呉勝浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テロリストによる大量殺人。その描写は淡々としており、そこまでグロテスクではない。
はずなのに…なぜだろう、とても鮮明にその絵が頭の中に浮かんでしまい、読み進めるのに時間がかかった。
エッチな本やビデオよりも本当にエロいのは、官能小説。直接的ではなく脳内で描写させるから。
という表現を昔に聞いたことがあったが、それを思い出した。
肉片や四肢が飛び散ってどうこう…と記載されているわけではないのに頭にその絵が浮かぶ。逃げ惑う人々と笑う犯人が浮かぶ。そんな筆力を持った作者なのだろう。
歪な終わり方といえなくもないけれど、彼らにとっての「前に進むためのハッピーエンド」として受け取って、主人公たちの今後を祈ろう。 -
Posted by ブクログ
そう遠くない近未来を描いたSF小説。
本書に登場する最新技術や食べ物、睡眠時周波学習などは便利だろうと思う一方で、ICチップによる人間管理には非常に強い恐怖を感じた。
科学の進歩と人間の在り方を問われているようにも思えた。
本書の主人公・堤下与太郎は、特殊能力やリーダー的資質を備えているわけではなく、非常に平凡な男。彼は些細なきっかけから世界規模の陰謀に巻き込まれていく。次々と展開が変化し、読者も振り回されるような構成になっている。
しかし、本書で惜しいと感じた点もあった。主人公が命をかけて挑むゲームの設定や登場キャラクターが、全体的に非常にわかりにくい。本来なら手に汗握る展開であるはずだが、ゲーム内での緊張感は十分に伝わってこなかった。
それでもゲーム部分を除けば、近未来の設定には驚かされる点が多かった。近未来でありながら電力問題を持ってくる視点には驚かされた。なかでも本文にあった「賢さが、むしろ愚かさを増幅させる時代」というフレーズは強く印象に残り、今後ますます便利になる社会への警鐘のようだと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ近未来SFが難しいのは、世界設定をある程度自由にできる反面、「この出来事は本当に起こりうる」と読者が納得するための足場が弱くなりやすい点です。現実を舞台にしたサスペンスが持つ緊迫感は、制度や常識という“枠”があるからこそ成立します。
『爆弾』シリーズは警察組織や裁判所という枠組みがあり、現代の東京という舞台があることで、緊張感がありました。『アトミック・ブレイバー』では、格闘ゲーム《アトミック・ブレイバー5》を物語の中枢に据え、平凡なサラリーマン・堤下与太郎がゲームを攻略して世界を救えるのか、というストーリーは格闘ゲーム愛好家には面白いのかもしれません。
しかしながら、堤下与太郎の争奪を繰り広げる、万能のようにも見える国家機関「平和安全庁」とそれに対する「神國立命會」と「ウリヨラ教」の使える力の差があまりに大きく、それを解消する道筋が丁寧に描かれていないことで、説得力が薄れてしまいました。
例えば、「ウリヨラ教」が与太郎を「平和安全庁」から奪取する蒲田の民家の場面。デリバリー業者が訪ねてきてこの場面で普通玄関を開けるだろうか?また、厳重な警戒の「平和安全庁」の施設に「神國立命會」はどうやって侵入し、どうやって脱出したのか?気にならない人は気にならないのかもしれませんが、ゲームのルールなど論理性が大事な小説の中で、どうやって与太郎を奪取するか、という現実ベースのかなり難易度の高いゲームでそこをスルーされてしまっては興趣が削がれました。
「平凡なサラリーマン・堤下与太郎がゲームを攻略して世界を救えるのか」という設定自体は面白いと思いますが、現実世界の動きがやや「ご都合主義」で引っかかるところがありました。
「爆弾3」に期待します。 -
Posted by ブクログ
ネタバレスワン、爆弾ときて、次はどんなドンパチかと思えば なんと格ゲー(格闘技ゲーム)。ミステリー感もなく、警察との駆け引きもなく、ただただ格ゲー。好きな人にはささるかも。設定以外は誉めるところなし。これカテゴリーはSFなのかもしれないけど、格ゲーなので現代文学ということで。
設定:小型核爆弾が新宿や欧州各都市で爆発して、犯人は判らず、人類は他民族を信じられずに排外主義に陥った世界感。チップを耳や手に埋め込む人が大多数で、個人のモニターが政府によってされても仕方がないという世界感。さらに個人の暴走をモニターするために、脳内の配線を書き換えて人を殺すことをできなくする(ただし特権階級は除く)というプロジェクト。これを阻止する役目を与えられたのが我らが堤下与太郎。
近未来テクノロジーは簡単に地球を破滅させられる力を誰にでも与えることが可能。一部の暴徒による地球の破滅を防ぐには、各人のプライバシーの制限や禁忌事項の強制もやむなし という考え方は わかる気もする。法の支配に変わるテクノロジーによる世界が 未来には必然なのかも。特権階級の例外なしでお願いします。