【感想・ネタバレ】道徳の時間のレビュー

あらすじ

連続イタズラ事件が起きている、ビデオジャーナリストの伏見が住む町で、陶芸家が死亡。現場には、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きがあり、イタズラ事件との類似から同一犯という疑いが深まる。同じ頃、伏見にかつて町で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラの仕事が舞い込む。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていく。第61回江戸川乱歩賞受賞作。

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匿名

購入済み

中盤あたりからぐっと内容が濃くなり引き込まれてゆきました。胸が苦しくて、助けの手を差し伸べたくて悲しかったです。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく濃かった
いろんな事件が次々とおきて わからなくならないように 付箋を付けながら読み進めてきました
あと四分の一くらいになったとき すべてがつながって 
それぞれの立場やみかたによった貧困と差別 どうしょうもない哀しさやいらだちがつたわりました 鳥肌ものでした 

なんだか 読み終わりたくなかった

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

なんちゅーもんを読んでしまったんだ、というのが最初に浮かんだ感想。久しぶりに言葉の出ない読書に出会った。少なくとも彼らの問いに対する答えは浮かばない。
一般的に良いとされる言葉が、口にすると非常に陳腐に思えてしまう気がして安易な気持ちで分かったようなことが言えない。
物語にはとても引き込まれ、ラストまで含め私好みでした。

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2024年12月26日

Posted by ブクログ

呉勝浩さんの「爆弾」という本を読んでとても面白かったので他の本も読んでみようと思いこの本を手に取りました。すっごく面白かったです!!没頭して読めてあっという間に読み終わりました。終わり方まで面白くてさすがだなぁと思いました

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

『爆弾』を拝読し、かなり好みでしたので呉さんが乱歩賞を受賞したこちらも拝読。

皆さんが仰るようにどの登場人物が今話しているのか分かり辛い事も多かったですが、ご本人もその指摘を受け止めていらっしゃるのか『爆弾』では見事に進化をされている事が分かり驚きました。

難点と言えばその位で、ドキュメンタリー映画を作って行く行程で謎が謎を呼び、叩き上げのジャーナリストであった主人公がそれを追って行く展開がどうなるのか予想も付かず、ミステリーを読んでいる!と満足感に満ち溢れました。
最後の方で明かされるある人物がとんでもない事をしでかしていた事実に『道徳の時間』と言うタイトルがずしんと響きました。

たった1つの難点についても、根底にはそれぞれの人物を掘り下げようとする呉さんの熱意が溢れており、途中から気にならなくなりました。

またお気に入りの作家さんが増えて嬉しい限りです。

余談ですが、巻末に江戸川乱歩賞の選考経過と選考書評も載っており、最終選考に残った作品ですらこんなに酷評されるのか…と青ざめました。
「もっと小説を読んで下さい」の評にはびっくりしましたが、これらを糧に進化できるか否かがその後の分かれ目なんでしょうね。
小説家の皆さんに対する尊敬の念がまた増しました。



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2023年08月17日

Posted by ブクログ

「人間が描けていない」
「え?」
「本当の人間はもっと優しいし、世の中にはもっと救いがある。それをわざと描かないこの物語はー」
「道徳的じゃない?」


素晴らしく、面白い作品。
道徳的であるとはどういう事かを考えさせられる作品。
これを道徳の教科書にしてもいいくらいだ。

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2019年01月24日

Posted by ブクログ

面白かったー。   
まさしく“道徳”の小説、物語だった。    
面白い面白い面白い。     
ただ映像作品の良し悪しについて全く疎いので、それについての言及がさっぱりだったのが無念。   
他の作品も読みたいと思わせる一作だった。

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2017年11月02日

Posted by ブクログ

過去の事件がセンセーショナルであり謎たっぷりに描かれていて最初から引きこまれた。それに現代のもう一つの事件がどう結びついてくるのかワクワクしながら読めた。最後、2つの事件がもっとまとまってくるのかと思っていたので残念だったが、2つの事件の真相はそれぞれでひねりがあって面白かった。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

近所で有名な陶芸家が亡くなりその現場には不可解なメッセージが残されていた場面から物語は始まる。そんな中、ビデオジャーナリストの伏見に13年前に起きた殺人事件の映画撮影の仕事が転がり込む。撮影を進める中で、より深まる謎、絡まり合う様々な出来事。後半にかけてスピード感が上がり、ページを捲る手も止まりませんでした。登場人物が多く、わかりにくい部分もありましたが、最後には救いもあり読後感は良かったです。

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

芸術家の自殺に関する謎、講演中に起きた殺人事件に関するドキュメント映画の制作、町で連続する悪質な悪戯などが同時進行し、やがて集約されていくまでの話。 正直、ミステリーだと思って読みすすめてたはずが、いや、大枠でミステリーなんだろうけど、自殺や悪戯などは特に目新しくもない感じで片付けられていったのが意外、ただし重厚な人間ドラマとして仕上がっていた。 正直個人的に合わない内容だったけど作者の力量でなんとか読ませていただいた感じ。 この作者の作品は網羅した方が良い

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2025年04月03日

Posted by ブクログ

パイセン本。「道徳の時間を始めます。殺したのは誰?」陶芸家の死亡現場で謎の落書きが見つかる。同じ頃、仕事に失敗し燻っていたビデオジャーナリストの伏見の元に、かつてある小学校で発生した殺人事件のドキュメント映画のオファーが舞い込む。道徳とは何か?「みんな」とは誰の事?今は子供を叱ると「心理的虐待」で通報される片側で、女性の尊厳を無視した性接待を強要し、その経緯や顛末も明かさないメディアもある昨今、一体何が正しいのか?という基準が人によって変わってしまう事の危機感。なんかタイムリーな内容で、読めてよかった。

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2025年02月06日

Posted by ブクログ

表紙に誘われて〜^^;

【道徳】

社会生活を営む上で、ひとりひとりが守るべき行為の規準(の総体)。自分の良心によって、善を行い悪を行わないこと。

なので、コイツらには関係ないかもしれん。守ってないし、良心ないし、善悪の判断できんみたいやし。
って、そう思う
 善悪って何?
 良心って?
 守るって?
「しょせん、道徳なんてその程度、っていうのがぼくの結論。書き換えたり、書き戻したり、作者によって好きなように設定されるルールにすぎない…」

落ちぶれたビデオジャーナリストが、小学校で起きた殺人事件のドキュメンタリーの撮影を頼まれる。
「え?この事件、犯人捕まってるけど、何か変?」
疑問が疑問を呼ぶ訳やけど、犯人の動機が…
確かにむごい幼少期だし、何か道徳とか、それぞれの範囲というか、線引きが違うんで、そら道徳という一言で言われても!っとは思う。
まぁ、道徳と言っても、「万引きバレたら、払う」で済むと思っているようなのが国を運営してんのに、道徳とか言うな!っと気もするけど(−_−;)

しかし、この動機はなぁ〜
合理的とか書いてるけど…
まぁ、現実はそうなんかもやけど…
多分、上手くいきそうな気はするけど、
道徳が〜〜〜(^◇^;)

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

江戸川乱歩賞選考にあたって審査員も紛糾(というか池井戸潤氏が厳として異議を唱えたようだが)し修正のうえ正式受賞となったいわくつきの作品。T県鳴川市で起こった現在と過去の事件。2つの事件を交錯させながらビデオジャーナリスト伏見の視点で真相に迫る。

本作で描かれるのは人間の持つ狂気と根源的欲望。以降の呉作品に通ずるテーマである。自分の都合の良いフィルターを通して解釈する世界は本当に正しいのか?自分の常識は他人の非常識なのではないか?道徳は「みんなくん」というスケープゴートの無邪気な悪意ではないか?池井戸氏の指摘通り衝撃度を優先するあまり人物や動機の描き方が些か甘い点は否めない。特に2つの事件の犯人の人物像はやや雑な印象はある。とはいえ、理解不能でありながら物凄くシンプルな犯行動機は呉小説の特徴といえよう。

500ページの大作だが読み進めるうちに次の展開が気にある良作である。

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2023年11月08日

購入済み

道徳よりも

恥の文化と、罪の文化の一文に
ハっとしました。

内容は悲しい話です
何を道徳と言うのか?

話の中心は本当の犯人はどっちなのか?
で進んで行きますが、そこは伏線に過ぎず
監督が妹さん?なんて気付きながらも、と、
またまた予想を裏切るどんでん返し

総じて重いめの内容なのでレビューも低めなのかなぁ。

#切ない

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2023年10月16日

Posted by ブクログ

すごくおもしろく一気読みしたのだが、評価は分かれるようですね。
動機が弱い…という意見が多いようだが、巻末の解説文に、「そうか、たしかに…!」という動機にまつわるある出来事に触れられていて背筋が寒くなるようだった。
また、最近はまっていたドラマ『エルピス』に通ずるものも感じた。「荒削り」と言われるのかもしれないけど、複数のテーマを絡めて(なんなら時代を先取りし)一気に読ませるのはすごいのでは。

ちなみに明らかな誤植を見つけたので出版社に問い合わせメールを送ったけど、返信なしで残念。

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2023年01月16日

Posted by ブクログ

2022.09.08

中盤から怒涛の展開で一気に読んでしまった。
巻末解説にもあったが、確かに犯人の動機が薄い。
もう少し具体的にしてくれてもよかったのになあと。

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2022年09月12日

Posted by ブクログ

数年前と最近の事件を並列させて話しが展開する複雑な物語だが、ジャーナリストのあり方を問われる話でもある.伏見祐大は仕事を干されているが、旧友の田辺からドキュメンタリー作成のカメラマンとして仕事を打診される.伏見の町では近年いたずら事件が多発して犯行時に奇妙なメッセージが残されていた.地元出身で青柳南房が亡くなった所にも『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』というメッセージが残されていた.伏見は田辺から越智冬菜を紹介され彼女が以前の事件に関連したドキュメンタリーを作成するので、伏見は参加を要請された.向晴人が恩師の正木を講演会場で刺し殺した事件を越智が映像にまとめるようだ.向は捜査中も裁判でも無言で、ただ『これは道徳の問題なのです』とだけ発言した由.越智と伏見のやり取りが楽しめた.向の友人で梶村晋と宮本由紀夫が向事件のカギを握っていた.両方の事件を苦しみながら解明していく伏見の行動が良かった.

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2021年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

呉勝浩の初読み。

しばらく前に見かけて気になってはいた一冊。
気にはなったけれど、「古本で出回ってからでもいいか」と、そっと棚に戻した一冊でもあり。

しがない小遣い制既婚勤め人には、初読み作家を新刊で買うのには勇気がいるもので(苦笑)。

同僚からの誕プレを開いたら出てきたのが、この一冊だという偶然。同僚に感謝。

かな~り久しぶりに「ページをめくるのが止まらない」という程にのめりこんだ一冊でもあり♪

かといって、題名に沿って道徳とは何か?などと語る気はない。(もちろん、道徳とは何かと考えさせられる要素は多々あったけれど)

自分はこの作品を、、、、
報道の在り方を問う物語として、
父と子の物語として、
友情の物語として、
夫婦とは何かを改めて見つめる物語として、

そして、己の矜恃を問い直す物語として読んだ。


筆者のデビュー作だというのにも驚き。「作家買い対象作家」にエントリー♪

★4つ、9ポイント半。
2017.11.21.新.贈。

※関西と、関東・東北とでは学校文化が異なるのか?・・・小学校に「部活」があるという設定だけは、違和感ありありだった。

※巻末解説で記された、「乱歩賞選考時、動機のリアリティが疑問視された」との記述・・・いやいや、ありえなくはないんじゃないか、と思う。

※同じく巻末解説文に触れられた、「2015年6月に太田出版から刊行された一冊の本の存在」に、全く思い当たるふしが無い・・・・どなたかこのレビューを読んだ方、教えてください!

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2017年11月21日

Posted by ブクログ

道徳の時間を始めます。
殺したのはだれ?―有名陶芸家の死亡現場で、殺人をほのめかす落書きが見つかる。
同じ頃、VJ(ビデオジャーナリスト)の伏見にかつて町の小学校で起きた殺人事件の映画撮影のオファーが。
伏見はふたつの事件の奇妙なリンクに搦め捕られていく。
選考会も紛糾した江戸川乱歩賞受賞作を完全リニューアル。
□□□
以上、裏表紙の内容紹介から。
いや、聞きしに勝るスリリングな展開。
かなり複雑に入り組んだストーリーなので、頭の中を整理しながら読み進めましたが、筆力があるのでぐいぐい読ませます。
新人賞受賞作は、このくらいの熱気がなきゃ、ですね。
本筋とは離れますが、63ページにこんな場面があります。
主人公の伏見と新人ディレクターの越智が、ドキュメンタリー論を戦わせるシーン。
「いかに多くの人間に届けるのか。いかに上手く届けるのか。それによって、どれだけの人間に影響を与え得るのか、変えることができるのか。それがパワーではないですか」
と越智。
この言葉を伏見は反芻します。
「いかに上手く、届けるか。つい最近、自分が似たような発言をした記憶があった。しかし、それをすぐに思い出すことはできなかった」
実は、この42ページ前に、全然違うシーンで、友達を殴った我が子を伏見が叱るシーンがあります。
「―説得できんかった時は、どうしたらええの?」
と訊く息子に、伏見は
「もっと上手く伝えるしかない。もっと上手く、相手に届くように、響くようにな」
と諭します。
こういうのを読むと、うまいなぁ、と感じちゃいます。
細部まで配慮が行き届いていると、作者を信頼してしまうのですね。
もっとも、帯にもある通り、受賞作はかなり瑕が目立ち、出版に当たって全面改稿したのだとか。
原本も読んでみたいものです。

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2017年09月16日

Posted by ブクログ

不思議な作品だった。ベタなどんでん返しといまいち詰めの甘いサブストーリー。序盤の読みにくさが途端になくなる文章。理解できないけど魅了される心理。はたして救いがあったのか無かったのか。

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2017年09月14日

Posted by ブクログ

安全圏から道徳を叫ぶ人達。
道徳の届かない場所にいる人達。

「みんな」なんていない。
ひとりひとりと向き合うんだ、という話。

主人公のジャーナリストは主人公気質すぎて冷めるが、ストーリーは面白かった。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

とても難しい話だった。
道徳とは何か?
その人の状況によって、道徳は変わる。みんなが優しくいられる道徳なんて所詮はまやかし。
閉鎖的な街でおこるいたずらと、15年前の事件が交錯しながら、主人公は道徳に向き合うことになる。
主人公と息子の話ですら難しいが、さらに15年前の犯人の緻密な異常性と道徳が、より理解を難しくしている。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

爆弾を読んで他の作品も読んでみたいと手に取った本。
慣れるまで読みにくいな、と思いつつ、慣れてくると面白かったが、タイトル通りに最後は色々考えさせられる重たい展開となり、もう少し軽やかだと万人受けして読みやすいんだろうと思いながら終えた。
あとがきが意外に味があるので、あとがきも読むべし。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

ふう…久しぶりに感想が書きにくい作品に出会ったな。
とっても疲れた。
ホント“道徳”って何なんだろう。
なんだか答えのない問題を解かされたような気分だし、何か得体の知れない真実が隠されている気がして怖くもなった。
でも読まずにはいられない。
特に終盤100頁ぐらいは一気読みだった。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

問題。悪い人は、誰でしょう?彼を裁いたのは、「ルール」ですか?「モラル」ですか?-。

『スワン』以来の呉勝浩san。

ビデオジャーナリストの伏見祐大、QM(クエッション・オブ・モラリティ)、監督の越智冬奈、鳴川市、現在の連続イタズラ事件と13年前の小学校での講演者刺殺事件とのリンクなど。

「これは道徳の問題なのです」というキーワードに惹かれ、あっという間に読み終えました。とにかく、終始冷静で鉄面皮な越智冬奈が魅力的で、エビ料理屋で出会った時から釘付けでした。

黙秘の犯人、証言者の撮影、先生たちの真実、そして向家の過去。。最後の宮本先生のインタビューから、刑務所前エンドロールへの展開は感動しました。

【第61回江戸川乱歩賞】

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

「爆弾」が面白かったので読んだ。
最初からこの作者さんは「人間」が書きたかったんだなぁと感じた。若干入り組みすぎてる感じもあったけど展開は好みだった。

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2023年12月16日

Posted by ブクログ

面白かったが、周囲から見た犯人・向の人物像と、終盤で明らかになった向の犯行動機が、自分の中では一致しなかった。
単行本で読んだが、文庫本の方には「文庫化で大幅加筆、完全リニューアル」と紹介されてるので、どう違うのか気になるところ。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

「道徳の時間をはじめます。殺したのはだれ?」のフレーズとストーリーの骨組みは好きだった。
しかし、たしかに浅さが目立っていた。

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2022年11月19日

S

ネタバレ 購入済み

冒頭から

不勉強で鯨幕の意味が分からず(汗)、出だしから躓いてしまったのが悪かったのか、物語に入り込みづらかったです。
ある女性の凄絶な生い立ちは、もはや道徳の問題じゃなく嫌悪感で吐き気がしました。それを逆手に取って金儲け、いや復讐かな?それを成し遂げようとするのは強さというより、精神的にもう壊れてるんだろうなぁとも。

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2021年10月14日

Posted by ブクログ

面白かったっちゃあ面白かったけど、所々いまいち釈然としない。
確実にベストセラー作家になる為に注目を集める殺人を犯すのは合理的なのか?と思ってしまうからか。
理屈としては合っているんだろうけど、筋が通ってるかと言われると、うーん、腑に落ちない。

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2019年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

道徳の時間/呉勝浩:第61回大賞受賞。2015年。
選評を読むとね。受賞作なしで良かったんじゃない?な記載が。
でもね、どんどん読む進められるの。どーなるのどーなるの?って。
結局、小説で成功したかったから、誰でもよいから人殺して謎めいた言葉を残して服役したってこと?
娘に春を売らせるような親のもとにいて、兄にも見捨てられ、それでもここまで生きてきましたってこと?
幼いころから虐待され、食うのも大変って生活してると、頑張っても、それがしみついてるってこと?
そりゃ、そうだね。三つ子の魂百までって言うからね。
こんな悲惨な人生があります、ってのがドキュメンタリーってこと? それを公共で開示する必要があるってこと?
盛りだくさんすぎ。

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2019年07月15日

Posted by ブクログ

とある陶芸家が自宅で死体となって見つかった。
服毒自殺と思われた部屋の壁には「道徳の時間です」の文字が。
同じくして、過去に公演中に壇上に上がり演者を刺殺した犯人の
ドキュメンタリーを撮る事になったカメラマンの主人公。
その犯人が公判中に呟いた言葉が「これは道徳の問題なのです」

主人公の地元で起こる連続イタズラと陶芸家服毒自殺事件とリンクして、
過去の事件をインタビューとして浮き彫りにするこの作品。
なぜこの映画を撮ることになったのか、犯人の目的は?
最初は乗り気じゃなかったのに気がつけばグイグイと読んでしまった。
作中で語られる「道徳」とは、実態が無いのに誰しもを押さえつける
枷として描かれている。教育論とかそういう小難しい事も出てくるけれど、
犯人や監督を動かす原動力を知れば最後は大いに納得できる。

ミステリで言うwhyに力が入っている作品が好きな人にはおすすめです

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2018年07月09日

Posted by ブクログ

かつて、世間から注目されたビデオジャーナリストの伏見。

彼が住む鴨川市で、悪質なイタズラが連続で起きる。

それぞれの傍らには、「生物の時間を始めます」、「体育の時間を始めます」という謎のメッセージが残っていた。

さらに、鴨川市の名家、青柳家の一員の陶芸家が毒を飲んで死ぬ。

警察は自殺という見方をするが、現場から「道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?」という落書きが見つかったことから、連続イタズラ事件との関連性が疑われる。

ちょうとその時、伏見にある仕事が依頼される。

それは、鴨川市で十三年前に起こった殺人事件の検証を
ドキュメンタリーフィルムにするというものだった。

奇しくも、この十三年前の殺人事件にも「道徳」という言葉が絡んでいた。

事件現場は、当時の鴨川第二小学校。

その講堂で、元教員の正木昌太郎という初老の男性が講演を行っていた。

彼は講演中、後ろの座席から歩いてきた男によって胸を刺され死亡した。

男はその場で取り押さえられ、通報を受けた警官に逮捕される。

だが、男は警察の取り調べに対し黙秘を貫く。

何も語らぬまま裁判が行われ、最後に裁判長から最後に思うところを述べるよう促され、「これは道徳の問題なのです」とだけ述べた。

このドキュメンタリーの企画を持ち込んできたのは一人の女性。

伏見はカメラマンとしてこの事件の検証を行ううち、女性の意図に疑問を持つようになる。

道徳とは一体、何なのか。

躾、人がきめたただのルールか、人を導くものなのか。

鴨川事件の犯人が黙秘を続ける理由は。

そして、そもそも、正木を刺したわけは。

連続イタズラ事件と十三年前の事件に関連性はあるのか。

教育、ジャーナリズム、親子。

あまりにも多くの謎や疑問が提示され、途中、迷子になりそうな心もとなさを感じてしまう。

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2018年06月23日

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