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一小路真実は興味がない ~白雪姫のための毒リンゴ(ジュース)事件~
文化祭、白雪姫役のあの子が大ピンチ! 容疑者はあいつ? 探偵役は小道具係の私? 日常系学園ライトミステリー短編集☆ 体育館倉庫chattering 「こんにちは、今作の主人公をやってる一小路真実です」 「こんにちは、相方の間宮優樹です!」 「……『相方』とか気安く名乗らないでもらえる?」 「細かいことはいいから先に進めてください」 「はい、というわけで、私が作品紹介をします! 今作は、うっかり体育館の倉庫に閉じ込められちゃった高校生二人が、ひたすらしゃべってるお話です。以上!」 「非常に簡潔!」 (初出:『月刊群雛』2014年09月号) 白雪姫のための毒リンゴ(ジュース)事件 文化祭の演劇発表、毒リンゴ(ジュース)を飲んだ白雪姫役が、リアルで窮地に! 舞台の上で進む謎解きと、舞台裏で進む謎解き。容疑者はこいつ? それともあいつ? 探偵役は小道具係の私だ!? 日常系学園ライトミステリー! (初出:『はーべすと』アンソロジー短編集 わーくしょっぷ vol.3) 表紙イラスト:神谷依緒(『月刊群雛』2015年06月号・09月号表紙イラスト担当) -
デリヘルDJ五所川原の冒険
こんなデリヘル見たこと無い! 抱腹絶倒小説シリーズ登場! 第一章 ケミカルウォッシュはニートの心 渋谷駅そばの雑居ビルにある謎の派遣業『アナ専門メチャ回し学園』、今日も出勤リストに「DJ五所川原ゴッシー」の名前が載っている。どんなプレイも対応可能。音楽を使って耳と心に健康ヘルスをお届けデリバリー、デリヘルDJゴッシーの冒険が今始まる。 (初出:『月刊群雛』2014年09月号) 第二章 築ゼロ年 見晴らし最高 派遣業『アナ専門メチャまわし学園』の出張DJとして働き、ノイズ音楽オタクの家や建築現場でレコードを回してきた男、五所川原。そもそもなぜDJを目指したのか。ターンテーブルとレコードをキャリーに詰めて、今日も派遣先へと出かけて行く。 (初出:『月刊群雛』2015年01月号) 表紙イラスト:あへあへっど(『月刊群雛』2015年08月号表紙イラスト担当) 以降、毎月続刊発売予定! -
アラビアンナイトの殺人
ある夏の夜、ロンドンのウェイド博物館を巡回中の警官が、怪人物を見かけたが、その人物は忽然と消えてしまった。しかも博物館の中には殺人事件が発生していた。それはとんでもない大事件の発端であったが、未解決のままだった。奇書アラビアンナイトの構成にならって、この事件を体験したロンドン警視庁のお歴々三人は、三者三様の観察力と捜査法を駆使して事件を物語る。そして、その話の聞き手はギデオン・フェル博士である。ユーモアと怪奇を一体にしたカーの独特な持ち味が、アラベスク模様のようにけんらんと展開する代表的巨編。フェル博士がみごとな安楽椅子探偵ぶりを発揮する異色作。 -
掏りかえられた顔
デラとともに船のデッキに立ち、ハワイの灯影に名残りを惜しんでいたメイスンのまえに、思わぬ依頼人が現れる。夫のカール、娘のベルの三人でハワイの休日を楽しんで帰国するところだったニューベリ夫人である。夫人は、突然大金を手に入れたらしい夫を調べてほしいという。帳簿係の職を急にやめ、逃げるように引越し、その後は身分不相応なハワイ旅行。どうやってその金を手に入れたか、夫はけっしてしゃべろうとしないというのである。そのうち、夫人の耳に、夫がやめた会社で使いこみがあり、追及がはじまっているという噂がはいってきた。しかもその朝、荷物のなかに入っていたベルの写真が、彼女そっくりの女優の写真にすりかえられていた。船内の誰かが、一家の身元を調べている疑いがあった。興味を持ったメイスンは、調査の準備にとりかかった。だがその矢先、嵐の晩に、複雑怪奇な殺人事件が突発した……。シリーズ初期の名作。 -
埋められた時計
第二次大戦に戦傷を負って帰還した青年ハーリーは、恋人アデールの運転するクーペに揺られて、南カリフォルニア山中にある彼女の別荘へと赴いた。明るい太陽と澄んだ山の空気は、なまなましい戦闘の記憶に暗くなりがちのハーリーの心に、元気と希望を与えてくれた。が、ふと別荘ちかくの落葉の中に身を横たえた彼は、あたりの静寂を破って音高くひびく時計の音にびっくりする。ブリキの箱に入った目覚し時計が、地中に埋められていたのである……。銀行の金を使いこみ、なお多額の金を持ち去った親戚の男の死に絡んで、カリフォルニア山中に展開される不気味な殺人事件。メイスン、デラ、私立探偵ポール・ドレイクのトリオが活躍する、スピーディな傑作ミステリ。 -
戦争と平和
アレクサンドル1世、ナポレオン、クトゥーゾフといった実在の人物や歴史的事実の間に、自己の創造した人物を自在に配して、二度にわたるナポレオン戦争の時代を生きた人々の運命を描いた記念碑的作品。貴族社会の俗悪さを軽蔑しきり、自らロシアのナポレオンになろうという野心に燃えて戦場に赴くが、アウステルリッツで負傷し、悠久の空以外すべてはむなしいと自覚するアンドレイ公爵。美しい妻エレンの不貞の後、フリーメイソンに精神の救いを求め、これにも幻滅、ボロジノー戦で初めてロシア民衆のもつ巨大なエネルギーに心打たれるピエール伯爵。小説はこの二人の青年を中心に、あけっぴろげな魂をもつ天真爛漫な少女ナターシャ、信仰心あつい女性マリヤなど、多くの人々の愛と悩みが描かれる。登場人物の数559人! 全4編およびエピローグからなるこの大長編歴史小説で、トルストイは主要な作中人物に託して、自己の世界観や歴史観、さらには民衆観を展開し、歴史的事件を決定するのはそれに参加した民衆すべての意志の総和であるという独自の哲学を打ち出している。世界文学に高峰のようにそびえる絢爛たる絵巻物。 -
電子版特別合本 あぶない刑事全9巻セット
「あぶない刑事」第1期TVシリーズ、ノベライズ版全9巻を特別合本!ファンの声に応え、ノベライズ版第一期TVシリーズの全9巻を電子復刻! タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)の軽妙な掛け合いとアクションで、男女問わず絶大な人気を博した名作刑事ドラマ「あぶない刑事(デカ)」。1986年~1987年放映、第一期TVシリーズのノベライズ全9巻が電子書籍で配信開始!TVシナリオとの微妙な違いがファンのハートをくすぐるライトな小説版。「あぶ刑事」ファンなら永久保存推奨! 第1巻はTVシリーズ第1話「暴走」(脚本:丸山昇一)、第2話「救出」(脚本:那須真知子)、第3話「挑発」(脚本:柏原寛司)、第4話「逆転」(脚本:大川俊道)、第5話「襲撃」(脚本:田部俊行)〔書籍収録順〕の5編を収録。 -
密室の鎮魂歌
世界的に成功した、ある女流画家の個展会場で、『汝、レクイエムを聴け』という作品を見た女が、悲鳴をあげて失神した。失踪した自分の夫の居場所をこの画家が知っているにちがいない、というのが彼女の不可解な主張だった。しかし、画家と失踪した男に接点はなかった。五年前の失踪事件は謎に満ちていた。そして五年後の今、ふたたびその失踪事件の現場だった家で事件が起きる。今度は密室殺人事件。さらに密室殺人は続く。問題の絵に隠された驚くべき真実! 魅力的な謎といくつもの密室に彩られた第14回鮎川哲也賞受賞の傑作本格ミステリ。/解説=村上貴史 -
真鍮のむし
相も変わらずの天才的なテナーサックスの演奏と、鮮やかな推理を披露するいっぽうで、世事にはうとい永見緋太郎だが、クインテットを活動休止にして、海外で原点を見つめ直すという唐島に同行することになった。ニューヨークを皮切りに、シカゴ、そしてジャズの聖地ニューオリンズで永見と唐島が出合った不思議な出来事。あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻き込まれた永見が見いだした真相など、全7編を収録。ジャズと不思議に満ちた、日本推理作家協会賞受賞シリーズ第3弾。/解説=法月綸太郎 -
片岡義男ボックスセット
初めて読む人にも、再び読む人にも。「片岡義男.com」編集部がお届けするボックスセット。 偶然とは思えない強い出会いだが、それを運命と見なすほど不自由でも甘えてもいない。 島で、病院で、手紙で、2人の思いが交錯する。 1人の時間、自分自身の時間を十分に生きた1人と1人が接触して初めて奏でられるあたらしいハーモニーがそこにある。 【目次】 彼のオートバイ、彼女の島 さしむかいラブソング 愛してるなんてとても言えない 味噌汁は朝のブルース 九月の雨 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
もしも土方歳三が中小企業の副社長だったら・・・
30分で読めるミニ書籍です(文章量18,000文字程度=紙の書籍の36ページ程度) 「役立つ」「わかりやすい」「おもしろい」をコンセプトに個性あふれる作家陣が執筆しております。 自己啓発、問題解決、気分転換、他の読書の箸休め、スキルアップ、ストレス解消、いろいろなシチュエーションでご利用いただけます。 是非、お試しください。 【書籍説明】 もしも新選組が現代にいたら、どのように生きていただろう? 大企業や官僚組織の中では、その能力をフルに発揮することはできない。 小さな町工場でなら、彼らは思う存分生きられるのではないか? 土方歳三は「鬼の副社長」として腕を振るうのではないか? 東京都国立市にある中小企業、新鋭精機株式会社は、電子部品メーカーだ。 大手自動車メーカー北斗自動車の系列下請けで、苦しい経営を続けながらも、技術の優秀さでは定評があった。 ところが、北斗自動車がブレーキ事故を続発して経営危機に陥った。 北斗自動車は系列企業を整理し始め、新鋭精機も取引が激減した。それを知った銀行は、融資を引き揚げると言い出す。 倒産目前、副社長の歳三が、大勝負に出た。 新鋭精機は、倒産の危機を乗り越えられるか?! 【目次】 副社長は仕事の鬼 落ちこぼれ軍団 親会社の大チョンボで大ピンチ 新製品を開発しろ ロボットカー・レベル4 システムが盗まれた ネバー ギブ アップ 信義を貫け ピンチはチャンス 新しい協力者 夢は現実になる やはり、副社長は鬼だった 【著者紹介】 潮美 瑶(シオミヨウ) -
化身
巷で人気のある文芸評論家・秋葉大三郎。 ある日、銀座のクラブ「魔呑(マノン)」で働いている、若い霧子と出逢う。 純粋で初心な霧子に、女としての蕾を見出し、自らの理想の女性にしようと惜しみない愛を贈り、霧子もそれに応えるかのように変身をとげていく……。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
化粧
京都・祇園の料亭に生まれた、美しき三姉妹それぞれの生き様。 一番上の頼子は舞妓から転じて銀座のクラブのママになる。頼子には、舞妓時代、双子の鈴子が犯され、客の熊倉の子を身籠り自殺といった凄惨な過去があった。 二番目の里子は結婚し、老舗の若女将を務めている。 末の槇子は東京に出て自由奔放な大学生活を送っている――。 奥行のある渡辺文学の傑作。 【著者プロフィール】 1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療と並行して小説を執筆。1970年『光と影』で第63回直木賞受賞し、本格的に作家活動を開始。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。1997年に刊行された『失楽園』は大きな話題をよび、映画化、テレビドラマ化された。2003年には紫綬褒章受章。著書は『鈍感力』『ひとひらの雪』『化身』『化粧』『孤舟』『うたかた』『花埋み』など多数。 -
P+D BOOKS 血族
亡き母が隠し続けた私の「出生の秘密」。 本書は、山口瞳氏自身の家系の謎に迫る自伝的一冊である。 自らのことをほとんど語ることなく亡くなった母。美しく奔放で、好きなように生きた母に人生について氏は何も知らなかった。幼い頃に目にした光景、家に出入りしていた人たちの言葉、そして数々の資料をひもとき作者は自らの出自の謎に迫り、その過程を、母の思い出などを交えて綴っている。 登場する人物は、直接関わりのない人々がイニシャルになっているのをのぞけば、親族はみな実名である。調べる過程で書き進めた作品ではなく、すべてが明らかになった後に書き始めており、後に、事実を明らかするための伏線も張っている。 作者は、母の死後、彼女がどこでどんな家に生まれ、母方の親族はどういうつながりになっていたのかを解き明かしていく。その結果、氏自身がみたものは……。亡き母への熱き愛と鎮魂をみごとに描破した菊池寛賞受賞作。 -
ドリームダスト・モンスターズ シリーズ3巻セット【電子版限定】
櫛木理宇の人気青春ミステリー3タイトルが電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『ドリームダスト・モンスターズ』『ドリームダスト・モンスターズ 白い河、夜の船』『ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『ドリームダスト・モンスターズ』 恋の予感と謎解き。ドキドキがいっぱい。悪夢に悩まされるスタイル抜群の女子高生・晶水(あきみ)。クラスで孤立した彼女に、なぜかまとわりつくお調子者の同級生・壱(イチ)。彼は他人の夢に潜れる「夢見」という能力の持ち主だった。壱が夢の中で見つけたのは、彼女の忘れ去りたい記憶!? それとも恋の予感!? 40万部のベストセラー『ホーンテッド・キャンパス』の著者が描く甘酸っぱいオカルト青春ミステリー開幕! ■『ドリームダスト・モンスターズ 白い河、夜の船』 他人の夢に潜る「夢見」能力をもつ高校生の壱。事故で母親を失い、悪夢に悩まされていた同級生の晶水も彼に助けられた一人。壱の祖母・千代が営む“ゆめみ屋”を、今日も夢に悩むお客が訪れる。夢の中で見知らぬ女性に恋する大学生、人を殺すよう命じられる高校生、犯罪現場を目撃する少女……。壱と晶水は、厄介な夢を解けるのか。青春ミステリー。 ■『ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬』 同級生・壱の真っ直ぐな想いに、つれない態度をとってしまう晶水。そんな時、二人が通う高校で「老婆と蛇」の悪夢をみる生徒が続出する。夢って伝染するの!? 他人の夢に潜る能力をもつ壱に相談するが、なぜだか妙によそよそしい。さらに、壱に恋心を抱く女子まで現れて……。ぎくしゃくする二人は、夢の謎を解き、仲間を救うことができるのか。 -
男友だち
恋人でも、夫でもない。彼は、男友だち 片岡作品に登場する女性たちの多くは社会通念ではなく、自分自身の中にモラルを持つことで徹底している。 例えば結婚。結婚しないことを貫くこと、あるいは結婚することを選択したうえで他の男性と没交渉にならないことを選ぶのも彼女たちの流儀である。 それは制度や通念への反抗ではなく、自分で決めたい、ということにつきている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
標的
小説にだけ可能なこと 常軌を逸した、と形容しても差し支えないと思われるここに描き出された光景は、なぜそれが行なわれるのかについては、一切の説明がない。 ここにあるのは、1人の女性の完璧にしなやかな肢体と一丁のライフル銃だ。 筋肉の名前を一つひとつ挙げていくことと、ライフルを構成するパーツについて述べられることはここでは完全に同じ価値を持つ。 そして、人間の知覚や映像表現ではけっしてなしえない1秒の数十分の1という微細な時間のアクションが小説においてのみ可能であることが、よく理解できるだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
粉雪のつらく降るわけ
誰も知らないから自分で言う。「おまえ、どうするんだよ」 未来へと目を向けてある決断を下しても、それは現在が見ている風景でしかないからやがてその時がやってきた時点でかつて未来だった幻想から悪戯される、ということはあるだろう。 卒業と結婚を同時にやろう、という青年の性急さと、かつて手を切ったものに再びからめとられる弱さは、矛盾しない。 同時にそれらを抱えたまま彼は人の世の洗礼を受けることになる。 それを優柔不断と呼ぶのは簡単だがそのことよりも今、まさに直面していることの悲しみのほうに粉雪が寄り添っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
エクストラ・ドライ
2人で飲み、次に1人で飲む。 エクストラ・ドライのジンは、かなりキツい。 それがこの、何も起こらないといえば起こらない、おだやかなはじまりの、派手ではないが祝福に満ちたごく短い短篇のタイトルに選ばれているのはなぜか。 男女のうち、視点は女性の側にある。 ヒントは、ラストの1人飲みのシーンにあるのかもしれない。 いや、それはほんとうになんでもない、なにものをも象徴しない、ただのエクストラ・ドライでありただの1人飲みかもしれないのだけれど。 さてあなたはどう読みますか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
どこかにあるはずの素敵な島
ひとつの、充実した結婚のかたち 不思議なタイトルである。 というのも、この小説の中では実際に、結婚した男女が毎年休暇を過ごす南の島が出てきてそれは架空の島などではないからだ。 しかし、その島の名前も場所も一切明らかにはされないから読者にとってはたしかに「どこかにあるはずの素敵な」島に違いない。 片岡義男の多くの小説がそうであるように我々の日常にあるようなリアリズムや従来の小説がそこをテコにして物語を動かす破綻、のようなものはここには一切、現れない。 あるのは1つの、あざやかな夫婦のかたちだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
僕と寝よう
尾骶骨とそのまわり一帯 再会は片岡義男の小説にあっては重要な起点となる。 再会、という設定だけでそこに少なくとも2人以上いて、過去と現在があることが物語の確固とした背景となる。 現在は過去とは違うけれども、過去が影を落とさない現在もまた存在しない。 男はそれを利用する。ユーモラスに、そして直裁に。 女性に向けて尾骶骨、と言い放つ男のスタンスと、いったんはぐらかすかに見えてビタッと受け止める女が最高に絵になる短篇だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ダブル ミント
窓から見える灰色の空 完全に対等な、男女の関係がある。 共に過ごす時間は快適で、偽りがなく無理なところが少しもない。 そうした対等の関係が1日のあいだに連続して起こり、女性の側がすべて同一人物であったとしてそこで起こっていることはいったい何か。 何でもない、というのがおそらくこの小説の回答であり、1対1の関係がただ1個ではない、ということがそこにあるだけだ。 窓から空を見る、という行為であたかも自分をニュートラル・ポジションに戻しているかのような主人公の所作に魅了される。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ふたり景色
ふたり景色と、ふたりで見る景色 再会、という片岡作品にあって重要な、そして数限りないバリエーションの一つ。 当人たちにもなぜそうするのかわからないまま、しかし、そうでなければいけない、と考える別れがあり、ところがそれはある時間が経過したところでいつのまにか引力へと変化する。 なつかしい、という感情ばかりではないはずだ。 時が移るようにふたりの景色は変化し、ふたりが一緒に見る景色もまた、変化していく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
さっきまで優しかった人
さっきまで優しかった人たち 唖然とする展開、といってもいいかもしれない。 しかも2度。この短さの中で2度、唖然とできる。 舞台設定が、サスペンスの効果を高めている。 ここで「本気だ」と言われているセリフは言葉通りに受け止めるべきであり、それを怖ろしいと思うかあるいは微笑ましいと思うことだって、読者の自由である。 もしかするとこれは新手のSMプレイかもしれない。 そう読むのもまた自由である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
雪が降るから
言い訳ではないけれど とりたてて高揚しているわけではないだろう。 しかし、ただクールなままでもつまらない。 なにしろ外は大雪である。 激しく降る雪が都市の景色を変えてしまうように、女と男がいれば、それも4人いれば、可能性を追求してみればいい。 アルベール・カミュの『異邦人』が「太陽のせい」なら、片岡義男の男女は「雪が降るせい」なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
さようならの言いかた
そして彼女はやりとげた 若い男女がいる。恋人同士ではない。 大切な人を亡くした同士だ。 男にとっては親友。女にとっては恋人。 深い悲しみの中にありながら女性は彼女なりの仕方で追悼を、そして別れを試みる。 それは恋人だった男性を彼女のやり方で理解しようとすることであり、その場所に行ってみることであり、それをやりきったら二度とやらないことでもある。 そのやり方にそっと、親友が寄り添う。 見事なその別れを、彼女は完璧に美しくやりとげる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
B面の最初の曲
自分自身になる途中 最初のアルバムを作ろうとしている女性がひとり。 A面に収録する曲はすでにできあがり、今はやや趣を変えるべく、B面の最初の曲に取り掛かっている。 そしてその間、ごく短い休暇が与えられ、彼女は会いたいだけの人に全部会う。 その、彼女が人に会う、そのやり方がいささか通念を逸脱していても、そのことはまるで問題にならない。 自分以外の何者かになるのではなく、もっとより自分自身になるための彼女の流儀にすぎないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
イアリングをつけるとしたら
つけるときよりもはずすとき 編集者と書き手の情事。 ここでは編集者が男性であり、書き手はまだ書くことの経験が十分ではない。 小説とは、いかにして書かれるものなのか。 会話の中から、そして動作を伴う、あるモノからそれは生まれる。例えばイアリング。 男には得られない視点からイアリングを見て、そのことを構築できればすなわちそれが彼女の小説だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一生に一度かしら
あっけらかんと百万円 たいへんに魅力的な女性がいて、彼女と寝たい、それが実現するなら百万円払ってもいい、と男が口にする。 話だけなら冗談か下衆な話題として済んでしまうが実際にそれが実現され、女性もあっさりとそれを飲んでしまうともはや外野がどうのこうの言う問題ではない。 「一生に一度かしら」などと笑いながら、百万円を支払い得ない男たちの視線の先をグラビアの彼女が涼しくすべっていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一等星の見える窓
ようやく一等星の見える時刻 今日こそは会いたい女性がいる。 いつもならしない残業もこなし、時間をつぶそうとするもなかなか電話は通じない。 持て余した時間のあいだに幾人もの女性が登場しては去っていく、そのよるべなさも片岡作品にはおなじみの展開だろう。 やや深い時間になって、ようやくキャッチ。 そこまで時間が経過したのだから、夜空の遅い初夏でも、彼女の体の向こう側に一等星が見える。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
きみはただ淋しいだけ
今はもう10年前ではない この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。 10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。 かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。 あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
追伸・愛してます
後ろ姿に、追伸の1球 少年少女向けの文庫レーベル・コバルトシリーズに収録された一篇。 ここでは、思春期特有の繊細さとストレートさ、よくわからないものに向かっていく頼りなさが、草野球という、このうえなくうつくしい舞台を経由して遺憾なく発揮されている。 ボールを投げる。投げられたボールを打ち返す。 その運動に身を委ね、さらにボールを拾い集める、という内省の時間を持ったあとで、彼と彼女は新しい世界に踏み出していく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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