名称未設定さんのレビュー一覧

若き日のヴィルヘルムの狂的なまでの剣にかける熱情と、テレシアを始めとする周りの人々との巡り逢いとが熱く温かい物語となって見事に結実している。

面白いか面白くないかで言えば間違いなく面白いのだがこの爽快感の無さはいかんともしがたい。
正直読むのをやめたいレベル。

強さという点で物語中別格と言ってもいい存在になってしまった達也の力の見せ所として、軍への示威行動かつ社会にも役立つという方法を考えストーリーに自然な形で組み込む手腕が見事。
サイドストーリーはそれなりに面白かったが、やはり本編に組み込むより番外編としてまとめてほしい。

純粋に小説として、とりわけライトノベルとして見るなら必ずしも高くは評価できないが、史実を取り入れた宇宙開発読み物としてはそれなりに面白かった。特に月面着陸シーンはよく書けていたと思う。

あとがきで作者がこういうジャンルには向いていないようだといった感想を述べているが、全く同感。
ストーリーの起伏が少ない分、もう少し会話を工夫するとか、文体を生き生きとさせるとかしないと面白い作品にはならない。

惜しいキャラが退場してしまったという感は否めないし個人的な好き嫌いでいえば櫛田がいなくなった方が良かったとは思うが、話としてはかなりドラマチックで面白い展開だった。

いろいろな勢力がそれぞれの思惑に基づいて行動し、絡み合って話が展開していくのはこの著者の得意とするところ。その反面、スピード感や爽快さに関してはもう一つだったかもしれない。しかし全体としては満足行く面白さ。

バトル物という観点からすれば既に最強の位置に達した感のある主人公だが、「実はさらなる秘められた強敵が……」のようなありがちな強キャラインフレに陥ることなく、事業展開という形で話を広げることにより、続編として見事に成功している。

とりたてて大きな事件が起きるわけではないが、達也たちの方が異常なのであって、本来の学園物としてはこっちの方が正統なのだろう。
ヒロイン二人のキャッキャウフフがこの先深まるのかどうか注目したい。

危機が起こっては乗り越えるという言ってしまえばそれだけの繰り返しなのだが、大仕掛けの披露とディテールの積み上げとストーリーの展開がしっかりしており、安定した質を保っている。

話自体はクルシュとフェリスとフーリエの絆と想いが十分に汲み取れる内容となっている。
が、キャラ付けのためのフェリスとフーリエの喋り口調が全体の雰囲気を上滑りさせている感じがする。

妖物なのに性倫理に関してはキャラの中で一番お固い方のシロガネのすずに対するコメントが笑える。
かなり強い敵という設定でもバトルを引っ張らずさくさく進めているのがこの作品のテンポに合っていて良い。

ベルセルクやSAOが小ネタに出てくるのは予想外だった。
ウマ娘のパロディにもなっているのかもしれないが、ゲームもやっていなければアニメ等も見ていないので定かでない。

京介のモノローグにもあったが会話のテンポがとても良い。
かなり「やんちゃ」なキャラをヒロインにすえながらも手堅くまとまった話になっている。
さらなるIFがあるなら沙織ルートと麻奈美ルートも見てみたい。

あとがきによると物語としては既に完結していて今は長い後日談のようなものらしいが、この作品はストーリー展開を面白がるよりは安達としまむらを中心とするキャラたちの作り出す雰囲気をまったりと味わい楽しむべきものなので、良い意味で変わりない。

短編の中に起承転結がしっかりと構成され、伏線の埋設と回収がきっちりと為され、しかもそれが技巧的に感じさせることなく物語の情感を引き立てる。至芸と言うべきかな。

各キャラのストーリーがそれだけで一冊の本が書けるほど、どころか一つのシリーズが書けるほど濃密。出番自体は極小レベルでも一番のお姫様役はやはり銀子だったのが良い。

シールケといいファルネーゼといいイシドロといいガッツもたいがい天然タラシだというのがよく分る。
ある意味それがグリフィス闇落ちの原因であろう。

本編とは異なるルートだが、あっちは雪ノ下だったからこっちは由比ヶ浜、と安易に進めることなく、面倒といえば面倒な心情や葛藤をきちんと描いているので読み甲斐がある。

交換日記とか校舎裏に呼び出して告白とか卒業式に第2ボタンを貰うとか、道具立てのノスタルジックさがこの漫画の雰囲気に合っていてとても良い。

相変わらずギャグのネタと絵のインパクトが絶妙にマッチしていて笑える。
リンコス語なんてあるの知らなかった。勉強になった。

この小説の９５％までは１か２だが、結部５％の展開は意外性があった。
だが物語を支えるべき説得力や基盤の欠如は相変わらず。
しかし太陽光線が弱点な植物って……。

鈍キャラを返上しようとして行動した挙げ句より一層罪作りな結果になっている感があるのがさすがカタリナ。
デューイ、マリア、それぞれのホームドラマは素直に感動的だった。

シャープかつ美麗な絵柄で魅せる雄渾な歴史ファンタジー。
ディテールや背景も細かく描き込まれ、資料収集や考証を丁寧に行った跡が窺える。

前巻に引き続き無理のある過去が付け加えられたりしょうもない新設定が出てきたり謎の超技術のアンドロイドが出てきたりしたがふーんって感じ。

これまでに読んだ科学啓蒙書の類で最高クラスに面白かった。
学術的説明を省くことなく、だがわかりやすく説明する努力を惜しまず、頻繁に差し込まれるジョーク的記述で飽きさせない。
読書による知的快感回路が大いに刺激された。

今巻も笑った。会長の怖い顔が良い。先生がかわいい。アクロバティックな体位も素敵。カッターの刺さったうんこがやばい。

個々の戦い、それぞれのキャラの抱える葛藤、壮大な世界設定が上手く絡まって構成されている。
転生チートをこれほど特殊な形で組み込んでいる作品は他にちょっとないのではないか。
相変わらずサハラがいい味。

カタリナにかかればやさぐれた子供の一人をたらしこむぐらいは造作も無いこと。
闇の魔法絡みも少しずつ話が展開していて面白い。

可愛らしい絵柄とギャグシーンでの多彩な崩し方のギャップがすごくて笑える。
それでいてキャラ達の愛らしさが少しも損なわれていないのがまた良き。

元ゲームのヒロインであるマリアが職場の同僚というアドバンテージを活かしカタリナ攻略競争で1ポイントゲットという感じ。
実際に攻略完了するまではあと1000ポイントぐらい必要だろうけど。

すずの寝相がリトさんばりにアグレッシブなのが笑える。スパッツとかへその描写がさすが。ラチカが美柑ぐらい活躍してくれることに期待。

この作品世界が物語世界の暗喩として構築されていることは前シリーズの初巻を読んだ時から気付いていた。当初それはあくまで背景にとどまっていて、そこにおけるキャラたちの物語が主軸であるうちは十分に面白かった。しかし話が進むにつれ世界観そのものが筋立てを侵食してくるのに伴いどんどん退屈になっていったという印象。余計な叙述を極力省いて当初の構想通り全5巻ぐらいにまとまっていればずっと良い作品になっていたのではないかと思う。

シノアキの問題をどうやって解決するんだろうと興味深く読み進めていたら、結局は「命を削って頑張るしかない。それがクリエイター」みたいな半ば思考放棄みたいな落ちなのは残念だったが、それを受けて描かれた恭也の覚悟的な部分はわりと良かった。

とても丁寧に書かれているとは思うのだが、いまいち迂遠というかくだくだしいというか、物語の本筋を追いかける爽快感に欠けるのは否めない。

冒頭のバトルパートはいいとして、そのあとのルシフェリアとの日常パートがつまらないを通り越して寒々しい。

新キャラのたらしこみ方といい、マリアの救出といい、ほぼこれまでのパターンの踏襲、変奏でしかないのに、「またこれか……」ではなく「そうそうこれこれ！」という感想になるのはカタリナの人徳というものか。

本編のキャラがほとんど活躍しないことで、逆に本編のキャラ達がいかに魅力的かということが分る。
有希達だけでは役者不足感は否めない。

黒羽姉弟の司波兄妹ほどねっとりしてはいないもののその分微笑ましいいちゃいちゃが楽しい。
一巻完結の形式を取っていることもあり、軽快感という点では本編よりも上。

主人公が殺し屋という設定のため本編以上にダークな印象。
だが重苦しさはなく、有希とヤミの魅力のおかげで軽快なエンタメ作品として楽しめる。

シン達が共和国でいかに非道で非情な環境に置かれていたかが美しく描かれる。
ミリタリ描写に優れた本シリーズだが、叙情面でも一級品であることがよく分る。

達也ｖｓ光宣はシリーズでも最高のバトル、と思ったらその後にさらに上を行くバトルが待っていた。
ラストはSF的な意味でも恋愛的な意味でも素晴らしくロマンチック。

まさしく無双、向かうところ敵なしの主人公が活躍するのは爽快な反面、どうやってピンチを乗り切るんだろうというハラハラドキドキ感は薄くなるのが難しいところ。

達也の無双ぶりも軍や各国の思惑も真夜の権謀術数も全てが上手く噛み合っていて非常に面白い一巻になっていた。
ラストの再会も感動的。

作者からラスボス呼ばわりされたわりには光宣がいまいち機能していない気がするが、水波とのたどたどしいやり取りのういういしさに免じて良しとしよう。

達也と光宣の遠距離での攻防は読み応えがあった。ぶっちゃけ作者があとがきで自賛している呂剛虎と千葉修次の戦いよりずっと面白かった。

作者がツイッターで外伝でやったネタは今巻のエピソードのためのフリみたいなことをつぶやいていたが意味がよく分った。
記憶が失われスバルへの塩対応が続いているにも関わらずレムが魅力的なのがさすが。

特に大きな出来事が起きるわけでもなく、言ってみれば綾小路その他がくっちゃべっているだけなのだが、それがやたらと面白い。
情報を小出しにして読者の気を持たせるのが本当に上手いと思う。

ラストの展開はさすがに予定外だったしカジノでイカサマを暴く場面はそれなりに面白かった。
が、いまいちノリが悪い感じ。

例によってカタリナがイケメンをたらしこむパターンかと思いきや、乙女ゲーというよりRPGっぽい展開に。
だがカタリナはカタリナなので今まで通り楽しめた。