【感想・ネタバレ】道徳の時間のレビュー

あらすじ

連続イタズラ事件が起きている、ビデオジャーナリストの伏見が住む町で、陶芸家が死亡。現場には、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きがあり、イタズラ事件との類似から同一犯という疑いが深まる。同じ頃、伏見にかつて町で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラの仕事が舞い込む。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていく。第61回江戸川乱歩賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
13年前に鳴川第二小学校でカリスマ教育者刺殺事件が起こる。
犯人である向晴人は「これは道徳の問題なのです」という一言以外の黙秘を貫き、懲役15年の判決が下る。

伏見は世界中を飛び回るフリーカメラマンだったがある不祥事を起こし鳴川市で妻子と共に暮らしていた。
山奥で世捨て人同然に暮らしていた陶芸家青柳南房の自殺と市内で立て続けに起こる悪質な傷害事件。
それぞれの現場には13年前の事件を彷彿とさせるメッセージが残されていた。

ディレクター越智冬菜から13年前の鳴川事件のドキュメンタリー映画のカメラマンをしないかという打診を受けた伏見。
撮影を続ける中で彼女の映画にかける執念や自分の望む方向へ誘導しているように感じられる手法に疑問を抱き始める。

越智の真の目的、息子が関係しているかもしれない陶芸家の自殺、市内で起こる傷害事件のそれぞれの関係性とは?

・感想
やっぱり私は呉勝浩先生の作品が好きだ。
2/3辺りまでは作品の主題がいまいち分からなくて「先生…これ大丈夫ですか?ここからちゃんと着地しますか…?」と不安になったものだけども私好みの落着の仕方だった!

「俺は正義の面して、勝手に悪を作り上げてたんだ」というセリフからの流れから、呉先生の書きたいテーマというのはブレてないんだな、と感じた。
そして私はこの呉作品のブレないテーマ性が大好きなんだ。
「線の上」で行ったり来たりする人間、完全にはみ出た人間、絶対に踏み越えない人間を書くことを続けてる作家だと思う。

勝手にレッテル貼りして、決めつける人間。
独りよがりの正しさを信じこみ、自身の暴力性や加害性を認識できない人間。
相手を糾弾する権利は自分にだけあると酔ってる人間。
言ってることとやってることが違う人間。
みんなそんなもの、所詮愚民。

くさくさした気持ちになりつつ、呉先生は「それでも人間ってそんな捨てたもんじゃないよね。善くあろうとする人間の善性を信じたい」という終わりで締めるから好きだ。

作品発表当時(10年前)にはこの動機は理解されにくかったかもしれないけど、今ならこの炎上商法目当ての動機も納得されるのでは?
失うものなんてないんだし、モラルも道徳も倫理も捨て去って利用できるものは全部利用してやるよという人間に群がる興味本位の愚民たち…すごくイメージできる。

池井戸潤はこの動機が理解できなかったみたいだけどそこにアンテナの違いと世代間格差を感じた。

かなり改稿されたらしいし昨今のポリコレ()に配慮されてない剥き出しの「道徳の時間」を読んでみたいなー。

0
2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく濃かった
いろんな事件が次々とおきて わからなくならないように 付箋を付けながら読み進めてきました
あと四分の一くらいになったとき すべてがつながって 
それぞれの立場やみかたによった貧困と差別 どうしょうもない哀しさやいらだちがつたわりました 鳥肌ものでした 

なんだか 読み終わりたくなかった

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

導入では惹きつけられたが結末は尻窄み感を感じた。目撃者の切り崩し、人の記憶の曖昧さみたいなのが徐々にわかっていくのは良かったのだけど、越智さんの正体をなんとなく察したあたりがピークだったかなと。越智さんのお兄さんの動機も、結局社会的に弱かった人が社会でやっていくためにはどんな手を使ってもお金を作ることが重要なのは現実的だけれど。誰もが認めるいい先生たちが、影では道徳に外れていて、そこらへんの乖離とかはすごく良かったけど、それに対する復讐とお金の作り方が少し短絡的に思えてしまった。

一つ読み飛ばしてしまったのかもなのだけど。おじいさんが自殺した現場の道徳の時間です、というメッセージ。書いた人がわかった時に道徳という言葉がここで出てくるのが少し不自然?あまりに偶然が過ぎるというか、小説の都合上と感じたというか。他を模倣したにしても、あの場面で道徳と書けるか。他の授業だったら何になるかと聞かれても困るけど。書いた子たちは道徳の問題だと言った犯人の台本は読んでいたけど、その事件自体のことは知らなかったのではないかと思って。

0
2025年12月26日

S

ネタバレ 購入済み

冒頭から

不勉強で鯨幕の意味が分からず(汗)、出だしから躓いてしまったのが悪かったのか、物語に入り込みづらかったです。
ある女性の凄絶な生い立ちは、もはや道徳の問題じゃなく嫌悪感で吐き気がしました。それを逆手に取って金儲け、いや復讐かな?それを成し遂げようとするのは強さというより、精神的にもう壊れてるんだろうなぁとも。

0
2021年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

道徳の時間/呉勝浩:第61回大賞受賞。2015年。
選評を読むとね。受賞作なしで良かったんじゃない?な記載が。
でもね、どんどん読む進められるの。どーなるのどーなるの?って。
結局、小説で成功したかったから、誰でもよいから人殺して謎めいた言葉を残して服役したってこと?
娘に春を売らせるような親のもとにいて、兄にも見捨てられ、それでもここまで生きてきましたってこと?
幼いころから虐待され、食うのも大変って生活してると、頑張っても、それがしみついてるってこと?
そりゃ、そうだね。三つ子の魂百までって言うからね。
こんな悲惨な人生があります、ってのがドキュメンタリーってこと? それを公共で開示する必要があるってこと?
盛りだくさんすぎ。

0
2019年07月15日

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