹が彼を支える。Qの常識を超えた映像表現は、SNSを通じ世界に拡散。そしてかつてない大規模ゲリラライブの企画が始動した。だが機を同じくしてQへの殺害予告が届く。
キュウと決別したハチは清掃員の静かな生活に戻っていた。そこへアンサーズのメンバーが現れる。キュウの過去についての不穏な噂、さらに殺害予告を知ったハチは、葛藤を抱きながらもゲリラライブ――「暗夜行路」を目指しアウディを走らせるのだった。
全世界を熱狂させるカリスマ、それを利用する政治家、子らを支配する父、ただキュウを愛する人々。さまざまな思惑が渦巻き、物語はクライマックスを迎える。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『Q』 の文庫版となります。
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Posted by ブクログ
第三部以降、かなりのスピード感。終盤にかけてのたたみかけがうまく、映画や漫画でもそうだが様々な伏線を飲み込んでいくうねりがある作品だった。
一部、細かい部分で言えば気になることもあるが、小さい事が全く気にならないほどストーリーに飲み込まれる。この作品は結局、ハチの物語なのか、キュウの物語なのか、それともロクの人生か、はたまたタテキが主人公なのかとそれぞれがそれぞれの役割をきちんと演じ切っている。
一方で問題が何も解決していないモヤモヤが残る。なんでも結論づける事が正しいとは思わないし、一定の不確定要素がある方が物語が深く、濃くなる事がある。今作は一瞬の熱量に充てられて誤魔化されているが、通り過ぎると正しく何も解決していない虚無感に襲われる(百鬼夜行にかかっているのなら衝撃だが)。侑九に魅せられた人々の百鬼夜行は見事だが、ハチ、ロクの物語に、キュウの真相に、登場人物達の生き様に一定の結末があっても良かったと思う。
キュウという人を惑わせるカリスマ性、才能を持った人間。エピローグこそ印象的だが、「彼」ももう少し掘り下げ、人間性がわかる部分が有ればさらに今作は面白くなった様に思う。本当の才能に出会って理性が崩れていく狂気は、今作内で表現されたらもっと衝撃があったと思う。
最後、少しネタバレになるが、ロクには圧倒的に魅力的な悪になって欲しかった。今作に出てくる「悪、欲」は物凄く印象的で、最後、ロクこそが全てを計算していた最大悪くらいのインパクトがあったら魅力的だった。結局、ロクの人間らしい部分が描写され、全ての登場人物達の結末は物足りない。
いずれにせよ不満点を書いているがラストに迫るまでの熱量、スピード感はずば抜けて面白い。
Posted by ブクログ
一部(上巻)の重々しく、イライラする奴らの登場から
二部(下巻)から、ストレスの少ない展開
三部は全てのストレスを払拭する
怒涛のスピード感、スリル感はハリウッド映画や劇画の様な大迫力!全てはこのラストの為に!
三部は星5!
Posted by ブクログ
私はそもそも剥き出しの暴力が描かれた作品は苦手だ。
どうして彼女は虐げられ、誰かのために獣となり、嗤うんだろう。痛い。苦しい。
そんな中で、上巻を読みながら、何度リタイアしようと思ったか分からない。
ハチが、どうしようもない生活の中で、「仕事」をこなして人の生をまっとうする姿が単純に好きだ。
裏切られることに慣れる中に、嘘だと思っていた真実もあった。
そんな些細な本当に、彼女は多分支えられている。
そして、圧倒的に持てる者であるキュウは、どんな眼差しでハチを見ているんだろう。
神様は、創る力も壊す力も強大で、無自覚だ。
でも、神様は神様の座から降りることは出来ない。
ハチの元を訪れ、陥れようとする数多の人物は、キュウがいなければ、出会わなかったのかもしれかい。
この作品が描きたかったのは、ハチなのか、キュウなのか。
それとも、二人を比べて浮かび上がってくる、そのコントラストなのか。
最後まで、読み終えることが出来てしまった。
ボロボロと、痛みを受けることになったけれど。
Posted by ブクログ
健幹が頑張る。ハチは無鉄砲。有吉はわりといい奴。ロク、重和は計算高い。キューはどこまで知ってる?
大風呂敷を広げると最後の着地が難しいよね。
多少の消化不良がありながらも、面白くは読めた。
Posted by ブクログ
情報量が多くて一回読んだだけではイメージが持ちづらいところもあったし、上巻はあんまり引き込まれる感じはない作品でした。
でも後半、主観と真実がごちゃごちゃになっていきながら加速していく感じはよかった!
楽しく読みました!
でももう一回読むかと言われると…うーん…
ただのファンダム文化の話ではないし、愛とか家族とかいろんなテーマがあるストーリーではあるんだけど、なんだか深みが足りなく感じました。
Posted by ブクログ
最後の特別編は残酷だった。才能と努力、所詮比較でしかない程度の能力。比較するまでもない圧倒的な特別、本物に出会ってしまったときの絶望とほんの少しの安堵感。
本気になると結果が出る。傷つきたくないから嫉妬を憧れに置き換えて見て見ぬふりをする。
皆夢中になれるものを探してる。夢中になってるフリをしてる。そうでないと、自分とそれを取り巻く世界がつまらないことに気がついてしまう。気がついてしまったらもうそこから一歩も動けない。