【感想・ネタバレ】快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのかのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年06月09日

私はタバコを辞めるまで何度も失敗した。
しばらく止めると当初の苦しみは収まり、そんなに欲しくもなくなるが、
飲み会の付き合いなどで少し貰うと、そこから止まらなくなったものだった。
一旦依存症になると、減らして、ちょうどよい付き合いということはできない。

食事やセックス、ギャンブル、周りの人に優越し...続きを読むたり褒められるなど、人が快感を感じる時に、脳内で作動する「快感回路」。

快感は生命維持の中心的な役割を果たす。
食べることや子孫を残すことに快感があるからこそ、多くの人はそこに執着する。

快感と依存症は隣り合う。
空腹になれば生物は何をおいても食べ物を探す。
これを衝き動かす快感回路に何か他のことがはまれば、それは依存症となる。

ドラッグやアルコール、ニコチン、ギャンブルなどは、この快感の仕組みをハックしている。

快感を伴う経験は記憶され、強化されていく。
依存症が個人の意思で克服できない構造がよくわかる。

例えばアルコール依存症の人がしばらく断ってから久しぶりに摂取したとき、非常に強い快感が発生する。
これを感作といって、依存症が再発をしやすい原因のひとつ。

個人的には、快感回路を刺激する別のものを見つけるのがよいのかなと思う。
酒を飲みたくなったらとにかく何か食べて胃に満足感を与えるとか。太るけど。

快感を覚える時、ドーパミンの放出が中心的な役割を果たすことは共通しているが、ドーパミンの放出が快感の本質ではないと筆者は述べる。それ自体は無味乾燥な刺激でしかない。

食事でいうと味の素のようなものか。
美味しい料理には適切なうまみが含まれているが、うまみの結晶である味の素をただ舐めても美味しい訳ではない。他の風味や香り、食感など複数の豊かな刺激が幸福な体験となる。
体験は重層的。

腹側被蓋野(ふくそくひがいや、ventral tegmental area, ventral tegmentum、VTA)のニューロンからドーパミンが放出される。

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購入済み

2021年08月23日

これまでに読んだ科学啓蒙書の類で最高クラスに面白かった。
学術的説明を省くことなく、だがわかりやすく説明する努力を惜しまず、頻繁に差し込まれるジョーク的記述で飽きさせない。
読書による知的快感回路が大いに刺激された。

#笑える #深い #タメになる

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月23日

肥満した若い女性と痩せた若い女性を被験者として、チョコレートミルクセーキを飲んでもらった。

その結果、肥満の被験者の方が痩せた被験者よりも、チョコレートミルクセーキの一口が引きおこす脳の活性化が小さいことがわかった。

これは快楽回路が鈍感になるという結果だ。

さらに、肥満の人はミルクセーキを飲...続きを読むむ前、飲もうとしている時に、快感回路が比較的に大きく活性化する。

つまり皮肉なことに、彼らは大きな報酬を望んでいながら、実際には小さな報酬しか得られないようなのだ。

そもそも肥満の人は、痩せようと思いダイエットをして体重が減っている時は

飢餓状態にあるため、ダイエットをしていない人よりも食事が魅力的に見える。

昔は、今のように食物が豊富にないため、栄養を蓄える必要がある。その記憶が刷り込まれているため

現代の人類が体重を大幅に落としてそれを維持しようとする時、その努力は、数百万年すみ重ねられた進化に抵抗することなのだ。

これを考えるとダイエットを成功させた人というは、並みの精神ではありませんね。。。

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Posted by ブクログ 2017年04月03日

「人間の行動を脳の仕組みから知る」という点において非常に良書。

結局人間も、「快感」を追い求め、プログラムにそって「感じて」「決断して」生きてるとよくわかる。

人間は自分が動物にしか過ぎないという答えにたどり着いた初めての動物だろう。

科学的な本なのに、哲学な気分にさせられた
ヽ(´o`;

...続きを読む快感や科学に興味の無い人でも一読の価値有り。

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Posted by ブクログ 2015年08月17日

原題「快のコンパス」。最新の脳科学の本としてべらぼうに面白く、驚きと常識が覆る事例の数々に目から鱗が溢れだすような読書体験だった。20世紀半ばまで、人間の学習は懲罰さえあれば報酬/快楽は不要と思われていたという事実は社会的基盤を考えていく上で示唆に富んでいる。快というのを遺伝子やシナプスの働きによっ...続きを読むて解明させつつ、人間が学習や観念によっても同様に快を感じられるというのは興味深いし、依存症患者の問題は決して当人の責任ではないかもしれないが回復は本人の責任なのだという言葉も突き刺さる。文句なしのスゴ本。

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Posted by ブクログ 2022年10月26日

感想
生きるための機構が暴走する。個人のせいではなく社会が欲望を煽っていることが原因の一つ。そのことを知った上でいかに快楽回路と付き合うか。

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Posted by ブクログ 2022年07月06日

文庫化されていたので、読みやすいかと思いきや、難しい。ほぼ理解出来ていない。依存症(報酬系、快感回路)の仕組みを神経科学の方面から解明するもの。悪徳ばかりでなく、良いものとされる行いも脳科学から見ると同じようなものらしい。遺伝要素も多分にあるから、本人ばかりの責任にしてはいけない。けれど、回復するの...続きを読むは本人の責任だという。様々な治療薬は開発されているけれど、解明されていない部分もあり、見通しは未だ厳しい様だ。何事も程々が良いのだけれど、それが難しいのだなと思った。

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Posted by ブクログ 2021年07月11日

自分がこれまで味わってきた快感がある神経の動きによって引き起こされてきたということが分かっただけでも読んだ甲斐があった。この快感回路を人間が操れたら完全に人間は全知全能になる気がする。

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Posted by ブクログ 2021年07月03日

この本は、メンタリストのダイゴさんがお勧めしていた本です。
本書は、ドラッグやアルコール、高カロリー食、セックス、ギャンブル、さらに運動や慈善行為にまで影響を与える「快感回路❕」について書かれています。
医学的用語や専門用語があり、読みにくいところもありますが、一読する価値あるの本です。

ぜひぜひ...続きを読む読んでみてください

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Posted by ブクログ 2019年12月19日

ど文系の私には科学的に書いているから少し難しい所もあったが、実験のまとめ、何を意味しているのか、本題とどう関連しているのか、を丁寧にまとめてくれている親切な本。また、哲学とも絡めている点が良い。最後の「快感がありふれたものになった時、私たちは何を欲するのだろうか」は考えさせられた。

え!そうなの!...続きを読むみたいな新発見、私がずっとしていた誤解がかなり見つけられたので、個人的には大満足。
個人的には第4章の性的な脳が面白かった。男女で姓に関する働きが違うのはおもしろい〜

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Posted by ブクログ 2017年04月25日

秀逸なサブタイトルに無性に惹かれて購入しました。
痛みと快感が一体・・・みたいな話はSMか!って思いました。「痛み」が注目するに値する、無視してはいけない出来事であるということに納得しました。

深夜のカップラーメンのような低レベルの快楽に身をやつすことなく私も高度な快感回路を身につけたいと思いまし...続きを読むた。例えば勉強するだけで快を感じるみたいなそういう人。はい。一生なれない気がします。

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が、慈善活動をしたり、税金を納めたり、未来の出来事について情報を得たりといった行動はみな、ヘロインやオーガズムや脂肪たっぷりの食品に喜ぶ快感回路と同じ神経回路を活性化することが、脳の画像研究からわかっている

私たちが生き続け、子孫を残すためには、食べたり飲んだりセックスをしたりといった経験を、快い(報いられる)ものと感じる必要がある。

。快感が私たちにとってこれほど力を持つのは、快感回路と脳の他の部分との相互連絡によって、記憶や連想や感情や社会的意味や光景や音や匂いで飾り立てられているからだ。

「自然は人間を二つの独立した支配者の元に置いた。痛みと快感だ。人間のあらゆる行為、あらゆる発言、あらゆる思考はこの2つに支配されている」

「快は確かに人間の心の働きの指針となり、美徳へも悪徳へも導いてくれる。痛みも同じだ。しかし、痛みと快は一本の棒の両端ではない。快の反対は痛みではないのだ。愛の反対が憎しみではなく無関心であるのと同様、快の反対は痛みではなく倦怠、つまり感覚と経験への興味の欠如なのである」

快感 も、 痛み も、 共に サリエンス( 顕現 性) を 示す という こと に なる。 つまり、 それ は 潜在的 に 重要 な 経験 で あっ て、 注意 を 向ける に 値する と いう こと だ。 情動 とは サリエンス の 通貨 で ある。 多幸 感 や 愛 の よう な ポジティブ な 情動 も、 恐怖 や 怒り や 嫌悪 の よう な ネガティブ な 感情 も、 どちら も、 それ は 無視 し ては なら ない 出来事 だ という こと を 告げる もの なの だ。

想像 し にくい のは、 どう すれ ば 回路 を 微調整 し て、 新た な 色合い を 持つ 微妙 な 快感 を 紡ぎ 出し たり、 快感 を 組み合わせ たり できる か だ。

のは、 悪徳 で あろ う と 美徳 で あろ う と、 人 を 反復 的 行動 に 駆りたてる のは、 神経 学的 に 同じ 快感 だ という こと で ある。 この 意味 で、 快感 は 人 の 行動 を 導く 羅針盤( コンパス) だ と 言える。

もう 一つ の 結論 は、 依存症 とは、 人間 が 持つ ある 能力 の 裏返し だ という こと で ある。 その 能力 とは、 何 でも 望み の 対象 を( 生存 や 繁殖 の 必要 性 とは 無関係 に) 快感 刺激 に し て しまえ る 柔軟性 で ある。 この 柔軟 な 能力 も 依存症 も、 共に、 脳 の ニューロン の ある 種 の 物理的・構造 的 変化 を 基盤 に し て いる。

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Posted by ブクログ 2014年09月20日

一般読者向けながら、ある程度高度・複雑な脳科学の知を展開してくれる、専門家による良書。
最初の方に出てくる実験の映像が、「快感回路(報酬系)」の原型だ。ラットの脳の或る箇所に電極を仕込み、ラット自身がレバーを押せば、その電極が特定のニューロンを刺激するように設定する。すると、電極による快感に病みつき...続きを読むになって、ラットは食欲も性欲もすべてそっちのけにして、ひたすらレバーを押し続ける。
ドーパミン・ニューロンを中心とするこの快感回路が、人間のさまざまな行動に関係している。・・・とはいえ、科学原理主義者ふうなど素人とはさすがに違い、この専門家は、さまざまな事象をなんでも快感回路に還元するのでなく、他のさまざまな部位のニューロンの活性化との関係をも強調する。
特に面白かった箇所の一つは、「性欲」刺激と「恋愛」刺激とが、双方とも快感回路の活性化をしめしながらも、他の異なる部位の活性化を伴っており、従って脳現象全体としては、異なった体験であることを結論づけている辺りだ。つまり、「愛か、性欲か」という、人びとを悩ませ続けた難問の一つの答えが、これである。
ギャンブル依存、ゲーム、タバコなどに関する「快感」現象についての部分も、実に興味深かった。
脳科学としてすべてを器質に還元するのでなく、社会文化的要因をもちゃんと重視しており、決して科学「馬鹿」にならないスタンスが一貫していて、とても好感が持てた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年09月11日

最新科学の啓蒙書なので、結論は常に留保付だけど、いろいろ興味深い。メインテーマは「依存症」。過去の恐怖の人体実験から、変態とは何ぞやといったつかみ、脳内麻薬様物質の働く様子まで、おもしろエピソードもモリだくさん。人間の脳みそは進化の過程でいきあたりばったりの増改築を繰り返した結果だそうで、まあ21世...続きを読む紀の現状がこんななのもしかたない気が…

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Posted by ブクログ 2021年08月16日


■ 快楽回路
悪徳なドラッグも、美徳とされるエクササイズも脳にとっては同じ「快楽」である。

■ 依存する
依存してしまうと、思った程快楽を感じなくなる。
しかし、しばらく間を取ってから摂取した場合、以前よりも大きな快楽を得ることが出来る「感作」が生じる。

■ 遺伝
太りやすい太りにくいと言う脳...続きを読むの構造は、遺伝による影響が大きいのは事実である。しかしこれに対して、外的な要因(社会や文化など)の影響も十分に大きい。
よって、先天的な要因と後天的な要因をうまく理解し使い分けて、ダイエット目を標達成していく必要がある。

■ 依存性のある食物
脂肪、糖分、塩など。
近年急激な社会の変容が起こったが、体の構造はそれに追いついていない。
脂肪と糖分と塩分が多いおいしい食べ物を長期にわたって食べ続けると、快楽経路の配線が変わって、欲求を増幅することにつながる。

■ 快感回路を変化させる能力
経験により快感回路を長期的に変化させる能力がある。
人間は様々なものを自由に報酬と感じることができ、抽象的観念さえも快いものにできる。

★ どんなことでも習慣化し長期的に継続することで、苦痛やストレスを快楽に変換し、体の報酬とさせていくことが可能かもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年07月25日

凄い、人の脳には知らないことがまだまだ沢山ある

動物が変わった自慰行為をすることも、デブもコミュ障も恋愛ですらそもそも遺伝子の問題だとか、人間を知るために必読の本な気がする

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Posted by ブクログ 2021年02月11日

脳内物質の放出や脳内部位の活性化の観点から快感について解説する本

依存症患者は強い快感を得ているわけではなく、快感の閾値が高く、そこに達するための渇望のために、依存に陥るというのは、非常に勉強になった。

また、惜しかった結果は、達成したものと同じような快感に感じることなど、パチスロのようなギャン...続きを読むブルは工学的によく計算されたものであることが分かった。

具体的な報償ではなく、情報を得ること自体も快感になっている点については、身につまされた思いで、私も依存症患者の1人なのかもしれないという心持ちになった。

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Posted by ブクログ 2020年12月19日

脳に電極を埋め込んでマウスや猿、人間を使った実験が多かった。かなり脳のニューロンや化学物質に踏み込んだ話が多いので読み応えがあった。

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Posted by ブクログ 2018年06月15日

「快感」とは何か、なぜ人は快感に「依存」してしまうのかを、神経科学的視点(主に脳の腹側被蓋野とドーパミンの働き)から解き明かす。快楽というと真っ先にクスリ、アルコール、セックス、ギャンブルなど非道徳な行いが思い浮かぶが、ジョギングや冥想、学究に至るまで人間の「動機」あるところ、必ず快楽があると言って...続きを読むも過言ではない。本に出てくる事例では、慈善や寄付など真に利他的と思われる行動であっても、その行動を行なっている本人は快楽を感じている(と解釈できる)研究例が示される。

また、「禁*セラピー」の Allen Carr は「依存に遺伝や大切は関係ない。依存していないように見える人は、依存の程度が軽いだけ」という立場に立つが、最新の神経科学の結果は、「どうやら依存しやすい遺伝形質というものがあるようだ」という結論だ(もちろん Carr は科学者ではなく、依存から脱却するために最も適切な考え方を示しているだけなので、間違っているわけではないのだが)。

将来は快楽と依存を切り離し、依存にならないようにしながら、様々な快感を自由にブレンドして味わえるようになる…のだろうか? それは、ソーマだな。

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